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日本の出世率低下は女性の責任ではないでしょう[2023年05月31日(Wed)]
 FIGARO.jp2023年3月30日付け「「日本の出生率が落ちたのは女性のせいなのか?」フランスメディアの報道とは」から、日本の人口が超高齢化に突き進むのをなんとか食い止めようとするなかで、出生率が落ちたのは女性のせいだという声がある。これに対し、日本の女性たちはSNSで反論している。
昨年、日本の出生数は80万人を切った。「1899年に統計を取りはじめてから初の事態」と、日本に20年以上住んでいるフランス人ジャーナリストの西村カリンは今年の1月末に掲載された仏版「マダムフィガロ」誌の記事で語った。それにしてもどうして? 実のところこれには多くの要因がからんでいる。そのひとつとして「今の経済状況や労働環境で子どもをつくりたいと思う人が少ない」と西村カリンは指摘する。「それに保育園が足りないのもマイナス要因」とも。
こうした状況にあって、少子化対策は日本の重要課題のひとつとなっている。2023年1月、日本の岸田首相は、日本の「社会機能」を脅かす少子化に警鐘を鳴らした。以来、マスコミもこの問題を取りあげるようになった。その中で、「日本の50歳女性はOECD加盟国の中で無子率が最も高い」ことを紹介した記事がネットユーザーの怒りを買い、「#生涯子供なし」のハッシュタグをつけたコメントがネット上にあふれた。女性たちは、少子化問題について自分たちの意見を言う場がほとんどなく、しかも女性が原因のように言われることに対してSNSで声を上げるようになったのだ。
自分の生き方を肯定する
47歳の作家、オカダトモコさんは最初、子どものいない女性を批判するお定まりのコメントが多いのではと読むのを避けていたが、共感できる多様な意見が書かれているのを知って喜んだ。なぜ母親になれないのか、あるいはならないのかの理由を説明する人もいた。オカダさんはAFPに対し、「以前は子どもを産むことが『当たり前』だと思っていました」と語る。
過去にはパートナーを見つけるために出会い系サイトに登録したこともあったが、うまくいかなかった。父の日に父親から「孫が欲しい」と言われ、後ろめたい気持ちになったこともある。しかし、自分の経験を他の人と共有することで、「自分の生き方を肯定できる」ことに気づいたという。
「女性を責めないで」
出生率は多くの先進国でも低い。しかしながら日本はモナコに次いで世界で2番目に高齢化が進んでおり問題は特に深刻だ。厳しい移民規制があり、労働力不足も深刻化している。首相は子育て世帯への経済的支援、保育の利用しやすさ、育児休暇の充実を約束している。
しかし、女性閣僚が2人しかおらず、衆議院議員の90%以上が男性という現状では、女性の多くが公的な議論からしめ出され、非難されているとさえ感じている。「少子化を女性のせいにしないで」とツイートしたのは、東京在住の38歳女性、アヤコさんだ。子どもはおらず、人生に「さまざまな選択」があっていいことをネットで主張している。彼女の意見では少子化の根本原因は日本の伝統的な役割分担にある。政府が2021年に実施した調査によると、男性のテレワークが増えているにもかかわらず、日本の女性は男性の4倍もの時間を育児や家事に費やしている。
若い世代の親はもっと柔軟になってはいるものの、女性には「完璧な母親」であらねばならないというプレッシャーがまだまだ強い。
「子供のために最高の『お弁当』を用意しようと朝から頑張っている女性たちがいる」と西村カリンは仏版「マダムフィガロ」誌に語る。
「こうした精神的プレッシャーに加え、日本社会の性差別も女性に重くのしかかる。最近、与党の有力者が、少子化の主原因は女性の晩婚化にあると発言した。その裏には『女性が自由すぎる』という考えがある」とも。
女性の本音にあふれるSNS
アヤコさんはネット上で意見を堂々と言うが、実生活でこうした話題を口にしても「けむたがられる」と感じている。AFPの取材に名字を伏せることにしたアヤコさんは「女性が意見を言うことに対して非常に批判的な風潮があるように思う」と語った。
ジェンダー学を専門とする明治大学の藤田結子教授によると、SNSは女性が誰はばかることなく、しばしば匿名で政治や社会問題を語ることのできる場だ。もっとも、ワンオペ育児や保育園に落ちたことを訴えるハッシュタグはTwitterでこそ拡散したが、ネットの外ではほとんど影響をもたなかったと教授は言う。
施策への反応
日本の出生率低下という難問に対し、専門家は複数の要因を指摘しており、そのうちのひとつが強固な家族制度だと言う。日本で婚外子は出生数のたった2.4%で、OECD加盟国のなかで最も低い。日本の経済が停滞したために子どもを作る意欲が失われていると経済要因を指摘する声もある。また、「ベビーシッターもいなければ、夜に子どもを預けるところもほとんどないため、親になると映画館にもコンサートやレストランにも行けず、社会生活に支障をきたす」と西村カリンは指摘する。
これを意識してか、具体的な施策として保育サービスを増やすことが考えられている。これにより、出生率向上が期待されているが、日本総研の藤波匠は「一時的」な効果しかないとみている。それよりも、家庭内の役割分担の改善に加えて、「長期的な経済の安定と賃金の上昇が不可欠」だと言う。015.JPG

 「今の経済状況や労働環境で子どもをつくりたいと思う人が少ない」「それに保育園が足りないのもマイナス要因」女性たちは、少子化問題について自分たちの意見を言う場がほとんどなく、しかも女性が原因のように言われることに対してSNSで声を上げるようになったのだ。政治の問題であることが女性の問題にすり替えられるのは間違いでしょう。「以前は子どもを産むことが『当たり前』だと思っていました」と語る。過去にはパートナーを見つけるために出会い系サイトに登録したこともあったが、うまくいかなかった。父の日に父親から「孫が欲しい」と言われ、後ろめたい気持ちになったこともある。しかし、自分の経験を他の人と共有することで、「自分の生き方を肯定できる」ことに気づいたという。女性は真剣に受け止め考えているのですが、女性が安心して生活できる社会になっているのでしょうか。出生率は多くの先進国でも低い。しかしながら日本はモナコに次いで世界で2番目に高齢化が進んでおり問題は特に深刻だ。厳しい移民規制があり、労働力不足も深刻化している。首相は子育て世帯への経済的支援、保育の利用しやすさ、育児休暇の充実を約束している。しかし、女性閣僚が2人しかおらず、衆議院議員の90%以上が男性という現状では、女性の多くが公的な議論からしめ出され、非難されているとさえ感じている。女性のことを真剣に考えた政策が行われないのは、中高年男性中心の政治の弊害が大きいでしょう。「少子化を女性のせいにしないで」子どもはおらず、人生に「さまざまな選択」があっていい。少子化の根本原因は日本の伝統的な役割分担にある。男性のテレワークが増えているにもかかわらず、日本の女性は男性の4倍もの時間を育児や家事に費やしている。若い世代の親はもっと柔軟になってはいるものの、女性には「完璧な母親」であらねばならないというプレッシャーがまだまだ強い。日本の家族観、結婚観が影響しているでしょう。育児や家事に男性の4倍の時間を費やす生活のあり方を変えることが大事でしょう。与党の有力者が、少子化の主原因は女性の晩婚化にあると発言した。その裏には『女性が自由すぎる』という考えがある」国見の生活のことを考えなければならない政治家が言うことでしょうか。暗に女性は子どもを産んで育てることが大事だと言っているのでしょうか。日本の出生率低下という難問に対し、専門家は複数の要因を指摘しており、そのうちのひとつが強固な家族制度だと言う。日本で婚外子は出生数のたった2.4%で、OECD加盟国のなかで最も低い。日本の経済が停滞したために子どもを作る意欲が失われていると経済要因を指摘する声もある。また、「ベビーシッターもいなければ、夜に子どもを預けるところもほとんどないため、親になると映画館にもコンサートやレストランにも行けず、社会生活に支障をきたす」伝統的な家族観に縛られた考え方から離れる必要があるでしょう。家庭内の役割分担の改善に加えて、「長期的な経済の安定と賃金の上昇が不可欠」社会の考え方を変え、働き方を変え、男女が一緒に家事、育児に携われるような社会にしなければならないでしょう。006.JPG
日本では天下りはなくならないのでしょう[2023年05月30日(Tue)]
 朝日新聞2023年3月30日付け「国交省元次官、「OBを社長に」要求 空港関連会社の人事に介入か」から、国土交通省の元事務次官が昨年12月、羽田など各地の空港でビルの運営などを手がける民間企業「空港施設」(東京都)の首脳に対し、国交省OBの副社長を社長にするよう求めていたことがわかった。この元次官は、東京地下鉄(東京メトロ)の現会長、本田勝氏(69)。空港施設社を訪ねて自身の立場を「有力なOBの名代」と説明し、社長に就任させれば「国交省としてあらゆる形でサポートする」とも語っていた。
