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マスメディアのキャスターも自分の言葉で自分の考えを言うべきでは[2021年08月21日(Sat)]
 デイリー2021年6月7日付け「日テレ藤井貴彦アナ 田村&丸川大臣の発言に「自主的な研究としても」「別の地平だからこそ」」から、日本テレビ・藤井貴彦アナウンサーが7日、キャスターを務める日本テレビ系「news every.」に出演。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長の東京五輪・パラリンピックを巡る発言と政府の反応についてコメントした。  
尾身会長は2日、国会で「今の状況で(五輪を)やるというのは普通はない」などと発言。これに丸川五輪相が「全く別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらい」と反応した。  
ほかにも、尾身会長が五輪開催による感染状況への影響や対策などに関する独自の提言を20日までに公表する考えを明らかにしたことについて、田村厚労相が「自主的な研究の成果の発表」と語っている。  
番組ではこれらの発言を“政府と専門家の溝”として取り上げた。  
藤井アナは「お願いしてもプロの責任を果たさない人が多くいる中で、自主的なご研究だったとしても、こういう意見を述べるのは大切だと思いますし、別の地平だからこそ気付かない視点、ってのは間違いなくあると思います」と冷静な口調で語った。
スポーチ報知2021年6月7日付け「宮根誠司氏、政府の尾身会長への発言に「お医者様が大変、危険だよって言っている時にお祭りはしませんよね」」から、7日放送の日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」(月〜金曜・午後1時55分)では、開幕まで46日となった東京五輪について、新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂会長が「五輪をこういう状況のなかで何のためにやるのか」などと発言したことについて、田村憲久厚労相が「自主的な研究の成果」、丸川珠代五輪相が「全く別の地平から見てきた言葉」と発言するなど、政府から苦言が相次いでいる現状を特集した。  
宮根誠司キャスターは田村氏の発言について「小学生の自主研究の発表じゃないですから。尾身会長(の発言)ですから」とチクリ。丸川氏の発言についても「まったく別の地平から見ていただいて、様々な意見を出していただくのが分科会じゃなかったのかと思うんですが…」と指摘した。  
その上で「『分科会ってなんなんだ?』って、オリンピックまで46日になって国民(の頭)にクエスチョンマークがついてしまっているんですね」とした上で「基本的に尾身会長はお医者様ですよね。日本は今、コロナという大きな病気と闘っていて、お医者様が『大変、危険だよ』って言っている時に普通はお祭りはしませんよねって言っているわけですよね。我々も病気になった時は、お医者様の言うことを聞きますよね。でも、日本は病気にかかっているんだけど、日本はオリンピックやるんだ、お祭りやるんだって捉えてしまうんですけど…」と続けていた。
日刊ゲンダイ2021年6月12日付け「吉村府知事は「ワースト首長」大阪のコロナ自宅死数最多が証明 大甘在阪メディアにも問題が」から、悔やんでも悔やみきれないのが新型コロナウイルスの自宅死だ。入院し適切な治療を受けていれば、助かった可能性があるからだ。感染拡大に見舞われても、何としても自宅死は食い止める――住民の生命と財産を守る首長の最低限のミッションのはずである。
今週、コロナ自宅死の実態が次々と判明。最多は大阪だ。吉村知事はパフォーマンスでやってる感をアピールするが、ワースト知事であることが数字で示された。  9日の毎日新聞は自治体へのアンケート結果を報じた。自宅療養・入院待機中に亡くなった人は「第3波」(昨年12月〜今年2月)が27人に対し、3月〜先月末の「第4波」は48人に急増。トップは大阪19人で兵庫16人が続いた。  
警察庁のまとめによると、コロナに感染し自宅などで体調が悪化して亡くなった人が、昨年3月から先月までで全国で少なくとも500人以上に上ったことが9日、分かった。先月は97人で大阪が24人と最多。兵庫12人、東京、北海道が10人だった。  
9日のアドバイザリーボードで公表された厚労省のまとめでは、2月〜先月末の自宅死54人のうち、大阪は15人で兵庫の6人を圧倒している。  
どの調査も大阪が最多である。4、5月、大阪は感染力の強い英国株に見舞われ、病床がパンク。希望しても入院できないコロナ患者があふれた。その深刻さが自宅死最多という結果で表れたのである。  
吉村知事は9日に1時間10分、10日は50分のぶら下がり取材を受け、記者の質問が尽きるまで対応した。ところが、「大阪自宅死最多」について、吉村知事に質問する記者は一人もいなかった。
突っ込まない在阪メディア  
在阪メディアが吉村知事に甘いことは有名だが、これほどの重大ニュースをスルーするとはあまりに腰抜けだ。こんなメディアに囲まれているから、ワースト知事は過ちを繰り返す。015.JPG

 アナウンサーやキャスターは正しい情報を伝えることは大事だと思いますが、視聴している国民に対する影響力が大きいことも間違いないでしょう。ただ客観的な事実を伝えるだけではなく、自分の言葉で自分の考えを国民に伝えることも重要な使命なのではないでしょうか。尾身会長は2日、国会で「今の状況で(五輪を)やるというのは普通はない」などと発言。これに丸川五輪相が「全く別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらい」と反応した。ほかにも、尾身会長が五輪開催による感染状況への影響や対策などに関する独自の提言を20日までに公表する考えを明らかにしたことについて、田村厚労相が「自主的な研究の成果の発表」と語っている。藤井アナは「お願いしてもプロの責任を果たさない人が多くいる中で、自主的なご研究だったとしても、こういう意見を述べるのは大切だと思いますし、別の地平だからこそ気付かない視点、ってのは間違いなくあると思います」と冷静な口調で語った。新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身茂会長が「五輪をこういう状況のなかで何のためにやるのか」などと発言したことについて、田村憲久厚労相が「自主的な研究の成果」、丸川珠代五輪相が「全く別の地平から見てきた言葉」と発言するなど、政府から苦言が相次いでいる現状を特集した。宮根誠司キャスターは田村氏の発言について「小学生の自主研究の発表じゃないですから。尾身会長(の発言)ですから」とチクリ。丸川氏の発言についても「まったく別の地平から見ていただいて、様々な意見を出していただくのが分科会じゃなかったのかと思うんですが…」と指摘した。その上で「『分科会ってなんなんだ?』って、オリンピックまで46日になって国民(の頭)にクエスチョンマークがついてしまっているんですね」とした上で「基本的に尾身会長はお医者様ですよね。日本は今、コロナという大きな病気と闘っていて、お医者様が『大変、危険だよ』って言っている時に普通はお祭りはしませんよねって言っているわけですよね。我々も病気になった時は、お医者様の言うことを聞きますよね。でも、日本は病気にかかっているんだけど、日本はオリンピックやるんだ、お祭りやるんだって捉えてしまうんですけど…」と続けていた。負担はどちらかと言えば政権寄りの報道をしている日本テレビ系列のアナウンサー、キャスターがどうしても伝えなければならないと思って語ったことではないでしょうか。残念ながら大阪府の問題は深刻かもしれません。メディアが首長に対するチェック機能が正常に働き、批判することはしっかり批判するという毅然とした姿勢で向き合っていない可能性があるのではないでしょうか。大阪の政治風土と言って片づけるわけにはいかないでしょう。日本維新の会がどうして大阪に限っては勢力を拡大できるのかわかりませんが、府民の心をと耐えているというより訴えるツボを知っているのかもしれません。それを信じて選挙の際には投票しているかもしれません。NHKは特にそうかもしれませんが、マスメディの報道のあり方が問われてきているかもしれません。政権に寄り添って忖度するだけで公正、公平に報道している姿勢を見せようとしているだけのマスメディでいいのでしょうか。モノをいう時ははっきりモノをいう姿勢が求められるのではないでしょうか。チェック機能が働かなくなってしまったマスメディアにはならないでほしいと思います。011.JPG
半農半Xを通して農業と地域を盛り上げることができれば[2021年08月20日(Fri)]
