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教員の働き方を真剣に考えるべきでは[2024年11月30日(Sat)]
 日テレNEWS2024年9月7日付け「「部活の顧問を辞めたい…」交通費は"自腹" 学校の教員は"定額働かせ放題"? 実態とは【#みんなのギモン】」から、体力や技能の向上のほか、集団活動を通じた人間形成など、学校教育の一環として位置づけられている"部活動"。本来は、必ずしも教員が担う必要のない業務と位置付けられていますが、実際は、多くの教師によって支えられ、長時間勤務の要因になっていると問題視されています。こうしたなか、私たちの元には、「部活の顧問を辞めたい」と訴える、現役教員から声が寄せられました。いったい何がおきているのか?取材しました。
部活後に時間外勤務 家に持ち帰り残業
「中学の教員は人間らしい生活が送れていない人が多い。部活動で泣いている教員を救ってもらいたい」
日本テレビに情報を寄せてくれたのは、関東の公立中学校でテニス部の顧問をしているAさんです。テニス部の顧問は希望ではなかったと話します。
テニス部の顧問Aさん 「(新年度がはじまる)毎年4月1日に、自動的にどこかの部に自分の名前が入っているという状態です。『ああ、やっぱりやらなくちゃいけないんだ』という気持ちで断れないのが実態ですね」
Aさんは、"部活は教員にとって大きな負担だ"と話します。その理由は‥・
テニス部の顧問Aさん 「平日、朝の練習がある場合は、生徒たちよりも早く学校に行かなければいけませんので、午前7時すぎには学校にいます。その後、授業などがあり、夕方から再び部活があります」
この学校では、部活に立ちあわなければいけないルールがあり、授業の準備などをしたくても出来ないと話します。部活が終わるのは、午後6時頃。学校に残り、残業にとりかかるといいます。そして、午後9時頃に帰宅し、夕食や入浴を済ませた後、自宅で再び残業。翌日の授業の準備などに追われ、自分の時間はほとんどなく、残業代はでません。
休日も休めず…午前4時半に部活のため外出
さらに、休日も。 遠方で試合がある場合、午前4時半に自宅を出て、午後8時に帰宅する日もあるといいます。
また、試合が雨天で延期した場合、翌日は大会の予備日になるため、日曜日に自分の予定をいれることもできません。週末に部活を休みにすると、保護者から、こんなことを言われたといいます。
保護者A  「土日も部活をやってくれないと強くなれない」
保護者B  「部活をやってくれないと、親が家にいないといけなくなり休めない。土日も学校で子どもを見てほしい」 さらに、「指導が悪いからうちの子が上達しない」と、Aさんの指導方法に批判的な言葉をかける保護者もいるといいます。
10時間働いても手当は3000円未満 "自腹"負担も
休みたくても休めないというAさん。休日に働くと"手当"が支給されますが‥
テニス部の顧問Aさん 「休日の手当は3時間分までしか出ません。例えば、10時間働いても、手当は3000円未満です。時給に換算すると200円~300円ぐらいです。私たち、高校生のアルバイトよりも、はるかに少ない金額で働かされています。もう"定額働かせ放題"です」
さらに、お金を負担することもあるといいます。
Aさんによると、遠方の大会でも、"朝練"をする必要があり、会場に間に合わせるためには、高速道路を使わざるを得ない場合がありますが、その料金は、全て"自腹"だといいます。また、ガソリン代などの交通費は1キロの移動に対し10円弱しか支給されず、足りない分は自己負担だということです。このほかに、顧問になると取得しなければならない「審判の資格」の費用や、部活で使用する自分の「ラケット」や「テニスウエア」などは、すべて自分のお金で購入しなければいけないと話します。
テニス部の顧問Aさん 「現実的には1年間のトータルでマイナスです。教員の仕事は一度も辞めたいと思ったことはないですが、部活の顧問は"すぐに辞めたい"です。子どもたちのスポーツの場、文化活動の場をなくしてはいけないことは重々承知の上ですが、でも、それが教師の犠牲の上に成り立っているのならば、それは違うんじゃないかと思います。変わっていってほしいです」
Aさんの職場の同僚も、顧問をやりたい人は、ほとんどおらず、未経験で知らない競技の顧問を任されているといいます。Aさんは「顧問は希望制にしてほしい」と訴えています。
教職員への調査 「部活の指導時間を減らしたい」
部活の顧問をすることで生じる、時間外勤務の負担。では、全国の教職員の実態は? 全日本教職員組合の調査によると、「部活の顧問をしていない」教職員の時間外勤務の平均時間(月) は「88時間」です。一方で、「部活の顧問をしている」(対外試合やコンクールなどがある部)の教職員は、「108時間」と、時間外勤務の長さは突出しているということです。また、顧問の多くが「部活の指導時間にかける時間を減らしたい」と回答し、その分「授業やその準備の時間などにあてたい」としています。
専門家 「部活は勤務時間内に終わらない仕事」
教員の負担について、全国で学校改革に取り組む、石川一郎氏は。
石川一郎 学校改革プロデューサー 「土日に部活で疲れ、代休も取れない。授業や公務の負担が減ってないのが現状ですね。通常の教員業務があって、さらに部活があるので"勤務時間内に終わらない仕事"になっています。勤務時間(定時)が終わっても生徒がいて、先生がそれを指導しなきゃいけないということに無理があると思います」 対策については。
「外部委託が、今の最適な手段だと思います」
専門家は、国が2023年度から進めている、学校の教員たちが担っている部活を、地域のスポーツクラブや民間の事業者などに担ってもらう「地域移行」が解決策の一つだと指摘します。外部の指導者が部活を担うことで、教員の負担軽減につながるといいます。
教員の働き方の改善が求められるなか、文科省は、8月末、教員の働き方に関する総合的な政策をまとめ、2025年度は教員約7700人増員することや、処遇改善として、教員に残業代が支払われないかわりに上乗せされる「教職調整額」をこれまでの「4%」から「13%」への引き上げを目指し、来年度予算の概算要求に盛り込みました。
教員の長時間労働と"なり手不足"の問題は、今後、解消されていくのでしょうか?017.JPG

 学校教育の一環として位置づけられている"部活動"。本来は、必ずしも教員が担う必要のない業務と位置付けられていますが、実際は、多くの教師によって支えられ、長時間勤務の要因になっていると問題視されています。部活動は子どもたちのための学校教育の一環と位置付けられ頑張っている教員が多いでしょうが、部活動の指導のために教員の本来業務に専念できない可能性があるのではないでしょうか。部活に立ちあわなければいけないルールがあり、授業の準備などをしたくても出来ないと話します。部活が終わるのは、午後6時頃。学校に残り、残業にとりかかるといいます。そして、午後9時頃に帰宅し、夕食や入浴を済ませた後、自宅で再び残業。翌日の授業の準備などに追われ、自分の時間はほとんどなく、残業代はでません。教員働かせ放題と言われる所以でしょう。さらに、休日も。遠方で試合がある場合、午前4時半に自宅を出て、午後8時に帰宅する日もあるといいます。また、試合が雨天で延期した場合、翌日は大会の予備日になるため、日曜日に自分の予定をいれることもできません。週末に部活を休みにすると、保護者から、こんなことを言われたといいます。保護者は自分のこどものことだけを考え、教員の事情は考慮せずに教員が部活動を指導するのは当たり前という固定観念があるのではないでしょうか。遠方の大会でも、"朝練"をする必要があり、会場に間に合わせるためには、高速道路を使わざるを得ない場合がありますが、その料金は、全て"自腹"だといいます。また、ガソリン代などの交通費は1キロの移動に対し10円弱しか支給されず、足りない分は自己負担だということです。このほかに、顧問になると取得しなければならない「審判の資格」の費用や、部活で使用する自分の「ラケット」や「テニスウエア」などは、すべて自分のお金で購入しなければいけない。「土日に部活で疲れ、代休も取れない。授業や公務の負担が減ってないのが現状ですね。通常の教員業務があって、さらに部活があるので"勤務時間内に終わらない仕事"になっています。勤務時間(定時)が終わっても生徒がいて、先生がそれを指導しなきゃいけないということに無理があると思います」公務員だからいいでしょうと思っているのでしょうか。自腹を切って自分の時間を犠牲して働く職業を選ぶ人がいるでしょうか。教員になりたいと思えるような働く環境が整っていなければならないでしょう。教員の働き方の改善が求められるなか、文科省は、8月末、教員の働き方に関する総合的な政策をまとめ、2025年度は教員約7700人増員することや、処遇改善として、教員に残業代が支払われないかわりに上乗せされる「教職調整額」をこれまでの「4%」から「13%」への引き上げを目指し、来年度予算の概算要求に盛り込みました。文科省の対策は抜本的な解決には程遠いかもしれません。教員数を大幅に増やし持ち時間も軽減して一人ひとりの教員が部活動指導は行わず教材研究などの学習指導に専念することができるような環境が築かれれば教員になりたい人も増える可能性があるかもしれません。真剣に考える必要があるのではないでしょうか。015.JPG
国民一人ひとりを考えればギャップがあるのでは[2024年11月29日(Fri)]
 毎日新聞2024年9月7日付け「経済財政白書「老後資金ため込みすぎ」違和感の正体」から、内閣府が2024年8月に公表した経済財政白書は、高齢者が蓄えた老後資金は85歳を過ぎても平均15%程度しか取り崩されていないという現状をリポートした。高齢者が抱え込んだお金が投資や消費に回らず、日本経済に有効に使われていないという指摘だ。だが、長寿社会を迎え、個人の老後設計では「資産の寿命を延ばす」ことが重要であることは常識化している。このギャップは何か。
老後資金の「取り崩し」を分析  
経済財政白書の正式名称は「年次経済財政報告」。政策に役立てることを目的に、内閣府が日本経済の分析を行い、年1回公表している。  
24年版は、日本経済が、賃上げと投資がけん引する成長型に移る正念場にあるとして、二つの課題を挙げた。一つは成長の制約となる人手不足の克服。そしてもう一つが資産の有効活用だ。  
