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NPO法人育て上げネット 若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」に参加しました〜引きこもり状態の若者と一緒に仕事をして思ったこと [2015年11月23日(Mon)]
11月21日は、NPO法人育て上げネットさんが提供する、若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」(https://www.sodateage.net/service/jobtra/#start)に参加してきました。このプログラムは、ニート・引きこもり状態の若者を対象にした、グループ行動を基本とした就労支援です。育て上げネットが、地元企業等から仕事を請け負い、その仕事を支援者と支援を受けている若者が、実際の仕事をチームで取り組み、若者と社会とを繋げるというものです。地元企業の他に、西友のCSRと連携した低所得世帯の若者向けの「西友パック」(https://www.sodateage.net/news/911/)などもあります。

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■一日の流れ

朝、全体の朝礼に参加し、その後、ジョブトレチームのスタッフミーティングに入りました。育て上げネットが請け負っている仕事の種類はいくつかあり、日によって内容も参加するメンバーも、責任者となる支援者も変わるようです。この日は、今日来る若者が抱えている課題の共有や、それを本人にどう伝えるか?ということが議論されていました。ある若者に対して、「先に褒めるべきか、それとも先に注意すべきか。」「誰が伝えるかも大事。何人かで、順番に伝えるとしたら、その順番はどうあるべきか」など、みなさん、その若者のために真剣に考えていたのが伝わってきました。

また、「へえ〜」と思ったのが、「マニュアルはなぜ必要なのか」という議論。若者にとってマニュアルが必要な理由は、マニュアルがあることで達成感が得られやすいそうです。自信が無い人には、マニュアルなど、自分はここまで出来るようになったと、自信をつけやすい環境をつくってあげることが大事なんだと思いました。

仕事の内容は、新聞社での折り込み作業、御用聞き、掃除、援農など。そして、21日は地元のベントがあったため、ゆるキャラ「トコちゃん」になるいう地域貢献のお仕事もありました(笑)。

午前中2時間、事務所に戻りお昼、午後3時間ジョブトレをしますが、半日だけの人もいれば、終日いる人もいました。最後は、担当の支援者と若者が個別で振り返りミーティングをし、その後、支援者だけでの情報共有ミーティングをし、解散という一日の流れでした。

■就労支援の場に参加して

実際のジョブトレの内容は、機密情報等もあると思うので、ここでは詳しく書きませんが、個人的な感想を書きたいと思います。(あくまでも、素人の感想なので、間違っていることもあるかと思いますがご容赦ください。)

スタッフミーティングの時に、支援者の方々が「社会に出る前に、ジョブトレで失敗をたくさんしてほしい。ここでは、いくら失敗してもいいんだから。」とおっしゃっていました。

一方、ジョブトレ生である若者たちからしてみると、ジョブトレは、本当の仕事と同じような位置づけにあるように感じ、失敗できる余裕はないように感じました。おそらく、若者たちにとって、ジョブトレは、自分がもっている少しの自信(自己効力感)と直結しており、そこで失敗するということは、とても大きな自信喪失につながるのかもしれません。ジョブトレをしている時の、彼らの表情も仕事も、「そこまで」と驚くくらいに真剣なものであり、その分「働かなければ」という働くことへの強い責任を感じているようにも見えました

ジョブトレにもいくつか仕事があり、人によっては、ジョブトレの仕事を選ぶ(やりたくない仕事は避ける)という人もいるそうです。それは、一見わがままなだけに見えますが、その背景には、自信が無い仕事をして失敗する勇気がないという、精神的にぎりぎりのところにいるということを知りました。

支援者の方々は、ジョブトレが、若者たちにとって、もう少し気楽に失敗できる場にと、現場で試行錯誤されているように見えました。

■みんなでお好み焼きを作る

21日は、予定よりもジョブトレが早く終わったため、夕方から、急遽、みんなで(5−6人)お好み焼きを作ることになりました。興味深かったのは、「料理をつくる」ことは、若者たちにとって「失敗できる場」であったということです。肩の力が抜け、笑顔がちらほら見え、自分から動き出す子も出てきて、会話も自然と増えていきました。