 日本農業新聞2021年3月13日付け「半農半Xで暮らそう 移住「成功モデル」育成 福岡県香春町」から、福岡県香春町は、地域おこし協力隊員による「半農半X」の移住就業モデル育成に乗り出した。人口減が続く中、移住者を呼び込むに当たり、生活が安定するよう農業以外にも仕事を見つけ、複数の収入源を確保することを重視。隊員は任期3年間で経済的な自立を実証する。活動内容をインターネット上で発信するなどして広く周知し、移住者の呼び込みにつなげる考えだ。
神奈川県出身の小玉篤美さん(42)は、料理教室の講師や加工品開発などを手掛けながら、自給用に3アールで約50品目の野菜を無農薬で栽培する。料理や加工品作りなど食に関連する仕事に就きながら、農業にも携わりたかった小玉さんは、「半農半X」を「魅力的な働き方」と実感する。  
会社員時代に経験した東日本大震災をきっかけに、食べ物を自分で作る暮らしに関心を持ち、転職。国内外で10年間、農業に携わった。宿泊施設でさまざまな料理の調理も経験した。  
香春町に来てからは農産物をよりおいしく食べることにこだわり、昨年は地元産柿の規格外品を活用した「柿床のお漬物」を発売した。  
料理教室にも手応えを得ている。伝統料理を学ぶ回は高齢者、スイーツの回は若い人と年齢層が変わることが分かり「多様なニーズがある」と実感。協力隊の任期終了後は収入源を安定させるため、料理教室を備えた民泊の開業を目指す。  
柵で囲った庭先でヤギや鶏が動き回る。もう一人の協力隊員、三村信也さん(32)が堆肥を確保するために飼う家畜だ。夢だった循環型農業に特用林産物を組み合わせた経営に意欲を燃やす。  
同県出身の三村さんは大学卒業後、企業に就職。旅行で訪れた中国で、野菜を栽培しながら家畜を飼う循環型農園に感銘を受けて一念発起。16年に退職し、国内外で農業を学んだ。  
経験の少なさから「生活するには、農業以外の仕事も組み合わせる必要がある」と考え、同町の地域おこし協力隊に志願。着任2年目の20年度から農業を本格的に始めた。  
アイガモ農法の水稲5アール、パパイアなどの果樹4アールを手掛けながら、農業以外の仕事として地元に多い竹林に着目。21年度から町内の竹林を借りてタケノコなどの生産を始める。「農業と林業の収入で生活できるモデルを示したい」と意気込む。  
「半農半X」のモデルを目指す2人の活動は、町がインターネット交流サイト(SNS)で農作業や仕事の内容などを発信する。  
町は「町外の若者が移住し、複数の仕事を組み合わせる半農半Xで経済的に自立する姿を示してもらい、後に続く若者を呼び込むきっかけにしたい」(まちづくり課)と期待を寄せる。021.JPG

 日本の農業のあり方を真剣に考えれば、大きな法人に頼り規模を拡大してIT化を推進するだけでいいのでしょうか。地方の中山間地と増え続ける耕作放棄地などは国土と食料の安全保障の観点で考えれば農業を持続できるようにしなければならないでしょう。小さくとも付加価値のあるお米や野菜などを耕作する農業従事者を増やすことが大事なのではないでしょうか。農業を見直するための政策を真剣に考える必要があるのではないでしょうか。若い人たちは自分の時間を使って自分自身の知恵とアイデアを出して仕事を行い、地域に貢献することを望んでいるのではないでしょうか。生計を成り立たせて農業を継続するために半農半Xという考え方は理想ではないでしょうか。神奈川県出身の小玉篤美さん(42)は、料理教室の講師や加工品開発などを手掛けながら、自給用に3アールで約50品目の野菜を無農薬で栽培する。料理や加工品作りなど食に関連する仕事に就きながら、農業にも携わりたかった小玉さんは、「半農半X」を「魅力的な働き方」と実感する。会社員時代に経験した東日本大震災をきっかけに、食べ物を自分で作る暮らしに関心を持ち、転職。国内外で10年間、農業に携わった。宿泊施設でさまざまな料理の調理も経験した。香春町に来てからは農産物をよりおいしく食べることにこだわり、昨年は地元産柿の規格外品を活用した「柿床のお漬物」を発売した。料理教室にも手応えを得ている。伝統料理を学ぶ回は高齢者、スイーツの回は若い人と年齢層が変わることが分かり「多様なニーズがある」と実感。協力隊の任期終了後は収入源を安定させるため、料理教室を備えた民泊の開業を目指す。このような実践例を農業に関心のある人たちにPRすることが大事なのではないでしょうか。農業は日本に限らず大変重要な産業だと思います。農業をはじめとする第1次産業を大事にして日本を元気にすることを真剣に考えるべきではないでしょうか。016.JPG
今後のオリンピック・パラリンピックのために検証すべきでは[2021年08月19日(Thu)]
 BBCNews2021年5月15日付け「なぜ日本政府は東京五輪を中止しないのか 事態は簡単ではなく」から、東京オリンピック・パラリンピックの中止について、政府からの発言はない。医療関係者も世論も、大多数は予定通りの開催に反対しているのだが。最近の国内世論調査では、70%近い人が、7月23日からの予定通りの開催を望んでいない。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)は依然として、大会は実施すると強い姿勢を堅持している。IOCと開催都市・東京都の契約(日本語版はこちら)は、明確だ。開催契約を解除し、開催を中止する権利はIOCのみにある。開催都市側に、その規定はない。なぜかというと、オリンピック大会はIOCの「独占的財産」だからだと、国際スポーツ法を専門とするアレクサンドル・ミゲル・メストレ弁護士は、BBCに説明した。オリンピックの「所有者」として、開催契約を解除できるのはIOCなのだという。 契約解除、つまり開催中止の正当な事由としては、戦争や内乱などのほか、「IOCがその単独の裁量で、本大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合」という項目が記載されている。パンデミックはこの、深刻な脅威に相当するのではないかという主張もあり得る。「この開催都市契約の様々な取り決めのもと、もし日本が一方的に契約を解除する場合、それによるリスクや損失はもっぱら地元の組織委員会のものとなる」と、豪メルボルン大学のジャック・アンダーソン教授(スポーツ法)はBBCに話した。「オリンピックは最大のスポーツイベントで、日本とIOCにとっては放送権とスポンサーシップという意味で数十億ドル規模がかかっている。巨大イベントなだけに、全ての当事者に巨大な契約上の義務が伴う」 「もしも東京五輪が中止になるなら、こうした大会に関わる保険金支払いの案件として、おそらく過去最大規模のものになるはずだ。紛れもなく」と、アンダーソン教授は言う。
保険金は大会主催者側の経費実費は補償する。しかし、五輪開催を期待して日本国内で行われた数々な関連投資はほとんど補償されない。たとえば、海外から観客が押し寄せると期待して各地のホテルやレストランが投資した改修費などは、取り戻せない。究極的に、大会を実施すべきかどうかの議論は、実際に実施されるかどうかとは別の話になる。近代五輪の歴史で、オリンピックが中止されたのは過去3回のみ。1916年と1940年と1944年の大会中止はいずれも、世界大戦がその理由だった。それだけに、どれだけ逆風が高まろうとも、IOCが中止を検討さえしようとしない姿勢から、五輪に詳しい人の多くは東京大会は予定通り7月23日に始まるだろうと見ている。それがどういう形での開催になるのかは、まだ不透明だ。
フジテレビ2021年5月15日付け「東京五輪開催は「自殺行為」 楽天グループ・三木谷氏」から、CNNのインタビューで、三木谷氏は、東京オリンピック開催について、「リスクが高すぎる。反対だ」と述べたうえで、「正直言って自殺行為のようだ」と指摘した。大会開催をめぐっては、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長も、アメリカメディアの取材に、「非常に恐れている」と答えている。
日刊ゲンダイ2021年5月15日付け「都医師会長の五輪開催基準「感染1日100人以下」は“蜜月”小池知事への返上アシスト」から、京都医師会の尾崎治夫会長が厳しい目標に言及し始めた。尾崎氏が「100人以下」を打ち出したのは11日の定例会見。開催中の海外メディア、スポンサーゲストらの感染対策について「今のところ、まったく情報がない」と問題視し、「オリンピック関係者だけ、しっかり対策を練れば大丈夫だという政府関係者は間違っている」と批判した。元日弁連会長の宇都宮健児氏が呼びかけた五輪中止を求めるオンライン署名は約35万筆に達し、茨城県の大井川知事に続き、千葉県の熊谷知事も五輪選手の専用病床の確保要請を拒否する方針だ。派遣国からの「選手の安全面への懸念」を理由にした事前合宿のキャンセルも相次いでいる。
日刊ゲンダイ2021年5月15日付け「五輪選手らを選手村と会場に“閉じ込める”政府案の浅はかさ 長野五輪では深夜まで街でドンチャン騒ぎ」から、深夜まで繁華街が外国人で溢れた長野五輪。そもそも突然浮上してきた監視員とは、一体どんな権限を持ち、その指示にはどこまで強制力があるのか。従わない選手は即、参加資格を剥奪されてしまうのか。分からないことだらけ。またぞろ、監視員業務を請け負うかもしれない人材派遣会社へ巨額予算を流すための“仕掛け”ではないか……と、うがった見方が出てきても不思議ではないだろう。政府や五輪組織委などが策定した規則では、選手やコーチらは選手村と競技会場、練習会場などに行動範囲を制限する――としているが、日本人のように「ハイ分かりました」とおとなしく従う国民ばかりではない。