白書によると、日本には、現預金・株式など金融資産と住宅・設備など実物資産をあわせたストックが22年末で1京2650兆円ある。家計部門の純金融資産(資産から負債を引いたもの)は24年末で1800兆円。半分以上は現預金で、保有は高齢者に偏る。  
内閣府が、総務省の「19年全国家計構造調査」を元に分析したところ、世帯の金融資産は年齢が高くなるほど増え、リタイア期の60〜64歳で平均約1800万円強とピークとなる。
だが、65歳以降の取り崩しペースは緩やかで、85歳以上でも平均約1500万円強と300万円弱しか減っていない。  
このため白書は、高齢者は公的年金や働いて得た所得で大半の消費をまかなっており、老後資金の取り崩しは非常に限定的とする。  
背景は複合的だが老後不安が大きいという。金融広報中央委員会の23年の調査では、60歳以上が金融資産を保有する目的は「老後の生活資金」が77%と最大となった。高齢者の3分の1は「自分で財産を使い切りたい」と考えており、長寿化が進み、長生きリスクが強く意識されているとした。  
こうしたことから白書は、高齢者の資産が有効活用されず、資源配分に非効率性があると問題提起する。日本経済の活性化には、高齢者が無駄にお金をため込まず、消費や投資に回すことが必要というわけだ。  
「老後2000万円問題」とのギャップ  
だが、これに疑問を持つ人は少なくないだろう。老後資金の問題とは「ため込みすぎ」ではなく「足りない」はずだったからだ。  
金融庁の金融審議会が19年に公表した報告書が「老後2000万円問題」として大反響を招いたのは記憶に新しい。高齢夫婦が貯蓄を月平均約5万円取り崩している現状を挙げ「人生100年時代は約2000万円不足する」という計算を示し、その部分が切り取られて批判を浴びた。  
だが、長寿社会を迎え、長い老後に備える資産形成が重要になるのは当然だ。報告書を契機に幅広い世代で老後資金の必要性が認識されることになった。  
日本では金融教育の普及が課題となっており、24年8月には司令塔となる金融経済教育推進機構が本格稼働した。その標準教材は、豊かな老後のために「老後資金の延伸を考えましょう」と説く。老後資金を長持ちさせるのは老後プランの基本だ。  
ところが、白書は「老後資金は十分だから取り崩したほうがいい」と勧める。  
このギャップはなぜ生じるのか。  
実は、白書の指摘は目新しいものではない。家計資産が高齢者に偏り、多くが現預金で占められ、有効活用されていないことは、課題として長年議論されてきた。  
ところが、今回の白書が触れていない点がある。高齢者間の金融資産格差が非常に大きいことだ。  
総務省の「家計調査」によると、65歳以上世帯(2人以上)の金融資産は23年で平均2462万円。資産ゼロの世帯を除き、資産の低い順に並べて真ん中になる「中央値」は1604万円で、資産が少ない世帯に分布が偏る。資産4000万円以上の世帯は全体の19%だが、同400万円以下も19%ある。  
高齢者の資産格差が大きいのは、現役時代の収入差が貯蓄差として積み上がり、退職金や企業年金、資産運用などの差も影響するためだ。厚生年金額は現役時代の収入に基づくため引退後の年収差を生む。親の相続時期を迎え、親の資産を引き継げばさらに差は開く。  
つまり、日本全体でみれば高齢者の老後資金は過剰かもしれないが、保有には偏りがあり、必ずしも個々の高齢者にはあてはまらない。むしろ近年は、金融資産が少ない世帯の割合が高まり、経済的に困窮する高齢者は増えている。過剰なのはもっぱら資産の多い人の話であり、「平均値」で論じてもあまり意味はない。  
「教育資金の一括贈与」の今さら  
白書は、老後資産が有効に使われるための政策提案も挙げる。だが、格差の視点を欠くため、ややピントがずれている。  
政策提案は、まず、日本経済を成長型ステージに高めることを挙げる。経済が停滞していると将来不安から「子世代に財産を残そう」という動機につながるが、成長期待を引き上げれば、動機は緩むとする。さらに「教育資金の一括贈与」などの非課税措置などで資産移転を後押しすることを挙げる。  
これには違和感が大きい。  
まず、高齢者の3分の1は「財産を使い切りたい」と考えており、子世代に資産を残したいという動機はそもそもさほど強くない。一般に子世代への相続を強く意識するのは資産の多い人に限られる。  
そこで、生前贈与の税制優遇など、高齢者から現役世代への資産移転を促進する政策を導入すれば、金融資産を多く持つ人と持たない人の間で、世代を超えた格差を固定化するという問題が生じる。  
これについては、政府税調が「相続と贈与」で資産移転の時期が違っても中立的となる税制を提言し、すでに税制改正に反映されているところだ。  
「教育資金の一括贈与」に至っては今さら「後押し」する意図がわからない。もっぱら富裕層の節税に使われるなど問題があり、政府税調が廃止を求め、制度縮小の流れにある。
また、白書は、政策提案として、公的年金制度の持続可能性を確保することや、「貯蓄から投資」の流れを進め、若年期から収益性の高い資産形成を促すことも提案する。  
こちらは大筋では異論はない。  
そもそも、公的年金の持続可能性を確保するのは当然で、反対する人は少ない。  
現役世代から長期投資による資産形成を促すのは、少額投資非課税制度(NISA)の拡充で流れができつつあり、息長く取り組むべき課題だ。  
ただし、白書は、現時点の高齢者資産が現預金に偏り活用されていない点を問題にしており、現役世代が今後取り組む資産形成とはテーマがやや異なるはずだ。  
そこで、現時点の高齢者資産を投資に振り向けるべきだとするなら、無理が生じる。投資理論でみれば、本来、高齢になるとリスク資産への投資配分を下げるのが自然だ。高齢になると認知機能が低下するため、一般には投資リスクを高めることには慎重になるべきだ。
高齢化が金融に与える影響は大きくなっており、近年、金融と「老年学(ジェロントロジー)」を組み合わせた「金融ジェロントロジー」という学問分野が生まれ、研究が進んでいる。白書には、そうした知見も取り入れ、もう少し現実に踏み込んだ、深みのある分析を期待したいところだ。019.JPG

 経済財政白書は、高齢者が蓄えた老後資金は85歳を過ぎても平均15%程度しか取り崩されていないという現状をリポートした。高齢者が抱え込んだお金が投資や消費に回らず、日本経済に有効に使われていないという指摘だ。だが、長寿社会を迎え、個人の老後設計では「資産の寿命を延ばす」ことが重要であることは常識化している。確かに国民の資産を有効に活用できればいいでしょうが、資産運用は一人ひとりが考えることで国が効率的な使い方かどうか判断することではないでしょう。日本には、現預金・株式など金融資産と住宅・設備など実物資産をあわせたストックが22年末で1京2650兆円ある。家計部門の純金融資産(資産から負債を引いたもの)は24年末で1800兆円。半分以上は現預金で、保有は高齢者に偏る。総務省の「19年全国家計構造調査」を元に分析したところ、世帯の金融資産は年齢が高くなるほど増え、リタイア期の60〜64歳で平均約1800万円強とピークとなる。だが、65歳以降の取り崩しペースは緩やかで、85歳以上でも平均約1500万円強と300万円弱しか減っていない。複合的だが老後不安が大きいという。金融広報中央委員会の23年の調査では、60歳以上が金融資産を保有する目的は「老後の生活資金」が77%と最大となった。高齢者の3分の1は「自分で財産を使い切りたい」と考えており、長寿化が進み、長生きリスクが強く意識されているとした。国民は老後のことが心配で資産を使い切ることができないのではないでしょうか。高齢者の資産が有効活用されず、資源配分に非効率性があると問題提起する。日本経済の活性化には、高齢者が無駄にお金をため込まず、消費や投資に回すことが必要というわけだ。国としては国民の資産を効率的に活用して国力をアップさせたいのでしょうが、無駄に溜め込んでいるのではなく老後が心配だから貯蓄して資産を確保しているのでしょう。白書は「老後資金は十分だから取り崩したほうがいい」と勧める。このギャップはなぜ生じるのか。実は、白書の指摘は目新しいものではない。家計資産が高齢者に偏り、多くが現預金で占められ、有効活用されていないことは、課題として長年議論されてきた。ところが、今回の白書が触れていない点がある。高齢者間の金融資産格差が非常に大きいことだ。日本全体でみれば高齢者の老後資金は過剰かもしれないが、保有には偏りがあり、必ずしも個々の高齢者にはあてはまらない。むしろ近年は、金融資産が少ない世帯の割合が高まり、経済的に困窮する高齢者は増えている。過剰なのはもっぱら資産の多い人の話であり、「平均値」で論じてもあまり意味はない。高齢者と一括りにする訳にはいかないでしょう。格差が広がっている以上は、資産のある人を対象に取り崩すことを推進すればいいのでしょう。白書は、政策提案として、公的年金制度の持続可能性を確保することや、「貯蓄から投資」の流れを進め、若年期から収益性の高い資産形成を促すことも提案する。確かに貯蓄しても資産はあまり増えないでしょう。投資すればリスクがありますが増える可能性はあるでしょう。一人ひとりの資産をどうするかということは国民一人ひとりが考えることで国が成長力を高めるために活用したいからと言ってその通りにはならないのではないでしょうか。経済財政白書は国民のために提案することが望ましいのではないでしょうか。018.JPG
日本人が滅ばないためには[2024年11月28日(Thu)]
 マネーポストWEB2024年9月6日付け「《独自》ユニクロ柳井氏「日本人は滅びる」発言に元ネスレ日本CEOが賛同 「“世界の中の日本”の立ち位置を正確に表わしている」バブル崩壊後の日本企業の失敗とは」から、「少数精鋭で仕事するということを覚えないと日本人は滅びるんじゃないですか」。ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、日本テレビの『日テレNEWS』(8月26日放送)で述べた内容が波紋を広げている。同番組で柳井氏は、30年間低成長を続け、少子高齢化が進む日本はすでに中流階級の国ではないと語り、外国からの知的労働者を受け入れて少数精鋭で働く方向にシフトチェンジしないと、「日本人は滅びる」との危機感を表明した。
