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見方、発想を変えて秋田県の良さを発見できれば[2025年12月31日(Wed)]
 Wedge2025年7月31日付け「人口減少、クマ出没も頻繁な秋田県...課題先進県でも東京より暮らしやすいのはなぜ?」から、秋田県はメディアなどで「少子高齢課題県」と呼ばれることがある。  
人口は2024年末で約89万7000人だが、増加率はマイナス1.8で全国一低い。65歳以上の高齢化率は、全国平均が29.3%だが、秋田県のみ40%を超えている。
『ルポ 人が減る社会で起こること 秋田「少子高齢課題県」はいま』(岩波書店)は、そんな秋田県に2020年秋に赴任した新聞記者が、少子高齢化社会の実態を「秋田は日本の未来である」(帯文より)と、さまざまな側面から描いたルポである。  
まずは、人手不足による公共交通や医療機関への深刻な影響だ。庶民の足というべきバスでは、運転手の数が減少しつつあり、路線変更や廃止に追い込まれている。  
医療も、病院・クリニックの閉鎖・統合により集約化が進み、「遠い・高い・ベッド不足」などに直面。医療機器を搭載した医療車も巡回し始めた。
「若いお医者さんはなかなか増えませんし、巡回医療といっても土地が広いので移動が長距離。経費がはね上がって、医療サービスは徐々に縮小の方向にあります」  
著者の工藤さんは、「公共交通や医療サービスの維持は、少子高齢化に悩む地方共通の問題」と言う。
本書には、高齢者を狙った特殊詐欺やネットショッピング詐欺が増加中、とありますが、これにはどのような背景がありますか? 「高齢層で孤立している人が多い面もあります。警察や自治会が注意喚起しているんですが、新聞を読まずにTVニュースもあまり見ない人はすぐに騙されてしまう。生活の助けにと、マッチングアプリで知り合った人を信用して、商品を買ったり儲け話に乗ったり。被害金額が億円なら全国紙のニュースですが、そこまで行かない数百万円単位がザラです。ここ数年、被害者数は増えつつあるんですよ」  
高齢者の詐欺被害は、頼れる若い世代が身近にいないことの結果でもある。  
秋田県の14〜24歳の転出者数は突出しているが、中でも若い女性は、2015年以降男性以上に転出者数が増えている。
若者、特に若い女性は、秋田県では結婚・子育てができないと思って出て行くのですか?
「県内の女性がやってみたい、と思うような職場をもっと増やす必要があるんですよ。これまで女性は、昇進も昇給が限られ、女性の仕事はこれとこれ、という具合に最初から決められがちでした」
それは、高齢層のアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)もあるんですか? 
性別役割の押しつけや過度の干渉とか?
「ありましたね。自分たちの若い頃は子育て支援などなかったから、お前たちもそうしろ、とか。自分たちも苦労したから、今の若い世代も汗をかけ、とか。そのくせ、子や孫がUターンしたいと言うと、“止めとけ、秋田には何にもないから”と意見する人がいたり」
ツキノワグマの脅威
 地方での人口減少による弊害の中には、野生動物との遭遇や接触がある。地域により、動物はサル、シカ、イノシシなどと異なるが、東北6県ではツキノワグマが最大の脅威だ。本書でも、クマ対策に1章をあてている。
「秋田県では『クマダス』というクマの出没情報をスマホサービスで発信していますが、現在はいつどこに出てもおかしくない。去年は秋田駅から数百メートルの場所にも出ました」  
暖冬の2023年から特に目撃情報が増えた。24年5月には、鹿角市で山菜採りの男性のクマによるとみられる死亡事件も発生した。
本書で工藤さんは、クマの狙う柿や栗などの樹木伐採、電気柵の設置の他に、クマ用ヘルメットやプロテクターを推奨してますね。
「クマはまず目と頭を襲うんです。命さえあればいい、と思われがちですが、目は失明につながり鼻なども削がれます。後遺症に多くの人が悩まされています。だから、頭と顔を覆う特殊なヘルメットやプロテクターを開発し、普及させることが早急に必要なんです」  
猟友会の会員が高齢化し減少している現状では、若い世代の新会員勧誘も待ったなしの課題である。
「あと、県外の環境保護派からの“クマを殺さず逃がして”コールですね。行政の方に殺到していますが、これは受ける側にとっては大変な心身の負担になっています。人の生活や生命が壊される瀬戸際なんですから、地元に住む人の気持ちを考えてほしいですよね。
秋田の新たな魅力
 人口減少によるクマの出没などは、転入希望者にとってハードルとなるが、むろんマイナス面ばかりではない。秋田の新たな魅力となる観光地開発も、県内各地で盛んに行われている。  
例えば、海辺の奇岩「ゴジラ岩」(男鹿市)、台湾の観光客が発見した絶景、八幡平の「ドラゴンアイ」(仙北市)、個人の庭が観光スポットになった「十ノ瀬(とのせ) 
藤の郷」(大館市)、あるいは柿の実で作ったスムージー(能代市)、未利用魚のシイラを使ったシイラジャーキー(男鹿市の海岸沿い)など。
「男鹿半島のゴジラ岩やその近くの海岸などは、本当に素晴らしい景色です。夕方に眺めると抜群にいい。これまで当たり前と思って見過ごしてきたさまざまな絶景、珍しい風物が、今の秋田では続々再発見されています。これら新たな観光地を、従来の日本最大のブナ林や落ち着いた街並み、由緒ある神社仏閣などとうまく結びつけて、食や宿にも工夫をこらせば、秋田の付加価値は倍増しますよ」 「少子高齢課題県」でも、未来は決して暗くはない、と工藤さんは力説する。
「秋田は日本の未来」と捉えた時、本書では触れていないテーマが幾つかありますね。
外国人問題とか、道路・橋・水道管などの社会的インフラとか、空き家・廃屋問題とか。
「介護の人手不足などで次第に外国人のサポートが必要になっていますが、秋田で外国人はまだ他県ほど多くはなくて、その矛盾が大ニュースにはなっていません。県道の維持・管理なども、秋田県は検討段階で、その動向には関心を持っています。小中学校の統廃合や空き家・廃屋の問題もそうですね。少子高齢化の進行でさまざまな課題を抱え、まだ十分取材できていない部分もありますが、実際に自分で見聞きできた範囲でまとめたのが本書です」  
工藤さんは、個人的には女性の首長がいないことに注目していると付け加えた。女性の議員も東京都が3割なのに秋田県は2割弱。これから女性議員が増え、女性首長が登場するようになれば、秋田県は変わるはず、と 「でもね、秋田には統計に表れないいいところがいっぱいあります。それは言っておきたい。食べ物の豊かさがまずそうです。塩辛い物好きなのも秋田のコメが図抜けておいしいから。しかも客人に景気よく振る舞い、みんなで分け合い、譲り合う土地柄です。しかも凶悪犯罪は少ない。みんな優しいですからね。夜歩きも、東京などよりよっぽど安全です。本当に安心して暮らせるのはどちらでしょうか? 東京? 秋田? 
それぞれ長所や短所はありますが、見方によって私はひょっとして秋田の方ではないか、と思える時があります」  
巨大災害が首都圏を襲った時、豊かで安全な地方の存在は無条件で必要となる。そんな視点からも、地方の少子高齢化問題を考えてみたい。DSC00830.JPG

 人手不足による公共交通や医療機関への深刻な影響だ。庶民の足というべきバスでは、運転手の数が減少しつつあり、路線変更や廃止に追い込まれている。医療も、病院・クリニックの閉鎖・統合により集約化が進み、「遠い・高い・ベッド不足」などに直面。医療機器を搭載した医療車も巡回し始めた。「若いお医者さんはなかなか増えませんし、巡回医療といっても土地が広いので移動が長距離。経費がはね上がって、医療サービスは徐々に縮小の方向にあります」秋田県に限ったことではなく人口減少、過疎化が進んでいる県では起きることでしょう。高齢者を狙った特殊詐欺やネットショッピング詐欺が増加中、とありますが、これにはどのような背景がありますか? 「高齢層で孤立している人が多い面もあります。警察や自治会が注意喚起しているんですが、新聞を読まずにTVニュースもあまり見ない人はすぐに騙されてしまう。生活の助けにと、マッチングアプリで知り合った人を信用して、商品を買ったり儲け話に乗ったり。被害金額が億円なら全国紙のニュースですが、そこまで行かない数百万円単位がザラです。ここ数年、被害者数は増えつつあるんですよ」高齢者の詐欺被害は、頼れる若い世代が身近にいないことの結果でもある。確かにそうでしょう。秋田県の14〜24歳の転出者数は突出しているが、中でも若い女性は、2015年以降男性以上に転出者数が増えている。「県内の女性がやってみたい、と思うような職場をもっと増やす必要があるんですよ。これまで女性は、昇進も昇給が限られ、女性の仕事はこれとこれ、という具合に最初から決められがちでした」それは、高齢層のアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)もあるんですか?性別役割の押しつけや過度の干渉とか?「ありましたね。自分たちの若い頃は子育て支援などなかったから、お前たちもそうしろ、とか。自分たちも苦労したから、今の若い世代も汗をかけ、とか。そのくせ、子や孫がUターンしたいと言うと、“止めとけ、秋田には何にもないから”と意見する人がいたり」秋田県の風土が醸し出すことなのかわかりませんが、変えることは容易ではないかもしれません。「クマはまず目と頭を襲うんです。命さえあればいい、と思われがちですが、目は失明につながり鼻なども削がれます。後遺症に多くの人が悩まされています。だから、頭と顔を覆う特殊なヘルメットやプロテクターを開発し、普及させることが早急に必要なんです」猟友会の会員が高齢化し減少している現状では、若い世代の新会員勧誘も待ったなしの課題である。医療関係者としての大変重要な提案ですね。新たな観光地を、従来の日本最大のブナ林や落ち着いた街並み、由緒ある神社仏閣などとうまく結びつけて、食や宿にも工夫をこらせば、秋田の付加価値は倍増しますよ」 「少子高齢課題県」でも、未来は決して暗くはない。発想の転換ですね。それを実現することができるかでしょう。「介護の人手不足などで次第に外国人のサポートが必要になっていますが、秋田で外国人はまだ他県ほど多くはなくて、その矛盾が大ニュースにはなっていません。県道の維持・管理なども、秋田県は検討段階で、その動向には関心を持っています。小中学校の統廃合や空き家・廃屋の問題もそうですね。少子高齢化の進行でさまざまな課題を抱え、まだ十分取材できていない部分もありますが、実際に自分で見聞きできた範囲でまとめたのが本書です」秋田の現状をしっかり把握されていますね。個人的には女性の首長がいないことに注目していると付け加えた。女性の議員も東京都が3割なのに秋田県は2割弱。これから女性議員が増え、女性首長が登場するようになれば、秋田県は変わるはず、と 「でもね、秋田には統計に表れないいいところがいっぱいあります。それは言っておきたい。食べ物の豊かさがまずそうです。塩辛い物好きなのも秋田のコメが図抜けておいしいから。しかも客人に景気よく振る舞い、みんなで分け合い、譲り合う土地柄です。しかも凶悪犯罪は少ない。みんな優しいですからね。夜歩きも、東京などよりよっぽど安全です。本当に安心して暮らせるのはどちらでしょうか?東京?秋田?それぞれ長所や短所はありますが、見方によって私はひょっとして秋田の方ではないか、と思える時があります」巨大災害が首都圏を襲った時、豊かで安全な地方の存在は無条件で必要となる。そんな視点からも、地方の少子高齢化問題を考えてみたい。受け取る人によって考え方が異なるでしょうが、災害大国日本の中では安全な地方と考えられるでしょう。見方、発想を変えれば秋田県が住み易いと思う人がいるかもしれません。DSC00829.JPG
自分事として考えることが前提にならなければ[2025年12月30日(Tue)]
 産経新聞2025年7月30日付け「ウーマンズ パビリオンで「自分ごと化」する社会の課題 女性もともに輝く未来のために」から、「ともに生き、ともに輝く未来へ」を掲げ、大阪・関西万博に出展したウーマンズ パビリオン。達成に123年かかるともいわれる男女平等の潮流を加速させるため、訪れた人の共感を呼ぶ展示やイベントを催し、発信し続けている。
変革の旅へ。カルティエが手掛けた体験型の展示
「皆さんも、変革と進歩の旅に加わってくれることを願っています」
ウーマンズ パビリオンの開会式で、カルティエ ジャパンの宮地純プレジデント&CEOがこう呼びかけた。
「女性が輝けば、人類・社会全体が輝く」を理念とするカルティエが官民共同で出展したこのパビリオンは、ジェンダー平等や女性のエンパワーメント(力を引き出し、後押しする)などがテーマ。体験型の展示をたどりながら、来場者は自身を振り返り、考え、次の行動へとつなぐヒントを持ち帰る。
他者の生きた道たどり「私だったかもしれない」と思う
冒頭の展示では、3人の女性の人生を、ゆかりの品などをちりばめたタイムトンネルのような空間で体感する。小説家の吉本ばななさん、戦乱のスーダンに生まれた詩人で活動家、科学者でもあるエムティハル・マフムードさん、メキシコの環境保護活動家シエ・バスティダさんの3人のうち1人の歩みをたどる。 男女雇用機会均等法の施行翌年にあたる昭和62年、「キッチン」で「海燕」新人文学賞を受賞。脚光を浴びながら、まだ20代の吉本さんは旧態依然とした文壇で息苦しさを感じていたことや、幼い頃の弱視、母となり生きる意味を見つけたことを、本人のナレーションでたどっていく。その苦楽への共感はやがて、「それは私だったかもしれない」との想像につながる。
「できないなんて言わないで」「やり続け、やり抜く」背中押す言葉