AERA2021年5月15日付け「錦織圭、楽天の三木谷会長…五輪開催に疑問を呈する著名人が続々 菅政権「想定外の誤算」」から、世界各国のメディアに大々的に報じられたのは、プロテニスプレイヤー・錦織圭の発言だった。記者会見で東京五輪について質問されると、「出ないという選択肢は、なかなか難しいです」とアスリートとして出場を望む気持ちがあるとコメント。一方で、「死人が出てまでも行われることではないと思うので。究極的には1人もコロナの患者が出ない時にやるべきかなとは思います」とコロナの収束が見えない状況で五輪が開催されることに疑問を呈した。「五輪への出場が有力視される選手たちが開催に懐疑的な見方を示すと菅政権は思ってもいなかった。ただ、錦織選手の一連の発言は正直な気持ちで共感したアスリートも多いと思います。アスリートたちは国民に応援されることが大きなモチベーションになり、心の支えになる。その前提が崩れて開催に反対の声が高まると、出場に複雑な思いを抱くのは当然でしょう」(政治部記者)SNSやネット上では錦織を称賛するコメントが目立つ。「普通なら黙っているのも騒ぎを広めないためにはいいかもしれないが、今回は選手も一般の日本人も命の問題になる。黙るよりは、意見を言うことも歓迎すべき段階。意見が出てこないと、判断できない。錦織選手の勇気に感謝」「これは錦織さんの勇気ある発言。議論しないままのオリンピックは政府以外の誰も望んでない。錦織さんみたいに思っていても声にできないアスリートは沢山いると思う。そうゆう声を拾い上げるのが政治家じゃないの?」
日刊ゲンダイ2021年5月15日付け「インド株の市中感染を初確認!7月に全国蔓延で五輪もはや絶望」から、第4波の主体となった英国株は全国で9割を占めるまでになったが、それを上回る威力が懸念されるインド株の市中感染も初確認。感染スピードは英国株の1.6倍との指摘もあり、収束へ向けた出口は全く見えない。16日から9都道府県が宣言下、重点措置も10県に拡大する。14日の会見で菅首相は「新規感染者数は大阪では減少に転じてます」とか言っていたが、変異ウイルスを甘く見過ぎているのではないか。英国株が従来株と置き換わる一方、二重変異ウイルスのインド株も流行の兆しを見せている。ベルギーのルーベン・カトリック大教授のトム・ウェンセラーズ氏(生物学)はSNSなどで「英国株の感染スピードは従来株の1.5倍、インド株は英国株の1.6倍」と指摘。国際的なウイルス遺伝子データベース「GISAID」の情報を基に推定したという。英国株が国内で初めて確認され、全国的な蔓延まで要した期間は約140日。インド株の初確認は先月26日ごろで、英国株の1.6倍速で感染を広げるとすれば90日足らずになる計算で7月中旬には国内で主流になる。東京五輪開催はどう考えても絶望的である。
東スポ2021年5月22日付け「舛添要一氏が五輪費用不足時の対応について指摘「最後は国民が税金で補填することになっている」」から、21日の定例会見で、小池百合子東京都知事は、東京五輪・パラリンピックの費用について「想定外の事象が生じた場合は、改めてIOCや政府、大会組織委員会を含めて協議が必要になると理解している」と述べた。五輪大会招致時の立候補ファイルでは、IOCが資金不足となった際は都が負担し、最終的には国が負担すると記載されている。舛添氏は「東京五輪の費用、組織委が支払えないときは、東京都が、それでも足りないときは日本国が出す。これが契約内容だ。いずれにしても、最後は国民が税金で補填することになっている」とツイート。
日刊ゲンダイ2021年5月26日付け「東京五輪の来賓セレブ「おもてなし」に43億円も!巨額ムダ出費に批判噴出」から、大会関係者からも「簡略化すべき」と声が上がるが、その理由はカネの使途がヒドすぎるからだ。24日付のアエラドットによると、「空港に要人が来た時のVIPルーム」や「赤じゅうたんを敷く」ことなどに使われるというから、あまりにもバカバカしい。このコロナ禍に赤じゅうたんまで敷く必要があるのか。超豪華な「おもてなし」を受けるのは各国首脳だけじゃない。“ぼったくり男爵”こと、バッハ会長が君臨するIOC(国際オリンピック委員会)もスゴい接遇を受ける。立候補ファイルによると、大会期間中、東京都はIOC関係者用に「ANAインターコンチネンタル」「グランドハイアット東京」など一流ホテルの部屋を提供する。IOC関係者は格安で利用できるという。 「1泊100万円を超えるような部屋でも、IOC委員や関係者は数万円の負担で宿泊可能と伝えられている。差額は大会組織委員会が負担することになっているようです」(大会関係者)コロナ禍のさなか、国民や都民は、菅首相や小池知事から「外食するな」「酒を飲むな」「夜は電気を消せ」と徹底的に自粛しろと迫られている。収入が激減したのに協力金を受け取れない業者もいる。なのに、セレブへの「おもてなし」に巨額のカネを突っ込むのは、おかしいのではないか。他に手当てすべきことがあるはずだ。「今回のような無駄遣いは、コロナ禍だからこそ問題視され、あぶり出されたのです。コロナがなければ、数十億円もの接待費は粛々と使われていたことでしょう。当然ながら、優先すべきはVIP接待ではなく、コロナ対策。無駄な事業に浪費することは許されません」
現代ビジネス2021年5月27日付け「東京五輪、「疑惑をかけられた偉い人」が全員“逃げ続けている”日本のメチャクチャさ」から、国立競技場近くの住民を取材したのはもう5年以上前だ。今では、マンションの前に、超巨大な新しい競技場がそびえ立っている。それは、47都道府県すべての木材を軒や庇(ひさし)に使用していると自信満々に「杜のスタジアム」などと打ち出している。しかし同時に、マレーシアやインドネシアの熱帯林を伐採した合板が型枠に使用されている。こんな事実も語られない。かつて、国立競技場の隣にあった明治公園や霞ヶ丘アパートは取り壊された。追い出された霞ヶ丘アパート住民が東京都へ提出した要望書には、「私たちは移転の可否について、都から一度も相談を受けていません。住民の気持ちを顧みない東京都の手続きからは、私たちがひとりの『人として』尊重されていると感じることはできません」今年2月、森喜朗大会組織委員会会長の女性蔑視発言が問題視され、たちまち辞任に追い込まれた後、五輪招致時の中心人物がこれで全員いなくなりましたねと、4人横並びの写真が注目された。その4人とは、竹田恒和、猪瀬直樹、安倍晋三、森喜朗である。この4人の共通項もまた「偉い人ほどすぐ逃げる」だった。それぞれの逃げ方をおさらいしておきたい。
AERA2021年5月28日付け「「本気で東京五輪を開催する気?」欧米で疑問報道が相次ぐ」から、「USOPCは立場上、五輪を中止にするとは言えないでしょう。常識的に考えれば、渡航中止の勧告が出ている国で2カ月後に五輪を開催するなど考えられない。政府も後に引けない状況で、答弁が苦しくなっている」米国では大手メディアが次々、五輪開催に異を唱えている。ワシントン・ポスト(電子版)も5日のコラムで、日本政府に対し東京五輪を中止するよう促している。コラムでは。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長を「ぼったくり男爵」と痛烈批判。五輪開催の目的は「カネ」と断じ、日本は「五輪中止で損切り」をすべき」と訴えた。また、ロサンゼルス・タイムズ電子版も18日、今夏の東京オリンピックについて「中止しなければならない」とする記事を掲載した。菅義偉首相は4月20日の衆院本会議で、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして(東京五輪を)実現する決意に何ら変わりはない」と述べたが、打ち勝ったと証明できないのが現状だ。十分な説明責任を果たさず国民が不安を抱いたまま、このまま五輪開催に突き進んでよいのだろうか。
現代ビジネス2021年5月28日付け「世界的知性が続々苦言「なぜ日本人は、東京五輪を中止できないのか」」から、コロナ抑え込みに失敗し、ワクチンが遅々として行き渡らない日本。国民も世界の人々も、このまま五輪なんて到底ムリだと言っている。それなのになぜ、権力者たちは暴走を止めようとしないのか。「ドイツをはじめとした欧米各国では、国民の半数近くがコロナワクチンの接種を1度は受けています。接種が完了した人には外出制限を緩めたり、マスクを外しても構わないという動きも出ている。しかし翻って日本は、ワクチンに関して信じがたいほど遅れをとっています。きわめて困難な状況に陥っているにもかかわらず、東京五輪を強行しようとしているのは、日本人の高いプライドのなせる業なのでしょうか」「日本政府のワクチン政策は、大失敗と言わざるを得ません。世界ですでに何百万、何千万人が接種を済ませているワクチンの認可に何ヵ月も手間取った。迅速で効果的な接種プログラムを作ることも実行することもできなかった。これらの事実は、すでに日本の国際的な評判に大ダメージを与えています」米有力紙ワシントン・ポストは5月5日、「なぜ日本は、これほどワクチン接種で大失敗を喫しているのか」との記事を掲載し、こう評した。  