これに反応したのが「ZOZO」創業者で実業家の前澤友作氏。〈滅びるわけないだろって〉と自身のXに投稿し、〈移民で労働人口を増やそうとする前に、日本人の労働生産性の最大化を諦めたくない。日本人の底力はこんなもんじゃない。もっともっとやれるはず〉と続けて思いを綴った。ネット上では柳井氏の発言が炎上する一方、前澤氏の発言には共感や賛同の声が多く寄せられているが、現場の課題を知る経営のプロはこの“論争”をどう受け止めたのか。
「僕は、圧倒的に柳井さんの言っていることのほうが正論ではないかと思いますね」
そう語るのは、ネスレ日本の元代表取締役社長兼CEOである高岡浩三氏。外資系企業のトップを長く務めた経験を持つ高岡氏は、柳井氏の考え方に共感する。
「僕は外資系にいたので、少なくとも日本企業の経営者よりはプロ経営者とは何かを理解しているつもりです。『日本人が滅びる』とまで言うのは柳井さんの言葉のアヤだと思いますが、世界の中でこれだけ日本の地位が低くなっている現状では、彼と同じように、僕も選択的な移民政策はやらざるを得ないと思っています」(高岡氏、以下「」内同)
先進国の本音は「日本のようになりたくない」
 高岡氏は、返す刀で“前澤氏優勢”の世の風潮に異議を申し立てる。
「柳井さんはZARAが始めた製造小売というビジネスモデルを磨いてユニクロを日本一のアパレル企業に育てました。前澤さんも一代でビジネスを始めた人ですが、立ち上げたZOZOTOWNをいいタイミングで売り抜けた。しかもZOZOTOWNは国内でしか展開していませんが、ユニクロは世界で勝負している。グローバルな競争社会のなか、『日本人はもっとやれる』という響きの良い言葉に共感したい人が多いのかもしれませんが、前線で仕事する柳井さんの言葉のほうが“世界の中の日本”の立ち位置を正確に表わしていると考えます」  
高岡氏がそう考える背景には、シビアな現状認識がある。
「日本は世界で最も深刻なレベルで少子高齢化が進み、国力が衰えています。僕がネスレ日本の社長に就任する20年前にはすでに右肩下がりで、先進国はみんな“日本のようになりたくない”と思っていました。特にネスレのような食品企業は、人口が減って胃袋の数が減り、さらに高齢化で消費量が減ると、誰がやっても売り上げと利益を伸ばすのは難しい。それほど、少子高齢化はビジネスにとってマイナスになるのです」
バブル崩壊までは「労働者が優秀だった」
 日テレのインタビューで柳井氏は、1ドル80円だった時代と比べて円の価値が半減し、給与水準が30年間ほぼ上がってこなかった日本は、「世界基準で考えたら年収200万円台の国」と発言した。
「日本の経済がこれだけ縮小して日本人の給料が安いのは、企業に稼ぐ力がないからです。自国の中だけの競争では市場が広がらないし、商品やサービスの平均的レベルが高いので、その中で優位性を求めてもなかなか稼げません。実際、スイスのビジネススクール国際経営開発研究所(IMD)が発表した世界競争力ランキング2024で、日本は67の国・地域のうち38位でした。バブル期の日本は1位だったので、凋落ぶりは明らかです」  
バブル期の日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称されたが、バブルが弾けてから30年以上もの間、日本経済が低迷を続ける理由は何か。「バブル期は経営者がプロだったのではなく、労働力が優秀でした」と高岡氏は語る。
「戦後の日本経済復興の半世紀でバブルが弾けるまでは、日本は先進諸国に追い付けの新興国。ただ、当時7500万人の人口であった日本の労働人口のほとんどが読み書きできたのは、非常に稀でした。また戦前・戦中の『産めよ殖やせよ』の時代で子供の数が多かったこともあり、戦後の日本の人口は50年間で約5000万人も増えました。質の良い低コストの労働力で、欧米諸国が創ったイノベーションを模倣して、さらに良い商品を作る。
人口が増える国内で成長し、かつ海外に低価格で輸出できた。戦後バブルが弾けるまでの半世紀、日本経済はこうした低コストで質の良い労働力に助けられていたのです。
バブル後に人口が減少し始めたら、本来はそれまでの“勝利の方程式”を捨てなければならなかった。コストが安く質の高い労働力に頼るのではなく、マーケティングを学んだプロの経営者がイノベーションを起こしたり、少数の人間が効率的に高品質の製品を作れるように労働生産性を高めたりする必要がありましたが、日本の経営者はその努力を怠りました。その結果、『失われた30年』が延々と続いたわけです」022.JPG

 「少数精鋭で仕事するということを覚えないと日本人は滅びるんじゃないですか」。30年間低成長を続け、少子高齢化が進む日本はすでに中流階級の国ではないと語り、外国からの知的労働者を受け入れて少数精鋭で働く方向にシフトチェンジしないと、「日本人は滅びる」との危機感を表明した。確かに少数精鋭で輝く企業を増やしていかなければ生き残れないかもしれません。「僕も選択的な移民政策はやらざるを得ないと思っています」選択的移民政策が必要だという考え方はわかりますが、少子化の中で労働人口が減少していろいろな分野で人手不足が深刻化することを考えれば選択的だけでない移民政策も推進する必要があるのではないでしょうか。「柳井さんはZARAが始めた製造小売というビジネスモデルを磨いてユニクロを日本一のアパレル企業に育てました。前澤さんも一代でビジネスを始めた人ですが、立ち上げたZOZOTOWNをいいタイミングで売り抜けた。しかもZOZOTOWNは国内でしか展開していませんが、ユニクロは世界で勝負している。グローバルな競争社会のなか、『日本人はもっとやれる』という響きの良い言葉に共感したい人が多いのかもしれませんが、前線で仕事する柳井さんの言葉のほうが“世界の中の日本”の立ち位置を正確に表わしていると考えます」国内を中心に成り立っている企業にとっては滅びないでほしいと願っているのかもしれませんが、世界を相手にしている企業は日本の状況に危機感を覚えるのでしょう。「日本の経済がこれだけ縮小して日本人の給料が安いのは、企業に稼ぐ力がないからです。自国の中だけの競争では市場が広がらないし、商品やサービスの平均的レベルが高いので、その中で優位性を求めてもなかなか稼げません。実際、スイスのビジネススクール国際経営開発研究所(IMD)が発表した世界競争力ランキング2024で、日本は67の国・地域のうち38位でした。バブル期の日本は1位だったので、凋落ぶりは明らかです」バブル期の日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称されたが、バブルが弾けてから30年以上もの間、日本経済が低迷を続ける理由は何か。「バブル期は経営者がプロだったのではなく、労働力が優秀でした」人口が増える国内で成長し、かつ海外に低価格で輸出できた。戦後バブルが弾けるまでの半世紀、日本経済はこうした低コストで質の良い労働力に助けられていたのです。企業は内部留保を溜め込んで内向き志向になっているのではないでしょうか。世界中から日本で働きたいと思えるような魅力的な企業が増えなければ厳しい状況になるのでしょう。バブル後に人口が減少し始めたら、本来はそれまでの“勝利の方程式”を捨てなければならなかった。コストが安く質の高い労働力に頼るのではなく、マーケティングを学んだプロの経営者がイノベーションを起こしたり、少数の人間が効率的に高品質の製品を作れるように労働生産性を高めたりする必要がありましたが、日本の経営者はその努力を怠りました。その結果、『失われた30年』が延々と続いたわけです」優秀な企業経営者が足りない状況では厳しいでしょう。プロの経営者が増え日本が元気になることを期待したいです。021.JPG
生き方が大事ですね[2024年11月27日(Wed)]
 GOETHE2024年9月2日付け「89歳世界最高齢プログラマーに見る。「なんでも面白がる」精神が脳を刺激し、元気に長生きできる【和田秀樹対談D】」から、81歳の時にiPhoneのゲームアプリを開発して“世界最高齢プログラマー”として各界が注目。Apple社のCEOティム・クック氏や台湾のデジタル大臣だったオードリー・タン氏からも一目置かれる存在になった。政府の会議でもズバリ物申す若宮正子さん。常識や世間の目に囚われないこの対談は「日本の壁」を切り崩す。
人の目は気にしない
和田 僕は人の目とか、世間体とかをあまり気にしないんですが、若宮さんもそうですか?
若宮 そうかもしれませんね。終戦で一日にして価値観が180度変わる体験をしていますからね。誰かの言いなりになる愚かさや恐ろしさのようなものを知っているので。
和田 銀行員時代は、当時、なかなか取る人がいなかった有給休暇も積極的に取得したとお聞きしました。
若宮 はい。GWの間の飛び飛びの日なんて、取引先も休んでいるところが多くて、会社に行ってもたいして仕事がない。だから有給を取って海外旅行に行ったりしていました。そんなふうに早くからやりたい放題でしたね。誰かに迷惑をかけるわけじゃないし、別に問題ないと。ただ同僚の中には「話題になっちゃう」と心配してくれる人もいました。私はまったく平気でしたけど。
和田 さすがですね(笑)。
若宮 価値判断は、人それぞれですから。「誰かに何か言われるのを気にする」か、「自分のやりたいことをやる」か。どちらを重んじるかは、各人の価値観で決めることですから、他人がとやかくいう問題ではないと思っています。
和田 高齢者の多くは、常識や世間の目を気にして、やりたいことを我慢してしまう。
これが意欲低下につながり、老化を速めてしまうのです。もっと好きに生きるべきだし、好きなことをできる時間は、今しかないんです。年をとればとるほど、体も脳の機能も、衰えてくるわけですから。
若宮 本当にそう思いますね。私は自分のやりたいことは、誰かに何かを言われてもやるつもりです。まあ、これは若い時からそうでしたけど。
和田 そうですね(笑)。
若宮 ネットなんかで調べると、いろんなことを言われています。「もうすぐ90歳にしては口紅の色が濃すぎる」とか。だけどあれだって、たまたま買ったものが濃くて、もったいないから使っているだけなんです(笑)。でも面白いですよね。みんなが評論家で、やっている人を好き勝手に批評する。私は気にしないからいいんですけど。
和田 人の目を気にする人と気にしない人。この違いは、生まれついての性格もあると思います。でも、その性格に対して、親がどう接したかで変わってくるのだと思います。
若宮 性格に、親の価値観や常識が上書きされる?
