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中国の「流動児童」問題 [2016年02月06日(Sat)]
4000万人を超える中国の「流動児童」問題。中国が直面している社会課題であり、中国の経済発展・都市化から生まれた社会課題。おそらく、日本の貧困問題同様、他の社会問題と絡み合い、より複雑化していくのではないかと感じる。

「流動児童」とは、農民工(農村出身の出稼ぎ労働者)の親に連れられて住む場所を転々とすることを余儀なくされる子どもたちのことを指す。なぜ、「流動」と呼ばれるかというと、子どもたちは、戸籍がある地域を離れ、正式な転出入の手続きなしに移動し続けるため、「流動」「暫定」などと呼ばれる。そのため、正規の学校に通えなかったり、十分な教育・医療サービスを受けられず、劣悪な環境と差別の中で生活している。半年単位で転校する子どもおり、それが子どもの心を不安定にし、ゆがんだ人格形成につながりやすい。

その結果、流動児童は孤立し、社会に反感を抱く傾向が強く、中国の未成年犯罪の54%を農民工の子どもたちが占めているという、とても深刻な問題である。

今朝のニュースで、ある農民工の父子家庭の様子が放送されていたが、ひとり親で子どもを育て上げることの大変さを感じた。子どもだけを家に残して働きに行くこと、子どもあてもなく街で時間をつぶしていること、「子育てに時間がとれず大人の話が聞けない子どもになってしまった。一番心配なのは子供の今後だ」と話す父親からは、劣悪な環境に置かれているのは子どもだけでなく親も大変な状況であることが窺えた。

この問題の背景には、中国の急速な経済成長がある。経済成長を支えてきたのが、農民工であったが、近年、子どもを都市部に連れて来て一緒に暮らす人が急増し、流動児童も急増した。

日本も、高度経済成長と豊かな社会を確立していく過程に、日雇や臨時工と呼ばれる方の大きな貢献があった。しかし、彼らの労働と生活の困難さが注目されることはほとんどなく、そして、「寄せ場」という、日本の労働力の調整弁となる隔絶された場が生まれた。そこには、一時的な失業を避けられない労働者の支え合いの人間関係が生まれていく一方、豊かな社会に生きている人々からは、差別と偏見のまなざしが向けられた。そして、1990年代バブル崩壊後、非正規労働の需要が拡大し、この寄せ場を維持することができなくなり、都市部にホームレスとなって現れた。

高度経済成長を支えてくれていた人が路上で生活しているなんておかしい、と思ったことがホームレス問題に関心をもったきっかけだったことを、このニュースを見て思いだした。
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