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八王子少年鑑別所を訪問。社会における居場所と出番(仕事)の確保を。〜NPO法人育て上げネットのスタディーツアーに参加〜 [2015年11月26日(Thu)]
ちょっと前の話になりますが、先月、八王子少年鑑別所を訪問しました。引きこもり状態の若者へ就労支援をしているNPO法人育て上げネットの友人からお声がけいただき、一緒に参加させていただきました。このスタディーツアーへの参加者は、他に、議員、大学教授、行政、NPO関係者など多様な方々が参加していました。

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■訪問のきっかけ

私含め、一般の人は、少年鑑別所を訪問する機会というのは、ほとんどないと思います。今回、NPO法人育て上げネットの井村さんからお声がけいただいたことがきっかけでしたが、井村さんは、なんとこの7年間、毎月ここで授業(ボランティア)をされているそうです。それが、今年の夏に表彰され、今後、地域に開放した施設になるよう、今回のスタディーツアーにつながったということです。7年間も通い続けるって、なかなかできないことですよね。

■少年鑑別所とは

私は、この訪問が決まるまで、少年鑑別所と少年院の区別すら、ついていませんでした。
法務省のHPを少し調べてみると、少年鑑別所の役割として、以下が挙げられていました。

(1)家庭裁判所の求めに応じ,鑑別対象者の鑑別を行うこと
(2)観護の措置が執られて少年鑑別所に収容される者等に対し,健全な育成のための支援を含む観護処遇を行うこと
(3)地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助を行う


今回のスタディーツアーは、まさに、(3)の役割が大きいと思いました。
地域や一般の人に知ってもらわないと、「知らない=想像できない」というだけで、少年たちへの偏見はリセットされず続いてしまいますから、このような取り組みは本当に大切だと思います。

※参考※
【鑑別所】少年を社会から隔離した上での矯正教育が必要か否かを判断する施設。
【少年院】鑑別結果などから「社会生活での更生は難しい」と判断された場合に送致される矯正施設。☆刑罰ではなく、少年に健全な社会復帰をさせるための”矯正教育”を受けさせる施設
【少年刑務所】少年審判の結果、保護処分(保護観察や少年院送致など)よりも懲役や禁固などの刑罰を科すことほうがふさわしいと判断され、刑事裁判にかけられ実刑となった場合に収容される施設


■どのような少年がいるのか

当日は、八王子少年鑑別所の所長さんから、お話をお聞きました。

少年鑑別所には、どういう少年がいるのだろう?私ぐらいの年代だと、昔のような、見た目でつっぱり具合をアピールする不良少年を思い出しますが、そういう子がいるのだろうか、と思いながら訪問しました。しかし、実際は、多くの子が「ふつうの子」だということを知りました。

そして、非行名の7割が、暴力ではなく「万引き」と「自転車の横領」。この背景には、子どもを取り巻く生きづらさや、家庭内の変化(ネグレクト、虐待など)が、子どもたちからのSOSが非行として出ているのではないかとおっしゃっていました。

所長さんのお話で考えさせられたのは、非行少年の特徴でした。

(1)言語表現力の乏しさ。非行で自己表現をしている。
(2)自尊心が低い→自分を否定することが問題行動となってしまっている。
(3)大人への不信(暴力・疎外感)


印象に残っているエピソードとして、以下のようなものがありました。
・体温測るだけで、「こんなに心配してもらったのは初めて」と言われた
・お風呂に入りたくないと言う子どもで、せっかんで湯船に沈められた経験がある子がいた
・日記を書くという習慣が、子どもから評判が良い→裏をかえすと、どれだけ愛情が乏しかったのか。


また、家族の絵(顔)が描けない子が多いそうです。
・顔が描けない・・今までの大変なことを思いだしたくない(虐待など)
・親の後ろ姿を書く・・話かけてもふりむいてくれない(育児放棄など)


また、男女比は10対1で男子ですが、平成25年に初めて、女子の非行1位が「傷害・暴行」になったそうです。攻撃性というのは、「外に向くと犯罪」になり、「内に向くと自殺や自傷行為」になります。これは、環境次第で外に向き、暴行や傷害行為になるということで、女子の暴力事件が増えているという、その背景をもっと知りたいと思いました。

■「仕事」と「居場所」が再犯を防ぐ

なぜ、子どもたちが非行に走ってしまうのかと考える前に、「人はなぜ非行に走らないのか」というお話がありました。
愛情だけじゃなく、コミットメントやインボルブメント、特に、熱中するものがあると非行には走りにくくなるようです。

そして、一番大事なのは、

社会における「居場所」と「出番の確保(仕事)」

ここにいる子どもたちの特性として、近隣からも孤立した家庭に育っていることも少なくないようです。親が犯罪を犯していたり、非行も虐待同様、家族間で連鎖していきやすいのだと思いました。

また、鑑別所内では、虐待、障害などへの配慮が必要で、発達障害のスクリーニングを全ての少年に実施しているとのことでした。目的は、「生きづらさを見過ごさない」ためです。

では、このまま、誰からのサポートもなかったら、どうなってしまうのでしょうか。

このように、困難を抱え孤立した子どもは、悪い大人に利用されやすいそうです。また、良い大人は殆ど近づいて来なく、こういう悪い大人でないと近づいてこないという現状があると聞きました。

女性は性風俗産業。男性は、最近では、オレオレ詐欺の出し子など、犯罪の中でも、一番つかまりやすい仕事に利用されてしまうことが増えてきているそうです。ニュースで、オレオレ詐欺の犯人に若者を見かけることがありますが、こういう背景もあったんだと考えさせられました。

■感想

最後の質疑応答で、敢えて「子供たちにとっての反省」について、質問しました。なぜかというと、世の中は、非行少年への理解どころか、より厳しい目を向けはじめているようにも感じるからです。「最近の子は反省していないのではないか」や「少年による凶悪犯罪が増えている」という強い世論感情が、確かに存在すると私は思っています。

所長さんのお答えは、昔の子どもと今の子どもとが、大きく違うということもないし、それぞれが反省しているとおっしゃっていました。また、そのあとに、育て上げネットの井村さんが、言わずにはいられなかったように、「ここの子どもたちは、誰よりも僕の話をしみいるように聞いてくれる。だから、ぼくも毎月来たくなったし、やめられなくなった」とおっしゃっていました。その言葉が、私には、とても説得力がありました。井村さんの鑑別所での授業は、授業といっても勉強の学習ではなく、一人暮らしをするにはどれだけお金が必要かとか、どうやってお金をためるのかとか、「ハローワークへ一緒に行くよ」「困ったら若者サポートステーションというところにおいで」ということを、毎月話しているそうです。

子どもたちがここから出て、彼らを利用しようとする大人に会う前に、よい大人に出会わせたいという想いが伝わってきます。少年鑑別所が、より地域に開放され、退所後も地域に入りやすいようになるには、私たち市民ひとりひとりが、まずは知ることが大事なのだと思いました。


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