和田 はい。例えば、活発な子に対し「女の子なんだから、こんなことしちゃダメ」と性格への修正が入ったりする。そうやって性格が変わったり、能力が衰えたりするんです。でも、若宮さんみたいに、子供の頃から変わらない人もいるんです。
若宮 そうですね。
和田 さっきの若宮さんの話で僕がすごく興味を持ったのは、「面白そうだったらやる。でも面白くなかったらやめる」という部分。それだけのことなんですよ。イヤだったらやめりゃいいだけの話ですから。
若宮 そうなんです。
和田 いつだって変えられるんですよ。
生き方が大事
和田 でも現時点では、同じ90歳の人よりも脳はすごいと思います。なぜすごいかと言えば、やっぱり使い続けているからです。
若宮 面白そうなことがあったらとりあえずやってみる。新しいことをすると、頭を使いますよね。
和田 前頭葉は、一度萎んでしまうと、元の状態には戻せません。だけど、刺激を与えれば、前頭葉の働きをよくすることはできるんです。つまり、意欲は取り戻せるんですよ。
若宮 年齢に関係なく、意欲的になれるってことですね。
和田 はい。ただし、若宮さんを見ればわかりますが「なんでも面白がる」といった“生きる態度”のようなものは、早いうちに変えておくほど、年をとってからよかったと思える。
若宮 どう生きるか。生き方が大事ってことですね。
和田 そうです。例えば医者の世界で出世して30代後半で医学部の教授になれても、65歳で辞めなければならない。あと、年をとってから人と仲良くできない人って、結構みじめな思いをしている。そういうのを見ていて、結局、世俗的な出世よりは、自分がどう生きていくかが大事なんだなと、考えるわけです。
若宮 仰る通りですね。定年してからも人生は長いですから。
和田 今頃になって、出世したやつが僕に「うらやましい」と言ってくる。教授にはなったけど「これからどうしよう」とか「就職先がない」と。僕の立場なら少なくともあと10年はやっていけるだろうし、それを20年先に延ばすには、どうしたらいいかと考えている。やはり、生まれ持った脳や性格の問題ではなく、生き方が大事だと思うんですよ。
若宮 本当にそうですね。
和田 やはり生き方が素敵だから、今の若宮さんがあると思うんです。生き方が素敵だと、脳を使うから、脳が衰えない。
若宮 今度のお誕生日がくると90歳になるとみんなが言うんですが、私は年を気にしてないから、その実感がありません。だから、わりと若い人たちとも話が合うんです。
和田 旅行が趣味だと、高齢になっても歩けるってことが大事です。それにはやはり、若い頃から動いておいたほうがいい。年をとってから「さあ歩こう」とやっても、なかなかできませんから。脳も体も、やはり動かし続けることでしか老化を防げません。意欲もそうです。それには前頭葉を使い続ける。物事を考える、自分の言葉で表現する、興味を持ったことにチャレンジする、という経験の積み重ねが、元気で長寿につながることは、間違いありません。024.JPG

 僕は人の目とか、世間体とかをあまり気にしないんですが、若宮さんもそうですか?そうかもしれませんね。終戦で一日にして価値観が180度変わる体験をしていますからね。誰かの言いなりになる愚かさや恐ろしさのようなものを知っているので。人の目を気にしていたらキリがないし、余計に気を回さなければなるかもしれません。GWの間の飛び飛びの日なんて、取引先も休んでいるところが多くて、会社に行ってもたいして仕事がない。だから有給を取って海外旅行に行ったりしていました。そんなふうに早くからやりたい放題でしたね。誰かに迷惑をかけるわけじゃないし、別に問題ないと。ただ同僚の中には「話題になっちゃう」と心配してくれる人もいました。私はまったく平気でしたけど。価値判断は、人それぞれですから。「誰かに何か言われるのを気にする」か、「自分のやりたいことをやる」か。どちらを重んじるかは、各人の価値観で決めることですから、他人がとやかくいう問題ではないと思っています。割り切っているのですね。あまりストレスを溜めることがないのかもしれません。高齢者の多くは、常識や世間の目を気にして、やりたいことを我慢してしまう。これが意欲低下につながり、老化を速めてしまうのです。もっと好きに生きるべきだし、好きなことをできる時間は、今しかないんです。年をとればとるほど、体も脳の機能も、衰えてくるわけですから。時間が限られているなら好きに生きるべきですね。「面白そうだったらやる。でも面白くなかったらやめる」という部分。それだけのことなんですよ。イヤだったらやめりゃいいだけの話ですから。その通りですね。嫌なことをやらなければならないと思ったら重荷になるでしょう。前頭葉は、一度萎んでしまうと、元の状態には戻せません。だけど、刺激を与えれば、前頭葉の働きをよくすることはできるんです。つまり、意欲は取り戻せるんですよ。意欲を持ち続けることが大事なのですね。どう生きるか。生き方が大事ってことですね。旅行が趣味だと、高齢になっても歩けるってことが大事です。それにはやはり、若い頃から動いておいたほうがいい。年をとってから「さあ歩こう」とやっても、なかなかできませんから。脳も体も、やはり動かし続けることでしか老化を防げません。意欲もそうです。それには前頭葉を使い続ける。物事を考える、自分の言葉で表現する、興味を持ったことにチャレンジする、という経験の積み重ねが、元気で長寿につながることは、間違いありません。興味を持ったことにチャレンジして長寿になることは最高ですね。生き方が大事ですね。023.JPG
「政策を決めるためのメカニズム」を変えることができるか[2024年11月26日(Tue)]
 現代ビジネス2024年8月29日付け「自民党式「カネ媒介の派閥政治」に国民はもうウンザリ...「その先」を目指すために野党が示すべき、メタな「メカニズム」」から、黒船なき令和の日本で、革命なき安逸の日々のなかで、激烈な政権交代は起きるのか? しかし、いま変わらなければ――かならず日本は、沈む!
百戦錬磨の戦略家、橋下徹(55歳)。時代を見定め、歴史を洞察し、日本人の本質を透徹した先に見えた悪魔的リアリズム、それが「政権変容論」だ。橋下氏は言う。
「『政権変容』が劇的に新しいのは、自民党がどうであろうと関係なく、野党が腹を括って決断しさえすれば次の総選挙で実現できるところです」 2024年の選挙から、グレートリセットは始まるのだ。
政策ではなく「政策決定のメカニズム」を変える
では3(連載第11回を参照)はどうでしょう。「左右対決」ではなく「新旧対決」に持ち込む。その真意は?
橋下:今回の自民党の裏金問題に対する国民の拒否反応は、日本の政治にとって重要なターニングポイントになるはずです。政治にはおカネがかかるという固定観念、あるいは政治を動かすためには派閥の力が必要だという思い込みや派閥の力学こそが「政治」だと思わされてきた常識を、ぶち破るだけの威力がある。これまで日本人が「政治」だと思い込まされてきたことは、実は自民党内部のお山の大将同士の陣取り合戦にすぎなかったことに、国民が気づき始めています。
それが「政治」というものだ、派閥の争いにはおカネがかかるんだと政治家や政治評論家たちが偉そうに言ったとしても、そんな政治はいらない!と国民が意思表示しているわけです。
民主主義が成熟してきた今の日本では、人々が願うのは「カネを媒介とした政治」ではなく、「公開の場で政策論を闘わせ、公正なルールの下、原則多数決で決めていく政治」です。
一部の政治家や一部の業界団体だけでなく、広く国民を巻き込んでより多くの共感・支持を集めながら政治を進める政党こそが、日本の国を動かしていくことができるのです。
カネによる政治からの脱却
今の若者も、おカネよりもフォロワーや推しのほうが大切だという感覚を持っています。
橋下:そうでしょう。フォロワーや推しが大事なんて言うと、また「ポピュリズム政治を推奨するのか」と言われそうだけど、そうじゃないんですよ。
何から何まで国民に媚を売る必要はないし、ある場面では多くの国民の意見に反してでも政治家として選択すべきこともあるでしょう。
でも今や国民間の所得格差が拡大し、それが世代を超えて固定化してくる時代です。ですから政治はより多くの国民の声を拾い、より多くの国民の感覚に寄り添う必要が、これからますます大きくなります。
だとすれば、一部の国民の生活状況や気持ちだけがよく分かる政治家よりも、多様なバックボーンを持って多くの国民の実生活を想像できる政治家のほうが求められる。
今、日本の政界における世襲政治家は約三割と言われています。親や親族からその地盤を受け継いだ彼らは、地盤・看板・カバンという「三バン」を持ち、政治家になっていく。政治が「カネを介した関係性」「個人を超えた家の信頼性」「飲食を介した内輪話」で回っていく性質を維持する限り、前記の「三バン」がモノを言うし、それを持たない若手新人議員は、有力な政治家の傘下に下るしかなくなります。
もう、そんな政治は止めましょうよ。仲間をつくるために飲食や贈答品が必要で、そのために多大な「カネ」が必要だなんて、そんなのは健全な民主主義国家とは呼べません。
有権者が望んでいるのは、今や「カネによる政治」ではない。自分たち国民と同じルールに従いながらおカネを扱う政治家たちに託したい。そして国民一般が受益者となるような政策を実行してもらいたいと強く願っているでしょう。
政策を決めるメカニズムを変える
橋下:おカネや身分や地盤ではなく、「こういう社会にしたい」という強い意志を持ち、その実現のために多くの有権者を巻き込みながら政策論争の結果で方針を決める。しかも口先だけでなく地方の政治行政の場においてその方針を政策として実行する。
このような野党政治家、政党を国民は求めています。つまり、政策を決めるメカニズムを、これまでの自民党政治のものから変えるんです。 ―面白いですね。野党は「政策」を一気に変えるのではなく、「政策を決めるためのメカニズム」を変える。これを国民へのアピールポイントとして掲げてはどうかということですね。
橋下:そうです。政策の中身の違いを言い始めちゃうと、結局、野党それぞれの主義主張がぶつかりあって、収拾がつかなくなってしまう。
だから政策の中身ではなく、「物事の決め方」の部分で、自分たちは与党自民党とは違うということを、明確に打ち出すんです。
それは「最後は多数決で決めて、決まった結果に従う」というメカニズムです。028.JPG