空港施設社は東証プライム上場。同社の事業をめぐっては、国有地の使用や、貨物施設の賃貸事業に必要な事業者指定など、国交省が多くの許認可権を持っている。そうした権限を背景に、国交省OBが民間企業の役員人事に介入しようとした可能性がある。  
複数の関係者や朝日新聞が入手した会社側の記録によると、本田氏は昨年12月13日に同社を訪ね、乗田俊明社長と稲田健也会長と面会。元国交省東京航空局長で同社の副社長に就いている山口勝弘氏(63)を、今年6月に予定される役員人事で社長にするよう求めた。  同社では1970年の設立以来、国交省系のOBが社長に就いていた。しかし、社長肝いりの事業が損失を出すなどして経営刷新を求める声があり、2021年から、日本航空(JAL)出身の乗田社長とANAホールディングス(HD)出身の稲田会長という体制になっている。2社は空港施設社の主要株主。
先輩OBの名を挙げ「有力なOBの名代」  
本田氏は面会の席で、「方針が固まった」「国交省の出身者を社長にさせていただきたい」と発言。自身の立場を「有力なOBの名代」と説明し、先輩の元次官の実名を挙げて、元次官も同様の考えだと伝えた。山口氏が社長に就任すれば「国交省としてあらゆる形でサポートする」とも語ったという。  
空港施設社側は「上場企業なので、しっかりした手続きを踏まないとお答えが難しい」と答えたという。  
本田氏は国交省で航空局長、官房長、事務次官などを歴任して15年に退官。損保会社の顧問を経て19年6月から、全株式を国と都が保有する東京メトロの代表取締役会長を務める。この会長人事は閣議了解もされている。東京メトロと空港施設社の間に資本関係はない。
本田氏「圧力をかけたわけではない」  
本田氏は取材に、面会について「いろんな方々から頼まれて」と経緯を説明。「相談に行ったということ。あとは会社で手続きを踏んでほしい」という趣旨だったとし、「国交省としてサポート」との発言については「OBというか仲間としてサポートするという気持ち」と語った。自身の言動について「国交省を笠に着て圧力をかけたわけではない。そう受け止められたなら申し訳ない。軽率のそしりは免れない」と述べた。  
本田氏が名を挙げた元次官は「2年前に国交省OBの(空港施設社の)社長が退任する際に調整を(本田氏に)頼んだことはあるが、昨年の面会は知らない」と述べた。  
国交省人事課は取材に「国交省は関与していない。退職した者の言動についてコメントする立場にない」とした。  
乗田社長は取材に本田氏の訪問を認め、「弊社は上場企業であり、取締役候補者は指名委員会で決める旨を回答した」と述べた。山口氏は会社を通じて「事実を承知していない」と回答した。
元公務員のあっせん、規制するルールなし  
空港施設社は従業員約120人、22年3月期の売上高は約237億円。昨年6月時点で、役員13人のうち3人が国交省OBとなっている。  
国家公務員法は、省庁による天下りのあっせんや現役職員による利害関係企業へのポストの要求などを禁じているが、元職員によるあっせんなどを規制するルールはない。     
<企業ガバナンスに詳しい青山学院大の八田進二名誉教授の話> 国交省の事務方トップを務め、現在も社会的地位の高い人物が有力OBの『名代』とまで名乗ったのであれば、有力OBらによる組織的な要求だと疑われてもしかたがない。元官僚が規制の枠の外で、出身官庁と利害関係にある民間企業の人事に介入しようとする構図で、国は実態調査と対策を講じるべきだ。
現代ビジネス2023年3月30日付け「天下りポストに「14年間」居座った元農水次官がついに退任…でも日本の漁業がヤバい理由」から、「天下りポスト」の今後
 一般社団法人「大日本水産会」の白須敏朗会長が6月にも退任する見通しだ。白須氏は農林水産事務次官退任後、14年にわたって同会長に居座り、霞が関で顰蹙を買っていた。後任には枝元真徹・前農水事務次官の就任が有力視されている。
 大日本水産会は水産業の振興を目的に1882年に設立された、500余りの水産関連団体からなる組織。会長職は農水次官経験者の「天下りポスト」となっている。  
白須氏は'08年、基準値を上回る農薬で汚染された事故米の不正転売事件の責任を取るため、就任1年で農水次官を辞任。ところが、官僚の天下り斡旋全面禁止を掲げる民主党政権が発足する直前の'09年9月、滑り込みで天下って復権を果たした。  
魚離れや水産物の不漁の深刻化で、水産業界の改革は待ったなし。だが白須氏は「いかに役所から予算を分捕るかしか考えていない」(農水省キャリア)と評される。コロナ禍で巨額支援が定着した近年は、予算要求の圧力をさらに強めていた。  
元官僚が一つの天下り先に10年以上在籍することは極めて異例のため、かねて白須氏の進退は注目されていた。ある業界関係者は、その心中を「次官を1年でクビにされたから、長くやって当然と思っている」と語る。昨年5月に瑞宝重光章を受章して、ようやく満足したとも囁かれる。  
後任となる見込みの枝元氏は「水産庁で勤務経験があり水産業への理解は深いが、改革志向ではない」(元農水省幹部)。水産業の衰退には歯止めがかかりそうにない。017.JPG

 省庁でトップクラスに就いた人たちは、退職後も民間企業を含めて同じ待遇を望むのでしょうか。官僚の人たちは退職後も安定的な立場でいることができるから厳しい試験を経て官僚を目指すのでしょうか。天下りが減らない状況を考えると日本では天下りはなくならないでしょう。国土交通省の元事務次官が昨年12月、羽田など各地の空港でビルの運営などを手がける民間企業「空港施設」(東京都)の首脳に対し、国交省OBの副社長を社長にするよう求めていたことがわかった。この元次官は、東京地下鉄(東京メトロ)の現会長、本田勝氏(69)。空港施設社を訪ねて自身の立場を「有力なOBの名代」と説明し、社長に就任させれば「国交省としてあらゆる形でサポートする」とも語っていた。空港施設社は東証プライム上場。同社の事業をめぐっては、国有地の使用や、貨物施設の賃貸事業に必要な事業者指定など、国交省が多くの許認可権を持っている。そうした権限を背景に、国交省OBが民間企業の役員人事に介入しようとした可能性がある。国の権限を利用したこのような経緯が明らかになることはあまりないのでしょうが、国民には驚きでしょう。本田氏は取材に、面会について「いろんな方々から頼まれて」と経緯を説明。「相談に行ったということ。あとは会社で手続きを踏んでほしい」という趣旨だったとし、「国交省としてサポート」との発言については「OBというか仲間としてサポートするという気持ち」と語った。自身の言動について「国交省を笠に着て圧力をかけたわけではない。そう受け止められたなら申し訳ない。軽率のそしりは免れない」と述べた。国民はどのように考えるでしょうか。いつまで旧態依然の考え方がまかり通るのでしょうか。国家公務員法は、省庁による天下りのあっせんや現役職員による利害関係企業へのポストの要求などを禁じているが、元職員によるあっせんなどを規制するルールはない。国交省の事務方トップを務め、現在も社会的地位の高い人物が有力OBの『名代』とまで名乗ったのであれば、有力OBらによる組織的な要求だと疑われてもしかたがない。元官僚が規制の枠の外で、出身官庁と利害関係にある民間企業の人事に介入しようとする構図で、国は実態調査と対策を講じるべきだ。天下りを規制するルールがないこと自体が天下りをやめるという考えがないことでしょう。大日本水産会は水産業の振興を目的に1882年に設立された、500余りの水産関連団体からなる組織。会長職は農水次官経験者の「天下りポスト」となっている。白須氏は'08年、基準値を上回る農薬で汚染された事故米の不正転売事件の責任を取るため、就任1年で農水次官を辞任。ところが、官僚の天下り斡旋全面禁止を掲げる民主党政権が発足する直前の'09年9月、滑り込みで天下って復権を果たした。元官僚が一つの天下り先に10年以上在籍することは極めて異例のため、かねて白須氏の進退は注目されていた。ある業界関係者は、その心中を「次官を1年でクビにされたから、長くやって当然と思っている」と語る。昨年5月に瑞宝重光章を受章して、ようやく満足したとも囁かれる。後任となる見込みの枝元氏は「水産庁で勤務経験があり水産業への理解は深いが、改革志向ではない」(元農水省幹部)。水産業の衰退には歯止めがかかりそうにない。私物化しているように思われないでしょうか。国会の場でしっかり議論して結論を導き出す必要があるでしょう。016.JPG
自治体は知恵とアイデアを出し合って生き残ることを考えるべきで[2023年05月29日(Mon)]