さらに歩みを進めると、壁に配されたディスプレーに、数字が次々と現われた。
「女性は男性の2.5倍の時間を無報酬の育児・介護や家事労働に費やしている/51%の国に女性が男性と同じ仕事をすることを阻む規制が最低1つはある」
遅々とした現況に心が折れそうになったころ、「女性だから何もできないなんて言わないで」とタレント黒柳徹子さんのメッセージが浮かび上がった。
パビリオンの展示を巡ると最後に「ユア ハンド」という暗がりの部屋にたどり着く。
年齢も国籍もさまざまな8人が映像で現れ、来場者が差し伸べた手のひらにメッセージを投影する。その一人、男性社会の壁を破って鮨(すし)店の大将となった鮨職人、三好史恵さんからのメッセージは、「やり続け、やり抜く」だった。
手が温かい、味覚が不安定「女は不向き」といわれても鮨店の大将に
すっ、すっ、すっ。
東京・銀座の「鮨竹」大将、三好史恵さん(47)が、刀のような包丁で小鰭(こはだ)に素早く切り目を入れ、テンポ良くすしを握った。カウンター8席、伝統的な江戸前のスタイルで、予約が絶えない人気店だ。
「毎日、同じ仕事というのは一つとしてありません。夏場は市場の魚が減る。日ごとに状態が異なる魚を、どうしてあげたらと自問自答です。季節が変わっても、質は一定じゃなきゃいけないので」。魚を見極める目と、仕込みの精緻な塩梅(あんばい)が、善し悪しを決める。
東京の名店「新ばし しみづ」で修業を始めたおよそ20年前、「手が温かい」「月のもので味覚が不安定」だから女性は不向きというのが通説だった。飛び交う怒号。親方が「白」と言えば、黒でも白。そんな男の世界が理解できず、「当時は自分が女性であることを我慢するような感覚。任俠(にんきょう)映画を見て、男の世界を理解しようとしたこともありました」と振り返る。
「しみづ」の親方に「よく女を雇ったね」と言う客もいた。「見返してやる」と思いながらも、「どうすれば喜ばれるか」「もっといい仕事を」と、手に気持ちを込めて握り続けると、次第に「否定的だった人々の目が肯定に変わっていった」(三好さん)という。
男女は違うから面白い。ちょと寄り添い、助け合えばいい
あるとき、通客から「系譜の味を継いでいる」といわれた。修業した「しみづ」、さらにその師匠筋の「鶴八」…名店の系譜と認めるという意味だ。
三好さんに続けと、最近は、女性を弟子にとる名店も出てきたそうだ。
「男女違うのが当たり前。だからこそ面白いわけで。お互いがちょっと寄り添って得意不得意を組み合わせれば、助け合えて、よりうまく回ると思うんです」。すしと一緒で、社会を回すにも、塩梅が大事。
かつて「鶴八」の名匠、師岡幸夫さんが、三好さんに思わぬ言葉をかけてくれたことがあった。「M(男性)の要素も、W(女性)の要素もどちらも(社会に)必要で、学び合うもの」
三好さんはその実践者として、これからもやり続け、やり抜く。DSC00832.JPG

 「皆さんも、変革と進歩の旅に加わってくれることを願っています」ウーマンズ パビリオンの開会式で、カルティエ ジャパンの宮地純プレジデント&CEOがこう呼びかけた。 「女性が輝けば、人類・社会全体が輝く」を理念とするカルティエが官民共同で出展したこのパビリオンは、ジェンダー平等や女性のエンパワーメント(力を引き出し、後押しする)などがテーマ。体験型の展示をたどりながら、来場者は自身を振り返り、考え、次の行動へとつなぐヒントを持ち帰る。確かに女性が輝かなければ世界は変わらないでしょう。「できないなんて言わないで」「やり続け、やり抜く」「女性は男性の2.5倍の時間を無報酬の育児・介護や家事労働に費やしている/51%の国に女性が男性と同じ仕事をすることを阻む規制が最低1つはある」遅々とした現況に心が折れそうになったころ、「女性だから何もできないなんて言わないで」とタレント黒柳徹子さんのメッセージが浮かび上がった。「しみづ」の親方に「よく女を雇ったね」と言う客もいた。「見返してやる」と思いながらも、「どうすれば喜ばれるか」「もっといい仕事を」と、手に気持ちを込めて握り続けると、次第に「否定的だった人々の目が肯定に変わっていった」男女は違うから面白い。ちょと寄り添い、助け合えばいい、「男女違うのが当たり前。だからこそ面白いわけで。お互いがちょっと寄り添って得意不得意を組み合わせれば、助け合えて、よりうまく回ると思うんです」。すしと一緒で、社会を回すにも、塩梅が大事。その通りですね。違いを認め合い助け合うことが大事でしょう。「M(男性)の要素も、W(女性)の要素もどちらも(社会に)必要で、学び合うもの」社会の中で人々が当たり前に様々な問題も自分事として考えるようになれば変わってくるのではないでしょうか。DSC00831.JPG
「SDGs未来都市」事業の成果と課題を考え日本をどうするのか[2025年12月29日(Mon)]
 TBS CROSS DIG2025年7月30日付け「「縮みながらも豊かに暮らす」社会構造への転換 観光振興・人口創出から“稼ぐ力”へ」から、本稿では、2018年から推進されてきた「地方創生SDGs」政策、なかでも「SDGs未来都市」事業に焦点を当て、その成果と課題を振り返る。
2025年6月13日、政府は「地方創生2.0基本構想」を閣議決定したが、今後の地方創生2.0を考えるうえで1つの鍵となるのは、2018年度以降展開された地方創生SDGs政策、とりわけ「SDGs未来都市」の経緯と振り返りである。
本稿分析の結果からは、SDGs未来都市計画は徐々に、関係人口の創出や副業人材の活用など「人のつながり」や、地域が自ら「稼ぐ力」を高める取り組みへと進化していることが伺える。
一方で、包括的な地域創生という観点から地方創生2.0に向けた課題も見え隠れしている。
今後、人口減少下でも成長を続ける地域経済や、多様な人材が活躍できる社会の実現に向けて、SDGs未来都市から見えてくる地方創生の状況を具体的に分析・考察していく。
地方創生2.0基本構想のこれから 2025年6月13日、政府は「地方創生2.0基本構想」を閣議決定した。今後の日本経済を支える地方の成長戦略が新たな段階に入ったといえる。 本稿では、その展開を考察するにあたり、2018年から先行して推進されてきた「地方創生SDGs」政策、なかでも「SDGs未来都市」事業に焦点を当て、その成果と課題を振り返る。
SDGs未来都市は全国で206件が選定され、制度として一定の広がりと影響力を持ってきた。
分析の結果からは、関係人口の創出や副業人材の活用など「人のつながり」や、地域が自ら「稼ぐ力」を高める取り組みへと進化していることが伺える一方で、包括的な地域創生という観点からテーマや都市の偏りなど、地方創生2.0に向けた課題も見え隠れしている。
今後、人口減少下でも成長を続ける地域経済や、多様な人材が活躍できる社会の実現に向けて、これからの地域経済の新たな成長機会を探るうえで、SDGs未来都市から見えてくる地方創生の状況を具体的に分析・考察していく。
地方創生2.0の基本構想とは――「縮みながらも豊かに暮らす」社会構造への転換へ
「地方創生2.0基本構想」――人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策とは 2014年に始動した「地方創生1.0」は、東京一極集中の是正と地方の自律的な発展を掲げ、地域経済に新たな活力を吹き込む政策として位置づけられてきた。
10年を経て、政府は2025年6月13日に「地方創生2.0基本構想」を閣議決定した。同構想では、人口減少を正面から受け止め、「拡大」ではなく、人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策の必要性が強調されている。
これは「縮みながらも豊かに暮らす」社会構造への転換を意味し、地域の多様な主体が連携しながら持続可能な発展を目指す方向性が示されているとも言えるだろう。
地方創生1.0政策における反省と総括──地方創生2.0に繋げる4つの課題 
この構想の出発点には、地方創生1.0の政策的限界に対する反省がある。基本構想では、特に以下の4点が課題として整理されている。
・人口減少の過小評価(社会減・自然減への表層的対応)
・若者・女性の流出要因への対応不足
・国と地方の役割・関係機関連携の不明確さ
・地域の多様なステークホルダーとの協働不足
これらの課題は、「新しい地方経済・生活環境創生会議」等の有識者会議や現場の実践的な議論を踏まえて整理されてきた。 たとえば、人口減少への対応では、民間有識者による「人口戦略会議」による「2100年に人口8,000万人で安定化を目指すべき」という提言を踏まえて、人口減少を前提とした新たな地域モデルの必要性が指摘されていた。
また、若者や女性の流出に関しては、「アンコンシャス・バイアスによる閉鎖的な意思決定が女性や若者を排除している」といった意見も挙げられていた。
地方創生政策の反省を活かす鍵──地方創生2.0を先取りした「地方創生SDGs政策」
今後の地方創生2.0を考えるうえで1つの鍵となるのは、2018年度以降展開された地方創生SDGs政策、とりわけ「SDGs未来都市」の経緯と振り返りであろう。
SDGs未来都市については様々な評価があるが、先進自治体が「持続可能性」「地域独自性」「多主体連携」などを先取りし、地方創生2.0が目指す新たな地域像の具体例となった側面は大きいと思われる。
そこで本稿では、このSDGs未来都市への取り組みを題材に、地方創生1.0の実態を分析しながら、同2.0の方向性といかに接続し得るかをデータに基づいて明らかにしていくことにする。
選定都市の全体傾向は――「量」から「質」へ、「稼ぐ力」の手応え
初動の熱量──インバウンドによる観光振興から次第に「稼ぐ力」へ焦点が移行
まず、未来都市の選定都市数の推移を見ると、制度初年度の2018年度は29件、2020年度にかけては先行的な自治体による活発な提案が集中して33件と着実に増加したが、その後は緩やかに減少し、直近の2024年度は24件にとどまっている。
初期の2018〜2020年度は観光振興をテーマとした計画が散見され、インバウンド回復をにらんだ投資的な案件も見られていた。
だが、2021〜2022年度には関係人口や副業人材の活用、二地域居住といったソフト施策が台頭し、次第に都市と地方の関係に焦点が移っている。
そして直近の2023〜2024年度には、スタートアップ誘致や地域産業創出、再エネ・DX導入といった、「稼ぐ力」に直結するテーマが急速に拡大し、この潮流が今回の地方創生2.0に繋がっている。
中部・首都圏・近畿都市圏に集中──経済的プレゼンスの高い地方都市圏の存在感が際立つ
次に、地方(八地方区分)別の選定状況を見てみると、中部・北陸地方(53件)、関東地方(41件)、近畿地方(34件)が全体の過半となっており、政策資源・産業集積が集中するエリアの選定実績が多くを占めている。
一方、北海道(6件)や四国(8件)は相対的に低位にとどまった。中部・北陸、関東はそれぞれ市区町村数が300を超えて全国的にも多く、四国は最も少ないエリアであるが、それを考慮しても北海道や四国は低位に留まっている様子が伺える。
さらに都道府県単位で見ると、埼玉・東京・愛知の3県がいずれも10件で最多となり、兵庫・石川・大阪・長野なども上位となった。地方都市とはいえ、経済的プレゼンスの高い地方都市圏の存在感が際立っている点が選定都市の分布の特徴である。
申請主体の内訳を見ても、6割超が「一般市」(134件/7か年累計)となり、一方で町(同27件)・村(同5件)に留まった。
政令市、県単独申請による広域的な取り組みも十分に多いとは言えない。なお、こうした現状を踏まえて地方創生2.0では広域的な取り組みの拡大が期待されている。
SDGsゴール別に見える「課題の優先順位」──「教育」「保険福祉」「まちづくり」が上位
選定された計画のSDGsゴール(目標)の分布にも、選定都市の関心の傾向が表れている。累計で最も多かったのは目標4「教育」(143件)、次いで目標「保健福祉」(108件)、目標11「まちづくり」(106件)となった。
人材育成、健康基盤、都市機能の再整備といった、地域の存続と暮らしを直結させるテーマが計画の中核として据えられてきたことがうかがえる。
特に、教育では、地域に根差した「学びの場」の再編や探究型人材の育成など、単なる学校教育にとどまらない取り組みが多くの計画で見られており、まちづくりでも、人口集約や公共交通の再編など空間設計の刷新に挑戦する様な先駆的な事例が少ないながらも見られている。
また、直近2年において目標「働きがいと経済成長」を掲げた計画が相対的に多い傾向にある。
これは、単なる地域活性化のみならず、「地域が自ら稼ぐ力」を持ち、雇用や投資を呼び込むフェーズへの政策誘導の取り組みの成果と思われる。
単にSDGsを取り入れるだけではなく、それを地場産業の変革や都市構造の持続性確保と結びつけようとする政策的な後押しと潮流が見て取れる。
地方創生SDGsの成果――制度として広がりと影響の他、構造上の課題も
本稿では、「地方創生1.0」の流れの中で始まった地方創生SDGs、特にSDGs未来都市制度に注目し、その意義と変化を振り返った。
2018年度から2024年度までの7年間で、SDGs未来都市に選ばれた計画は全国で206件にのぼり、制度として一定の広がりと影響を持ってきたことが分かる。
また、選定都市の計画テーマも大きく変化してきた。初期は観光振興が中心だったが、関係人口の創出や副業人材の活用など「人のつながり」を重視するテーマへと移り、さらに最近ではスタートアップや地域産業の創出、再生可能エネルギー、デジタル化など、地域が自ら「稼ぐ力」を高める取り組みへと進化している様子が伺える。