 自民党の裏金問題に対する国民の拒否反応は、日本の政治にとって重要なターニングポイントになるはずです。政治にはおカネがかかるという固定観念、あるいは政治を動かすためには派閥の力が必要だという思い込みや派閥の力学こそが「政治」だと思わされてきた常識を、ぶち破るだけの威力がある。これまで日本人が「政治」だと思い込まされてきたことは、実は自民党内部のお山の大将同士の陣取り合戦にすぎなかったことに、国民が気づき始めています。今の政治を良いと思っている人は多くはないので国民はダメなことにダメと声を上げる必要があるでしょう。民主主義が成熟してきた今の日本では、人々が願うのは「カネを媒介とした政治」ではなく、「公開の場で政策論を闘わせ、公正なルールの下、原則多数決で決めていく政治」です。一部の政治家や一部の業界団体だけでなく、広く国民を巻き込んでより多くの共感・支持を集めながら政治を進める政党こそが、日本の国を動かしていくことができるのです。公正なルールの下で公開の場で政策論を展開して決めていくことが大事でしょう。今や国民間の所得格差が拡大し、それが世代を超えて固定化してくる時代です。ですから政治はより多くの国民の声を拾い、より多くの国民の感覚に寄り添う必要が、これからますます大きくなります。一部の国民の生活状況や気持ちだけがよく分かる政治家よりも、多様なバックボーンを持って多くの国民の実生活を想像できる政治家のほうが求められる。日本の政界における世襲政治家は約三割と言われています。親や親族からその地盤を受け継いだ彼らは、地盤・看板・カバンという「三バン」を持ち、政治家になっていく。政治が「カネを介した関係性」「個人を超えた家の信頼性」「飲食を介した内輪話」で回っていく性質を維持する限り、前記の「三バン」がモノを言うし、それを持たない若手新人議員は、有力な政治家の傘下に下るしかなくなります。そんな政治は止めましょうよ。仲間をつくるために飲食や贈答品が必要で、そのために多大な「カネ」が必要だなんて、そんなのは健全な民主主義国家とは呼べません。有権者が望んでいるのは、今や「カネによる政治」ではない。自分たち国民と同じルールに従いながらおカネを扱う政治家たちに託したい。そして国民一般が受益者となるような政策を実行してもらいたいと強く願っているでしょう。確かに多様なバックボーンを持って多くの国民の実生活を想像できる政治家が増えることの方が国民のためになるでしょう。「物事の決め方」の部分で、自分たちは与党自民党とは違うということを、明確に打ち出すんです。それは「最後は多数決で決めて、決まった結果に従う」というメカニズムです。物事の決め方を変えることですべてが変わるかわかりませんが、大変大事なことでしょう。旧態依然の政治を変えることを最優先にするためにはどうすればいいのか国民的議論を巻き起こす必要があるでしょう。国民が必要なときには声を上げなければならないでしょう。027.JPG
夫婦とも感謝の気持ちとねぎらいを伝えることが大事なのでしょう[2024年11月25日(Mon)]
 テレビ朝日2024年8月28日付け「熟年離婚率が過去最高に 実録 なぜ離婚を決断?&増加の背景は」から、『熟年離婚』の割合が、過去最高になりました。 なぜ長年連れ添った夫婦が、熟年離婚を決断するのでしょうか。
熟年離婚の割合 統計開始以来 過去最高に
熟年離婚とは、20年以上同居した夫婦が離婚することです。
いま、熟年離婚の割合は増えてきています。 2022年には約23.5%と、1947年に統計を開始して以降、過去最高となりました。離婚した夫婦のうち、4組に1組が熟年離婚です。
夫婦問題研究家の岡野あつこさんによると、 「熟年離婚の相談は、女性からが7〜8割」だということです。
実録 結婚24年、妻から突然の『離婚宣言』
20年以上同居した夫婦の離婚『熟年離婚』が増えています。
実際のケースを見ていきます。
Aさんは51歳の会社員。婚姻歴は24年。
Aさんは仕事人間で、休日も家族や夫婦で外出した記憶はほぼありません。
妻は一つ年上の52歳。長年、地元のカフェで働いていました。一人息子はすでに独立し、夫婦2人の生活でした。
ある年末、Aさんは、旅番組を見ながら、何気なく、家事をしている妻に、 「リタイアしたら2人で南の島に移住して暮らそうか」と話しかけたところ…。
この一言で、妻の気持ちが爆発。
「は?何を言っているの?私は昔から海が嫌いじゃない。忘れるほど私に関心がなくなったわけ?」 「だいたい、あなたともうこれ以上、暮らしていくなんて無理だから!」 と、妻の態度が豹変。Aさんに対して激高したといいます。
そして突然、 「これまで私に無関心で、家庭を顧みない言動に我慢してきたけれど、もう限界」 「残りの人生は自分らしく生きたいので、離婚してもらいます」
と離婚を宣言して、付箋の付いた数年分の日記をAさんに手渡しました。
その日記には、 ●カフェ経営について夫にアドバイスを求めたら、「できるわけがない」とバカにされた ●夫に「どうせ潰れるんだから、やめておけば?」と鼻で笑われた と、妻にとって長年の夢であるカフェ経営を、Aさんに否定されてきたことへの不満が書かれていたのです。 
日記を読んで焦ったAさんは、 「そんなどうでもいいことに、いつまでもこだわっていないで、メシにしようぜ」と平静を装ったそうです。
しかし、妻は、 「私にとっては大切なことばかりだけど、あなたには、どうでも良いことだったわけね。よく分かったわ」と、後日、家を出てきました。
現在は、離婚裁判中だということです。
実録 姑の介護の末に…離婚届3枚
姑の介護の末、熟年離婚を考えた人もいます。
Bさんは、60代の女性。 婚姻歴35年です。
夫は70代で公務員を定年退職、子ども2人はどちらも独立しています。
Bさんは、姑の介護を8年続けました。 夫は、介護に協力することはなく、ゴルフや釣りなど 趣味を楽しんでいたということです。
Bさんは次第に、 「このまま夫と一緒にいると、姑のあとは、夫の介護が待っている。それだけは嫌」と考えるようになりました。
そして、自分が生きている意味が分からなくなり、夫の呪縛から解き放たれたいと思うように。
姑が亡くなり、四十九日の法要の日に、Bさんは、離婚を切り出しました。
夫は冗談だと思ったようで、取り合わなかったということです。
そこで、Bさんが記入済みの離婚届を渡すと、夫は怒って、離婚届を破り捨てました。 ただ、Bさんは破られることを見越して、離婚届を3枚用意していたそうです。
夫は「お前の意志はわかった」ということで、離婚に至りました。
実録 夫が原因?原因不明の体調不良「夫源病」
Cさんは、60代の専業主婦です。
夫は60代の自営業、娘は30代で一人暮らしです。
夫が近所で度々トラブルを起こし、その度にCさんは、近所に謝罪に回っていました。
Cさんは、これまで夫と一緒にいると、原因不明の胃の痛み・頭痛・血圧の上昇・めまいなどに悩まされてきたということです。
これが『夫が根源の病』と書いて、『夫源病(ふげんびょう)』と呼ばれています。
Cさんは、夫と離れ、娘のマンションに行くと症状が改善するということです。Cさんは、現在、離婚の準備を進めています。
熟年離婚の割合、なぜ増加?
『熟年離婚』が増えている背景です。1つ目は、女性の社会進出が進んだことで、離婚後のお金の心配が減ったことです。
女性の労働力人口(働く能力・意思のある女性の人口)は、2013年から2023年の10年で、約315万人増えています。
女性の年齢別労働力率(働く能力・意思のある女性の割合)です。こちらも2013年と2023年を比べると、全ての年齢層で増えています。
Dさんは、50代の専業主婦です。 夫の浮気に悩まされていました。
過去には、夫の浮気相手が、家を訪ねてきたこともあったということです。
Dさんは、将来に不安をもち、家具屋さんで、パートタイムの販売員として働き始めました。
働き始めると、全国トップの営業成績を残し、正社員に昇格しました。
現在は、全国を飛び回り、若手社員の教育担当をしています。
Dさんは経済面でも、将来の不安がなくなったので、現在、離婚を申し出ているということです。
『熟年離婚』が増えている背景2つ目は、離婚時の年金分割制度の浸透です。
夫が会社員で、妻が専業主婦の場合、これまでは、夫は基礎年金に加え、厚生年金ですが、妻は基礎年金のみでした。
しかし、2008年からは、専業主婦を対象にした『年金分割制度』が設けられ、離婚の際に、夫が納付してきた厚生年金保険料の記録を分割することができるようになりました。 妻にも50%の厚生年金がもらえ、夫の厚生年金は減額になります。
夫婦問題研究家の岡野さんです。
「離婚を考える際、昔は別れた後のお金の心配がネックだったが、女性の社会進出に伴い、自力で生きていける女性が増えた。また、制度の後押しもあり、専業主婦でもお金の心配が減った」
『熟年離婚』が増えた背景3つ目は、『日本人の長寿化』です。
日本人の平均寿命は、2023年で、男性が81.09歳、女性が87.14歳です。 定年後に夫婦で過ごす時間が増えています。
岡野さんです。
「夫婦の時間が長くなった結果、『あと何十年も我慢するのか』と一緒にいることが耐えられず、夫婦関係をリセットする人が増えている」 Eさんは、65歳・専業主婦です。
婚姻歴37年。 夫は定年後、趣味などもないため、家でのんびりと過ごすようになりました。
しかし、次第に、Eさんの趣味の太極拳サークルなどに、常に夫がついてくるようになりました。
そして、定年1年後には、 「夕飯は必ず午後6時にしろ!」 「食器の並べ方はこうじゃない!」 などと、家事を取り仕切ったり、食事について細かく文句を言うようになったということです。
Eさんです。 「夫の定年前は、自由な時間があったが、今は昼間もずっと一緒で文句ばかり。精神的に休めなくなった。こういう日々が続くと考えるとぞっとする」と、現在離婚協議中です。
熟年離婚のデメリットも…回避するには?
熟年離婚にはデメリットもあります。
デメリット1つ目は『財産分与』です。 離婚時の財産分与では、結婚後の預貯金や資産運用で得た利益などは、夫婦の共有財産として、原則2分の1が配分されます。
夫婦問題研究家の岡野さんによると、 「さらに、離婚で裁判となれば、弁護士費用などで思いのほか出費が発生する」ということです。
デメリット2つ目は『孤独感や社会的孤立』です。
人の幸せな話を聞くと寂しく感じたり、病気になった時にすぐに頼れる人がいなくて、孤立を感じてしまうということです。
デメリット3つ目は『子どもや家族への影響』です。
家族関係が複雑になることで、子どもや孫に大きな影響を与える可能性があります。 では、熟年離婚を回避するにはどうしたら良いのか。 岡野さんによると、 ●感謝の気持ちとねぎらいを伝える ●財産の一部を先渡しして、長年の貢献に対する誠意を見せる ということです。006.JPG

 ある年末、Aさんは、旅番組を見ながら、何気なく、家事をしている妻に、 「リタイアしたら2人で南の島に移住して暮らそうか」と話しかけたところ。この一言で、妻の気持ちが爆発。「は?何を言っているの?私は昔から海が嫌いじゃない。忘れるほど私に関心がなくなったわけ?」 「だいたい、あなたともうこれ以上、暮らしていくなんて無理だから!」 と、妻の態度が豹変。Aさんに対して激高したといいます。そして突然、 「これまで私に無関心で、家庭を顧みない言動に我慢してきたけれど、もう限界」 「残りの人生は自分らしく生きたいので、離婚してもらいます」と離婚を宣言して、付箋の付いた数年分の日記をAさんに手渡しました。その日記には、 ●カフェ経営について夫にアドバイスを求めたら、「できるわけがない」とバカにされた ●夫に「どうせ潰れるんだから、やめておけば?」と鼻で笑われた と、妻にとって長年の夢であるカフェ経営を、Aさんに否定されてきたことへの不満が書かれていたのです。日記を読んで焦ったAさんは、 「そんなどうでもいいことに、いつまでもこだわっていないで、メシにしようぜ」と平静を装ったそうです。しかし、妻は、 「私にとっては大切なことばかりだけど、あなたには、どうでも良いことだったわけね。よく分かったわ」と、後日、家を出てきました。現在は、離婚裁判中だということです。日頃から離婚することを考えていたのでしょう。亀裂が生じかけているときを察知できなかったのでしょうか。普通に会話を交わしていないと相手の気持ちを理解することができなくなってしまうかもしれません。Bさんは、60代の女性。 婚姻歴35年です。夫は70代で公務員を定年退職、子ども2人はどちらも独立しています。Bさんは、姑の介護を8年続けました。 夫は、介護に協力することはなく、ゴルフや釣りなど 趣味を楽しんでいたということです。Bさんは次第に、 「このまま夫と一緒にいると、姑のあとは、夫の介護が待っている。それだけは嫌」と考えるようになりました。そして、自分が生きている意味が分からなくなり、夫の呪縛から解き放たれたいと思うように。姑が亡くなり、四十九日の法要の日に、Bさんは、離婚を切り出しました。夫は冗談だと思ったようで、取り合わなかったということです。そこで、Bさんが記入済みの離婚届を渡すと、夫は怒って、離婚届を破り捨てました。ただ、Bさんは破られることを見越して、離婚届を3枚用意していたそうです。夫は「お前の意志はわかった」ということで、離婚に至りました。相手の顔を見てじっくり話をすることが大事なのでしょう。「離婚を考える際、昔は別れた後のお金の心配がネックだったが、女性の社会進出に伴い、自力で生きていける女性が増えた。また、制度の後押しもあり、専業主婦でもお金の心配が減った」経済力の問題は大きいですね。生活する資金が足りないと離婚に踏み切れないということもあるのでしょう。『孤独感や社会的孤立』です。人の幸せな話を聞くと寂しく感じたり、病気になった時にすぐに頼れる人がいなくて、孤立を感じてしまうということです。孤独になることは健康面でも問題が生じる可能性があるでしょう。●感謝の気持ちとねぎらいを伝える ●財産の一部を先渡しして、長年の貢献に対する誠意を見せる ということです。感謝の気持ちを持って生活することは大事ですね。自分の言葉でしっかり伝えなければならないでしょう。誠意の気持ちを表すことは忘れてはならないでしょう。大変勉強になりました。028.JPG