 CHANTO WEB2023年3月30日付け「「電車も高校もない」“不便”な町で出生率2.95「実は高齢者福祉にもつながる」子育て支援」から、政府が異次元の少子化対策に取り組むなか、2019年の合計特殊出生率が2.95を記録した岡山県奈義町。町が子育て支援を重視する理由について伺いました。
「合併しない」ことからスタート
「奇跡のまち」と報道されることも増えたと思いますが、少子化対策への取り組みは20年前以上から取り組まれてきたそうですね。
情報企画課 森安栄次さん:いちばんの転機は、いわゆる平成の大合併の際、平成14年に合併しないことを選択してからです。住民投票で、投票された方の7割以上の意見で決定しました。そこから改めて町を存続させることについて真剣に考えてきたのですが、町が残るというのは住む人がいるということ。財政の立て直しとあわせて、子育て支援を拡張させてきました。
20年かけて取り組んできたことなのですが、時代によって若い世代の方の価値観や子育て観も変わってくるので、それに応じて柔軟にこちらも支援を拡大していくのが大切だと思っています。国には社会全体を変えるという大きな役割がありますが、自治体の役割として自分たちの町をどう守って次に繋いでいくかを第一に考えています。
さまざまな子育て支援が行われていますが、支援策はどのようにして決めているのでしょう。
森安さん:住民の声を聞くことを第一にしているのですが、町の職員が町の人が集まる場所に足を運んで、コミュニケーションを取る機会をつくっています。たとえば、PTAの会合があればそこに行く、町長がなぎチャイルドホーム(一時保育や親子向けイベントを行う施設)などに出向く。そこでざっくばらんに意見を伺っていますね。
住民を集めるのではなく、集まっている場所に行くんですね。
森安さん:役所は用事があるときに行くもので、どうしても固い雰囲気がありますので、みなさんのところに伺うというのを基本としています。
役所のロの字のテーブルを囲んでする会議では出てこなくても、座談会のような感じで雑談から出る意見は本当に必要な支援であることが多いです。毎年、施策全体に関する住民への満足度調査もしていますが、そういったデータを取っていくものとあわせて、日々の会話から意見を伺うほうが本音も出やすいと思いますし、何より問題解決への近道だと思っています。
子育て支援が高齢者福祉につながる
奈義町がここまで子育て支援に力を入れる理由はなんでしょう。
森安さん:私たちがしている子育て支援は、実は高齢者にとっての町づくりでもあるんです。都市部とは考え方が違うと思いますが、地方では、少子化対策は最大の高齢者福祉につながると考えています。 うちの町は正直、不便です。全国展開しているような大きなショッピングセンターもありませんし、高校もありません。JRも通っていません。
人口6000人ほどの町で、子どもがいる家庭の半数以上が3人きょうだいなのですが、小さい子どもはすぐ風邪も引きますので、町に2か所ある病院にかかります。医療費は高校生まで無料なので、近くのかかりつけ医に診てもらって病院の存続もできます。
高齢者だけの家庭では食材を消費する量も少ないと思いますが、家族がたくさんいると日々の買い物で町のスーパーを使うので、町の店も維持されています。高校生はバスで40分くらいかけて町外の高校に通うのですが、高校生が日々利用することで町の公共交通が維持されています。
もし若い世代がいなくなったら、病院や店、公共交通の維持ができなくなってしまって、高齢者が町に住めなくなってしまうんです。町に愛着を持って町のために頑張ってくださっていたご高齢の方が望むのは、やっぱり町で最期を迎えることです。
子育て支援が高齢者支援であると。
森安さん:私たちが一番恐れているのは、その町で住めなくなった高齢者が都市部に行ってしまう、高齢者の流出です。若い世代が流出するのは町に魅力や雇用がないからで、実は我々の努力でなんとかできることもあるのですが、高齢者が出ていってしまうのは町に生活基盤がないから。
これは町を存続するうえで一番の問題で、絶対に避けなければならないと思っています。都市部も、急に地方から高齢者が流入してきたら受け入れるのが大変ですよね。
高齢者の方が、老後を恐れずに安心して老後を楽しめる町というのは、それを見た次世代やその子どもたちも安心して生活できる町になる。そういうふうに繋がっていくと思っています。IMG_0177.JPG

 いわゆる平成の大合併の際、平成14年に合併しないことを選択してからです。住民投票で、投票された方の7割以上の意見で決定しました。そこから改めて町を存続させることについて真剣に考えてきたのですが、町が残るというのは住む人がいるということ。財政の立て直しとあわせて、子育て支援を拡張させてきました。20年かけて取り組んできたことなのですが、時代によって若い世代の方の価値観や子育て観も変わってくるので、それに応じて柔軟にこちらも支援を拡大していくのが大切だと思っています。国には社会全体を変えるという大きな役割がありますが、自治体の役割として自分たちの町をどう守って次に繋いでいくかを第一に考えています。町の存続に危機感を持ったことが大きかったのでしょう。多くの自治体とその住民は危機感が欠如していないでしょうか。生き残るためには相当の覚悟が必要でしょう。その覚悟を持って取り組んでいる自治体が残るのではないでしょうか。住民の声を聞くことを第一にしているのですが、町の職員が町の人が集まる場所に足を運んで、コミュニケーションを取る機会をつくっています。たとえば、PTAの会合があればそこに行く、町長がなぎチャイルドホーム(一時保育や親子向けイベントを行う施設)などに出向く。そこでざっくばらんに意見を伺っていますね。座談会のような感じで雑談から出る意見は本当に必要な支援であることが多いです。毎年、施策全体に関する住民への満足度調査もしていますが、そういったデータを取っていくものとあわせて、日々の会話から意見を伺うほうが本音も出やすいと思いますし、何より問題解決への近道だと思っています。素晴らしいですね。住民の意見に耳を傾け寄り添って住民の考えた方を尊重して行政が推進すればより良い地域づくりができるのでしょう。その町で住めなくなった高齢者が都市部に行ってしまう、高齢者の流出です。若い世代が流出するのは町に魅力や雇用がないからで、実は我々の努力でなんとかできることもあるのですが、高齢者が出ていってしまうのは町に生活基盤がないから。これは町を存続するうえで一番の問題で、絶対に避けなければならないと思っています。都市部も、急に地方から高齢者が流入してきたら受け入れるのが大変ですよね。高齢者の方が、老後を恐れずに安心して老後を楽しめる町というのは、それを見た次世代やその子どもたちも安心して生活できる町になる。そういうふうに繋がっていくと思っています。押し付ける訳ではありませんが、他の自治体も参考にすべきではないでしょうか。020.JPG
予備費の額と使い方には制約があるのでは[2023年05月28日(Sun)]
 FLASH2023年3月29日付け「2.2兆円「予備費」で物価高対策 2年連続の選挙直前支出に「ばらまき」「内閣が自由に使える小切手」批判集まる」から、3月28日、政府は、物価高騰と新型コロナウイルスへの対応として、2022年度予算の予備費から2兆2226億円を支出すると閣議決定した。  
地方自治体が、地域の実情に応じて物価高対策を講じられる「地方創生臨時交付金」に1兆2000億円を追加。そのうち5000億円で「低所得世帯支援枠」を新設。住民税非課税世帯に1世帯あたり3万円を支給することを想定する。残りの7000億円は、LPガス(プロパンガス)や、電力使用の多い法人向け「特別高圧電力」の負担軽減策などを自治体に促す。
加えて、国が1551億円を投じて、子供1人当たり現金5万円を支給する。対象は住民税非課税世帯のほか、児童扶養手当を受けている低所得のひとり親世帯とする。  
農業分野では、畜産農家の負担を軽減するため、飼料価格高騰対策に965億円、政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦価格の抑制策に311億円を確保する。新型コロナウイルスに対応する病床を確保した病院などを自治体が支援するための「緊急包括支援交付金」を、7365億円増額する。  
4月に控える統一地方選を前に、自治体や、農業・医療といった団体への配慮をにじませた内容となった。
「予備費は本来、自然災害など不測の事態に備えるもので、年間の計上額は5000億円ほどでした。ところが、2020年、当時の安倍政権が新型コロナ対策として10兆円の予備費を計上して以降、巨額の予備費を計上することが常態化しています。予備費は国会審議を経ず、閣議のみで使途を決められるため、監視の目が届きにくく、政府にとって使い勝手がいいのです。  
岸田政権では、2022年夏の参院選を控えた同年4月末にも、新型コロナウイルス対応などの予備費から1兆5110億円を支出すると閣議決定。低所得の子育て世帯に子供1人当たり5万円を給付しています。さらに、その後の補正予算で埋め戻し、計5,5兆円の予備費を維持し、物価高対策にも使えるよう名称を変更していました。結果的に、2022年度の予備費は9兆8600億円にも膨らんでいたのです」(政治担当記者)  