その一方で、選定地方や申請主体の自治体種別の偏り、教育などのいくつかのSDGsゴール(目標)の集中といった包括的な地域創生における構造的な課題も明らかになっている。DSC00834.JPG

 SDGs未来都市計画は徐々に、関係人口の創出や副業人材の活用など「人のつながり」や、地域が自ら「稼ぐ力」を高める取り組みへと進化していることが伺える。人口減少を正面から受け止め、「拡大」ではなく、人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策の必要性が強調されている。これは「縮みながらも豊かに暮らす」社会構造への転換を意味し、地域の多様な主体が連携しながら持続可能な発展を目指す方向性が示されているとも言えるだろう。縮みながら豊かな暮らしを送るというのは相当大変なことです。若者や女性の流出に関しては、「アンコンシャス・バイアスによる閉鎖的な意思決定が女性や若者を排除している」この問題は深刻ですね。そう簡単に解決できることではないでしょう。初期の2018〜2020年度は観光振興をテーマとした計画が散見され、インバウンド回復をにらんだ投資的な案件も見られていた。だが、2021〜2022年度には関係人口や副業人材の活用、二地域居住といったソフト施策が台頭し、次第に都市と地方の関係に焦点が移っている。 そして直近の2023〜2024年度には、スタートアップ誘致や地域産業創出、再エネ・DX導入といった、「稼ぐ力」に直結するテーマが急速に拡大し、この潮流が今回の地方創生2.0に繋がっている。地方(八地方区分)別の選定状況を見てみると、中部・北陸地方(53件)、関東地方(41件)、近畿地方(34件)が全体の過半となっており、政策資源・産業集積が集中するエリアの選定実績が多くを占めている。一方、北海道(6件)や四国(8件)は相対的に低位にとどまった。中部・北陸、関東はそれぞれ市区町村数が300を超えて全国的にも多く、四国は最も少ないエリアであるが、それを考慮しても北海道や四国は低位に留まっている様子が伺える。さらに都道府県単位で見ると、埼玉・東京・愛知の3県がいずれも10件で最多となり、兵庫・石川・大阪・長野なども上位となった。地方都市とはいえ、経済的プレゼンスの高い地方都市圏の存在感が際立っている点が選定都市の分布の特徴である。残念ながら恩恵を受けているのは限られた地域になっているのではないでしょうか。それを起爆剤として国内に広がるのでしょうか。人材育成、健康基盤、都市機能の再整備といった、地域の存続と暮らしを直結させるテーマが計画の中核として据えられてきたことがうかがえる。教育では、地域に根差した「学びの場」の再編や探究型人材の育成など、単なる学校教育にとどまらない取り組みが多くの計画で見られており、まちづくりでも、人口集約や公共交通の再編など空間設計の刷新に挑戦する様な先駆的な事例が少ないながらも見られている。最も求められている分野が、教育、人材育成でしょう。この課題を解決する方策を実現できるようになれば地方でも元気になる可能性があるでしょう。選定都市の計画テーマも大きく変化してきた。初期は観光振興が中心だったが、関係人口の創出や副業人材の活用など「人のつながり」を重視するテーマへと移り、さらに最近ではスタートアップや地域産業の創出、再生可能エネルギー、デジタル化など、地域が自ら「稼ぐ力」を高める取り組みへと進化している様子が伺える。その一方で、選定地方や申請主体の自治体種別の偏り、教育などのいくつかのSDGsゴール(目標)の集中といった包括的な地域創生における構造的な課題も明らかになっている。確かに申請主義である以上は職員の能力、熱意なども影響して偏りが生じるでしょう。政策の本当のねらいと何を実現したいのか明確になっているのか検証しなければならないでしょう。これからの日本をどのようにしたいのか、政治の世界ばかりでなく国民的議論をして結論を導き出すようにしなければならないでしょう。DSC00833.JPG
国会議員の本会議抜け出し 非公式会合や喫煙など国民に明らかにすべきでしょう[2025年12月28日(Sun)]
 47NEWS2025年7月29日付け「「まるで学級崩壊」熟議の国会の裏で見えた国会議員の本会議抜け出し 非公式会合や喫煙は許されるのか」から、石破政権が少数与党として迎えた通常国会が6月22日に閉会した。多くの法案で野党の修正要求を受け入れる対応を取り、与野党からは「熟議の国会だった」と成果を誇る声すら聞こえる。本当に議論は尽くしたのだろうか。そう疑問を持たざるを得ない場面に記者は遭遇した。それは本会議の抜け出しだ。自民党執行部による非公式な会合、与野党議員による議場外での喫煙や談笑…。「まるで学級崩壊」。官僚が顔をしかめて表現する国会議員の姿。果たして許される行為なのか。
野党の反対討論はほぼスキップ  
5月30日午後1時過ぎ、衆院本会議場。開会を知らせるベルの音が国会中に鳴り響くと、与野党の国会議員が着席し、審議が始まった。当初は淡々と議事が進み、約10分が経過した時だった。自民党の森山裕幹事長や小野寺五典政調会長、坂本哲志国対委員長らがぞろぞろと議場を後にしたのだ。向かった先は目と鼻の先にある国会内の自民党幹事長室。選択的夫婦別姓制度を巡り、党の氏制度作業チーム(WT)の逢沢一郎座長らと会合を開くためだった。  
夫婦別姓法案を巡っては、立憲民主党などが通常国会に提出したものの、この日の審議とは何ら関係がない。結局、党幹部らは25分程度協議を実施。本会議は45分間ほど開かれたが、そのうち出席したのは計20分程度にとどまった。  
実はこの日の議事終盤には年金制度改革法案の採決が控えていた。立民の修正要求をのむことで成立を確実にした「少数与党を象徴する法案」(閣僚経験者)だったが、自民執行部らは共産党などによる反対討論を議場でほぼ聞かずに終わった。幹事長室から退室したベテラン議員が「採決、採決」と駆け足で議場に戻って行く姿にやるせなさを感じた。
本会議中に事務所で勉強会も  
こうした自民執行部による本会議の裏での会合は5月だけでも4回確認されるなど、先の通常国会で頻繁に開催された。議題は年金法案やデジタル対応、選択的夫婦別姓などさまざまだ。党幹部は「衆院で少数与党に転じた。野党対策などで意識共有する必要性が増えた」と強調する。  
議場を抜け出すのは何も自民執行部に限らない。よく目撃されるのは議場外に設置された喫煙所で紫煙をくゆらす姿だ。党の控室に移動して議員同士で談笑することもある。ある野党議員は「本会議には議員が集まるので、いろんな話ができる」と語る。  
経済官庁の幹部官僚は本会議中に、議場とは通りを挟んだ議員会館の事務所に呼び出され、勉強会を開くよう要請されたことがあると打ち明ける。「国会議員が自ら国会を軽視してどうするんだ」。やり切れない思いを漏らした。  
現役閣僚の一人は壇上で答弁してる最中に、退席する同僚議員を見つけた。「同じ党の議員なのに話を聞いてくれない。必ずしも気持ちの良いものではない」と胸中を明かした。
「授業中に教室外に出ないのは当然」
憲法56条は「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と規定している。しかし衆院事務局によると、本会議中の退席に関しては特に法律などの定めがないという。一方で衆院関係者は「学校で授業中に教室から出ないのは当たり前のこと。普通に考えたらあり得ないことだ」と語る。  
政党としての取り組みはどうなのか。  
自民党の坂本国対委員長は少数与党で迎えた昨年の臨時国会の初日、本会議前に開かれる党の代議士会で「これまでにない緊張感を持って国会運営に臨んでほしい」と呼びかけた。「自民党1強」だった国会運営は様変わりし、野党が多くの委員会で議事を仕切る委員長ポストを獲得。坂本氏は問題のある言動や遅刻などによっては、委員会審議がストップする可能性があると指摘し引き締めを図ったが、本会議退席についての言及はなかった。  
日本維新の会も30分以上、本会議場を離れる際は理由を報告するよう指示している。
ただし、拘束力はなく、効果はほぼないのが実情だ。
自覚が欠けている  
識者はどう見るのか。高崎経済大の増田正教授(政治学)は「国民の代表が審議を自己都合で離脱していいはずがない。会期末を控えて重要法案の審議が続く中、立法者としての自覚が欠けている」と指摘する。一方で「着席していれば審議が深まるかというのは、また別問題だ」とも提起する。  
実は私(記者)も最近まで、党幹部らが本会議を抜け出したタイミングは取材機会になる、としか捉えていなかった。問題だと気付かされたのは、ある自民若手議員の指摘だ。
「初当選して国会に臨んだら、審議をまじめに聞いている議員はごく少数で衝撃を受けた。議場内でも居眠りしたり、審議と関係ない資料を読む時間に充てたりするのは、当たり前の光景。だが議場の外に出るのは次元が違う」  
国会は、憲法で「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と規定されている。「熟議の国会」とは議論の中身もさることながら、その姿勢も問われているのは明白だ。議場を退席するかどうかは、もはやルールではなく、意識やモラルの問題と言えるだろう。DSC00832.JPG

 すべての国会議員ではないでしょうが、選挙の時だけ当選するためにいいことばかり言って当選してしまえば勝手な振る舞いをしている議員が少なくないのでしょうか。自民党執行部による非公式な会合、与野党議員による議場外での喫煙や談笑…。「まるで学級崩壊」。官僚が顔をしかめて表現する国会議員の姿。果たして許される行為なのか。夫婦別姓法案を巡っては、立憲民主党などが通常国会に提出したものの、この日の審議とは何ら関係がない。結局、党幹部らは25分程度協議を実施。本会議は45分間ほど開かれたが、そのうち出席したのは計20分程度にとどまった。実はこの日の議事終盤には年金制度改革法案の採決が控えていた。立民の修正要求をのむことで成立を確実にした「少数与党を象徴する法案」(閣僚経験者)だったが、自民執行部らは共産党などによる反対討論を議場でほぼ聞かずに終わった。幹事長室から退室したベテラン議員が「採決、採決」と駆け足で議場に戻って行く姿にやるせなさを感じた。こうした自民執行部による本会議の裏での会合は5月だけでも4回確認されるなど、先の通常国会で頻繁に開催された。議題は年金法案やデジタル対応、選択的夫婦別姓などさまざまだ。党幹部は「衆院で少数与党に転じた。野党対策などで意識共有する必要性が増えた」と強調する。議場を抜け出すのは何も自民執行部に限らない。よく目撃されるのは議場外に設置された喫煙所で紫煙をくゆらす姿だ。党の控室に移動して議員同士で談笑することもある。ある野党議員は「本会議には議員が集まるので、いろんな話ができる」と語る。経済官庁の幹部官僚は本会議中に、議場とは通りを挟んだ議員会館の事務所に呼び出され、勉強会を開くよう要請されたことがあると打ち明ける。「国会議員が自ら国会を軽視してどうするんだ」。やり切れない思いを漏らした。好き勝手な行動ですね。このような行動を国民は知っていないでしょう。知らせる必要があるでしょう。憲法56条は「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と規定している。しかし衆院事務局によると、本会議中の退席に関しては特に法律などの定めがないという。一方で衆院関係者は「学校で授業中に教室から出ないのは当たり前のこと。普通に考えたらあり得ないことだ」憲法を守れない人が議員になっていいのでしょうか。「国民の代表が審議を自己都合で離脱していいはずがない。会期末を控えて重要法案の審議が続く中、立法者としての自覚が欠けている」一方で「着席していれば審議が深まるかというのは、また別問題だ」「初当選して国会に臨んだら、審議をまじめに聞いている議員はごく少数で衝撃を受けた。議場内でも居眠りしたり、審議と関係ない資料を読む時間に充てたりするのは、当たり前の光景。だが議場の外に出るのは次元が違う」国会は、憲法で「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と規定されている。「熟議の国会」とは議論の中身もさることながら、その姿勢も問われているのは明白だ。議場を退席するかどうかは、もはやルールではなく、意識やモラルの問題と言えるだろう。マスコミのチェック、批判する力が落ちているので国民が代わって厳しくチェックする必要があるでしょう。国民の代表として相応しく、国民のために汗水を流して働く人たちを選ぶ必要があるでしょう。DSC00831.JPG
日本には人間教育を実践する多様なリーダーが必要では[2025年12月27日(Sat)]
 Yahooニュース2025年7月29日付け「戦後80年】平和は教室から 現場に立ち続ける国立大最年少のTシャツ学長 東京外国語大学春名展生さん」から、東京外国語大学(東京都府中市)に4月、国立大学として最年少の学長、春名展生さん(50)が就任した。前評判通り、インタビュー当日はTシャツ姿で登場、「こんな格好ですみません」と爽やかな語り口で気取らず、学長然と“しない”いで立ちが印象深い。
元は理系、工学部に身を置くも、幼い頃から思いを巡らせてきた「平和」について究めようと方針転換し、国際政治学を専門とする異色の経歴を持つ。少子化を背景にどの大学も学生募集に苦労する中、国内外の教育機関との連携強化に奔走し、留学生が日本で長く安心して暮らせるような生活サポートや多文化共生に向けた取り組みに余念がない。また、学長となった今も自ら進んでゼミを受け持つ。
学生との対話を重んじる春名さんに大学の現状や教育理念について聞いた。
建学150周年