〈世界最高の物流能力で名高い日本が、富裕国クラブであるOECD加盟37ヵ国の中でぶっちぎりの最下位を走っている〉〈日本は根本的に変われるか否かの瀬戸際にいるのだ〉  
いまや世界中が、日本が「コロナ敗戦」を喫しつつあることに驚き、失望し、そして懸念を表明している。それはほかでもない、開会式まで残り2ヵ月を切った東京五輪を、開催するか否か――その決断の時が、ついに迫っているからだ。本誌は、冒頭で紹介したガブリエル氏をはじめ、世界的知性と呼ばれる海外の研究者やノーベル賞受賞者、さらにジャーナリスト、スポーツ関係者や医療従事者に日本のコロナ対策の現状をどう評するか、そして東京五輪の開催可否をどう見るかについて訊いた。  すると誰もが、口を揃えて「東京五輪開催はありえない」と語った。「日本のワクチン接種の異常な遅れは、とても先進国とは思えないレベルです」 こう断じるのは、ハーバード大学教授で世界的心理学者のスティーブン・ピンカー氏だ。しかし日本の現状を見ていると、とてもそんなことが言える状況ではない。  
五輪という一大イベントが待ち受けていることを知っていながら、なぜ日本人はこれほど後手に回ってしまったのでしょうか。日本政府は本当に真剣に取り組んでいるのか。  菅総理は何度も『責任は私がとる』『心からお詫びする』と言っていますが、結果が伴っていないのだから、それも空虚な言葉です。(菅総理は)無能と言われても仕方がないでしょう」  さらにノーベル経済学賞受賞者で、ニューヨーク市立大学教授のポール・クルーグマン氏もこう指摘する。「日本政府もIOCも、どんな犠牲を払うことになっても、断固として東京五輪を開催しようと考えているようです。しかし開催するとなれば、たとえ無観客であっても、9万人もの選手や大会スタッフ、メディア関係者が日本にやってきます。その中に感染者が一人もいないはずがありません。変異ウイルスも猛威を振るっている中、いくら検査を徹底しても100%の安全はあり得ない。もし大会期間中に感染拡大が起きてしまえば、日本人のみならず世界中の人から『それ見たことか』と言われるでしょう。国家の威信を地に落としかねない危険なバクチを、日本がなぜここまでして続けようとするのか。私には理解不能です」日本政府、そして五輪を取り仕切るIOCの首脳たちは決して「中止」を口にしようとはしない。その最たる理由が「大損をするから」だ。5月11日、米最大手紙のニューヨーク・タイムズに「五輪を中止せよ」と題する歯に衣着せぬ論考が掲載され、世界中で話題となった。〈科学的思考にもとづいて、この危険な茶番を止める時が来た。東京五輪は中止すべきだ〉〈だがそれでも、五輪という暴走機関車は止まらない。三つの大きな理由は、カネ、カネ、そしてカネだ〉全87ヵ条にも及ぶ契約書を読むと、重要事項は軒並み「開催都市や開催国の組織委員会が、IOCに対して義務を果たす」という形式になっている。たとえば、第1条には「IOCは、本契約にて、開催都市およびNOC(開催国の五輪委員会)に、本大会の計画、組織、資金調達および運営を委任し、開催都市およびNOCは、オリンピック憲章および本契約の規定を遵守してその義務を履行することを約束する」と書かれている。  その一方で、第41条には「(五輪に関する)あらゆる種類および性質の権利、権原、利権が、全世界を通じて永久にIOCの独占的な財産であること」も定められている。要するにこれは、IOCが絶対的な権限を振るい、開催国や開催都市に過大な負担を強いる「不平等条約」なのだ。中でも前出のクルーグマン氏が注目するのが、医療に関する条文である。「第24条では、『開催都市は大会中、関係者に発生したあらゆる症状について、無料で医療サービスを提供する義務がある』という旨が記されています。コロナ禍の中でこの要求を満たそうとすれば、日本は莫大な数の医療従事者を動員しなければなりません。ただでさえ日本の病床は逼迫していると聞きますが、IOCのこんな無茶苦茶な要求を受け入れるキャパシティが残っているのでしょうか。これほど一方的な契約は見たことがありません」もし日本側がこれらの契約を破る―つまり五輪を中止すれば、IOCは開催都市、すなわち東京都に「違約金を支払え」と迫るのではないか、とも囁かれる。五輪が中止となれば東京都、ひいては日本がカネの埋め合わせをさせられるわけだ。ここで問題になってくるのが、五輪の莫大なテレビ放映権料である。実は4年間で6000億円を超えるIOCの収入のうち、およそ3分の1がアメリカ三大テレビネットワークの一角、NBCが支払う放映権料で賄われている。全米の五輪中継を独占するNBCは、人気競技の開始時刻をアメリカのゴールデンタイムに変更させたり、開会式の選手行進の順番を変えさせたりするほどの影響力を誇る。詳細は非公開だが、全世界からの放映権料を合わせれば、IOCは収入の7割超、約4500億円をテレビ業界から得ていると推定される。IOCにとって、この金ヅルを失うことは破滅を意味する。東京五輪の情勢をウォッチし続けている、ドイツ最大手紙「南ドイツ新聞」のトーマス・ハーン東京特派員が言う。「IOCの幹部や日本政府の首脳が、日本国民や世界の一般市民からみて常識外れとしか思えない言動を続けているのは、ひとえに、この放映権料を失うと大変な事態になるからなのです」すでに五輪のために1兆6400億円を費やしているのに、さらに数千億円の賠償金まで背負わされれば、日本国民の怒りは爆発するだろう。「ワシントン・ポスト紙はコラムでバッハ会長のことを『ぼったくり男爵』とあだ名し、ちょっとした流行語になっています。彼が選手ファーストでも、開催国ファーストでもなく、おカネファーストでものを考えているのは明らか。巨大なリスクを負って開催すれば、日本は感染拡大に怯えなければならず、国際的な批判にもさらされる。中止したいと申し出れば、巨額の賠償金を払わされる。どう転んでも得をするのはIOC、損をするのは日本です」(前出・クルーグマン氏) 日本人はいま、究極の選択を迫られている。東京五輪を強行して、もし大規模なクラスターが発生したり、あるいは「東京株」とでも言うべき変異株が生まれてしまったら、東京五輪は日本の汚点になる。「こうなることはわかっていたのに、なぜやったのだ」と、全世界から批判が殺到することは避けられない。一方で中止に踏み切れば、日本はただでさえコロナ対策で身の丈に合わない支出を垂れ流しているのに、さらに大きな金銭的負担を背負わされるかもしれない。どちらを選んでも、待ち受けるのは茨の道だ。だがそれでも、カネは人命には代えられない。米名門医科大学のジョンズ・ホプキンス大学で准教授を務める、疫学者のデイヴィッド・ダウディー氏が言う。中止した場合に、失われるのはカネだけだ。出場するアスリートにとって、4年に一度の晴れ舞台を逸することは悔やんでも悔やみ切れないだろう。しかし、人命とカネを天秤にかけて後者を取れば、IOCの「ぼったくり男爵」たちと同じになってしまう。テニスの錦織圭選手も、(五輪は)『死人が出てまで行われることではない』と発言していて、私は共感しました。
現代ビジネス2021年5月28日付け「東京五輪、偉い人が誰も「やめよう」と言い出せない「無責任すぎる構造」」から、選手に対しては1日2回のPCR検査を行うということだが、そもそも検査リソースや医療体制が確保されているのかもわからない。選手村でクラスタ−が発生したらどうなるのか。ボランティアが感染したらどうなるのか。そういった対策すら立てられているようには思えない。観客を入れるのか無観客なのかさえも、開催まで2ヶ月の現在において、いまだ定かではない。高齢者のワクチン接種は、自治体から悲鳴が上がる中、政府は「とにかく7月末までに終わらせろ」という大号令だけをかけている。櫛の歯が欠けたように選手が辞退し、クラスタ−発生により選手村で欠場者が出て、対応に追われる。そして、そのために医療リソースが大量に動員される。そんなことになってしまえば、「開かれなかった」フェスティバルよりも、よほど罪深い。オリンピックが開かれないことは問題ではない。問題は、どうやら開かれてしまいそうだ、ということである。
スポニチ2021年5月29日付け「IOC 五輪選手らに“コロナで死亡は自己責任”同意書義務付け、唐突ぶりに不満噴出」から、国際オリンピック委員会(IOC)が東京五輪の参加選手らに対し、新型コロナウイルスや猛暑による「健康被害」のリスクは自己責任とする同意書の提出を義務付けていることが28日、分かった。同意書は五輪憲章や反ドーピングなどのルール順守を署名付きで誓約させる書類。東京五輪については(1)コロナやその他の感染症、猛暑により健康被害や死亡に至る可能性がある(2)リスクを軽減する具体的な対策を取る、などに同意を求めた。IOCのハダッド最高執行責任者は改訂の事実を明かし「どの政府も保健当局も感染症について保証はできない。我々全員が負うべきリスク」と自己責任を強調した。