2022年度の予備費から、2022年夏の参院選前、今回の統一地方選前と、2年連続で選挙前の支出を、岸田文雄政権は閣議決定したわけだ。SNSでは、選挙前の予備費支出を批判する声が多く上がっている。
《国会の議を経ずに予備費から兆円を超える支出は、事実上の内閣が自由に使える小切手、と言えるでしょう。ましてや選挙前に、これはおかしい》
《選挙用のばら撒きには辟易する》
《予備費って選挙のばらまきに使うものなのか? 国会なくていいじゃん 無茶苦茶だ》  
3月28日に成立した2023年度予算でも、政府は5.5兆円の予備費を計上した。岸田政権の支持率が回復し、早期解散論も浮上している。岸田首相には、選挙にかかわらず、適正な予備費の支出を願いたいものだ。IMG_0179.JPG

 政権は議会を通さないで予備費の額と使い方の制約を無視して小切手のように扱っていいのでしょうか。選挙前に予算の中に膨大な予備費を計上していいのでしょうか。弱小野党を数で勝っているから国会を通過できるのでしょうが、国民は納得するでしょうか。地方自治体が、地域の実情に応じて物価高対策を講じられる「地方創生臨時交付金」に1兆2000億円を追加。そのうち5000億円で「低所得世帯支援枠」を新設。住民税非課税世帯に1世帯あたり3万円を支給することを想定する。残りの7000億円は、LPガス(プロパンガス)や、電力使用の多い法人向け「特別高圧電力」の負担軽減策などを自治体に促す。加えて、国が1551億円を投じて、子供1人当たり現金5万円を支給する。対象は住民税非課税世帯のほか、児童扶養手当を受けている低所得のひとり親世帯とする。農業分野では、畜産農家の負担を軽減するため、飼料価格高騰対策に965億円、政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦価格の抑制策に311億円を確保する。新型コロナウイルスに対応する病床を確保した病院などを自治体が支援するための「緊急包括支援交付金」を、7365億円増額する。4月に控える統一地方選を前に、自治体や、農業・医療といった団体への配慮をにじませた内容となった。選挙前のタイミングはいかがでしょうか。それにバラマキと思われるのではないでしょうか。確かに困っている人たちは助かるでしょうが、多くの国民が納得するでしょうか。岸田政権では、2022年夏の参院選を控えた同年4月末にも、新型コロナウイルス対応などの予備費から1兆5110億円を支出すると閣議決定。低所得の子育て世帯に子供1人当たり5万円を給付しています。さらに、その後の補正予算で埋め戻し、計5,5兆円の予備費を維持し、物価高対策にも使えるよう名称を変更していました。結果的に、2022年度の予備費は9兆8600億円にも膨らんでいたのです」2022年度の予備費から、2022年夏の参院選前、今回の統一地方選前と、2年連続で選挙前の支出を、岸田文雄政権は閣議決定したわけだ。SNSでは、選挙前の予備費支出を批判する声が多く上がっている。予備費は非常時に使われるのではないでしょうか。非常時の考え方が合意できているのでしょうか。《国会の議を経ずに予備費から兆円を超える支出は、事実上の内閣が自由に使える小切手、と言えるでしょう。ましてや選挙前に、これはおかしい》《選挙用のばら撒きには辟易する》《予備費って選挙のばらまきに使うものなのか? 国会なくていいじゃん 無茶苦茶だ》このような声が上がっても仕方ないでしょう。真剣に国会の場で時間をかけて議論して結論を導き出すべきでしょう。数の論理でどんどん決めていくようなあり方はいかがでしょうか。日本人は政治に関心が薄くおとなしいですが、必要なときには国民は大きな声を上げるべきではないでしょうか。IMG_0178.JPG
日本はどのように姿を変えるのでしょうか[2023年05月27日(Sat)]
 現代ビジネス2023年3月29日付け「「出生数80万人割れ」「東京への“一極集中”加速」の日本で、いま起きている「想像を絶する事態」」から、日本の出生数が80万人を割り、予想をはるかに上回るペースで人口減少が進んでいる。一方、コロナ禍で停滞していた人の移動が活発化し、首都圏への人口集中が再び強まっている。この2つの出来事は互いにリンクしており、日本社会の姿を大きく変えようとしている。
「異次元の人口減少社会」へ
厚生労働省の人口動態統計によると、2022年の出生数は前年比で5.1%減の79万9728人となり、比較可能な1899年以降、初めて80万人を割った。これは政府推計より11年も早いタイミングである。日本の人口が今後、急激に減少することは以前から予想されていたことではあったが、そのペースがさらに加速している。日本は従来の常識が通用しない、まさに異次元の人口減少社会に突入したと見てよいだろう。  
一方、総務省が発表した2022年の人口移動報告によると、東京都の転入超過(転入者が転出者を上回る状態)は3万8023人となり3年ぶりの増加となった。コロナ禍で停滞したかに見えた東京一極集中の流れが再び強まったと判断できる。  
出生数が80万人を割り、急速に人口が減っているという話と、東京への転入者が増えているという話はバラバラの出来事に見えるがそうではない。両者には共通要因が存在しており、人口減少と都市部への人口集中はセットになっている。  
まずは出生数について見てみよう。出生数が低下して人口が減ると、生産年齢人口の割合が低下して、製品やサービスの供給力が減少する。これによって経済成長が阻害されるとの危機感があり、出生数を増やす必要があると多くの人が考えている。だが現実には、出生数は増えるどころか減る一方であり、社会は多くの国民の希望とは逆方向に動いている。  
では、なぜこのような矛盾した事態が生じているのだろうか。最大の理由は、出生数が低下することによって発生する経済的負担についてほとんど考慮されていないからである。
日本社会が「目を背ける事実」
 日本では高齢化によって現役世代(特に若年層)の比率が低下しており、現役世代が多くの高齢者を支えているが、ここで出生数を急に増やした場合、問題は解決するどころかさらに深刻化する。というのも、現役世代は、高齢者に加えて、増えていく子供の生活も支えなければならず、想像を絶する負担が現役世代にのしかかってくるからだ。  
2人の子供を大学まで行かせるには最低でも1500万円近くの出費が必要となる。この数字は国公立の学校に自宅から通ったケースであり、私立の大学に自宅外で通学した場合には、金額は2倍以上に跳ね上がる。ここまでくると、もはや平均的な世帯収入で対処できる金額ではない。高額な教育費や住宅ローンを支払い、さらに高齢となった親の面倒をみるというのは、富裕層でもない限り不可能である。  
出生率低下の背景には、こうした経済的事情が関係しており、ここを金銭的に解決できる施策が実施されない限り、出生率は決して上昇しないだろう。  
都市部への人口集中についても同じことが言える。  
一般的に人口が減少する社会においては、都市部への人口集中が進むのはごく自然な現象といってよい。人口が減少していくと商圏を維持できない地域が増えてくるため、人々は雇用や生活インフラを求めて都市部に移動し、都市部への人口集中が進んでしまうのだ。実際、地方では、定年を迎えて行動が自由になった高齢者のうち、経済力のある人から順に、近隣の都市部に越していくケースが多数、観察される。  
過疎化を食い止めるには、過疎地域に住んでいても、都市部に生活している人と同程度の雇用や生活インフラを提供する必要があり、それには相応のコストを必要とする。拠点が分散する広域経済圏を維持するには、莫大なコストがかかるという現実から多くの人が目をそらしており、これが過疎化の最大要因となっているのだ。  
さらに問題を複雑にしているのが、地方から首都圏への人口移動と、各地域において過疎地域から都市部への人口移動が同時並行で進んでいることである。
「人の移動」は「経済活動」
 多くの人は、移住や地方経済について議論をする際、首都圏への一極集中問題と、各地域での都市部への人口集中(地域の過疎化)の問題を無意識的に混同している。  
例えば、首都圏への一極集中を是正する政策を実施した場合、首都圏から地方への人口移動は進むだろうが、首都圏からの移住者の多くは、各地域の拠点都市に定住する可能性が高い。結果として各地域の拠点都市は、首都圏からの人口流入で便利になり、これが逆に過疎地域から拠点都市への移住を促進してしまう可能性がある。これを防ぐためには、首都圏から地方へという流れを維持すると同時に、地方の拠点都市から過疎地域への流れを確保する政策を同時並行で進めなければならない。  