東京外国語大学は1857年、江戸幕府によって開校された蕃書調所が起源で、1873年に「東京外国語学校」として発足。外交官や通訳の養成といった国策的要素を帯びながら変遷してきた。2000年に東京都北区の西ヶ原キャンパスから今の府中キャンパスへと移転、2023年には建学150年を迎えた。
英語や中国語といったメジャーな言語から聞き慣れないマイナーな言語まで、専攻を28の言語から選べる間口の広さが特徴だ。言語文化学部、国際社会学部、国際日本学部の3つから成り、どの学部でも学生らは専攻語を徹底的に学ぶ。
最初の2年間は専攻語のブラッシュアップにかなりの時間と労力を費やす。3〜4年次に、言語文化学部は文学や文化の研究に勤しみ、国際社会学部は歴史や国際関係、政治外交などの研究を深めるのが一般的。4年で卒業せず、1年以上留学する学生も珍しくないという。
多文化共生や多様性を是とする国際色豊かな学習環境で、留学生もアジア圏出身を中心に大勢いる。その数はおよそ700人、全在校生の10%台で近年は推移している。
ただ、留学生受け入れをめぐる状況は必ずしも芳しくない。米国では反移民的政策を掲げるトランプ政権が、ハーバード大学に留学制度の見直しを迫るなどし、その余波は世界中に及んでいる。さらに物価や渡航費の上昇傾向も背景に、人々を留学に駆り立てる機運は萎みがちだ。
春名さんはそうした現状を憂慮しつつも、今後も留学の重要性は変わらないと言い切る。特に、交換留学などの短期ではなく、腰を据えて学ぶ「ダブル・ディグリープログラム」の増設に取り組みたいという。
「ひっくり返す」連合
春名さんの学長就任から3カ月たった7月1日、大学の行方にも関わる大きな動きがあった。従来連携していた東京科学大学と一橋大学との三大学連合に、お茶の水女子大学が加わり、「四大学未来共創連合」として新たに憲章を締結した。
この新たな四大学連合の英語略称「FLIP(Future Leading Innovation Partnership)」にまつわる含意について、春名さんは動詞の原義を踏まえて「flipは“軽やかにひっくり返す”という意味合いだが、ひっくり返すというのはある意味でとても大胆。ゲームチェンジをするわけだから」と説明。その背景には「現状の延長線上に未来はない」との問題意識や危機感があり、だからこそ常識や閉塞的な現状を覆したい、「ひっくり返さなければいけない」と力説する。
大事なのは人間教育
一方、昨今花盛りの生成人工知能(AI)をはじめ、デジタル技術の教育への応用は道半ばだと見ている。翻訳や文書作成などAIによってできることは増えたと認める半面、 「AIでできないことを私たちは教えなければならない」と指摘。特に「交渉や判断は機械に委ねられない。総合的な視点から価値を反映して判断していく訓練が必要」と持論を語る。
春名さんは「そのために、まずはとにかく幅広い視野を持たないといけない。そして、新しいことを発想する、しなやかで柔軟な思考を身につけて大学を出てほしい」と続け、そうした機会の創出に大学として努めていくと誓った。
さらに重要なのは「人に意欲を持たせること」だと述べ、「学問教育ではなく、人間教育が大学においても重要」との考えを示した。
サステナビリティに関心
熱い思いの春名さんは幼いころから、国際的な環境に身を置いてきた。帰国子女で幼少期は米ニューヨークで過ごし、マンハッタン区にある国連の学校「United Nations International School」、通称「ユニス」に小学校3年まで通った。「アルジェリア、インド、ドイツなどさまざまな国の人に囲まれながら過ごした」経験が、後の国際関係への強い関心につながった。多様な民族・文化に囲まれて育った環境が、国際的な関心の芽を育て、研究の道を志す原点となった。
成長とともに、より地球的、全人類的課題へと目が向くようになった。「このままだと地球はやっていけないのではないか」と環境問題、サステナビリティの問題への関心が高じ、東京大学工学部で都市計画論を学んだ。実際に千葉県浦安市などの再開発プランを考える実践的な学習、今でいうPBL(Project Based Learning; プロジェクト型学習)を行っていた。
しかし、そうした都市計画1つを取っても、実行に移すためには地方行政を担う自治体や中央省庁が陰に陽に介在し、政治や国際関係のほうが社会を動かす力を持つと実感。学業的関心は政治学へと向き直り、大学院で国際関係論に転向した。
ただ、国際関係論の見識を深めるほどに、理論中心で実践性に乏しいと違和感を覚え、結果的に「国際政治学の歴史」を研究するなど、学問の枠組みそのものに対して問い直す研究者の道を歩むようになったと、春名さんは振り返る。
究めたい道、学問的テーマをめぐり、揺れ動いているようにも見えるものの、常に実践、実学を重んじている姿勢は一貫している。学んだ理論をいかに応用するか、現場で役立てられるような、身近に感じられるような解像度に落とし込めるか、そして学びをいかに学生ひいては社会に還元するかに主眼、重きを置いている。
現場に立ち続け、対話を続ける
そうした理念を重んじる春名さんは、人同士が向き合う意義、「対話」の重要性を強調する。
学長就任後も引き続きゼミを担当し、学生とコミュニケーションを取る機会を積極的に持ち、また楽しんでもいる。「国立大学の場合、教員が学長に就いている。その強みを生かすのであれば、学長になった後も教員として教育の現場を持つ、学生との接点を持つというのは大事な武器になる」と語る。
受け持つゼミなどは、授業というより「人生相談に近い」と笑う春名さん。留学生を含む学生らから「大学院に進学した方がいいだろうか、就職した方がいいだろうか」といった身の上話に親身になって応じる。それはまさに人間教育の一場面だ。
「対話はまずは教室から」を旨とし、学生と織り成す勉学の空間には、実践性を伴わない国際関係論は存在せず、学長と学生というステレオタイプやしがらみは振り解き、人間と人間とが向き合う場となっている。
答えのない問題に挑む
とは言え、世の中は暗いニュースで溢れ返る。国際協力や外交の舞台で働くことを望む学生も多い中、世界は希望よりも、死の瀬戸際で絶望に打ちひしがれながら生きている人がごまんといる。
「本当に戦争がいつ起きても不思議ではない時代になってしまった」。春名さんはそう静かに言葉を選んだ。そして、「そもそも民主主義がかつて想定されていたように機能するのか」という根本的な問いを示し、「みんなで議論していけばいい答えが出てくるとは誰も信じられない時代」になり果てたと憂う。
ただ、だからこそ「対話が大事」だと再三にわたり強調する。学生との対話、学生同士の対話を重視し、「意見の違いが見えてきた中で、どうやって折り合いをつけるのかを学ばなければいけない」と力を込める。
そこには、AIに解けない、「答えのない問題」が確かにあるといい、そうしたテーマを授業で扱う意義をあらためて説く。「今の延長線上に未来がないんだったら、どういう新しい未来を作っていくかの答えもない。それを考えるためにさまざまな機会を作っていきたい」。
暗いニュース、あふれるフェイク、フェイクだと目を疑いたくなるような酷い現実、紛争や飢餓、虚栄と欲望とで混濁する世界情勢――。そうした中でもきっとあるはずの希望を信じ、「人生楽しまなきゃ。可能な限りまずは自分が楽しんでいる姿を見せる」。学生との距離を大切にしながら、若き学長はスニーカーにTシャツ姿で今日も対話に臨む。
「平和を実現する為 今足りないもの」。そう問い掛ける掲示板が東京外国語大学のキャンパス内生協の前に置かれる。
幾重にも貼り重ねられた付箋には「知識」 「金」 「食糧」 「休み」 「想像力」 「外交力」 「笑い」 「愛」 「ゆずりあい」…「話し合い」など、思い思いの言葉が綴られていた。足りないものは1つではないかもしれない。今足りていても、すぐ足りなくなるかもしれない。わけ合えるものはあるだろうか。DSC00832.JPG

 元は理系、工学部に身を置くも、幼い頃から思いを巡らせてきた「平和」について究めようと方針転換し、国際政治学を専門とする異色の経歴を持つ。少子化を背景にどの大学も学生募集に苦労する中、国内外の教育機関との連携強化に奔走し、留学生が日本で長く安心して暮らせるような生活サポートや多文化共生に向けた取り組みに余念がない。また、学長となった今も自ら進んでゼミを受け持つ。学長になっても学生と一緒に学ぶ姿勢は素晴らしいですね。多文化共生や多様性を是とする国際色豊かな学習環境で、留学生もアジア圏出身を中心に大勢いる。その数はおよそ700人、全在校生の10%台で近年は推移している。ただ、留学生受け入れをめぐる状況は必ずしも芳しくない。米国では反移民的政策を掲げるトランプ政権が、ハーバード大学に留学制度の見直しを迫るなどし、その余波は世界中に及んでいる。さらに物価や渡航費の上昇傾向も背景に、人々を留学に駆り立てる機運は萎みがちだ。春名さんはそうした現状を憂慮しつつも、今後も留学の重要性は変わらないと言い切る。特に、交換留学などの短期ではなく、腰を据えて学ぶ「ダブル・ディグリープログラム」の増設に取り組みたいという。世界が1つの国のリーダーによって教育環境まで影響を受ける中でも多様性を担保するために留学生の受け入れは必要不可欠でしょう。春名さんは動詞の原義を踏まえて「flipは“軽やかにひっくり返す”という意味合いだが、ひっくり返すというのはある意味でとても大胆。ゲームチェンジをするわけだから」と説明。その背景には「現状の延長線上に未来はない」との問題意識や危機感があり、だからこそ常識や閉塞的な現状を覆したい、「ひっくり返さなければいけない」と力説する。春名さんは「そのために、まずはとにかく幅広い視野を持たないといけない。そして、新しいことを発想する、しなやかで柔軟な思考を身につけて大学を出てほしい」と続け、そうした機会の創出に大学として努めていくと誓った。さらに重要なのは「人に意欲を持たせること」だと述べ、「学問教育ではなく、人間教育が大学においても重要」との考えを示した。幅広い視野を持つことは大事ですね。大学が人間教育を最優先にしなければならないということは共感できるし理解できます。成長とともに、より地球的、全人類的課題へと目が向くようになった。「このままだと地球はやっていけないのではないか」と環境問題、サステナビリティの問題への関心が高じ、東京大学工学部で都市計画論を学んだ。常に実践、実学を重んじている姿勢は一貫している。学んだ理論をいかに応用するか、現場で役立てられるような、身近に感じられるような解像度に落とし込めるか、そして学びをいかに学生ひいては社会に還元するかに主眼、重きを置いている。そうした理念を重んじる春名さんは、人同士が向き合う意義、「対話」の重要性を強調する。学長就任後も引き続きゼミを担当し、学生とコミュニケーションを取る機会を積極的に持ち、また楽しんでもいる。「国立大学の場合、教員が学長に就いている。その強みを生かすのであれば、学長になった後も教員として教育の現場を持つ、学生との接点を持つというのは大事な武器になる」と語る。受け持つゼミなどは、授業というより「人生相談に近い」と笑う春名さん。留学生を含む学生らから「大学院に進学した方がいいだろうか、就職した方がいいだろうか」といった身の上話に親身になって応じる。それはまさに人間教育の一場面だ。「対話はまずは教室から」を旨とし、学生と織り成す勉学の空間には、実践性を伴わない国際関係論は存在せず、学長と学生というステレオタイプやしがらみは振り解き、人間と人間とが向き合う場となっている。対話は大事ですね。今の日本で求めれているリーダーそのものではないでしょうか。国際協力や外交の舞台で働くことを望む学生も多い中、世界は希望よりも、死の瀬戸際で絶望に打ちひしがれながら生きている人がごまんといる。「本当に戦争がいつ起きても不思議ではない時代になってしまった」。春名さんはそう静かに言葉を選んだ。そして、「そもそも民主主義がかつて想定されていたように機能するのか」という根本的な問いを示し、「みんなで議論していけばいい答えが出てくるとは誰も信じられない時代」になり果てたと憂う。ただ、だからこそ「対話が大事」だと再三にわたり強調する。学生との対話、学生同士の対話を重視し、「意見の違いが見えてきた中で、どうやって折り合いをつけるのかを学ばなければいけない」と力を込める。AIに解けない、「答えのない問題」が確かにあるといい、そうしたテーマを授業で扱う意義をあらためて説く。「今の延長線上に未来がないんだったら、どういう新しい未来を作っていくかの答えもない。それを考えるためにさまざまな機会を作っていきたい」。暗いニュース、あふれるフェイク、フェイクだと目を疑いたくなるような酷い現実、紛争や飢餓、虚栄と欲望とで混濁する世界情勢――。そうした中でもきっとあるはずの希望を信じ、「人生楽しまなきゃ。可能な限りまずは自分が楽しんでいる姿を見せる」。学生との距離を大切にしながら、若き学長はスニーカーにTシャツ姿で今日も対話に臨む。素晴らしいリーダーですね。このようなリーダーが多くいれば日本も変革できるでしょう。政治家を信頼できないと思う人が増えている中で日本のためだけでなく世界のための真のリーダーとしての考え方が示されているのではないでしょうか。DSC00831.JPG
相手を尊敬することが最も大事でしょう[2025年12月26日(Fri)]
 CHANTO WEB2025年7月29日付け「《37歳・バツイチで》マサイ族の第二夫人になった日本人女性「結婚の決め手」となったマサイの「大切な価値観」」から、マサイ族の男性と結婚した永松真紀さん。ふたりで日本を訪れるたびに、「夫を見習いたい」と思う尊敬の気持ちが生まれるそうです。マサイ族の男性から見た日本とは。
結婚の決め手は「相手へのリスペクト」
永松さんはマサイ族の夫・ジャクソンさんと結婚して第二夫人になったそうですね。一夫多妻制はすぐに受け入れられましたか?