スポーチ報知2021年5月29日付け「五輪パラ選手村で酒類持ち込みが可能と判明「選手同士の交流の場」規制せず」から、新型コロナ下での実施を目指す今夏の東京五輪・パラリンピック大会で、滞在中の選手らに徹底した感染防止対策と、厳しい行動管理が課される東京・中央区晴海の「選手村」に、アルコール類の持ち込みが禁止されていないことが28日、判明した。テロ防止の観点などから酒類を禁止した12年ロンドン大会などの例もあり、ルールは大会ごとに異なるが、今大会はコロナ禍という非常事態。外出禁止などの厳しい行動管理が敷かれ、違反者は資格剥奪(はくだつ)など厳罰が下される見込み。選手村への入村は出場する競技開始5日前からで、競技終了後2日後までに退去。入国から出国までバブル方式で選手を守る措置が講じられる。「村内で飲酒するには出発前に荷物に詰め、自国から持ち込む以外に方法はない」という。一定の距離も守らなければならない中、物理的な距離がさらに縮まりかねない。コンドームも今大会は15万個が用意された。担当者は「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染予防の啓発活動を目的に置くもので、村内で使うためのものではない。母国に持ち帰り啓発をしていただくためのもの」と強調した。
NEWSポストセブン2021年6月1日付け「舛添要一氏「五輪中止唱えるのがタブーな状況を作ったのは安倍さん」」から、五輪開幕まで2か月を切り、菅義偉・首相の苦渋の表情が目に付く一方で、存在感を示しているのが安倍晋三・前首相だ。月刊誌『Hanada』7月号のインタビューで、ポスト菅について“子飼い”とも言える4人の名前を挙げ、政権への影響力を誇示した。
しかし安倍氏は、「桜を見る会」の検察捜査こそ乗り切ったものの、東京五輪の1年延期、選挙買収事件の河井克行・案里夫妻に対する1億5000万円提供疑惑など、問題は山積。森友問題に端を発した赤木ファイル問題は安倍氏が原因をつくった。菅首相が迷走を続けているのは、そうした安倍政権の「負の遺産」に足を取られて身動きできないという面が大きい。  
そもそも五輪の開催が危ぶまれている原因は、安倍氏にある。安倍氏は昨年3月24日、国際オリンピック委員会のバッハ会長に「1年延期」を伝える直前、組織委員会会長だった森喜朗・元首相と首相官邸で会談した。森氏が朝日新聞(昨年4月2日付)でこんなやりとりを明かしている。 森氏「2年に(延期)しておいた方がいいのではないですか」 安倍氏「ワクチンの開発はできる。日本の技術は落ちていない。大丈夫」 “オレの任期中に五輪をやる。次の総理の晴れ舞台にはさせない”──という安倍氏の思いが透けて見えるやり取りだが、安倍氏はその半年後に退陣し、国産ワクチンも、国産治療薬も未だできていない。菅首相は前任者の「延期は1年まで」に縛られることになった。  
さらに安倍氏は菅続投支持を表明したBS番組で五輪について「オールジャパンで対応すれば何とか開催できる」と“五輪開催が支持の条件”であることを匂わせ、菅首相に“予定通りやれ”と念押しした。五輪準備に携わってきた舛添要一・前東京都知事が指摘する。 「安倍さんは1年延期を決めるにあたって『完全な形で実施する』と言った。現実は海外からの訪日客は入れないし、国内の入場者も減らすことが検討されている。完全な形で開催できないのだから、菅さんはそれを理由に五輪を中止するのが正当な判断だと思う。
私は昨年まで、ワクチン接種がうまくいけば是非五輪を開催してほしいと思っていましたが、今のこの状況では開催を強行すべきではない。しかし、五輪中止を唱えることがタブーとする状況を安倍さんがつくってしまった。このコロナ禍で開催を強行するならその一番の責任は安倍さんにあります」  
誰かが決断しなければ──その日は着実に近付いているのだ。
ABEMA TIMES2021年6月3日付け「「五輪開催に伴って国内の感染あるいは医療に必ず何らかの影響を及ぼす」「政府に言ってもIOCに届かなければ意味がない」 分科会・尾身会長」から、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は3日の参議院・厚生労働委員会で、感染拡大下での開催が懸念されている東京オリンピック・パラリンピックについて、「開催すれば国内の感染あるいは医療の状況に必ず何らかの影響を起こす」との見方を示した。
「国内の流行対策と東京オリ・パラ開催の影響の両方を議論する場がない。厚生労働省アドバイザリーボードで国内の感染、分科会でオリ・パラと国内外への感染の発生についてリスク評価を行うことが妥当と考えられる」ことへの考えを問われた尾身会長は、「アドバイザリーボードあるいは分科会でオリンピックを開くかどうかを我々が判断する立場にもないし、権限もない」とした上で、「この一年以上ずっと国内の感染について政府にアドバイスをする立場できている。オリンピックを開催すれば、それに伴って国内の感染あるいは医療の状況に必ず何らかの影響を及ぼす。こうした役割を担ってきた専門家としては、仮にオリンピック開催を決定した場合には、感染のリスクや医療ひっ迫への影響について評価するのは我々の責任だと思っている」と述べた。  
一方で、分科会としての意見には限界もあるとし、「政府に言ってもIOCに届かなければ意味がないということで、どこに我々の考えを述べたらいいのかというのは検討している」「オリンピック開催に伴う人々の流れが起きる可能性は極めて高いので、成功させるためにはオリンピック委員会の方にも最大限の努力をしてもらう。それが開催する人の責任だと思う。本来パンデミックの中で開催することは普通でない、それをやろうとするのであればかなり厳しい責任をオリンピック委員会も政府も負わないと、一般の市民はついてこないのではないか」とした。
日刊ゲンダイ2021年6月3日付け「五輪開催「普通はない」発言は尾身流の危機管理…分科会“再反乱”に慌てる菅首相」から、政府分科会の“反乱”再びか――。  
何が何でも東京五輪開催で突っ走る菅首相が、新型コロナ対策における自らのアドバイザー集団の切り捨てに走っている。1日の参院厚労委員会で野党から五輪開催の可否について分科会に諮問すべきとただされると、菅首相は「東京都と大会組織委員会などとの調整会議に感染症の専門家2人が参加し意見を伺っている」と答弁。分科会に諮問せず、“外す”考えを示唆したのだ。先月14日に、やりたくなかった緊急事態宣言の地域拡大を押し切られたことが、よほど腹に据えかねたのか。
「このパンデミックで普通は開催はない」  
しかし、分科会の尾身会長はすぐに反撃に出た。2日、参考人として呼ばれた参院内閣委員会や参院厚労委で持論を大展開。  
東京五輪について「今の状況で普通は(開催は)ない。このパンデミックで」と言い放ち、「そういう状況でやるなら、主催者の責任として開催規模をできるだけ小さくして、管理体制を強化するのが義務だ」と苦言を呈した。さらには「そもそも五輪を、こういう状況の中で何のためにやるのか。それがないと一般の人は協力しようとしない」「(専門家としての評価を)何らかの形で伝えるのがプロフェッショナルの責務だ」とまで言ってのけた。  
この発言が報じられると、ツイッターで「尾身会長」がトレンド入り。<1万回いいねを押したい。まさに専門家の鏡たる発言><専門家は100人中100人がそう言っていたが、尾身までもが><尾身さん、責任問題になった時のために備えているようだな>などのコメントで一時沸いた。
一部報道によれば、分科会の有志が、五輪開催のリスク評価をまとめた上で公表することを検討しているという。分科会メンバーのうち、感染症や経済の専門家の多くは、「ステージ4での開催は困難」との意見で一致。ステージ3でも、期間中か終了後に感染拡大する恐れがあると評価し、開催するとしても無観客や規模縮小の工夫が必要との認識だという。まさに、参院での尾身発言と重なる。  
世論のムード盛り上げを狙う菅首相とスポンサーの意向を最優先する大会組織委のことだから、「完全な形」に近い有観客を強行しかねない。分科会の専門家としては、警鐘を鳴らした形でメンツを立てたい思惑もあるのだろう。
「菅首相は五輪を止める気はなく、官邸も結論ありきで動いている。開催が縛られるようなことは聞きたくないので分科会に諮問しない。一方で尾身さんは、これまでは政府や厚労省に気を使ってきたものの、五輪についてはどうあがいても止められそうにないため、ならば学者としての筋を通した方が得策と考えたのでしょう。万が一、開催によって感染が拡大した時の責任回避という尾身さんなりの危機管理もある」(ジャーナリスト・山田惠資氏)  
尾身氏の反撃に慌てた菅首相は2日夜、官邸ホールで報道陣のぶら下がり取材に応じ、この感染状況でも五輪を開催する意義について、こう答えた。 「五輪はまさに平和の祭典だ。一流のアスリートが東京に集まり、スポーツの力を世界に発信していく」  これで納得する一般の人がどれだけいるだろうか?  