人の移動というのは、経済活動そのものであり、これらはすべて相互に関係している。経済の視点を欠いたままでは、過疎化の問題は決して解決しないのだが、社会全体としてそうした認識は薄い。  
コロナ危機によってリモートワークが普及したことから「田舎暮らし」がある種のブームになっている。筆者自身はコロナ危機以前からリモートワークの導入を強く訴えてきた立場であり、場所を問わない働き方が普及するのは喜ばしいことである。  
だが、政策について議論する際には現実を見据えることも重要である。  現時点で、完全にリモートワーク化を実施できるのはごく一部のエリート層だけであり、多くの労働者は、何らかの形で現場への出勤が求められるケースが多い。こうした現実を顧みずリモートワークによって過疎地域への移住が進むといった話をしても、政策として効果を発揮させるのはほぼ不可能だろう。
地域拠点への集約化が必要
 つまり一連の問題はすべて経済的負担の話であり、十分な支援を行わない限り、抜本的に状況を改善するのは難しい。では、こうした状況について私たちはどう対処すればよいのだろうか。  
もっとも単純なのは、国民負担を大幅に増やすことによって、子育て世帯や、過疎地域への移住者に対し、高額な経済支援を実施することである。加えて各地域で雇用が発生しやすいよう、官庁は率先して各地域に拠点を移すといった措置も必要となるだろう。税制にもメリハリをつけ、企業が東京に本社を構えると、税制上、著しく不利になるといった制度も検討する必要がある。  
だが、莫大な国民負担が生じる一連の政策について、多くの国民が賛成するとは到底、考えづらい。むしろ、都市部への人口集中が発生するという現実を一定程度、受け入れ、悪影響を最小限にする現実的な政策を模索する方が合理的だと筆者は考える。  
政府は以前から、各地域において可能な限り地域拠点への人口集約を進める「コンパクトシティ」と呼ばれる政策を進めてきたが、あまりうまくいっていない。今後は、拠点集約化を最重要政策に据えるなど、抜本的な政策転換が求められる。  
この政策によって一部の集落は消滅するかもしれないが、限界集落が多数、出現することで多くの世帯が孤立するといった事態は避けられる。また地域拠点に人口が集約化されれば、サービス需要が拡大するため、雇用と教育機会の拡大が望めるだろう。地方移住における最大のネックが雇用と教育であることは自明の理であり、地域拠点への集約化を進めることで、一連の問題を解決できる道筋が見えてくる。  
一方、首都圏では、上記の施策を行ったとしても、人口の流入は続く可能性が高い。人口増加に対して、新築の住宅供給数は増えておらず、今後、多くの人が住宅難民になる可能性が高まっている。住宅不足が予想されるのであれば、政府や自治体が積極的に良質な公的賃貸住宅を提供する必要があるだろう。  
これまでの時代は、少子化による成長阻害や過疎化による商圏の消滅は、将来の話であって、今日、明日の問題ではなかった。だが、こうした態度はもはや通用しない段階まで事態は進行しているのが現実だ。DSC00062.JPG

 日本の出生数が80万人を割り、予想をはるかに上回るペースで人口減少が進んでいる。一方、コロナ禍で停滞していた人の移動が活発化し、首都圏への人口集中が再び強まっている。この2つの出来事は互いにリンクしており、日本社会の姿を大きく変えようとしている。厚生労働省の人口動態統計によると、2022年の出生数は前年比で5.1%減の79万9728人となり、比較可能な1899年以降、初めて80万人を割った。これは政府推計より11年も早いタイミングである。日本の人口が今後、急激に減少することは以前から予想されていたことではあったが、そのペースがさらに加速している。日本は従来の常識が通用しない、まさに異次元の人口減少社会に突入したと見てよいだろう。少子化の問題は短期的に解決できることではないでしょう。中長期的な国民が納得できるようなビジョンを描くことができるでしょうか。総務省が発表した2022年の人口移動報告によると、東京都の転入超過(転入者が転出者を上回る状態)は3万8023人となり3年ぶりの増加となった。コロナ禍で停滞したかに見えた東京一極集中の流れが再び強まったと判断できる。  
出生数が80万人を割り、急速に人口が減っているという話と、東京への転入者が増えているという話はバラバラの出来事に見えるがそうではない。両者には共通要因が存在しており、人口減少と都市部への人口集中はセットになっている。明るい展望を描けるような状況でなくなってきているのでしょうか。出生数が低下することによって発生する経済的負担についてほとんど考慮されていないからである。日本では高齢化によって現役世代(特に若年層)の比率が低下しており、現役世代が多くの高齢者を支えているが、ここで出生数を急に増やした場合、問題は解決するどころかさらに深刻化する。というのも、現役世代は、高齢者に加えて、増えていく子供の生活も支えなければならず、想像を絶する負担が現役世代にのしかかってくるからだ。高額な教育費や住宅ローンを支払い、さらに高齢となった親の面倒をみるというのは、富裕層でもない限り不可能である。現役世代に対する負担が耐えきれない状況になっているとすればどのように対策を講じるのでしょうか。出生率低下の背景には、こうした経済的事情が関係しており、ここを金銭的に解決できる施策が実施されない限り、出生率は決して上昇しないだろう。人口が減少する社会においては、都市部への人口集中が進むのはごく自然な現象といってよい。人口が減少していくと商圏を維持できない地域が増えてくるため、人々は雇用や生活インフラを求めて都市部に移動し、都市部への人口集中が進んでしまうのだ。実際、地方では、定年を迎えて行動が自由になった高齢者のうち、経済力のある人から順に、近隣の都市部に越していくケースが多数、観察される。首都圏と地方の格差はさらに拡大して地方は衰退を続けていくのでしょうか。悲し状況ですね。首都圏への一極集中を是正する政策を実施した場合、首都圏から地方への人口移動は進むだろうが、首都圏からの移住者の多くは、各地域の拠点都市に定住する可能性が高い。結果として各地域の拠点都市は、首都圏からの人口流入で便利になり、これが逆に過疎地域から拠点都市への移住を促進してしまう可能性がある。これを防ぐためには、首都圏から地方へという流れを維持すると同時に、地方の拠点都市から過疎地域への流れを確保する政策を同時並行で進めなければならない。地方の過疎化を解決するのは容易ではないことがわかるのではないでしょうか。一連の問題はすべて経済的負担の話であり、十分な支援を行わない限り、抜本的に状況を改善するのは難しい。国民負担を大幅に増やすことによって、子育て世帯や、過疎地域への移住者に対し、高額な経済支援を実施することである。加えて各地域で雇用が発生しやすいよう、官庁は率先して各地域に拠点を移すといった措置も必要となるだろう。税制にもメリハリをつけ、企業が東京に本社を構えると、税制上、著しく不利になるといった制度も検討する必要がある。実効性を考えた思い切った政策に賛同が得られるでしょうか。難しいのでしょう。地域拠点に人口が集約化されれば、サービス需要が拡大するため、雇用と教育機会の拡大が望めるだろう。地方移住における最大のネックが雇用と教育であることは自明の理であり、地域拠点への集約化を進めることで、一連の問題を解決できる道筋が見えてくる。消滅する地域が出ても仕方がないという考え方で地域拠点への集約化を選択しなければ地方は守れなくなってきているのでしょう。今後、多くの人が住宅難民になる可能性が高まっている。住宅不足が予想されるのであれば、政府や自治体が積極的に良質な公的賃貸住宅を提供する必要があるだろう。これまでの時代は、少子化による成長阻害や過疎化による商圏の消滅は、将来の話であって、今日、明日の問題ではなかった。だが、こうした態度はもはや通用しない段階まで事態は進行しているのが現実だ。日本の根本的な問題は何なのか真剣に考え国民を納得させるような政策を実現できなければ地方は縮小化していくでしょう。空き家問題の解決が若い人たちが無理なく住宅を取得できるような仕組みを考えるべきでしょう。IMG_0180.JPG
日本は気象変動対策を真剣に受け止めて実行できるのか[2023年05月26日(Fri)]
 朝日新聞2023年3月28日付け「気象変動対策 何を選び、どう動く」から、「日本の基本方針 迫力感じない」
 欧州連合(EU)の復興基金やアメリカのインフレ抑制策は、IPCCが求める1.5度などの目標にかなり沿った試みだと分かる。2030年までに温室効果ガスを50〜52%(05年比)削減する目標を掲げるアメリカは、これで31〜44%達成できるという分析もある。
 これに対して日本のGX基本方針は、排出削減の具体的な経路について分析がなく、1.5度目標に近づけようという迫力がまったく感じられない。カーボンプライシング(炭素課金)である排出量取引の導入は決めたものの、電力部門の有償化は10年後なのでEUに比べると30年近く遅れる。