本音で的を得た話が共感を呼ぶのでは[2024年11月24日(Sun)]
 婦人公論jp.2024年8月28日付け「『虎に翼』「女は働かなくてもいい。得だろ?」に「分かる!」と即答していた白髪交じりの小橋。真意を聞いて視聴者「めちゃくちゃ良いこと言う」「このために存在」「発芽玄米どころか立派な根」」から、8月28日の『虎に翼』 現在放送中の伊藤沙莉さん主演・連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合/毎週月曜〜土曜8時ほか)。第22週「女房に惚れてお家繁盛?」の108回が8月28日に放送され、話題になっています。
稲垣(松川尚瑠輝さん)・小橋(名村辰さん)にも手伝ってもらい、裁判所で開かれた中学生向けの勉強会で、男子学生から「女性は働かなくてもいい」という意見が出る。
一方、判事補・秋山(渡邉美穂さん)は妊娠したことを寅子に相談。 出産後も秋山がもし判事を続けたいなら、戻って来られるよう居場所を必ず守ると寅子は約束するが――といった話が描かれました。
あらためてあらすじ
ドラマは先日の続き、中学生向けの勉強会から始まりました。
前回のラスト、社会に出て働きたい女性は大勢いる、といった大人たちの説明に対し、男子学生が「どうして働きたいの? 自分から辛い思いをしにいっているってこと? 女は働かなくてもいいんだ。
そっちの方が得だろ?」と問いかけます。 すると横から小橋が「そう!分かる!」と答え、「おやおやおや」というナレーションが流れます。その真意は果たして…というのが今回でした。
そして迎えた今回。
小橋が「先生やまわりが構ったり、優しくするのは、優等生か、こいつみたいな不良で、中途半端な俺達はいないも同然」と話し始めて、一堂を動揺させます。
寅子が「小橋さん…?」とたずねると、続けて「できる男と比べられるのも嫌なのに、さらにできる女とも比べられる! 頑張らなくてもいいのに頑張る女たちに無性に腹が立つ!」とさらに語気を強めます。
小橋の真意 そのうえで「そんでお前が想像しているとおり、その苦しさはずっと続くし、お前はこの先の人生、ずっとできる奴らと比べられ続ける。平等ってのはさ…俺たちみたいなやつにとって、確かに損なところもたくさんある。でもそのいらだちを向ける時、お前、弱そうな相手を選んでないか?」と続け、学生の目を見てたずねます。
「えっ?」と学生が答えると、「この先、どんな仕事をしてどんな人生を送ろうと、弱そうな相手に怒りを向けるのは何にも得がない。お前自身が平等な社会を拒む邪魔者になる。嫌だろ?」と話します。
「嫌だ…」と答えた学生に対し、「ま、一番になれなくてもさ、お前のことをきちんと見てくれる人間は絶対にいるからさ」と勇気づける様子に一堂は言葉を失います。
最後に「わりい。裁判官も法律も、なんも関係ない話をしちゃってさ」と話すと寅子は「いいえ!とっ……てもいい話だった!」と小橋を称えるのでした。
ネットの声 前回、不安極まりないリアクションをしていた小橋。その真意を熱く伝えた今回、彼のメッセージの内容に感動を覚えた視聴者は多かったようです。
ネットでは「かつて弱そうな相手、そして、できる女性である寅子たちにヤジをとばしていた小橋だからこそのメッセージ。本当にすばらしい」「彼の人生をかけて掴み取った教訓だ。これは熱い!」「小橋という人物は、この一言を言うためにドラマに存在していたのではなかろうか」「めちゃくちゃ良いことを言う!ごくごく普通の男の気持ちの代弁者・小橋」「発芽玄米どころか、今や根っこが座った男に…」といった声があがっていました。
また小橋役を演じる名村辰さん(@namurashin)も自身のエックス(旧ツイッター)にて 「学生たちの未来が明るくあってほしい。作品の中も現実も。もちろん自分の未来も」 と今回の熱いメッセージに即したつぶやきをしていらっしゃいました。007.JPG

 社会に出て働きたい女性は大勢いる、といった大人たちの説明に対し、男子学生が「どうして働きたいの? 自分から辛い思いをしにいっているってこと? 女は働かなくてもいいんだ。そっちの方が得だろ?」「そう!分かる!」小橋が「先生やまわりが構ったり、優しくするのは、優等生か、こいつみたいな不良で、中途半端な俺達はいないも同然」と話し始めて、一堂を動揺させます。続けて「できる男と比べられるのも嫌なのに、さらにできる女とも比べられる! 頑張らなくてもいいのに頑張る女たちに無性に腹が立つ!」とさらに語気を強めます。小橋の真意 そのうえで「そんでお前が想像しているとおり、その苦しさはずっと続くし、お前はこの先の人生、ずっとできる奴らと比べられ続ける。平等ってのはさ…俺たちみたいなやつにとって、確かに損なところもたくさんある。でもそのいらだちを向ける時、お前、弱そうな相手を選んでないか?」と続け、学生の目を見てたずねます。「えっ?」と学生が答えると、「この先、どんな仕事をしてどんな人生を送ろうと、弱そうな相手に怒りを向けるのは何にも得がない。お前自身が平等な社会を拒む邪魔者になる。嫌だろ?」と話します。「ま、一番になれなくてもさ、お前のことをきちんと見てくれる人間は絶対にいるからさ」と勇気づける様子に一堂は言葉を失います。本音のトークですね。言いたくても言えないことをズバリ話しているからそのように思っている人たちが共感するのでしょう。建前だけを話している人に共感することは少ないでしょう。「かつて弱そうな相手、そして、できる女性である寅子たちにヤジをとばしていた小橋だからこそのメッセージ。本当にすばらしい」「彼の人生をかけて掴み取った教訓だ。これは熱い!」「小橋という人物は、この一言を言うためにドラマに存在していたのではなかろうか」「めちゃくちゃ良いことを言う!ごくごく普通の男の気持ちの代弁者・小橋」「発芽玄米どころか、今や根っこが座った男に…」といった声があがっていました。普段の生活の中でもいつでもという訳ではないが、本音で話し合すことは大事でしょう。日本人は建前を上手に使いこなして生きているでしょうが、社会の問題などに対しても本音で声を上げることも大事でしょう。005.JPG
国民による監視を健全に機能させることが大事なのでは[2024年11月23日(Sat)]
 47NEWS2024年8月28日付け「国民が検察を応援、正しい姿?自民党裏金問題で見えた「日本の民主主義の弱点」 ジャーナリストの神保哲生さんに聞く」から、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、東京地検特捜部による捜査が本格化した2023年末、SNS上では「東京地検頑張れ」「裏金議員全員逮捕」といったハッシュタグが拡散されるなど、政治家に対する捜査を市民が応援するような風潮が広がった。
ジャーナリストの神保哲生さんは自民党の裏金づくりを厳しく批判する一方、こうした世論からは「日本の民主主義の弱点が見える」と指摘する。政治に対する国民の怒りが刑事処分への期待に転化することが「危うさ」をはらむ理由について、そして検察を応援する代わりに主権者が本来すべきこととは何か、話を聞いた。  
国民が官僚の味方、崩れる「民主主義の方程式」  
今回の事件や改正政治資金規正法に対する印象を聞かせてください。  
「改正法は『やってる感』を出しただけで中身は空っぽです。金がものをいう政治風土がある以上、政治家自身が裏金の抜け穴をふさぐことはできないだろうと最初から思っていました。もはや制度を変えればよいということではなく、問題の本質は日本の政治文化そのものです」  
神保さんは自民党の裏金づくりを厳しく批判する一方で、検察による政治家への捜査に国民が期待をかける状況は「危うさ」もはらんでいると発言してきました。どういうことでしょうか。
 「刑事告発を受けた検察はきちんと捜査をして、違法行為があれば、しかるべき処罰がなされるのは当たり前のことです。ただ、政治家に対する処罰を検察に全面的に委ねてしまうのは、民主制の下に生きる市民の姿勢として間違っていると思います」  
「軍隊や警察、検察といった『ゲバルト(暴力装置)』を持つ政府は、放っておけば暴走します。民主主義の基本は、市民が選んだ政治家が法律をつくり、政府を統制するということです」  
「この方程式が成り立つ前提は『民意の後ろ盾がある政治家が優位に立つ』ということです。しかし、日本ではロッキード事件しかりリクルート事件しかり、官僚機構の一部である検察が世論を味方につけて捜査を行い、政治家は防戦一方になるという構図の事件が繰り返されてきました。政治家が官僚をチェックするという本来の方程式は機能しなくなります」  
捜査対象者を「真っ黒」にするメディア  
なぜ国民は検察を応援するのでしょうか。
「背景にはメディアの問題があると思います。私は、官僚と報道がつくる『官報複合体』と呼んでいますが、メディアは検察への取材で得た情報を基に捜査対象者を『真っ黒』にします。それを見た市民が『手ぬるいぞ、もっとやれ』と検察の背中を押すわけです。そうした状態を容認して処罰感情を刺激するのは不健全だと思います。今回の裏金事件でも、このことが影を落としていました」  
多くの国民が裏金問題に激しい怒りを感じているのは事実です。民主主義の方程式を崩さずに問題に対処するにはどうすればよいのでしょうか。  
「政治資金規正法は『制』ではなく『正』の字を使います。これは資金を制限するよりも、収支を『ガラス張り』で公開して国民の不断の監視と批判の下に置くことを重視する米国法の考え方を踏襲しているためです。この法理は規正法の第1条と2条でも、はっきりとうたわれています。ここには法律違反がないかというレベルの低い話だけではなく、寄付をした企業や団体に有利な政治がなされていないかといった監視も含まれます」
 「裏金がものをいう政治は変える必要があります。しかし、日本を良い国にしたければ、国民は暴走の危険性もはらむ官僚や検察に頼るのではなく、正しい選択ができる政治家を選び、監視するしかありません。腐った政治家に引導を渡すのはわれわれ有権者だという自負を持たなければ、ほとぼりが冷めた頃にまた不祥事を繰り返すだけでしょう」
自民党は金権政治の継続を選んだ  
政治資金の透明性を確保するという点では、改正法は課題を残しました。  