6割が「五輪中止」の世論は、菅首相より分科会にエールを送るだろう。それでも菅首相は自爆するのか。
中日スポーツ2021年6月5日付け「東国原英夫さん尾身会長を心配「政府は、今、何かスキャンダルを血眼になって探しているのでは無いか」」から、前宮崎県知事でタレントの東国原英夫さん(63)が5日、東京五輪の開催に伴う感染リスクを訴え続ける政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(71)について、自身のツイッターで「尾身会長は覚悟したな。もう御用学者とは言わせない覚悟」と解説した。  
東国原さんは「分科会の尾身会長。政府に諮問されなくても独自の見解を示すらしい」とした上で「専門化としての最後の矜持。何なら職を辞す覚悟。政府は尾身会長のことをオリパラは所管外であると疎ましく思っているのでは無いか」と分析した。  
さらに東国原さんは「政府は、今、尾身会長の何かスキャンダルを血眼になって探っているのでは無いか。あそこの世界はそういう世界である」と自らの政治体験を踏まえ、尾身会長への影響を心配した。
デイリー2021年6月5日付け「尾身氏の五輪警告を批判する「政府高官・自民幹部」誰? ネット「国民の前で言え」」から、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、国会答弁で、東京五輪・パラリンピックについて「今の状況で(大会開催を)やるのは普通はない」「何のために開催するのか」と、開催リスクや危険性を警告したことに、「政府高官」や「自民幹部」が不快感を示したと伝える報道が続いている。  
政府高官が「尾身氏は判断する立場にはない」、自民幹部が「言葉過ぎる」「やると言っている」となどと発言したと報じられているが、やたらと匿名が目立つ。  
ネット上には「自民幹部って誰?一体何様?」「自民幹部が誰なのか教えてほしい」「自民党幹部や政府高官というのは誰?氏名を公開しなさい」と指摘する投稿が相次いでいる。  
「尾身会長さんへ不満があるのなら表に出てきて国民の前で話すべき」「国民の前で堂々と非難して欲しい」「国民の前で堂々と言え!」と求めている。  
田村憲久厚生労働相は、尾身氏が近く出すとしている五輪開催による感染状況への影響や対策などに関する独自提言に対して「自主的な研究成果の発表だと受け止める」と述べている。
東スポ2021年6月5日付け「【東京五輪】開催強行なら大規模なサイバーテロの恐れ 英メディアが警鐘報道」から、今夏の東京五輪が強行されれば大規模なサイバーテロに見舞われそうだ。  
富士通の情報共有ツールに外部から不正アクセスがあり外務省や国土交通省などの個人情報が流出した問題で、東京五輪・パラリンピック組織委員会の個人情報も漏れていたことが判明。富士通側は丸川珠代五輪相に対して経緯を説明したうえで謝罪した。  
今回新たに流出が確認されたのは、内閣官房の内閣サイバーセキュリティセンターが東京五輪開催中のサイバー攻撃に備えて実施した情報共有訓練の参加者の所属先や役職、名前などとみられる。  
これまでも五輪などの国際大会はサイバーテロの標的となってきたが、今回の東京五輪は新型コロナ禍で運営に混乱が生じている中、非常に深刻な危険が迫っている。  
英メディア「サイバースクープ」は「国家にリンクしたハッカーが繰り返しスポーツイベントに関心を示しているため、サイバーセキュリティー対策は五輪主催者にとって必須のものになっている」と指摘したうえで、調査会社フォレスターのメリット・マキシム副社長による警告を報じた。
「今回の最新の事件は憂慮すべきことだ。大規模なスポーツイベントを保護するために、継続的なサイバー警戒が必要である」とマキシム氏。そして「スパイ、そしてサイバーの脅威がある。ランサムウェア(コンピューターウイルスの一種)の犯罪者が、オリンピックに関与する組織や関係者に対して恐喝する機が熟していると見なしている可能性がある」と五輪関係者を標的にした大規模なサイバーテロが起きる可能性が高いと強く警鐘を鳴らした。  
新型コロナ禍が深刻化する中で多くの国民の生命を危険にさらそうとしている東京五輪。このまま強行すれば、命だけでなく様々な面で甚大な被害が出てしまいそうだ。
日刊ゲンダイ2021年6月8日付け「菅官邸が恐れる“コロナ対策の顔”尾身会長の「辞任爆弾」 五輪強行で深まる対立」から、先週来、五輪開催を強行する政府の姿勢に強い言葉で警告を発し続けている新型コロナ対策分科会の尾身茂会長。官邸側は尾身氏の“暴発”を警戒しているという。
7日の参院決算委でも菅政権による“尾身外し”が見られた。野党から「五輪開催について尾身氏に諮問しないのか」と聞かれると、西村コロナ担当相は「分科会は五輪開催の可否などを審議する場所ではなく、そういう権限はない」と却下。続いて菅首相も「西村大臣が答弁したような形のさまざまな角度から相談している」と言うだけで、正式な諮問については否定的だった。尾身氏と菅官邸の対立は一段と深まっているように見える。
発端は、2日の衆院厚労委で尾身氏が「今の状況で(オリンピックを)やるのは、普通はない」と断言したことだ。「こういう状況の中で、いったい何のためにやるのか目的が明らかになっていない」と政府の説明不足を批判した。  
3日の参院厚労委でも「五輪で人の流れが生まれる。スタジアム内の感染対策だけしても意味がない」と指摘。続く4日の衆院厚労委では、「緊急事態宣言の中での五輪なんていうことを絶対に避けるということ」と言い、「やるのなら強い覚悟でやってもらう必要がある」と厳しい言葉を投げかけた。菅を筆頭とする開催強行派にクギを刺したのだ。
週刊誌「AERA」の電子版は4日、政府関係者のこんな発言を報じた。
<「(菅首相は尾身氏に対し)『黙らせろ。専門家の立場を踏み越え勘違いしている。首相にでもなったつもりなんじゃないか』などと怒りを爆発させています。尾身会長を菅首相が最近、ひどく疎んじているのは間違いありません」>  
これまで政府の方針を追認してお墨付きを与えてきた尾身氏が突然、反旗を翻したことが許せないのだろう。
尾身氏は五輪開催に伴うリスクなどについて、専門家としての提言を20日までに公表する意向を明らかにしているが、田村厚労相は「自主的な研究成果の発表」と切り捨てた。菅官邸の怒りに追随するかのように、政府や自民党内からは尾身氏に対する不満の声が上がる一方だ。今後、官邸と尾身氏の“バトル”はどうなるのか。
「もし、尾身さんから五輪開催について提言を出されても総理は相手にする気はありませんが、あまりに無視して怒らせ、暴走されても困る。これまで総理会見にも同席させてきた尾身会長は、いわば菅政権のコロナ対策の“顔”です。ケツをまくって辞められたら、科学者の意見を無視する首相というイメージが固まり、世論から見放されかねません」(官邸関係者)  
実際、尾身氏が三くだり半を叩きつければ、世論は支持するはずだ。菅首相は完全に悪者となり、政権は持たない。それを尾身氏も分かっているから、強気の発言を繰り返すのかもしれない。
「最近の尾身会長の発言は、もしも五輪が中止になった場合に責任を取らされないためのアリバイづくりでしょう。ああ見えて意外と権力闘争にたけた人だから、予算獲得や権限拡大など、何か別の狙いがあって首相に揺さぶりをかけているのかもしれない。抗議の辞任なんて何のメリットもないことをする人ではないと信じたいですが……」(前出の官邸関係者)  
尾身氏の本気度にも注目が集まっている。
ABEMA TIMES2021年6月8日付け「乙武洋匡氏「パラリンピックの開催について議論されないことに腹が立つ」」から、開会式まで50日を切る中、東京オリンピックの開催をめぐり、連日様々な議論が繰り広げられている。一方、8月には東京パラリンピックの開催も控えている。スポーツライターとしても活動してきた作家の乙武氏は「パラリンピックについて議題に上がってこないことに本当に腹が立っている」と話す。