 世界では再エネや蓄電池が急速に普及しており、経済成長と二酸化炭素排出が切り離される時代になっている。「多様な選択肢」として原発や石炭火力を続ける日本は、再エネを中心とする新しい技術体系への移行が遅れることに危機感を持つべきだ。
 「再エネの潜在能力 いかすべき」
 我々の試算では、日本は約38兆円の投資で2035年までに電力から二酸化炭素排出量を、20年比で92%削減できる。気象データや再エネコストなどを組み合わせ、発電量に占める排出ゼロ電源の比率を90%に高めるのに、どの方法が最も安くなるかを調べた。
 主なシナリオはでは、太陽光27%、風力26%など再エネを70%まで増やせることがわかった。原発は20%。再稼働はするが、コストが合わないので新増設はせず、運転期間は現行ルールの最長60年までとした。需要調整のためにガス火力を10%使用するが、CO2排出が多い石炭火力発電は35年までにやめて予備力とする。
 日本の再エネの潜在能力は高い。房総半島沖や知多半島沖、紀伊半島沖の洋上風力は、原発1千基分、1千㌐h超のポテンシャルがある。政府の洋上風力の導入目標(40年までに最大45㌐h)は少な過ぎる。
 電気を都市部に送る送電網や、蓄電池の整備などで、投資額は15年で38兆円になる。ウクライナ危機の前に電力部門で年4兆円程度だった燃料代を減らせる。35年には20年比で85%削減になり、電力コストは6%減る。燃料費が高い今と比べれば、削減効果はもっと大きくなる。
 「資金投入 金融業界と協力して」
 今回の総合報告書は気象変動問題を解決させるラストチャンスだと読み取った。1.5度目標の達成の厳しさを改めて示し、社会のシステム全体を変えていかないと間に合わない。
 政府が脱炭素への明確な方針を示すことや、金融機関などが気象変動関連のリスクを過小評価している現状を変えていくことも重要になる。CO2の排出に課金して削減させる「炭素課金」の導入なども役立つ。
 今後は金融業界の実務者と気象変動の社会科学者がお互いに学び合うことで、ファイナンスの流れをより良い方向に変えていけると考える。
 研究者も国際的につながっていないと、最新の情勢を基にした研究ができにくくなる。日本は、気象変動の科学の分野でも国内での閉じた議論にならないようにしていきたい。DSC00046.JPG

 日本は現在のような取り組み方では世界の中で地球温暖化、気象変動の問題の対策に取り遅れ取り残されてしまう可能性があるのではないでしょうか。日本のGX基本方針は、排出削減の具体的な経路について分析がなく、1.5度目標に近づけようという迫力がまったく感じられない。カーボンプライシング(炭素課金)である排出量取引の導入は決めたものの、電力部門の有償化は10年後なのでEUに比べると30年近く遅れる。どうして遅れを取っているのでしょうか。政権が自分たちの方針だけを優先させ財政的にどこに何が必要か真剣に議論がなされていないために必要なところに予算が回らないのではないでしょうか。世界では再エネや蓄電池が急速に普及しており、経済成長と二酸化炭素排出が切り離される時代になっている。「多様な選択肢」として原発や石炭火力を続ける日本は、再エネを中心とする新しい技術体系への移行が遅れることに危機感を持つべきだ。島国日本にとっては最も効果的だと思われる再エネにどうして舵と切らないのでしょうか。日本は約38兆円の投資で2035年までに電力から二酸化炭素排出量を、20年比で92%削減できる。気象データや再エネコストなどを組み合わせ、発電量に占める排出ゼロ電源の比率を90%に高めるのに、どの方法が最も安くなるかを調べた。主なシナリオはでは、太陽光27%、風力26%など再エネを70%まで増やせることがわかった。原発は20%。再稼働はするが、コストが合わないので新増設はせず、運転期間は現行ルールの最長60年までとした。需要調整のためにガス火力を10%使用するが、CO2排出が多い石炭火力発電は35年までにやめて予備力とする。日本の再エネの潜在能力は高い。房総半島沖や知多半島沖、紀伊半島沖の洋上風力は、原発1千基分、1千㌐h超のポテンシャルがある。政府の洋上風力の導入目標(40年までに最大45㌐h)は少な過ぎる。電気を都市部に送る送電網や、蓄電池の整備などで、投資額は15年で38兆円になる。ウクライナ危機の前に電力部門で年4兆円程度だった燃料代を減らせる。35年には20年比で85%削減になり、電力コストは6%減る。燃料費が高い今と比べれば、削減効果はもっと大きくなる。以上のような資産をどうして活用して実践しようとしないのでしょうか。政府が脱炭素への明確な方針を示すことや、金融機関などが気象変動関連のリスクを過小評価している現状を変えていくことも重要になる。CO2の排出に課金して削減させる「炭素課金」の導入なども役立つ。政府は脱炭素への方針を明確にして前進していくことが日本の抱えている大きな問題を解決することにつながるのではないでしょうか。DSC00041.JPG
学校判断ではなく国で方針を示すべきでは[2023年05月25日(Thu)]
 朝日新聞2023年3月27日付け「「学びを止めないで」 フリースクールは出席? 割れる校長の判断」から、学校に足が向かない児童生徒が増えるなか、フリースクールに通ったり、自宅でオンライン学習をしたりと、学びの形が多様化している。それらを学校が「出席日数」とみなすかは、各学校長の判断だ。一方で、ばらつきをなくそうという取り組みも岐阜県内で始まっている。
フリースクール「Mahalo」は、岐阜市中心部の柳ケ瀬から西へ約1・5キロの住宅街にある。  
2月半ば。多くの子どもにとってゆううつな、雨降りの月曜日だ。昼下がりに数人がテーブルに並んでワークブックを広げ、講師と向き合って筆を走らせていた。足元にそっと塾長の愛犬が寄り添っていた。  
ここに通う中学2年の男子生徒は「マンツーマンで教えてもらえて、勉強も安心してできる」と話す。1年の夏ごろ、学校の教室には通えなくなった。  
はじめは「とにかく自分の心を休めたい」と、学校と距離を取った。一方で両親からは「無理はしなくてもいいけれど、高校は出た方がいい」と言われ、出席日数のことも気になる。「出席日数は、高校に入るときに大きな壁になるかもしれない」。将来を考えるとそんな不安もある。  
幸い、フリースクールでの勉強について、在籍校の校長は出席扱いにしてくれた。2年生になると学校の教室以外の部屋にも行けるようになって「成長できているんだな」と感じた。前期の通知表は「出席日数が欠席日数より多い。うれしかった」と自信にもなった。  
このスクールの「毎日通うコース」の場合、週4日の午前11時〜午後3時で、料金は小・中学生2万7500円(税込み、昼食付き)。  
この生徒のように、年間で30日以上登校しない児童生徒が増えている。文部科学省の調査では、2021年度は全国で24万4940人と過去最多。このうち4割弱が、公立の教育支援センター(適応指導教室)や民間のフリースクールなど学校外の施設とつながっていたという。  
文科省はこうした日数も、成績証明などの原簿として残す「指導要録」では出席扱いにできると通知している。コロナ禍で普及した自宅でICT(情報通信技術)を使った学習も出席扱いにできるとしている。
「出席」に難色示す学校も  
しかし、県内ではオンラインの学習支援が出席と認められない事例もある。  
岐阜市のNPO法人「教育・地域交流機構」では、不登校の子ども向けにオンラインでの「ホームスクーリング」をしている。  
子どもの学習の進み具合や体調を保護者から聞き取り、教科書の内容に沿って学習計画を立てる。子どもは自宅で学校のワークブックなどを使って勉強する。週1回、小中学校の元教諭や心理カウンセラーらがオンラインで面談し、学習の進み具合を確かめて分からない問題を一緒に解いたり、心の悩みを聞いたりする。料金は月1万1千円。  
現在は中学3年の2人が利用するが、いずれも在籍校の「出席扱い」にはなっていない。「周りの学校でやっていない。うちだけではできません」と難色を示す学校もあるという。  木野村真由美理事長(57)は「学校教育は大切だが、どうしても行くのがつらい時期は選択肢を増やしてあげたい。苦しい時だけその子に合わせた支援をすれば、子どもはきっと前向きになれる」と話す。出席扱いになろうがなるまいが学びを止めないで――。木野村さんは、子どもたちにこう伝えている。
学校とフリースクールの連携協議会も  
岐阜県内では、小中学校の校長とフリースクールの関係者らによる連携協議会が2021年にできた。  
県教育委員会がフリースクールなどに聞いたところ、同年5月時点で、12の施設・団体に約200人の小中学生が在籍していた。その半数の施設・団体が「在籍する学校によって出席扱いになる場合とそうでない場合がある」と答えた。  