永松さん:夫と出会う前に10年ほどケニアで暮らしていて、一夫多妻制に関する話題はごく当たり前のこととして、日常的に耳にするものでした。
私たちは自分たちの意思で結婚しましたが、マサイ族は親が結婚を決めるケースが多くあります。第一夫人も、大恋愛の末に夫と結婚したわけではなく、小さいころから親同士が決めていたそうです。第一夫人は家族という感じで、お姉さんや妹、親友や友達という感じでもないですね。そういう感覚のなかではお互いにライバル視をしようとか、そういった感情はまったく生まれないので、うまくやっています。
それに、マサイ族のベタベタした男女関係を私は見たことがないので、やきもちの対象となることもまずないと思います。男性と女性は、まったく別の社会に属していて、役割が違います。男性は牧畜と家畜の世話をし、女性は家事や子育てが仕事。ある程度物事の分別ができるようになったら女の子はお母さんに、男の子はお父さんについて、仕事を学んでいきます。子ども同士でも、男女で遊ぶことはまずありません。
マサイ族は、男女で仕事の役割がまったく違うとのことですが、永松さんは観光ガイドやコーディネーターの仕事を結婚後も続けられています。仕事については受け入れてもらえたのでしょうか。
永松さん:マサイ族はとにかく、相手にリスペクトをする民族です。結婚の話題になった際に、夫からも周りにいた長老たちからも言われたのは「我々は、あなたの生き方を尊重できる民族だ」ということでした。「あなたはマサイ族ではなく、日本人なのだから、日本人として大切なものがあるだろうし、結婚したからといってそれを壊す必要はない」と。「私は世界中を飛び回る仕事をしているので、あまり村にいられません」という話をしたら、「村には休みのときに帰ってくればいい。それ以外は日本人としてあなたが大切にしていることを大事にしてください」と言われました。
当時、私は37歳でバツイチでした。もっと若くて、相手のことが好きで好きで仕方ないという状況だったら別かもしれませんが、37歳の大人が自分らしさやこれまでしていた仕事を失ってまで結婚して、マサイ族の村で生活はできないと思います。夫や長老たちが「私の生き方を尊重する」と言ってくれたことは、大きな結婚の決め手になりました。  
相手の生き方を尊重する、とても素敵です。ちなみに、夫のジャクソンさんとは何語で会話をしているのでしょうか。
永松さん:夫とはケニアの公用語であるスワヒリ語で話すのですが、マサイ族同士はマサイ語で話します。義父の方針で、夫のきょうだいのなかで、唯一教育を受けたのはいちばん上の兄だけなのですが、学校に行っていない夫がスワヒリ語を話せるのには理由があります。
親の歳の数ほど離れているいちばん上の兄が、村を出てホテルで働いていて、夫が7〜8歳くらいのころにラジオを買ってきてくれたそうなんです。ラジオではスワヒリ語の放送が流れていて、幼少期の夫はそれを熱心に聞いて育ちました。世界の出来事は、イギリスのBBCのスワヒリ語放送から知ったと言っていました。ラジオを家の外に持ち出してはいけないと親から言われていたそうなんですが、ラジオを聞きながら牛の放牧をしていたこともあったとか。夫は親から「マサイとして生きろ」と言われて育ったのですが、小さいころから、外のことにすごく興味があったようです。
まさに、ガイドやコーディネーターとして世界の人と仕事をしている永松さんと話が合いそうですね。
永松さん:私の話に夫は興味があるので、お互いの意見交換をしながらよく話をします。私はマサイ族について夫から学ぶことがたくさんありますし、夫は私が村の外で経験した話を興味深く聞いてくれます。どんな話を聞いても、マサイ族として心がぶれない夫が尊敬できるなと感じます。
マサイ族の夫から見た日本
夫のジャクソンさんが日本を訪れることもあるそうですね。
永松さん:およそ2年おきのペースで、夫はこれまで8回、日本に来たことがあります。夫から見た日本はおもしろいですよ。たとえば、街でカートに乗って散歩する犬を見かけたとします。「日本の犬は歩かなくてもいいんだよ」と声をかけたら、夫は不思議そうに「日本での犬の役割はなに?」と私に聞くんです。
わが家もマサイ族の村で犬を飼っていますが、役割は完全に番犬なんです。家畜を守るためにうちの犬は寝ずに働いています。夫の質問の答えを私が「う〜ん、そうね」と考えていたら、夫は「それってかわいいってことかな」と言いました。もちろん、仕事としての役割を担っている犬も日本にいますが、ペットとして飼われている犬の役割はそういうことかもしれませんね。
視点がおもしろいです!
永松さん:そのあと、夫がどう答えるかなと思って、「日本の犬は首輪で紐に繋がれていて、自由に走り回れないのよ。うちの犬とどっちが幸せだと思う?」と聞いてみました。すると夫は少し考えて、「うちの犬は自由に走り回れるけど、満足に食事はもらっていない。日本の犬に走り回る自由はないけど、きっとお腹はいつも満たされていると思う。場所が変わるとそれぞれ違う事情があるんだから、どっちが幸せかって単純にはいえないよね」って。
お見事です。
永松さん:夫はいつもこんな感じで、「こういうところがおかしい」とか、物事の批判をしたことがないんですよ。「国が変われば、事情が変わってくるんだから、それを何も知らない僕が批判することはできない」って。日常でついつい、文句を言いたくなることってありますよね。いつも夫の姿勢を見習わなくちゃいけないなと感じます。
日本に夫婦でいらっしゃる際は、どんなことをしているんですか。
永松さん:夫と講演会をさせてもらうことが多いです。それに、夫も日本からいろいろ学ぶことがあるので、スタディーツアーのような感じで来日しています。日本の高齢化の問題も、今後先進国に近づくにつれて多くの国が抱える問題になってくると思うので、夫は社会問題について、熱心に学んでいます。夫婦でお互いの文化や課題について知るのは楽しいですし、それを多くの日本の方に知ってもらえるのも、私にとって大きなやりがいとなっています。DSC00834.JPG

 私たちは自分たちの意思で結婚しましたが、マサイ族は親が結婚を決めるケースが多くあります。第一夫人も、大恋愛の末に夫と結婚したわけではなく、小さいころから親同士が決めていたそうです。第一夫人は家族という感じで、お姉さんや妹、親友や友達という感じでもないですね。そういう感覚のなかではお互いにライバル視をしようとか、そういった感情はまったく生まれないので、うまくやっています。マサイ族のベタベタした男女関係を私は見たことがないので、やきもちの対象となることもまずないと思います。男性と女性は、まったく別の社会に属していて、役割が違います。男性は牧畜と家畜の世話をし、女性は家事や子育てが仕事。ある程度物事の分別ができるようになったら女の子はお母さんに、男の子はお父さんについて、仕事を学んでいきます。子ども同士でも、男女で遊ぶことはまずありません。マサイ族はとにかく、相手にリスペクトをする民族です。結婚の話題になった際に、夫からも周りにいた長老たちからも言われたのは「我々は、あなたの生き方を尊重できる民族だ」ということでした。「あなたはマサイ族ではなく、日本人なのだから、日本人として大切なものがあるだろうし、結婚したからといってそれを壊す必要はない」と。「私は世界中を飛び回る仕事をしているので、あまり村にいられません」という話をしたら、「村には休みのときに帰ってくればいい。それ以外は日本人としてあなたが大切にしていることを大事にしてください」相手を尊重して尊敬することは大事ですが、日本人には欠けているところかもしれません。私の話に夫は興味があるので、お互いの意見交換をしながらよく話をします。私はマサイ族について夫から学ぶことがたくさんありますし、夫は私が村の外で経験した話を興味深く聞いてくれます。どんな話を聞いても、マサイ族として心がぶれない夫が尊敬できるなと感じます。意見交換が自然にできることは大事ですね。日本の犬に走り回る自由はないけど、きっとお腹はいつも満たされていると思う。場所が変わるとそれぞれ違う事情があるんだから、どっちが幸せかって単純にはいえないよね」って。夫はいつもこんな感じで、「こういうところがおかしい」とか、物事の批判をしたことがないんですよ。「国が変われば、事情が変わってくるんだから、それを何も知らない僕が批判することはできない」って。日常でついつい、文句を言いたくなることってありますよね。いつも夫の姿勢を見習わなくちゃいけないなと感じます。違いを認めることができるというのは大事な視点ですね。夫婦でお互いの文化や課題について知るのは楽しいですし、それを多くの日本の方に知ってもらえるのも、私にとって大きなやりがいとなっています。素晴らしいですね。大変勉強になります。より多くの日本人に理解されるようになればいいですね。DSC00833.JPG
「暗いことを考えてもつまらない」[2025年12月25日(Thu)]
 信濃毎日新聞デジタル2025年7月29日付け「“古里に戻った女性杜氏”からの脱却 2年連続で全国で金賞に輝いた38歳 技術が評価され得た自信」から、「杜氏(とうじ)としてやっていく自信がついた」。実家の若林醸造で技術を高める杜氏、若林真実(わかばやし・まみ)さん(38)=長野県上田市=は、酒類総合研究所(広島県東広島市)が5月に開いた全国新酒鑑評会で昨年に続いて金賞を受けた。これまでは、古里に戻って働く女性杜氏―との切り口で注目されることが多かったが、今回の受賞を「技術が評価された」と受け止める。業界を取り巻く環境は順風ではないが、気負わず酒造りを楽しむつもりだ。
後継者いない実家の醸造会社「もったいない」
 実家は1896(明治29)年創業の若林醸造を営む。上田高校(上田市)を卒業後に進学や就職のため地元を離れていたが、後継者がいなかったのを「もったいない」と感じて2013年に帰郷。酒造りの経験はなく、上田市内の酒蔵での「修行」を経て16年に杜氏になった。
「まぐれ」との反応もあった初めての金賞
 新酒鑑評会には22年から出品し、昨年初めて金賞に選ばれた。その前年は入賞も逃していただけに「びっくり」の思いが強かった。手探りだった酒造りに手応えを感じ始めていた一方、まぐれだ―との反応もあったと振り返る。
2年連続の金賞、自信を裏付ける
 今回の鑑評会は全国から809点の出品があり、金賞は202点。若林さんは佐久市産の酒米「山田錦」を低温で丁寧に醸造した純米大吟醸を出した。華やかな香り、甘みや酸味などのバランスの良い味わいが特徴という。前年以上の仕上がりになったとの自信が鑑評会の評価で裏付けられ、喜びはひとしおだった。
 金賞に選ばれた酒は自社の店頭や取扱店で販売し、720ミリリットル入り6050円。素材を精選して手間暇をかける分、高値になるが、同じ容量で千円台〜2千円台の他の主力商品と比べると「(消費者は)手を出しづらいのではないか」と感じる。多くの人に味わってほしいとの思いから、今月末には2千円台の300ミリリットル瓶商品を発売する。
長野県産米にこだわり、新ブランド展開
 杜氏となってから、従来銘柄の「月吉野」に加え、新ブランド「つきよしの」を展開。
平仮名の日本酒は珍しく、「飲食店で目につきやすくしたかった」という。ラベルは地元デザイナーに依頼し、月と桜をあしらった。
造り手と交流できるイベントも
 つきよしのは毎年、酒米の種類や精米の歩合を変えた新商品を造り、現在は16種類。使う酒米は県産米にこだわる。今春は新たに、蔵元で5種類の酒を飲み比べ、若林さんら造り手と交流するイベントを始めた。日本酒に触れる機会をつくるとともに、蔵近くに駅がある上田電鉄別所線の利用促進にも期待する。
酒造の経験、重ねて得る充実感
 一方、気がかりなこともある。日本酒の消費量は減少傾向をたどり、最近は米価の上昇で酒米を手がけてきた農家が主食用米に転換する動きがある。価格転嫁や原料確保の不安がよぎることもあるが、気温の変化や酒米の状態に応じて試行錯誤を重ねる酒造りは楽しく、経験を重ねる充実感にもつながっている。「暗いことを考えてもつまらない」と力を込め、前を向いた。DSC00836.JPG

 家の若林醸造で技術を高める杜氏、若林真実(わかばやし・まみ)さん(38)=長野県上田市=は、酒類総合研究所(広島県東広島市)が5月に開いた全国新酒鑑評会で昨年に続いて金賞を受けた。これまでは、古里に戻って働く女性杜氏―との切り口で注目されることが多かったが、今回の受賞を「技術が評価された」と受け止める。業界を取り巻く環境は順風ではないが、気負わず酒造りを楽しむつもりだ。実家は1896(明治29)年創業の若林醸造を営む。上田高校(上田市)を卒業後に進学や就職のため地元を離れていたが、後継者がいなかったのを「もったいない」と感じて2013年に帰郷。酒造りの経験はなく、上田市内の酒蔵での「修行」を経て16年に杜氏になった。金賞に選ばれた酒は自社の店頭や取扱店で販売し、720ミリリットル入り6050円。素材を精選して手間暇をかける分、高値になるが、同じ容量で千円台〜2千円台の他の主力商品と比べると「(消費者は)手を出しづらいのではないか」と感じる。多くの人に味わってほしいとの思いから、今月末には2千円台の300ミリリットル瓶商品を発売する。日本酒の消費量は減少傾向をたどり、最近は米価の上昇で酒米を手がけてきた農家が主食用米に転換する動きがある。価格転嫁や原料確保の不安がよぎることもあるが、気温の変化や酒米の状態に応じて試行錯誤を重ねる酒造りは楽しく、経験を重ねる充実感にもつながっている。「暗いことを考えてもつまらない」と力を込め、前を向いた。暗いことを考えずに前を見据えて取り組み姿勢に感動します。可能性を信じて突き進む人が増えれば地方も元気になるでしょう。DSC00835.JPG