西日本新聞2021年6月11日付け「5000人超も視野、政府が描く有観客シナリオ 高官「五輪危ないは感情論」から、開幕まで50日を切った東京五輪・パラリンピック。政府は、国内のスポーツイベントに準じる形を取ることで、あくまで有観客開催とするシナリオを描く。来週後半にも開く新型コロナウイルスの基本的対処方針分科会に、7月以降の国内イベントの観客上限数などを諮り、専門家の了承を得てそのまま東京大会にも適用したい考えだ。ただ、人の動きが活発化することによる感染再拡大のリスク対策は示されておらず、懸念の声も強い。
「プロ野球だって全国から人が集まる。五輪と一体、何が違うのか」。6月に入り、官邸関係者の間には国内のスポーツイベントと五輪を同列視する発言が急に目立つようになった。つまり、東京大会だけを縛るような特別な観客規制は必要ないことを意味する。
現在、プロ野球やJリーグなどの観客数は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域で「上限5千人か、収容定員の50%以内の少ない方」などとなっている。これらの規制は、宣言発出地域などでは6月20日などその期限まで、それ以外の地域は6月末までで切れる。  
そこで、最近の全国的な新規感染者数の減少やワクチン接種の加速、宣言解除の方向性といった有利な材料を前提に、世論と専門家の理解を得ながら、東京大会期間中を含む7月以降の有観客規制を決めようというのが政府の戦略だ。ウイルス「第4波」が猛威を振るっていた時期には「五輪の無観客開催」に相当傾いた政府だが、現状は「5千人はいける。もっと入れることも検討中」(官邸筋)とのムードとされる。
ただ、専門家の間には、社会的注目度が極めて高い五輪・パラリンピックは、国内イベントとは全く異なる規模で人の流れの増加を生み、全国的な感染リバウンド(再拡大)につながりかねないとの危機感がある。
分科会の尾身茂会長は「さらに感染の機会が増加するということなので、本当にやるのであればかなり注意してやる必要がある」と政府に慎重判断を要請。五輪期間中は国民が移動する夏休みの真っ最中であり、西浦博京都大教授(感染症疫学)の推計によると、五輪の要素をなくしたケースでも8月前半には、東京都の感染状況が緊急事態宣言が必要な数値まで悪化してしまう結果も出たという。  
東京大会について、首相は党首討論などで「国民の命と健康を守ることが開催の大前提」と繰り返し、政府高官は「観客上限も決まっていないのに、どのような根拠やデータを基に『危ない』と言えるのか。感情論にすぎない」と専門家をたしなめる。最終決断の時が近づく中、「(五輪の)雰囲気なんて勝手にできあがるもんなんですよ」(官邸筋)との声もある。026.JPG

 政府高官は「観客上限も決まっていないのに、どのような根拠やデータを基に『危ない』と言えるのか。感情論にすぎない」と専門家をたしなめる。政治家が医療専門家などをたしなめるということでいいのでしょうか。専門的な知見を伝えても政治的な判断で考慮されないということが大きな問題にならなければいいのですが、どうでしょうか。命・医療・健康、経済、オリンピック・パラリンピックを天秤にかけるのでしょうか。政府としては自分たちの政策を承認してもらうための分科会だったのかもしれませんが、予想外に異論を唱えるようになって困惑していることでしょう。疑問に思うのはどうして正々堂々と一堂に会して多くの国民が視聴する中で政権、与党、野党、オリンピック・パラリンピック関係者、分科会代表者、医療専門家、マスメディア、国民などが本音でじっくり議論して結論を得る努力をしないのでしょうか。議論は時間がかかるから嫌なのでしょうか。義務教育段階から議論する習慣が付いていないことが要因なのでしょうか。いよいよ政治が責任を持って判断、決断しなければならないでしょう。日本では検証して問題があったら責任を明確にするということを行っていないのではないでしょうか。日本だけの問題ではないかもしれませんが、官民ともに疎かにしてきたのではないでしょうか。それが日本の直面している現実かもしれません。明るい未来を展望するとすれば事業を行うことや政策を遂行する際には失敗したら責任を明確にすることと検証して分析して改善していくようにしなければならないでしょう。025.JPG
健康保険、介護保険、年金の社会保障について熟議すべきでは[2021年08月18日(Wed)]
 現代ビジネス2021年5月19日付け「日本人の「格差」がここへきて急激に拡大、「生き残れる人」の条件が見えてきた…!」から、問題は仕事を失ったホワイトカラー層がどの職種に移動するのかという点である。教育投資が功を奏して、デジタル社会に対応するスキルを身につけた人は、再び賃金上昇が見込めるが、そうでない人は別の職種を探すことになり、一部の業種では人材が余剰となり、これがさらなる賃金低下をもたらす可能性もある。人材を適正配置するためにも教育支援や生活支援が重要なカギを握っているのだが、この点において日本には大きな不安材料がある。ワクチンの目処が立たないことから次世代投資について議論する状況にないことに加え、教育の無償化や子育て支援、生活保護の充実など各種施策に対して世論が否定的である。このままでは、デジタル化に対応できた先進諸外国との格差拡大と、国内での格差拡大という二重のリスクを抱える可能性が十分にあり得るだろう。
東洋経済2021年5月16日付け「隠れ暮らす「女性ホームレス」密着して見えた実態」から、「世帯に隠れた貧困」に関心があります。貧困者支援をしている、あるNPO法人に相談に訪れた人の記録を分析したときに「統計に表れない女性の困窮」に気づきました。  
例えば、夫からのDV被害に遭っている妻は、統計上「家に住んでいる」「世帯収入がある」となり、貧困とは見なされません。でもDVに耐えかねて、いざ家を出ると、その妻は「住むところがない」「お金もない」となり、途端に貧困に陥る。
夫婦で生活していると、多くの場合、女性が家事や育児といった無償労働を担い、それに時間を投入するせいで満足な現金収入を得られません。一方、夫が現金を得られるのは、妻の無償労働に支えられているからです。  
つまり、貧困という概念を考えるときには、経済的資源についてだけではなく、「時間資源」やそれに派生する「自由度」についても考慮すべきだと考えています。
現代ビジネス2021年5月19日付け「「70歳定年」のウラで、じつは日本中で「貧しい高齢者」がめちゃ増えていた…!」から、安倍前首相は2019年の「経済財政運営と改革の基本方針 2019」(骨太の方針)に「年金の支給開始年齢(70歳への)引き上げは行わない」と明記した。しかし、前述した改正高齢者雇用安定法により、70歳まで従業員の雇用確保を図ることが事業主の努力義務となったこと、年金受給開始年齢を75歳まで選べるようにしたことは、明らかに将来の年金受給開始年齢を70歳に引き上げるための“布石”だろう。そのために、「仕事内容や労働時間に変化はないが、給与はおよそ半分になっても70歳までは働け」というのが、今回の改正高齢者雇用安定法の狙いなのだ。2021年度から年金支給額の引き下げが実施され、医療制度改革関連法案では、2025年から始まる団塊の世代の後期高齢者入りを控え、75歳以上の高齢者の医療費の窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる方針だ。子どもたちは、「年金に期待していない。もらえないと覚悟している」という。老後の生活不安が、若者層は結婚や子作りを躊躇う一因になっているという指摘は多い。将来世代のためにも、高齢者の“豊かな老後”を実現する必要がある。同一労働同一賃金を逸脱したような労働条件で、定年を迎えた高齢者を働かせるような状況を早急に改善し、働くことで老後が豊かになるような仕組みを作るべきだ。それによって、年金制度でも医療費負担でも、現役世代の負担軽減や世代間バランスを保つための抜本的な改革を行えるようにすることが重要だ。“弥縫策”のような政策では、苦しむ高齢者の姿を見た若者層が、ますます希望を失い、“暗い将来”を予想してしまうだろう。