「改正法は『インターネットによる公表』などといった言葉が一応並んでいますが、それが何を意味しているのか全く分かりません。専門家が膨大な時間をかけて収支を突き合わせることで、やっと不正の尻尾をつかむことができるという今の状況は変わらない可能性があります。本来は、検索とソートができる形でデータ化され、公開されるべきです。
そうすれば、報告書をチェックするメディア報道も増えるでしょう。米国には政治資金の監視を担うNPOがたくさんあります」
改正法は、裏金事件の再発防止の役には立たないのでしょうか。  
「ガラス張りで公開されない『グレーゾーン』は残っています。水は低きに流れるものです。裏金がものをいう政治風土がある以上、政治家はいくらでも裏金をつくろうとするでしょう」  
「しかし、裏金づくりのグレーゾーンを残せば、検察は『ここからは駄目だ』と恣意的に線を引くことができます。捜査当局が疑獄事件をつくれることになります。政治家は自分たちを脆弱な立場に置くことになるのです。だからこそ、政治家は法律をしっかりと作ってグレーゾーンをなくさないといけません。しかし結局、検察に対して脆弱になるリスクを取り除き、国民による監視を健全に機能させることよりも、金権政治を続ける道を選んでしまったということです。今起きているのはそういうことだと思っています」
【政治資金規正法】 (目的) 第1条 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。  
(基本理念) 第2条 この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。  
2 政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。016.JPG

 「改正法は『やってる感』を出しただけで中身は空っぽです。金がものをいう政治風土がある以上、政治家自身が裏金の抜け穴をふさぐことはできないだろうと最初から思っていました。もはや制度を変えればよいということではなく、問題の本質は日本の政治文化そのものです」日本の政治文化が変わらなければ政治の変革はできないのでしょう。「刑事告発を受けた検察はきちんと捜査をして、違法行為があれば、しかるべき処罰がなされるのは当たり前のことです。ただ、政治家に対する処罰を検察に全面的に委ねてしまうのは、民主制の下に生きる市民の姿勢として間違っていると思います」「軍隊や警察、検察といった『ゲバルト(暴力装置)』を持つ政府は、放っておけば暴走します。民主主義の基本は、市民が選んだ政治家が法律をつくり、政府を統制するということです」 「この方程式が成り立つ前提は『民意の後ろ盾がある政治家が優位に立つ』ということです。しかし、日本ではロッキード事件しかりリクルート事件しかり、官僚機構の一部である検察が世論を味方につけて捜査を行い、政治家は防戦一方になるという構図の事件が繰り返されてきました。政治家が官僚をチェックするという本来の方程式は機能しなくなります」政治家が官僚をチェックして国民が政治家をチェックできればいいのでしょう。なぜ国民は検察を応援するのでしょうか。「背景にはメディアの問題があると思います。私は、官僚と報道がつくる『官報複合体』と呼んでいますが、メディアは検察への取材で得た情報を基に捜査対象者を『真っ黒』にします。それを見た市民が『手ぬるいぞ、もっとやれ』と検察の背中を押すわけです。そうした状態を容認して処罰感情を刺激するのは不健全だと思います。今回の裏金事件でも、このことが影を落としていました」「政治資金規正法は『制』ではなく『正』の字を使います。これは資金を制限するよりも、収支を『ガラス張り』で公開して国民の不断の監視と批判の下に置くことを重視する米国法の考え方を踏襲しているためです。この法理は規正法の第1条と2条でも、はっきりとうたわれています。ここには法律違反がないかというレベルの低い話だけではなく、寄付をした企業や団体に有利な政治がなされていないかといった監視も含まれます」寄付した企業、団体と政治家の利権関係やしがらみがないかチェックする必要があるでしょう。「裏金がものをいう政治は変える必要があります。しかし、日本を良い国にしたければ、国民は暴走の危険性もはらむ官僚や検察に頼るのではなく、正しい選択ができる政治家を選び、監視するしかありません。腐った政治家に引導を渡すのはわれわれ有権者だという自負を持たなければ、ほとぼりが冷めた頃にまた不祥事を繰り返すだけでしょう」確かに国民が正しい選択ができ国民のための政治家を選ぶことがだいじでしょうか。「改正法は『インターネットによる公表』などといった言葉が一応並んでいますが、それが何を意味しているのか全く分かりません。専門家が膨大な時間をかけて収支を突き合わせることで、やっと不正の尻尾をつかむことができるという今の状況は変わらない可能性があります。本来は、検索とソートができる形でデータ化され、公開されるべきです。そうすれば、報告書をチェックするメディア報道も増えるでしょう。米国には政治資金の監視を担うNPOがたくさんあります」しっかり不正を暴くことができるような仕組みづくりをする必要があるでしょう。「ガラス張りで公開されない『グレーゾーン』は残っています。水は低きに流れるものです。裏金がものをいう政治風土がある以上、政治家はいくらでも裏金をつくろうとするでしょう」ガラス張り、透明化を叫ばれますが、実現しないのは残念ながら政治改革ができないということかもしれません。015.JPG
日本が抱える問題を解決できるか[2024年11月22日(Fri)]
 現代ビジネス2024年8月28日付け「防衛費増税、裏金問題…自民党総裁選で候補者たちが明言しない「巨大な魔物」ともいうべき「大問題」を敢えて質す」から、自民党総裁選で、立候補者は経済問題についての見解と具体的政策を表明すべきだ。まず防衛費増額のための増税と、政治資金改革問題について。さらに、円安問題や社会保障、そしてデジタル化の進め方についての考えを明確にすべきだ。
曖昧なキャッチフレーズでなく具体的な政策を
自民党総裁選は11名が立候補する乱戦となっている。
報道されているのは推薦人の確保状況などが主だが、それだけでなく、立候補者の政見も知りたい。もちろん、今回の選挙は党員がその総裁を選ぶ選挙であって、国民が投票するわけではない。しかし、事実上、総理大臣を選ぶ選挙だから、候補者の政見に国民が強い関心をもつのは当然だ。
その場合、「地方振興」とか「日本再興」と言うような曖昧なキャッチフレーズはあまり意味がない。
誰も反対しないし、中身も融通無碍に変えられるが、こうしたスローガンによって日本を改革していくことはできないだろう。2021年の自民党総裁選で岸田文雄氏が掲げた「令和版所得倍増計画」が、その後「資産所得倍増計画」に変身し、「新しい資本主義」に姿を変えてしまったことが、その何よりの例だ。
我々が知りたいのは、次の2点だ 1)岸田内閣が、やり残した課題、しかも、どうしても処理しなければならない問題についてどう対処すべきか? 2)これまでの政策の方向で変えたいと考えている点は何か? どちらについても、今までのところ、候補者からの踏み込んだ発言はあまり聞こえてこない。
不都合な真実その1・防衛費課税
上記の1について緊急を要するのは、防衛費の財源だ。 岸田内閣は、防衛関係費を、2027年度にGDPの2%に増額することとし、その後も防衛力を安定的に維持するためには、毎年度およそ4兆円の追加財源が必要だとした。
追加財源のうちおよそ4分の3は、歳出改革や、剰余金の活用、それに国有資産の売却など、税以外の収入を活用する「防衛力強化資金」の創設などで賄う。残りの1兆円強は、増税による。かなり大規模な増税だ。
自民・公明両党は、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置を取ることを盛り込んだ与党の税制改正大綱を、2022年12月16日に決定した。
この措置の施行時期は、「2024年以降の適切な時期」としている。したがって、次の総理大臣は、増税の細目や実施時期を決めなければならない。
実は、問題は、それだけでない。防衛力強化基金は、決算剰余金や税外収入等をあてることとされているのだが、これらは、すでに様々な用途に使われている。だから、その財源を防衛費に充てれば、国債で賄わなければならない。
つまり、これは、実質的には、赤字公債の増発による資金調達なのであり、それをわかりにくくしているだけのことだ。本来は、この分についても、増税措置が必要だ。つまり、本来は、必要とされる4兆円の大部分を増税で賄わなければならないのである。2023年度における所得税額が約23兆円であることを考えると、その約17%にも及ぶ規模の、途方もない増税だ。
しかも、最近では、円安のために防衛装備の調達が計画通りに進まなくなっており、 防衛費を増やす必要があるとの意見もある。
さらに、仮にアメリカでトランプ政権が成立すれば、防衛予算の増額や在日米軍駐留費の増額を求めてくる事は大いにあり得る。 増税は、誰もが触れたくない問題だろう。何とかして避けたいものだ。しかし、誰もが決して避けることができない問題だ。次の総理大臣が、どうしても決断しなければならない。
なお、岸田内閣は、少子化対策の財源として、健康医療保険からの支援金(「こども・子育て支援金)を創設した。しかし、そもそも医療保険は、将来の医療費支出に対するための保険の仕組みだ。したがって、医療保険料はその目的にしか使えないのは自明のことだ。
だから、これは財政の基本原則に反する措置であり、全く正当化することができない。
したがって、この措置を廃止し、新しい税によって財源を確保すべきだ。
不都合な真実その2・政治資金への課税
もう一つ重要なのは、裏金問題だ。
自民党派閥のパーティー券収入のキックバックが、2023年12月に問題となり、安倍派、岸田派、二階派が派閥解散を決めた。しかし、国民は納得せず、岸田内閣の支持率を低下させた大きな原因となった。
問題とされたのは、政治資金規正法が課す政治資金収支報告書の記載義務に違反したことだ。確かに、それは大問題なのだが、多くの国民の怒りは、税の不公平に向けられたのではないだろうか?
この問題については、2023年12月17、24、31日の本欄で論じたが、まとめれば次の通りだ。 キックバック収入は政治資金ではないから、課税所得のはずだ。個人が受け取ったのであれば、雑所得だ。政治団体を通じるものであっても、無条件で非課税となるわけではない。
さらに問題なのは、「政策活動費」という巨大な魔物の存在が明らかになったことだ。
政党が国会議員に支出し、使途を報告する必要がない。領収書の添付義務も、精算や納税の義務もない。党から渡された金額は、自民党の場合は14億1630万円だった。しかし、この問題も、結局のところ、曖昧のままに残された。
これらの問題をどう考えるか?現在のままでいいのか、大改革が必要なのかを明確にする必要がある。しかし、候補者からの具体的な提案は聞こえてこない。
円安、社会保障、デジタル化
候補者は、経済政策に関する基本的な考えを明らかにすべきだ。とくに重要なのは、つぎのものだ。
第一は、ここ数年間の異常な円安をどう考えるか、これに対してどう対処するかだ。つまり、マクロ経済政策の基本的な方向づけだ。
石破氏は、円安の是正が必要だとしている。そのために、金利を上げる必要性があるとも主張している。また、アベノミクスについて、「きちんと評価すべき時期が来た」と指摘している。他の候補者の意見はどうだろうか?