「耕さない農業=不耕起栽培」が広がりつなぐ未来になれば[2025年12月24日(Wed)]
 FRaU2025年7月27日付け「地球温暖化の緩和に…世界中で話題となっている「耕さない農業=不耕起栽培」がつなぐ未来」から、私たちの体は食べたものでできている。つまり、地球が不健康だと私たちの生存も危うくなる。では、日常のなかでできる気候変動対策ってなんだろう。環境や生態系を回復させながら空腹をおいしく満たす方法を、食に関わる人たちの対話を通して考えよう。
Part 1:土と野菜
土壌は植物の根や微生物によって、大気中の炭素(二酸化炭素)の2倍の炭素を蓄えていると言われている。しかし表土を耕すと大気中に放出されてしまう。“農耕”というように、農=耕すことだと思われてきたが、脱炭素化社会への意識が高まる今、世界中で話題となっているのが、耕さない農業=不耕起栽培である。そこで、不耕起栽培による土壌再生面積の拡大を目的としたアイスクリームブランド〈SOYSCREAM!!!〉を立ち上げ、不耕起栽培農家を支援するビジネスモデルを構築したはちいち農園と、土壌診断サービス「みんな大地」を提供しているUPDATERに話を聞いた。
UPDATER 私たちの土壌診断では、土の中の生態系の循環を現す指標として、土壌の有機物や微生物の量、菌根菌との共生状況を調べています。これまで60を超える畑を診断してきましたが、農薬や化学肥料を使用する慣行栽培の畑と、有機や不耕起栽培の畑では、存在する虫や排水性、根の張り方などが違うと感じています。例えば最近訪れた落花生の畑では、慣行栽培の畑だと短くて太い根っこがちょろっとあるだけですが、農薬や化学肥料を使用していない畑だと細かい根が張り巡らされている。そして大気中の窒素を固定する根粒菌というバクテリアも多いですね。
はちいち農園 それは栽培方法が、植物の栄養の取り方や、菌との共生の仕方に影響を与えているからですね。慣行栽培の根の張りが浅いのは、肥料によって栄養が足りていて取りにいく必要がないから。いっぽうで自然の植物は、根の菌根菌を通じてネットワークを張り巡らせ、自分の根が届かないところからも栄養を取っているんですね。
UPDATER はちいち農園さんの土が団粒構造であることもひと目でわかります。耕すとこの構造が破壊されて、水はけや通気性が悪くなることもあるんです。昨年から2回に亘って土壌を診断しましたが、炭素貯留量は地域の標準の約2倍でした。土壌が変化するには時間がかかりますが、このまま定着して増え続ければ、地球温暖化防止効果も、農業生産性もアップするはず。英国ローザムステッド農業試験場における150年を超える長期連用試験のデータを見ると、炭素貯留量はまだ増やせることがわかります。
はちいち農園 結果を見ると、土壌を可視化できて面白いですね。不耕起栽培という私たちの農法が、環境にいいとわかるのもうれしい。一般的に農家が土壌診断をするのは、過不足を知って肥料で調整したりするためですが、私たちは社会的な意味があるのか知りたくてお願いしました。土壌が再生されていくことが明白になったので、不耕起栽培にトライする農家の励みになるだろうし、そんな農家が増えるきっかけになるといいなと思っています。
UPDATER 土壌に炭素が貯留するメカニズムは、植物が光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収し、それが枯れると一部が土壌中で分解されにくい有機炭素になるというもの。耕さないことで表面を覆う雑草たちも、炭素を土壌に貯めてくれます。しかし土を耕耘すると好気性の微生物が活発になり、土壌の有機物の多くを分解して二酸化炭素を放出してしまう。だから不耕起栽培の面積に比例して炭素貯留量が増えるということなんです。全世界の土壌の表層の炭素量を、毎年0.4%ずつ増やすことができれば、人為的な活動による大気中への二酸化炭素の排出を相殺できるという「フォーパーミル・イニシアチブ」もそんな考え方ですね。
はちいち農園 生物多様性にも着目するべきですよね。プラネタリーバウンダリーの表を見ても、生物圏の一体性は限界を超えています。土壌の微生物や菌が多様だと、炭素の固定と分解のバランスがとれる。しかし農薬を与えると土壌の微生物の多様性が減り、炭素の貯留量も減ってしまう。
UPDATER 土壌の生物多様性は作物生産や炭素貯留だけでなく、地上の生き物たちの多様性を支えます。なので、日本の99%を占める慣行農地が一部でも減農薬や農薬を使わない農法に変わることが、地域の生物多様性を高めるうえで大切です。
はちいち農園 同じ作物だけを育てることも、土壌微生物の多様性を崩してしまいます。
だからうちでは、大豆を育てた後はいろんな草を生やしているんです。次に植えるのはまた大豆だから連作ではありますが、雑草のおかげで輪作になる。自然界にとっては雑草も野菜も区別ないですから。土を見て何を生やすか判断しますが、コントロールしすぎもよくないので難しいところ。植物は勝手に日光で光合成し、風が通れば二酸化炭素が供給され、雨で育っていく。だから私たちが行うことは、草を刈って敷き、土を肥やすというくらいで、手数をなるべく減らしながらやっていきたいと思っています。
UPDATER そうやって生産者の方々が地道に取り組まれていることを土壌診断による数値で可視化することが、その意義や目的を伝える手段の一つになれたらと思っています。これが消費者にとっても生産者を選ぶ基準になるといいなと。
選ぶだけでなく生産に関わることが必要
はちいち農園 これからは、「消費者が生産者を選ぶ」から一歩進んで「消費者も生産に関わる」ことが重要だと考えています。もう「食」は待ってる時代じゃない。生産に関わっていくと、いろいろな農業があることもわかるし、自分の選択が気候変動に関わっていることもわかってくる。特定の農家から買うということも、選ぶだけより関わりが深い。関わるほどに安心感が増すものです。作業を手伝う、一緒に作るなど関わり方の濃度に比例して、食への不安は消えていくはず。スーパーの棚からお米が消えても、常日頃関わっているわが家には届くと思える。安心感は幸福度につながります。
UPDATER はちいち農園さんのハーベストコモンズは、まさに自分が関われる生産方法ですよね。いわゆるシェア畑ではなく、みんなのコミュニティとしての畑。畑に行く頻度が決まっているわけではなく、ルールもないし、なんなら作業しなくてもいい。関与できることに対して価値を感じられるような仕組みなんですね。
はちいち農園 特に不耕起栽培は生産者と消費者の距離が近いんですよ。というのもトラクターを使わないから、手作業が多く、助けが必要になる。消費者も、種を蒔き、草を取り、収穫するといったプロセスに能動的に関わることで、共同生産者になれるわけです。体験っていうフィルターを通して知ることで、いろいろなことが腑に落ちるし、充実感もあるし、自己肯定感も上がる。自分の食べるものを自分で作るというのは命を守ること、生き方なんですよね。みんなが農家になる必要はないけれど、関わり方のバリエーションはいろいろある。〈SOYSCREAM!!!〉もその一つです。
UPDATER 食と土壌の関係、地球再生について知るきっかけにもなりますね。 はちいち農園 このシステムを構築するのに、3ヵ月ほど必死で考えました。環境のために不耕起栽培にトライする人を増やしたい。大豆は痩せた土地でも比較的育ちやすいし、マメ科の植物は根っこに共生している根粒菌が大気の窒素を使って土を育ててくれる。だからまずは大豆を育ててもらい、それを買い取ることで営農をサポートしよう、買い取った大豆を販路にのせるには何をすればいいだろう、と考えたんです。
UPDATER おいしく食べることで世界を変えられるなんて、これまでにない試みですよね。
はちいち農園 地球再生をスピードアップするためには、個人だけでなく企業が賛同してくれるとインパクトが大きくなります。例えばナチュラルコスメブランドのLUSHでは、社員の方々の福利厚生として定期購入してくれています。それによって、企業として地球再生に参加したことになる。気候変動は個人では抱えきれない大きな課題ですが、〈SOYSCREAM!!!〉は子どもでもフォーパーミル・イニシアチブに関われるポップな方法なんです。
UPDATER 不耕起栽培が拡大しそうなビジネスモデルですよね。再生土壌面積が拡大して、地球温暖化が緩和していくことを期待しています。
不耕起栽培 土壌を耕さずに農作物を育てる農法。農作業に必要な燃料削減、生物保全などのメリットがある。リジェネラティブ(環境再生型)農業の代表的な手法の一つ。有機農法と組み合わせることが多いが、アメリカの大規模農場では、除草剤を使用し、遺伝子組み換え作物で収穫物を守ることも多い。
菌根菌 植物の根に共生する糸状菌の一種。菌糸を広く伸ばし、土の中の養分、特にリンを吸収し、植物に供給する。一方、根からは光合成の産物である炭素化合物が菌根菌へ供給される。肥料によるリン酸過多や農薬の影響があると、生息しにくい。
根粒菌 エンドウやクローバーなどマメ科植物の根に共生し、根粒を形成するバクテリアの一種。大気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定という)、共生する植物に供給する。土壌改良に役立つ。 団粒構造 土中の微生物が有機物を分解したときに糊状の粘着物質を出し、土の粒子をまとめることで発達する。土の中に多くの隙間(孔隙)ができ、そこに空気や水が入り込み、微生物がすみやすい環境になる。通気性や保水性、排水性に優れている。
フォーパーミル・イニシアチブ 地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を採択した、2015年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)の際に、フランス政府主導で始まった取り組み。
プラネタリーバウンダリー 地球の壊滅的変化を回避するためには、気候、水環境、生態系など地球の環境容量を代表する9つのプラネタリーシステムが本来持つレジリエンス(回復力)の限界(臨界点)がどこにあるかを知ることが重要であるという考え方。
はちいち農園 神奈川県茅ヶ崎市にて、衣川木綿さん・晃さん夫妻が営む不耕起栽培、環境再生型有機農業の農園。地域内での契約販売のほか、ビーガンフードブランド〈81 SWEETS&DELI〉や、豆乳のアイスクリームブランド〈SOYSCREAM!!!〉の運営も手がけている。
UPDATER 再生可能エネルギー事業会社として2011年に設立(旧みんな電力)。電力トレーサビリティを商用化した再エネ事業「みんな電力」は、国内トップクラスのプラットフォーム。2021年よりソーラーシェアリングや土壌診断などによる土壌再生事業「みんな大地」を開始。DSC00838.JPG