岐阜市のMahaloは毎月、保護者らを通じて13人の利用日数を学校側へ伝えている。全員が「出席扱い」になっているという。利用日数だけ伝えればいい学校がある一方、スクールで過ごす利用者の写真や、文書で報告を求める学校もある。渡辺健塾長(54)は「学校ごとに提出する書類が異なるので手間がかかる。限られた人数で運営しており、子どもとふれあう時間を一番大切にしたいのだが……」と頭を悩ます。  
県教委は、文科省の通知を踏まえて出欠の取り扱いについてガイドラインで示している。教育支援センター(適応指導教室)や不登校特例校、フリースクールの一覧をHP(https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/324584.pdf)で紹介する。「岐阜県教委 不登校」で検索できる。DSC01835.JPG

 いじめの問題、不登校児童生徒の多さを考えれば学校教育だけで子どもたちの教育を行うことは難しくなっているでしょう。学校に足が向かない児童生徒が増えるなか、フリースクールに通ったり、自宅でオンライン学習をしたりと、学びの形が多様化している。それらを学校が「出席日数」とみなすかは、各学校長の判断だ。学校長の判断というのは問題があるでしょう。国が然るべき指針を示すべきでしょう。フリースクール「Mahalo」は、岐阜市中心部の柳ケ瀬から西へ約1・5キロの住宅街にある。2月半ば。多くの子どもにとってゆううつな、雨降りの月曜日だ。昼下がりに数人がテーブルに並んでワークブックを広げ、講師と向き合って筆を走らせていた。足元にそっと塾長の愛犬が寄り添っていた。ここに通う中学2年の男子生徒は「マンツーマンで教えてもらえて、勉強も安心してできる」と話す。1年の夏ごろ、学校の教室には通えなくなった。はじめは「とにかく自分の心を休めたい」と、学校と距離を取った。一方で両親からは「無理はしなくてもいいけれど、高校は出た方がいい」と言われ、出席日数のことも気になる。「出席日数は、高校に入るときに大きな壁になるかもしれない」。将来を考えるとそんな不安もある。学校以外でも学びを継続しているのであれば出席日数として換算すべきでしょう。年間で30日以上登校しない児童生徒が増えている。文部科学省の調査では、2021年度は全国で24万4940人と過去最多。このうち4割弱が、公立の教育支援センター(適応指導教室)や民間のフリースクールなど学校外の施設とつながっていたという。文科省はこうした日数も、成績証明などの原簿として残す「指導要録」では出席扱いにできると通知している。コロナ禍で普及した自宅でICT(情報通信技術)を使った学習も出席扱いにできるとしている。学校長の判断に任せるというのはどうでしょうか。国が積極的に関わって政策を進めるべきでしょう。「学校教育は大切だが、どうしても行くのがつらい時期は選択肢を増やしてあげたい。苦しい時だけその子に合わせた支援をすれば、子どもはきっと前向きになれる」と話す。その通りでしょう。不登校児童生徒が増え続ける日本では、学ぶための選択肢を増やして教育を受ける機会を確保しなければならないでしょう。DSC01834.JPG
鉄道貨物と連携して解決できないのでしょうか[2023年05月24日(Wed)]
 時事通信2023年3月28日付け「迫る物流「2024年問題」 運転手不足に懸念、業界対応急ぐ 荷物3割超運べず」から、トラック運転手の時間外労働に法律で年960時間の上限が課される2024年4月まで1年に迫った。
物流業界では、慢性化している運転手不足がさらに深刻となり、各地で荷物が運べなくなる事態が懸念されている。各社は「2024年問題」への対応を急いでいるが、課題は山積している。  
野村総合研究所は、この問題により30年に予想される国内の荷物量のうち35%が運べなくなる可能性があると試算。物流網を維持するには「料金割り増しや運送頻度低下が生じる恐れがある」と分析する。背景には、電子商取引(EC)市場拡大で荷物量が増える一方、人口減少や労働環境の過酷さで若手の運転手確保が年々難しくなっているという事情がある。  
輸送の効率化が求められる中、物流各社は1台で大型トラック2台分の荷物を運べる「ダブル連結トラック」活用や、トラック輸送から船や鉄道に転換する「モーダルシフト」などの取り組みを加速。西濃運輸では大阪―東北間など走行距離600キロ以上の9区間について既に転換した。  
商品などを長距離で運ぶ輸送と、顧客からの注文を届けるための配送の共同化も広がっている。ヤマト運輸や日本通運など4社は19年から連結トラックで関東―関西間での共同輸送を実施。食品や事務機器メーカーなどでも同業種や異業種間で共に商品を輸送・配送する動きが広がりつつある。  
再配達の多さや荷受け・荷降ろし時の待ち時間の長さも長時間労働を招く要因だ。ヤマトは駅や商業施設で好きな時間に荷物を受け取れる宅配ロッカーを首都圏中心に約6700台設置した。宅配各社は、スマホなどで利用者が配送場所や日時を手軽に変更できるサービスも提供し再配達を回避しようとしている。  
荷主企業に対しては、国が待ち時間削減などの物流改善計画の提出を義務付けることも検討している。斉藤鉄夫国土交通相は「(問題解消には)荷主や消費者の協力も必要だ」と訴える。  
燃料費高騰などのコスト増も重なり、物流業界の経営環境は厳しさを増している。特に危惧されているのはトラック輸送の下請けを担う数多くの中小企業へのしわ寄せだ。日本の場合、トラック運送事業者の99%超を中小が占めている。  
最大手のヤマトと佐川急便は「価格への反映が遅れている」などとして、4月にそれぞれ宅配の基本運賃引き上げに約5年半ぶりに踏み切る。こうした価格転嫁の動きが、中小の運転手の待遇改善につながるかが物流課題解決への焦点となりそうだ。DSC00084.JPG 

 トラック運転手の時間外労働に法律で年960時間の上限が課される。物流業界では、慢性化している運転手不足がさらに深刻となり、各地で荷物が運べなくなる事態が懸念されている。働き方改革が進まなかったことが要因でしょうが、働く人たちのことを考えれば当たり前のことでしょう。物流網を維持するには「料金割り増しや運送頻度低下が生じる恐れがある」と分析する。背景には、電子商取引(EC)市場拡大で荷物量が増える一方、人口減少や労働環境の過酷さで若手の運転手確保が年々難しくなっているという事情がある。 輸送の効率化が求められる中、物流各社は1台で大型トラック2台分の荷物を運べる「ダブル連結トラック」活用や、トラック輸送から船や鉄道に転換する「モーダルシフト」などの取り組みを加速。西濃運輸では大阪―東北間など走行距離600キロ以上の9区間について既に転換した。船の活用も然るべきでしょうが、鉄道を利用することを真剣に検討すべきではないでしょうか。JRの人口減少で収益を確保できない状況が続いていますが、鉄道路線を最大限に活用して目的地まで輸送できれば、そこからトラックで輸送することで運転手の負担の解消につながらないでしょうか。さらに引っ越しの時期は引っ越し荷物以外にも自家用車、さらには利用する人たちも移送できるように規制緩和すれば利用する人ばかりでなく夜間を通して運転するドライバーも助かるのではないでしょうか。商品などを長距離で運ぶ輸送と、顧客からの注文を届けるための配送の共同化も広がっている。ヤマト運輸や日本通運など4社は19年から連結トラックで関東―関西間での共同輸送を実施。食品や事務機器メーカーなどでも同業種や異業種間で共に商品を輸送・配送する動きが広がりつつある。同業種、異業種が連携して取り組むことは有効でしょう。再配達の多さや荷受け・荷降ろし時の待ち時間の長さも長時間労働を招く要因だ。ヤマトは駅や商業施設で好きな時間に荷物を受け取れる宅配ロッカーを首都圏中心に約6700台設置した。宅配各社は、スマホなどで利用者が配送場所や日時を手軽に変更できるサービスも提供し再配達を回避しようとしている。消費者も利便性だけを追求するのではなく運送業者、宅配業者に寄り添って考える必要があるでしょう。働き方を考え運送業者、宅配業者も利用する人もより良いと思われる政策を推進しなければならないでしょう。DSC01836.JPG
国民が政治に関心を持って声を上げなければ変わらないのでは[2023年05月23日(Tue)]
 AERA2023年3月27日付け「みんな等しく貧しくなる日本「高齢者世代いなくなる時が本当の危機」」から、“既得権者”“社会のお荷物”。シニア世代へのバッシングが止まらない。中央大学の山田昌弘教授は「高齢者世代がいなくなる時が本当の危機」だと警告する。
少子高齢化が進む日本で、若い世代の社会保障負担が重くなっているのは事実です。ただ、それが極端な世代間対立につながっているわけではありません。若い人は「損をしている」とは思っていても、格差是正を求める大きな運動にはなっていません。日本で問題なのは、世代内の格差がそのまま次世代に引き継がれていることです。貧しい親の子どもは貧しいまま。日本はパラサイト(寄生)社会ですから、経済的に豊かな親の恩恵を受けている子どもも多い。