第二は、高齢化社会への対処と、社会保障制度の改革だ。ここ数年、高齢者の負担が上がっているが、これをどう評価するか?2025年度は公的年金制度改革の年であり、国民年金の低年金問題など、対処すべきいくつかの問題がある。これらについての姿勢も明らかにする必要がある。
第三は、デジタル化をどう進めるかだ。これについては、河野氏が担当大臣としてマイナンバーカードの利用促進を進めている。そして、2024年12月に紙の健康保険証を廃止し、「マイナ保険証」に移行することを決めた。しかし、この措置は適切でないとの意見が強い。他の候補者の意見はどうだろうか?
なお、立憲民主党の代表選も9月23日に行なわれる。この場合にも、立候補者は、ここで指摘した問題について、意見を明確にすべきだ。019.JPG

 「地方振興」とか「日本再興」と言うような曖昧なキャッチフレーズはあまり意味がない。誰も反対しないし、中身も融通無碍に変えられるが、こうしたスローガンによって日本を改革していくことはできないだろう。2021年の自民党総裁選で岸田文雄氏が掲げた「令和版所得倍増計画」が、その後「資産所得倍増計画」に変身し、「新しい資本主義」に姿を変えてしまったことが、その何よりの例だ。確かにその通りでしょう。政権が掲げる国民に受けそうな看板政策よりも国が抱える大きな課題に対する具体的な改革が必要なのでしょう。緊急を要するのは、防衛費の財源だ。 岸田内閣は、防衛関係費を、2027年度にGDPの2%に増額することとし、その後も防衛力を安定的に維持するためには、毎年度およそ4兆円の追加財源が必要だとした。追加財源のうちおよそ4分の3は、歳出改革や、剰余金の活用、それに国有資産の売却など、税以外の収入を活用する「防衛力強化資金」の創設などで賄う。残りの1兆円強は、増税による。かなり大規模な増税だ。自民・公明両党は、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置を取ることを盛り込んだ与党の税制改正大綱を、2022年12月16日に決定した。この措置の施行時期は、「2024年以降の適切な時期」としている。したがって、次の総理大臣は、増税の細目や実施時期を決めなければならない。実は、問題は、それだけでない。防衛力強化基金は、決算剰余金や税外収入等をあてることとされているのだが、これらは、すでに様々な用途に使われている。だから、その財源を防衛費に充てれば、国債で賄わなければならない。つまり、これは、実質的には、赤字公債の増発による資金調達なのであり、それをわかりにくくしているだけのことだ。本来は、この分についても、増税措置が必要だ。つまり、本来は、必要とされる4兆円の大部分を増税で賄わなければならないのである。2023年度における所得税額が約23兆円であることを考えると、その約17%にも及ぶ規模の、途方もない増税だ。都合が悪く国民から不評を買いそうな政策をどんどん先送りして支持を得やすいような言い方をして乗り切っている状況ではないでしょうか。増税するなら増税する理由を国民に説明して納得してもらう必要があるでしょう。残念ながら増税すれば選挙で勝てないという理由は通用しないでしょう。岸田内閣は、少子化対策の財源として、健康医療保険からの支援金(「こども・子育て支援金)を創設した。しかし、そもそも医療保険は、将来の医療費支出に対するための保険の仕組みだ。したがって、医療保険料はその目的にしか使えないのは自明のことだ。だから、これは財政の基本原則に反する措置であり、全く正当化することができない。したがって、この措置を廃止し、新しい税によって財源を確保すべきだ。何とか取り繕ってやろうとしても綻びが出てくる可能性があるでしょう。国民が納得するような政策を実現化する必要があるでしょう。もう一つ重要なのは、裏金問題だ。政治資金規正法が課す政治資金収支報告書の記載義務に違反したことだ。確かに、それは大問題なのだが、多くの国民の怒りは、税の不公平に向けられたのではないだろうか?キックバック収入は政治資金ではないから、課税所得のはずだ。個人が受け取ったのであれば、雑所得だ。政治団体を通じるものであっても、無条件で非課税となるわけではない。さらに問題なのは、「政策活動費」という巨大な魔物の存在が明らかになったことだ。政党が国会議員に支出し、使途を報告する必要がない。領収書の添付義務も、精算や納税の義務もない。党から渡された金額は、自民党の場合は14億1630万円だった。しかし、この問題も、結局のところ、曖昧のままに残された。これらの問題をどう考えるか?現在のままでいいのか、大改革が必要なのかを明確にする必要がある。しかし、候補者からの具体的な提案は聞こえてこない。都合の悪いことは覆い隠して時間が経てば国民は忘れることを期待しているとすればしっぺ返しが来るのではないでしょうか。円安の是正が必要だとしている。そのために、金利を上げる必要性があるとも主張している。また、アベノミクスについて、「きちんと評価すべき時期が来た」と指摘している。高齢化社会への対処と、社会保障制度の改革だ。ここ数年、高齢者の負担が上がっているが、これをどう評価するか?2025年度は公的年金制度改革の年であり、国民年金の低年金問題など、対処すべきいくつかの問題がある。これらについての姿勢も明らかにする必要がある。ジタル化をどう進めるかだ。これについては、河野氏が担当大臣としてマイナンバーカードの利用促進を進めている。そして、2024年12月に紙の健康保険証を廃止し、「マイナ保険証」に移行することを決めた。しかし、この措置は適切でないとの意見が強い。他の候補者の意見はどうだろうか? 自民党総裁になるということで1票でも多い数を獲得することだけの議論に終始するようでは国民が納得しないでしょう。国が抱えている問題を真剣に具体的な解決策を議論して国民にわかりやすく説明することが大事でしょう。017.JPG
エアコンのない生活を送るには[2024年11月21日(Thu)]
 AERA dot.2024年8月26日付け「「すごい猛暑をエアコンなしでどう過ごしているか問題」稲垣えみ子」から、元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。
新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。
7月は記録的猛暑だったそうで、だがまあそんなこと言われずとも「知ってるよ!」と突っ込まずにはいられないわかりやすい暑さ。故に、我が家にエアコンがないことを知る全員から「死んじゃわないんですかっ」とあまりにしょっちゅう聞かれるので、一応死んでないヨというご報告と共に、一体どのように私がこの夏をやり過ごしているかを、ある意味人類の貴重な記憶として書き留めておく。  
結論から申し上げると、自分でも驚いたことに機嫌よく過ごしているのだ。急に桁違いの猛暑が来た昨年の方が、気持ちも体も断然キツかった。今年は最初から昨年以上の暑さを覚悟していたのが奏功したのだろう。経験から捻り出した「夕方熱い銭湯で盛大に汗をかく」「暑い夜はとりあえず床で寝る」という二大対策が明らかに効いていて、昨年は寝つけない夜が何日もあったのが、今年は連日スッと寝落ち。ま、それだけ連日の暑さに疲労しているのかもしれないが、いずれにせよ寝られると思うだけで気分的にめちゃくちゃありがたい。
それに加えて、今年はスペシャルな対策もいくつか取っている。まず朝はいつも5時に起きるところを1時間後ろ倒しして、ちょこっと朝寝坊。というのは明け方が一番涼しいのでスウスウ寝れるのだ。さらに、あまりに暑い日は自炊を諦め近所の蕎麦屋巡りを楽しんだ(←蕎麦好き)。さらに避暑を兼ねて近所の名画座に行ったり、これも近所のカフェで知り合った友達のライブに行ったり、知り合いの店にビールを飲みに行ったりとイベントを増やしたので、久々に子供時代の「夏休み」っぽい夏となって、むしろ例年より楽しい。  
あと、暑いとみんなが優しくなる。冷えたスイカを土産に持たせてくれたり、馴染みの喫茶店では「どうせ家は暑いんでしょ」と長居を勧められたり、いつもの銭湯で常連のおばあちゃんと「暑さにめげずに頑張んなきゃね」と励まし合うのも豊かな時間であった。そうこうするうちにもう立秋。去り行く夏を少し寂しく思う自分を褒めたい。005.JPG

 我が家にエアコンがないことを知る全員から「死んじゃわないんですかっ」とあまりにしょっちゅう聞かれるので、一応死んでないヨというご報告と共に、一体どのように私がこの夏をやり過ごしているかを、ある意味人類の貴重な記憶として書き留めておく。エアコンなしで暑い夏を乗り切ることができるのですね。急に桁違いの猛暑が来た昨年の方が、気持ちも体も断然キツかった。今年は最初から昨年以上の暑さを覚悟していたのが奏功したのだろう。経験から捻り出した「夕方熱い銭湯で盛大に汗をかく」「暑い夜はとりあえず床で寝る」という二大対策が明らかに効いていて、昨年は寝つけない夜が何日もあったのが、今年は連日スッと寝落ち。ま、それだけ連日の暑さに疲労しているのかもしれないが、いずれにせよ寝られると思うだけで気分的にめちゃくちゃありがたい。熱中症になって体調を壊さないような生活を送れるのですね。朝はいつも5時に起きるところを1時間後ろ倒しして、ちょこっと朝寝坊。というのは明け方が一番涼しいのでスウスウ寝れるのだ。さらに、あまりに暑い日は自炊を諦め近所の蕎麦屋巡りを楽しんだ(←蕎麦好き)。さらに避暑を兼ねて近所の名画座に行ったり、これも近所のカフェで知り合った友達のライブに行ったり、知り合いの店にビールを飲みに行ったりとイベントを増やしたので、久々に子供時代の「夏休み」っぽい夏となって、むしろ例年より楽しい。馴染みの喫茶店では「どうせ家は暑いんでしょ」と長居を勧められたり、いつもの銭湯で常連のおばあちゃんと「暑さにめげずに頑張んなきゃね」と励まし合うのも豊かな時間であった。そうこうするうちにもう立秋。去り行く夏を少し寂しく思う自分を褒めたい。十分に寝ることができなければ免疫力が落ちてしまうかもしれません。エアコンのない自宅から出てエアコンの効いているところを探して過ごすのはいいアイデアですね。誰でも真似はできないでしょうが、知恵とアイデアで猛暑を過ごすことができるかもしれません。さらにはテレビなどでは猛暑に関する放送が中心ですが、地方ではエアコンを使わないで過ごすことができる地域が少なくありません。そのような地域を紹介することで亜熱帯地方と言われるような首都圏などから移住や二居住などを選択する人が増えるかもしれません。東京一極集中の解消のきっかけになる可能性が否定できないかもしれません。018.JPG
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