 土壌は植物の根や微生物によって、大気中の炭素(二酸化炭素)の2倍の炭素を蓄えていると言われている。しかし表土を耕すと大気中に放出されてしまう。“農耕”というように、農=耕すことだと思われてきたが、脱炭素化社会への意識が高まる今、世界中で話題となっているのが、耕さない農業=不耕起栽培である。なる程そうなんですね。農薬や化学肥料を使用する慣行栽培の畑と、有機や不耕起栽培の畑では、存在する虫や排水性、根の張り方などが違うと感じています。農薬や化学肥料を使用していない畑だと細かい根が張り巡らされている。そして大気中の窒素を固定する根粒菌というバクテリアも多いですね。自然の植物は、根の菌根菌を通じてネットワークを張り巡らせ、自分の根が届かないところからも栄養を取っているんですね。耕さないことで表面を覆う雑草たちも、炭素を土壌に貯めてくれます。しかし土を耕耘すると好気性の微生物が活発になり、土壌の有機物の多くを分解して二酸化炭素を放出してしまう。だから不耕起栽培の面積に比例して炭素貯留量が増えるということなんです。全世界の土壌の表層の炭素量を、毎年0.4%ずつ増やすことができれば、人為的な活動による大気中への二酸化炭素の排出を相殺できるという「フォーパーミル・イニシアチブ」もそんな考え方ですね。農薬を与えると土壌の微生物の多様性が減り、炭素の貯留量も減ってしまう。同じ作物だけを育てることも、土壌微生物の多様性を崩してしまいます。だからうちでは、大豆を育てた後はいろんな草を生やしているんです。次に植えるのはまた大豆だから連作ではありますが、雑草のおかげで輪作になる。自然界にとっては雑草も野菜も区別ないですから。土を見て何を生やすか判断しますが、コントロールしすぎもよくないので難しいところ。植物は勝手に日光で光合成し、風が通れば二酸化炭素が供給され、雨で育っていく。だから私たちが行うことは、草を刈って敷き、土を肥やすというくらいで、手数をなるべく減らしながらやっていきたいと思っています。勉強になりますね。これからは、「消費者が生産者を選ぶ」から一歩進んで「消費者も生産に関わる」ことが重要だと考えています。もう「食」は待ってる時代じゃない。生産に関わっていくと、いろいろな農業があることもわかるし、自分の選択が気候変動に関わっていることもわかってくる。特定の農家から買うということも、選ぶだけより関わりが深い。関わるほどに安心感が増すものです。作業を手伝う、一緒に作るなど関わり方の濃度に比例して、食への不安は消えていくはず。スーパーの棚からお米が消えても、常日頃関わっているわが家には届くと思える。安心感は幸福度につながります。確かに消費者と生産者の協働事業になればいいですね。いわゆるシェア畑ではなく、みんなのコミュニティとしての畑。畑に行く頻度が決まっているわけではなく、ルールもないし、なんなら作業しなくてもいい。関与できることに対して価値を感じられるような仕組みなんですね。特に不耕起栽培は生産者と消費者の距離が近いんですよ。というのもトラクターを使わないから、手作業が多く、助けが必要になる。消費者も、種を蒔き、草を取り、収穫するといったプロセスに能動的に関わることで、共同生産者になれるわけです。体験っていうフィルターを通して知ることで、いろいろなことが腑に落ちるし、充実感もあるし、自己肯定感も上がる。自分の食べるものを自分で作るというのは命を守ること、生き方なんですよね。みんなが農家になる必要はないけれど、関わり方のバリエーションはいろいろある。地球再生をスピードアップするためには、個人だけでなく企業が賛同してくれるとインパクトが大きくなります。例えばナチュラルコスメブランドのLUSHでは、社員の方々の福利厚生として定期購入してくれています。それによって、企業として地球再生に参加したことになる。気候変動は個人では抱えきれない大きな課題ですが、〈SOYSCREAM!!!〉は子どもでもフォーパーミル・イニシアチブに関われるポップな方法なんです。土壌を耕さずに農作物を育てる農法。農作業に必要な燃料削減、生物保全などのメリットがある。リジェネラティブ(環境再生型)農業の代表的な手法の一つ。有機農法と組み合わせることが多いが、アメリカの大規模農場では、除草剤を使用し、遺伝子組み換え作物で収穫物を守ることも多い。大変共感できます。日本国内はもちろんですが、世界中に広がっていかないでしょうか。子どもたちのためにも子どもたち自身が農業に携わっていくことができるような仕組みづくりが必要なのではないでしょうか。DSC00837.JPG
日本はこれからどうしていくのか、世界が参考にできるのか[2025年12月23日(Tue)]
 COURRiER2025年7月26日付け「人口減少の“先頭集団”を走る日本の大規模データから世界が学ぶべき重要な教訓」から、人口増加が環境問題の原因だとすれば、人口減少は自然環境の回復につながるのだろうか。話はそう単純ではないようだ。世界のなかでも人口減少の“先頭集団”を走る日本の各地で集められた生物多様性データと地域の人口や土地の利用などを比較して見えてきたこととは? 
英シェフィールド大学の日本研究者ピーター・マタンルと日本の学者たちが貴重な共同研究の成果を簡潔に解説する。
1970年以降、世界の野生生物の73%が失われている一方で、世界人口は倍増して、80億人を突破した。
これは偶然ではない。人口増加が生物多様性を壊滅的に減少させていることは研究で示されている。
その一方で、人類史は転換点を迎えてもいる。国連は、2050年までに85ヵ国の人口が減少すると予測している。その大半は、欧州とアジアの国々だ。2100年までに、人口は世界的に減少していく。この傾向は環境にとってはよいことだという意見もある。
2010年、日本はアジアで初めて人口減少しはじめた国となった。韓国、中国、台湾がそのすぐあとに続いている。2014年、イタリアが南欧で初めて人口減少しはじめ、それにスペイン、ポルトガルなどが続いている。
日本とイタリアは、「人口減少の先駆け国」と呼ばれている。それぞれの地域で人口減少ゆえに起こりうる結果を理解する先駆者としての役割を担っているからだ。
人口減少は環境の再生に資するかもしれないとの仮定に基づき、われわれはヤン・リや藤田卓との共同研究で、日本が「人口減少の恩恵」を受けているのか、あるいはそうでないのかを調べてきた。
2003年以来、大勢の市民科学者たちが、日本政府の「モニタリングサイト1000」事業のために生物多様性データを収集してきた。
このようにして日本全国158地点で収集された多種多様な生物種の膨大な観察記録(確認された個体総数は150万以上)を、われわれは分析の対象とした。こうした地点は、雑木林や農業地帯、都市近郊部にあった。
われわれはこれらの観察記録と、現地の人口、土地の利用、地表温度の変化を、5〜20年の期間で比較した。
学術誌「ネイチャー・サステイナビリティ」に掲載されたわれわれの研究には、鳥、チョウ、ホタル、カエルなどの動物や、2922種の自生・外来植物が含まれている。対象となった場所は1990年代以降、これまでにない人口減少に直面してきた。
データベースの規模、場所の選択、そして東北アジアでの人口減少“先進国”たる日本の位置づけゆえに、われわれの研究はこの分野では最大規模である。
日本はチョルノービリではない
生物多様性は、われわれが研究した地域のほとんどで、人口の増減にかかわらず、減少しつづけていた。
人口が一定に保たれているところでのみ、生物多様性はより安定している。だが、こうした地域の人口も高齢化し、ほどなく減少するので、生物多様性をすでに失いつつある地域に近づいていくことにはなる。
突然の危機(原発事故)により、ほぼ全住民が避難を余儀なくされ、野生生物が驚異的な復活を見せたチョルノービリとは違って、日本の人口減少は徐々に進んできた。日本では、機能している地域共同体のなかで、土地の利用がまばらに変化していくのだ。
大半の農地は耕作地のままだが、一部は使われなくなったり、放置されたりしている。
都市開発のために売却されたり、意図的に田園風景へと変えられたりしているところもある。そのため、生物多様性が増すような、広範囲にわたる植物の成長が自然に続いていかず、かといって人工的な植林もできない状況にある。
こうした地域では、人間が生態系の持続可能性に責任を持っている。田んぼの水張りや田植え、稲刈り、果樹園や雑木林の管理、家屋の維持など、伝統的な農業や季節ごとの風習が、生物多様性を維持するためには大切なのだ。
したがって、人口減少は自然破壊につながりかねない。増え広がる生物種もあるが、それらは外来種である場合も多く、また別の問題を生んでいる。たとえば、強力な草がはびこり、かつては湿っていた田んぼが干上がったり詰まったりしてしまうなどだ。
空き家や廃屋、あまり使われていないインフラ、法的な問題(複雑な相続法や土地税、地方自治体の行政能力の不足、高くつく取り壊しや廃棄の費用など)が事態を複雑にしている。
空き家の数は、日本の住宅戸数の15%近くにまで増加しているにもかかわらず、新居は飽くことなく建てつづけられている。2024年には79万戸以上が建てられたが、これは日本の人口分布や家族構成が変わりつつあることも一因だ。
こうした状況に、道路や、ショッピングモール、スポーツ施設、駐車場、コンビニも加味しなければならない。あれやこれやで、人は減っていても、野生生物が生息するための場所はそこまでないということになるのだ。DSC00840.JPG

 1970年以降、世界の野生生物の73%が失われている一方で、世界人口は倍増して、80億人を突破した。これは偶然ではない。人口増加が生物多様性を壊滅的に減少させていることは研究で示されている。その一方で、人類史は転換点を迎えてもいる。国連は、2050年までに85ヵ国の人口が減少すると予測している。その大半は、欧州とアジアの国々だ。2100年までに、人口は世界的に減少していく。2010年、日本はアジアで初めて人口減少しはじめた国となった。韓国、中国、台湾がそのすぐあとに続いている。2014年、イタリアが南欧で初めて人口減少しはじめ、それにスペイン、ポルトガルなどが続いている。日本とイタリアは、「人口減少の先駆け国」と呼ばれている。それぞれの地域で人口減少ゆえに起こりうる結果を理解する先駆者としての役割を担っているからだ。日本の人口減少は徐々に進んできた。日本では、機能している地域共同体のなかで、土地の利用がまばらに変化していくのだ。大半の農地は耕作地のままだが、一部は使われなくなったり、放置されたりしている。都市開発のために売却されたり、意図的に田園風景へと変えられたりしているところもある。そのため、生物多様性が増すような、広範囲にわたる植物の成長が自然に続いていかず、かといって人工的な植林もできない状況にある。こうした地域では、人間が生態系の持続可能性に責任を持っている。田んぼの水張りや田植え、稲刈り、果樹園や雑木林の管理、家屋の維持など、伝統的な農業や季節ごとの風習が、生物多様性を維持するためには大切なのだ。したがって、人口減少は自然破壊につながりかねない。増え広がる生物種もあるが、それらは外来種である場合も多く、また別の問題を生んでいる。たとえば、強力な草がはびこり、かつては湿っていた田んぼが干上がったり詰まったりしてしまうなどだ。空き家や廃屋、あまり使われていないインフラ、法的な問題(複雑な相続法や土地税、地方自治体の行政能力の不足、高くつく取り壊しや廃棄の費用など)が事態を複雑にしている。空き家の数は、日本の住宅戸数の15%近くにまで増加しているにもかかわらず、新居は飽くことなく建てつづけられている。2024年には79万戸以上が建てられたが、これは日本の人口分布や家族構成が変わりつつあることも一因だ。こうした状況に、道路や、ショッピングモール、スポーツ施設、駐車場、コンビニも加味しなければならない。あれやこれやで、人は減っていても、野生生物が生息するための場所はそこまでないということになるのだ。空き家が増え続けているのに新築住宅が増え続けるという矛盾するような住宅政策は間違っているのではないでしょうか。野生生物に限らず住んでいる人たちにとって日本は厳しい未来が待ち受けているのかもしれません。国民は覚悟ができているでしょうか。そうでなければ声を上げて一人ひとりが住み易い社会を実現する努力をしなければならないでしょう。DSC00839.JPG
孤独死を自分事として考えることができれば捉え方が変わるのでは[2025年12月22日(Mon)]
 ytv2025年7月26日付け「孤独死は年間2万1856人…生きがいや人とのつながり生む『令和の居場所』地域交流の新たなカタチとは」から、2025年4月、政府は孤立死に関する初の推計を発表しました。2024年は2万1856人が誰にも看取られることなく自宅で亡くなり、うち約71.5%を高齢者が占めました。しかし、自治会や町内会など、従来からある地域のつながりは希薄化しています。いかにして高齢者の居場所を生み出すのか…住宅街でひっそりと営む「シニア食堂」、そして田んぼの中にポツンと佇むフィットネスジム。“令和の公民館”とも言える地域交流の新たなカタチを取材しました。
サークルで活況の公民館 しかし利用者数は減少傾向
取材班が向かったのは、大阪府堺市にある公民館。
(番組ディレクター) 「平日の午前中ですが、運動ができるホールなどは高い利用率になっているといいます」  
この日の午前中、公民館は地域住民らでつくる4つのサークルでにぎわっていました。
約30年活動を続けるエアロビクスのサークル。
(参加者ら) 「暑い…暑い…」
(参加者/70代) 「リズムが流れてくると、動けるという感じがします。 楽しい!」
こちらは、絵手紙の教室です。
(参加者) 「それもいいな。ガクアジサイもいいな」  
堺市にある6つの公民館は、去年1年間で、延べ約13万5000人が利用しました。
(利用者) 「気持ちが塞いでいるときでも、ここに来たらパッと明るくなって楽しくなる。
だから結局何も作業しないで帰るときもあるんです。ものすごく公民館ってありがたいし、地元に息づいています」  
公民館は、気兼ねなく仲間同士が集える地域交流の拠点。しかし堺市では利用者数が減少傾向にあり、全国の公民館の数も年々減っています。
人と人のつながりが薄れつつある社会で、どうすれば地域交流の場を生み出せるのでしょうか?