東京都立大教授の宮台真司さんが、大学内で男に切りつけられる事件がありました。容疑者とみられる無職の男は死亡しましたが、親が年金保険料を払っていたそうです。成人した子どもの生活費だけでなく保険料まで親が面倒を見ることは、欧米では考えられないことです。  
ただ、これは日本の文化なので、そう簡単には変わりません。だから制度を変える必要があるのですが、日本人は制度が変わるのが嫌なんです。
 なぜ、変わるのが嫌なんでしょうか。それは「今の生活を変えたくないから」。たとえば、格差是正のために、高等教育の無償化を目指したとします。そこには財源が必要で、どこかで痛みが出ます。でも、その痛みは自分に降りかかってくるかもしれない。だから制度を変えたくない。  
官僚は優秀なので、消費税の税率を上げるのが大変なことはわかっています。代わりに、社会保険料を少しずつ上げていく。気がついたら、昔は年に2回行けていた旅行が1回になる。そうやって、みんなでだんだん貧しくなっているのが今の日本です。  
それでも、みんな等しく貧しくなっていくのなら、日本人は気にしないのではないでしょうか。外圧や戦争といったことが起きない限り、この国は変わらないのでしょう。
では、子どもを援助している今の高齢者世代がいなくなるとどうなるのでしょうか。おそらく、その時に日本の本当の危機が訪れます。DSC00103.JPG

 少子高齢化が進む日本で、若い世代の社会保障負担が重くなっているのは事実です。ただ、それが極端な世代間対立につながっているわけではありません。若い人は「損をしている」とは思っていても、格差是正を求める大きな運動にはなっていません。日本で問題なのは、世代内の格差がそのまま次世代に引き継がれていることです。貧しい親の子どもは貧しいまま。日本はパラサイト(寄生)社会ですから、経済的に豊かな親の恩恵を受けている子どもも多い。格差がいつまでもそのまま引き継がれていくのは辛いですね。子どもの頃貧しい生活を送っていても教育を受けて格差を解消して成長していくことができる社会にすべきでしょう。東京都立大教授の宮台真司さんが、大学内で男に切りつけられる事件がありました。容疑者とみられる無職の男は死亡しましたが、親が年金保険料を払っていたそうです。成人した子どもの生活費だけでなく保険料まで親が面倒を見ることは、欧米では考えられないことです。ただ、これは日本の文化なので、そう簡単には変わりません。だから制度を変える必要があるのですが、日本人は制度が変わるのが嫌なんです。なぜ、変わるのが嫌なんでしょうか。それは「今の生活を変えたくないから」。たとえば、格差是正のために、高等教育の無償化を目指したとします。そこには財源が必要で、どこかで痛みが出ます。でも、その痛みは自分に降りかかってくるかもしれない。だから制度を変えたくない。自分のことが中心だから自分自身に降りかかってこなければというので社会に問題があり変革が必要だと思っても変革することができないのでしょうか。みんな等しく貧しくなっていくのなら、日本人は気にしないのではないでしょうか。外圧や戦争といったことが起きない限り、この国は変わらないのでしょう、では、子どもを援助している今の高齢者世代がいなくなるとどうなるのでしょうか。おそらく、その時に日本の本当の危機が訪れます。残念ながらに日本の政治もそう簡単には変わらないのでしょうか。外圧や降りかかる戦争がないと変わらないというのは寂しいですね。利他主義の考え方を推奨できないのでしょうか。お互い様、助け合いという言葉が社会から消えてしまう社会になってはならないでしょう。DSC00071.JPG
多様な考え方を容認する社会にしなければ[2023年05月22日(Mon)]
 週刊金曜日2023年3月27日付け「敵と味方に二分類する自民党特有の発想」から、2014年11月26日、当時の礒崎陽輔首相補佐官は総務省の放送政策課に一本の電話をかけ、政治的公平の解釈や運用についてレクを求めた。28日、「一つの番組でも明らかにおかしい場合」について総務省に検討を指示する。明けて15年2月24日、総務省の局長が「首相に話す前に官房長官に」と言及したところ、礒崎首相補佐官は「俺の顔をつぶすようなことになれば、首が飛ぶぞ」と脅した。なるほど山田真貴子首相秘書官(当時)が礒崎氏を挙げて「ヤクザに絡まれた」と表現したのもうなずける。  
そして3月5日、礒崎氏が故・安倍晋三首相への説明の際に「サンデーモーニング」を挙げて「コメンテーター全員が同じことを述べているなど、明らかにおかしい」と指摘すると、それを受けて安倍首相は「正すべきは正す」と答えたという。  
上にはへつらい、下を脅す。こういう人が首相を動かしている。しかしこの件で重要なのは、「コメンテーター全員が同じ主張をする」という感じかたである。「サンデーモーニング」の当時のコメンテーターはジャーナリスト、国際政治学者、環境研究者、元政治家、評論家、そして私は江戸文化研究者だ。今より年齢層が高く出自がまちまちで、話す角度はみな違っていた。  
現在は出演者の年齢層が下がり、NGOの代表、ネットニュース主宰者、科学ジャーナリスト、社会学者等々で、さらに話す内容が異なる。そもそもニュース番組である。話題は政治のみならず事件、事故、国際情勢、気候変動、宇宙など多岐にわたる。その上、この番組の中で最も時間が長く、最も視聴率が高いのがスポーツ枠である。スポーツ枠のみ視聴する人がいることは、視聴率の細かい統計でわかっている。  
自分とは異なる意見を見聞きした途端に「敵だ」と感じ、世間を敵と味方に二分類する発想は自民党特有だ。多様な発言があっても、敵だと思ったら気が付かない。
「おかしい」と「正すべきだ」という補佐官と首相のやりとりも、「悪」と「正義」の二分類だ。世の中には男と女の2種類しかないのだから同性愛は依存症で正さねばならない、となる。世界には共産主義者と自由主義者しかおらず、自分に反対する者はみな共産主義者だと思い込んでいる。
「多様性」という言葉の内実を、そもそも理解できないのかもしれない、と思うと笑いながらも背筋が凍る。DSC00100.JPG

 2014年11月26日、当時の礒崎陽輔首相補佐官は総務省の放送政策課に一本の電話をかけ、政治的公平の解釈や運用についてレクを求めた。28日、「一つの番組でも明らかにおかしい場合」について総務省に検討を指示する。明けて15年2月24日、総務省の局長が「首相に話す前に官房長官に」と言及したところ、礒崎首相補佐官は「俺の顔をつぶすようなことになれば、首が飛ぶぞ」と脅した。なるほど山田真貴子首相秘書官(当時)が礒崎氏を挙げて「ヤクザに絡まれた」と表現したのもうなずける。そして3月5日、礒崎氏が故・安倍晋三首相への説明の際に「サンデーモーニング」を挙げて「コメンテーター全員が同じことを述べているなど、明らかにおかしい」と指摘すると、それを受けて安倍首相は「正すべきは正す」と答えたという。上にはへつらい、下を脅す。こういう人が首相を動かしている。しかしこの件で重要なのは、「コメンテーター全員が同じ主張をする」という感じかたである。「サンデーモーニング」の当時のコメンテーターはジャーナリスト、国際政治学者、環境研究者、元政治家、評論家、そして私は江戸文化研究者だ。今より年齢層が高く出自がまちまちで、話す角度はみな違っていた。どうして自分たちの考え方だけを通そうとするのでしょうか。多様な考えを容認することで積み重なっている課題が解決できるかもしれません。現在は出演者の年齢層が下がり、NGOの代表、ネットニュース主宰者、科学ジャーナリスト、社会学者等々で、さらに話す内容が異なる。そもそもニュース番組である。話題は政治のみならず事件、事故、国際情勢、気候変動、宇宙など多岐にわたる。その上、この番組の中で最も時間が長く、最も視聴率が高いのがスポーツ枠である。スポーツ枠のみ視聴する人がいることは、視聴率の細かい統計でわかっている。自分とは異なる意見を見聞きした途端に「敵だ」と感じ、世間を敵と味方に二分類する発想は自民党特有だ。多様な発言があっても、敵だと思ったら気が付かない。敵か味方かで判断する発想で政治を行ったらこの国はどうなるのでしょうか。多様な人たちが多様な意見を出し合って議論することで共通認識を持つことができ過ごしやすい社会になっていくのではないでしょうか。「おかしい」と「正すべきだ」という補佐官と首相のやりとりも、「悪」と「正義」の二分類だ。世の中には男と女の2種類しかないのだから同性愛は依存症で正さねばならない、となる。世界には共産主義者と自由主義者しかおらず、自分に反対する者はみな共産主義者だと思い込んでいる。「多様性」という言葉の内実を、そもそも理解できないのかもしれない、と思うと笑いながらも背筋が凍る。多様性を認めることができない社会になってしまったらどうなるのでしょうか。DSC00089.JPG
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