驚いたのは、半分くらいの子は卵を割ったことが無いということでした。「卵ってどうやって割るの〜?」と、みんなで、ボールの周りに集まって初めての卵割りをする(笑)。過去の経験から料理に苦手意識があったある子は、支援者の女性が、卵割り、野菜の切り方、お好み焼きのひっくり返し方などひとつひとつ丁寧に教えることで、自分でお好み焼きが作れるようになったことに、嬉しそうでした。

また、ある子は、「広島風も作ってみる」と言って、もう一つのコンロとフライパンを持ってきて、やきそばを作り始めたり、「工夫」も出てきました。

最後に、自分が作ったお好み焼きを囲んで、みんなが美味しいって言って食べている姿を見て嬉しそうでした。自然と「名前なんて言うんですか?」と聞かれたりし、会話も生まれてきました。

それを見て、仕事も基本は同じなんだけどな〜と。その笑顔が仕事中に出てくるようになるには、どうしたらいいのかなと考えました。

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■引きこもり状態の若者の印象

引きこもり状態の若者と一日一緒にいたのは、初めての経験でした。印象は、真面目で控えめ、優しい、でも自分に自信が無い。支援者の方から聞いたのですが、本人たちは「働いていない」ということで、とても控えめに、親に迷惑・心配かけないように、散髪などの就職活動に必要なお金も節約し、生きているとおっしゃっていました。引きこもりに対して厳しい社会、それゆえ、周りの目を気にして控えめに生きざるを得ない状況が、引きこもり状態から抜け出せにくいことに繋がっているのでは、と私は思います。

話をお聞きしていた中で、印象に残ったエピソードがあります。ジョブトレに新しく来た子が、最初の飲み会でお酒を飲み、でもお酒の飲み方に慣れていなく粗相をしてしまった。一般的には、この年代の若者だったら、からかったり、「やめろよ〜」となると思いますが、周りにいたみんなが、素早く、そしてとても静かに、さっと全てを綺麗に片づけ、何もなかったような雰囲気を作ったそうです。その様子に、支援者の方々も驚かれたとのこと。優しいということと、そうなってしまう気持ち、そういうことで傷つく気持ちがわかる子たちなのかもしれないと思いました。また、お酒を飲む子も少なく(最近増えてきたそう)、それも遠慮しているんだろうと支援者の方がおっしゃっていました。

あと、ジョブトレを続けたくても、通い続けることができなくなる「交通費」の問題があるようです。ここ(立川)に来ている子は、山梨や埼玉など、遠くから来ている人も少なくありません。これは、交通費で計算したらかなりの金額になってしまいます。就職活動も、交通費だけでなく、証明写真、スーツ、身だしなみ等、お金かかりますよね。引きこもり状態じゃなくても、単純に就職活動のお金が無いという理由で、就労から遠ざかる子もいるようです。西友CSRの「西友パック」は、この交通費まで実費で支給してくださるプログラムということで、NPOによる支援が、より効果を発揮できるようにするCSRも貴重なのだと思いました。

■ほとんどが男性だという現状から思うこと

ジョブトレ生のほとんど(8〜9割)が男性でした。では、女性は男性よりも就労しているのかというと、データは確認していないのでわかりませんが、家事手伝いのような家庭内での居場所があったり、働いていなくても良いとされることが多いらしいです。その背景には、こんな時代になっても、親が、娘に期待することと息子に期待することが違う、ということが大きくあるのではないでしょうか。同年代の同じ学歴の男女の引きこもりがいたら、圧倒的に男性に厳しいのが今の日本社会なのだということも、考えさせられました。(そもそも、女性というだけで「引きこもり」と言われづらいかもしれません)

とても、良い経験をさせていただきました。現場のみなさまにはご迷惑おかけいたしましたが、本当にありがとうございました!!
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