初対面でも楽しそうに会話 広がる『シニア食堂』
東京都荒川区に、そのヒントがありました。荒川区に住む、古谷ユキエさんと廣實三枝子さん。ご近所同士の2人は、ある活動をしています。
(町会婦人部のメンバー) 「古谷さん、カレー粉の買い置きあるの?」
(古谷ユキエさん) 「買い置きはあるかもしれない」
(町会婦人部のメンバー) 「あったらほしいね」
(廣實三枝子さん) 「手作りのドレッシングです」
毎週水曜日、お昼の1時間限定で開く食堂『より処』。2024年11月、町会の婦人部のメンバーと共にオープンさせました。食器や調理家電はメンバーで持ち寄って活動しています。
(古谷さん) 「ここで前に、とんかつ屋さんをやっていたんですよ。でもその人が亡くなってしまって、みんな寂しくなっちゃって。何にもお店がなくなっちゃって。ここで(食堂を)やると言って始まった」
(廣實さん) 「町会の婦人部の役員で、声をかけていただきました。私もちょうど何かボランティアをしたいなと思っていたので」
第1水曜日の献立は、カレーと決まっています。地域の祭りでも作る定番メニューです。
一食400円で、20人分を用意します。開店時間が近づくと、早速、利用客がやってきました。
(町会婦人部のメンバー) 「きょう一人ですか?」
(利用客) 「うん。病院なのよ」
(町会婦人部のメンバー) 「珍しい」
(利用客) 「『ころばん体操』の帰りなんですよ」 「あ〜そうなの。私も「ころばん体操」を老人福祉センターで月に2回やっています」 「あ〜そうですか」
こちらの2人の利用客は、この日が初対面だといいます。
(利用客) 「お昼は一人なんですよね。ですから、こういうもの(食堂)があると助かりますよね」 「お皿もお茶碗も洗わなくて済むから」 「ははは」
(利用客) 「スーパーでお弁当を買って温めてというよりは、みそ汁が温かいしさ、ご飯が温かいしさ、おかずが温かいしさ、やっぱりいいよ」  
こうした食事を通して高齢者らが交流できる場は、『シニア食堂』と呼ばれています。荒川区には、ほかにも3か所あり、保健所から衛生管理などの指導も受けています。
顔なじみになれば、互いの変化にも気づきあえます。荒川区は『シニア食堂』を住民主体の介護予防活動と位置付け、運営費として月2万円を補助しています。
(荒川区高齢者福祉課・田上誠二課長) 「出かける場所やしゃべる相手、そういったものがないと、どうしても家の中に閉じこもりがちになってしまうのが高齢者の方々の特性だと思っておりますので、出かけていく場所を引き続き作っていけたら」
田んぼが広がる風景の中にポツンと施設 高齢者が通う理由
“高齢者が積極的に出かける”場所は、人口約5800人の三重県木曽岬町にも。田んぼが広がる風景の中に―。
ポツンとたたずむ、無人のフィットネスジムです。
町内に住む70代の加藤寛さん。2024年7月にジムがオープンしてから、多いときには週に4〜5回通っています。
内ももを引き締めるアダクション!下半身を強化、レッグプレス!そして、背中の筋肉に働きかけるラットプルダウン!数分ごとにマシンを替えていきます。  
加藤さんは、50代を境に病気やケガをしやすくなったといいます。さらに定年退職後には、外出の機会が減ったことで、友人とも疎遠になりつつありました。加藤さんにとって、ジムは健康を維持する場であり、社会との接点でもあります。
(加藤寛さん) 「(鍛える)目的いくつかあるうちの一つがこれ。北穂高岳を登ったときのTシャツ。米寿でアルプスを登るのが夢なんだけれど、ちょっとでも登山とかをしたいという思いがあって」
若いころの青春を取り戻すという夢も、加藤さんの原動力です。実はこのジムは、木曽岬町と全国でヘルスケア事業などを展開するライザップグループが協定を結んで出店した「官民連携」の店舗。町の空き施設を改装して使っています。
(ライザップグループ・田中聡美さん) 「(地方でも)空き家の増加や高齢者の孤立といったものが課題になっています。民間企業として何かできないかということで、こういった(官民連携の)事業をさせていただいております」
町は、この施設をライザップグループ側に無償で貸し出しています。ライザップグループは、人口の少ない地方で事業が失敗するリスクを抑えられる一方、町側も空き施設を有効活用できる、ウィンウィンの関係です。
木曽岬町の店舗に通う利用者は400人を超え、全国の店舗の平均と比べても、50代以上の利用率が高いといいます。
(利用者) 「お友達同士です」 「私は長年の肩こりが治りました。それが一番よかったです」 「外を歩きたいけれど、花粉症で外を歩けないから、こういうところでやった方がいい」
ジムの出店は、町にとって、どんな意味を持つのでしょうか?町長は令和のコミュニティーづくりのヒントを得たと感じています。
(木曽岬町・三輪一雅町長) 「自治会に入りたくないという方が本当に増えてきています。ご近所さんとお付き合いするというよりは、自然に自分が好きだから、そこに関わるんだという取り組みをサポートしていくことで、地域のつながりを少しでも保っていくという時代に来たのかなという感じはしています」
加藤さんにとってのジムの魅力は、ほかの利用者から受ける刺激です。
(加藤さん) 「いま(トレッドミルで走っている人の)足音が聞こえているでしょ。本当に尊敬します。自分もああなりたいというものが、(ジムには)いっぱい詰まっています」   
人生の生きがい、そして人とのつながりを求めて…令和の時代の居場所づくりは多様化しています。
番組ディレクターの取材後記
公民館のサークル、あるいは自治会や町内会といった組織など、従来からある地域コミュニティーの維持は、ますます難しくなっていきます。地域のつながりを生むためには、こうした集まる『場』はもちろん重要ですが、そのうえで、高齢者が出かけたいと思える『理由』を、行政と民間がアイデアを出し合ってつくりだしていくことが、令和の時代に求められるコミュニティーづくりのあり方だと思います。DSC00842.JPG

 2024年は2万1856人が誰にも看取られることなく自宅で亡くなり、うち約71.5%を高齢者が占めました。しかし、自治会や町内会など、従来からある地域のつながりは希薄化しています。自分事として考えなければ希薄化していきますね。堺市にある6つの公民館は、去年1年間で、延べ約13万5000人が利用しました。「気持ちが塞いでいるときでも、ここに来たらパッと明るくなって楽しくなる。だから結局何も作業しないで帰るときもあるんです。ものすごく公民館ってありがたいし、地元に息づいています」公民館は、気兼ねなく仲間同士が集える地域交流の拠点。しかし堺市では利用者数が減少傾向にあり、全国の公民館の数も年々減っています。人と人のつながりが薄れつつある社会で、どうすれば地域交流の場を生み出せるのでしょうか?公民館は住民が集まって対話をしたり活動できるようにすることは大事ですね。毎週水曜日、お昼の1時間限定で開く食堂『より処』。2024年11月、町会の婦人部のメンバーと共にオープンさせました。食器や調理家電はメンバーで持ち寄って活動しています。第1水曜日の献立は、カレーと決まっています。地域の祭りでも作る定番メニューです。一食400円で、20人分を用意します。開店時間が近づくと、早速、利用客がやってきました。顔なじみになれば、互いの変化にも気づきあえます。荒川区は『シニア食堂』を住民主体の介護予防活動と位置付け、運営費として月2万円を補助しています。料理作りをして一緒に会食するのはいいですね。ポツンとたたずむ、無人のフィットネスジムです。町内に住む70代の加藤寛さん。2024年7月にジムがオープンしてから、多いときには週に4〜5回通っています。内ももを引き締めるアダクション!下半身を強化、レッグプレス!そして、背中の筋肉に働きかけるラットプルダウン!数分ごとにマシンを替えていきます。加藤さんは、50代を境に病気やケガをしやすくなったといいます。さらに定年退職後には、外出の機会が減ったことで、友人とも疎遠になりつつありました。加藤さんにとって、ジムは健康を維持する場であり、社会との接点でもあります。フィットネスジムを活用した筋力アップは健康維持につながるでしょう。「(地方でも)空き家の増加や高齢者の孤立といったものが課題になっています。民間企業として何かできないかということで、こういった(官民連携の)事業をさせていただいております」町は、この施設をライザップグループ側に無償で貸し出しています。ライザップグループは、人口の少ない地方で事業が失敗するリスクを抑えられる一方、町側も空き施設を有効活用できる、ウィンウィンの関係です。木曽岬町の店舗に通う利用者は400人を超え、全国の店舗の平均と比べても、50代以上の利用率が高いといいます。「お友達同士です」 「私は長年の肩こりが治りました。それが一番よかったです」「外を歩きたいけれど、花粉症で外を歩けないから、こういうところでやった方がいい」全国的に広がっていけばいいですね。人生の生きがい、そして人とのつながりを求めて…令和の時代の居場所づくりは多様化しています。公民館のサークル、あるいは自治会や町内会といった組織など、従来からある地域コミュニティーの維持は、ますます難しくなっていきます。地域のつながりを生むためには、こうした集まる『場』はもちろん重要ですが、そのうえで、高齢者が出かけたいと思える『理由』を、行政と民間がアイデアを出し合ってつくりだしていくことが、令和の時代に求められるコミュニティーづくりのあり方だと思います。その通りではないでしょうか。DSC00841.JPG

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