 幻冬舎2021年5月10日付け「年金「月16万円」の両親…「老人ホームの請求額」に子は撃沈」から、厚生労働省『令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、80〜84歳の高齢者が受け取っている平均年金額は、厚生年金が月16万575円、国民年金が月5万6572円。85〜89歳では、厚生年金が月16万3489円、国民年金が5万5175円です。厚生年金の受給状況を男女別に見てみると、男性では月額17〜18万円を支給されてる割合が最も高く、女性では月額15〜16万円を支給されている割合が最も高くなっています。では、介護施設代はいくらなのでしょうか。“利用者の所得が低ければ補助給付があり、数万から十数万円程度に抑えられますが、一般的な企業で定年まで勤め上げたホワイトカラーの人であれば、特別養護老人ホーム(特養)の個室ユニットに入所し、プライバシーも保ちたいとなると、月額20万円程度の費用がかかる計算になります。両親ふたりとも施設に入所するのであれば、2倍の40万円ほどが必要です。つまり、配偶者や親を施設に預けるのであれば、本人の年金だけで介護費用をまかなうのはかぎりなく難しいのです。”杢野暉尚『人生を破滅に導く「介護破産」』80代の年金受給額では、月額20万円もの介護施設代を賄いきれないことがわかります。総務省の発表によると、高齢夫婦無職世帯の家計収支の平均は、実収入が23万7659円。うち21万6910円が年金を主とした社会保障給付です。親の貯蓄があれば切り崩して生活できますが、両親ともに40万円もの介護施設代が請求された場合、子どもは月に10万円以上の負担を強いられることになります。
 PRESIDENT2021年5月13日付け「「公務員なら60歳以降も給与7割」露骨な"官高民低"を放置していいのか」から、国家公務員法改正案が示した内容は、民間企業のシニア層雇用の実態とあまりにもかけ離れており、「官優遇」の姿が明らかな制度設計となっている。  改正高齢者雇用安定法に基づく努力義務で「70歳雇用時代」などと言っても、現実的には、民間の定年は、まだ60歳が圧倒的だ。その中で官が先駆けるシニア層雇用の構図は、「官高民低」の歪みを生みかねない。もちろん国家公務員の65歳定年延長と民間の嘱託再雇用とを単純に比較することは難しい。しかし、65歳定年延長によって60歳以降の国家公務員の給与を7割水準に据える法案を、「民間並み」とする人事院の主張は、あまりにも民間の実態とかけ離れている。明らかに「官優遇」との指摘がそのまま当てはまる。フリーランスのように企業との雇用関係は切れ、法律による労働に対する保護が及ばなくなる恐れがある。嘱託での再雇用にしても1年ごとの契約であり、改正高齢者雇用安定法によってシニア社員が必ずしも70歳まで安心して長く働ける環境が守られるわけとはいかない。コロナ禍に見舞われ事業の維持・継続に懸命な中小企業だけに、高齢者の就労機会確保まで手が回らないというのが確かな実情だろう。大企業ですら業種によっては雇用確保もままならない中にあって、中小企業ならなおさらだ。膨らみ続ける社会保障費を現役世代の負担だけに頼る構図はすでに限界にきている。今は企業の「努力義務」にとどまる70歳までの雇用機会確保がいずれ法的強制力を持って義務付けられるのは目にみえている。しかし、改正高齢者雇用安定法の施行に伴う民間企業の対応を見る限り「70歳雇用時代」は、ようやくとば口に立っただけで、道半ばどころか、この先の道筋すらも見えない。成立を視野に入れた国家公務員法改正案によって「官高民低」を「官が民間を主導する」と正当化する理屈で突き進むシニア層雇用促進が、さらに官民格差を広げる「歪み」になりはしないか。政府は65歳定年制を民間に先駆けて実施するなら、「官優遇」の批判を正面から受け止め、民間を主導できるだけの説得性を備えた制度設計を明確に示す責務がある。028.JPG

 次世代投資について議論する状況にないことに加え、教育の無償化や子育て支援、生活保護の充実など各種施策に対して世論が否定的である。このままでは、デジタル化に対応できた先進諸外国との格差拡大と、国内での格差拡大という二重のリスクを抱える可能性が十分にあり得るだろう。どうして今後最悪の事態になった場合に破綻が懸念される抜本的に社会保障問題を熟議しないのでしょうか。生活保護を受けなければ基本的な生活を保障されない女性を含めた人たちが増える中でどうして真摯になって寄り添って問題を解決しようとしないのでしょうか。自分だけよければいいという考えで他人事になっているのでしょうか。70歳定年制は働きたい人たちはいつまでも働くことができるという点ではいいかもしれませんが、実は年金財政が厳しい状況にあることを物語っているのでしょう。本来は高齢者の医療費は無料にしなければならないところですが、75歳以上の高齢者の医療費の窓口負担が1割から1部の人たちは2割に引き上げられます。国の財政運営に医療費が重くのしかかっていることはわかります。年金を含めた収入がある一定以上ある人たちが負担をしてカバーしようとすることは間違いないかもしれませんが、健康保険料、介護保険料、公共料金などの負担が重くなる一方で年金額が減額されていく中では余裕がないのではないでしょうか。国民年金だけでは介護施設に入所することも困難で、老々介護をしている人たちが少なくないでしょう。親の介護のために直近を切り崩している子世代の人たちも増えているのでしょうか。国の社会保障費が厳しい状況になっていることを国民に正直に丁寧に説明して理解を得ることが前提ではないでしょうか。それを踏まえて国会の場で与野党が政争の具にしないで国民のために真剣に熟議して解決の道を探ることが大事でしょうか。高齢者、女性が生活して行くことができなくなって路頭に迷うことがないようにしなければならないし、次世代の人たちは負担するだけで将来に希望が持てないような社会になってしまってはならないでしょう。政治家だけでなく国民を交えて真剣に解決策を熟議することが求められているでしょう。そのためには包み隠さずすべての情報を国民に提供する必要があります。根拠のない楽観主義になって何とかなるだろうと考えるのは大変危険だし、無責任です。最悪の状況を想定して今後の設計をしなければならないでしょう。027.JPG
人の心を持つ善良な官僚と裁判官はいないのでしょうか[2021年08月17日(Tue)]
 AERA2021年5月18日付け「非情な政権と闘う赤木雅子さんを応援しよう 古賀茂明〈週刊朝日〉」から、5月6日、国は、いわゆる「赤木ファイル」を6月23日に開示する旨の意見書を裁判所に提出した。森友学園事件で安倍昭恵氏らの関与が示された文書等の改ざんを強要された財務省近畿財務局の元職員、赤木俊夫氏が生前に残したものだ。
改ざんに反対した赤木氏は、真相を明らかにするためにその経緯を克明に記録し、検察にもそれを提出して自らの関与を含め真実を伝えた。  
一方、財務省は、公文書改ざんに関する報告書を出したが、佐川宣寿氏(改ざんを主導した当時の財務省理財局長)が具体的にどのように改ざんを指示したのかなどの詳細は隠し、赤木ファイルの存在はもちろん、赤木氏の自殺にも一切触れなかった。赤木氏は、死後にもその存在を否定される扱いを受けたのだ。「二重殺人」とさえ言える。  
検察が、公文書改ざんを不問に付したのも驚きだ。行政だけでなく司法の一翼を担う組織までが腐り切ってしまった。  
そんな絶望的状況の中で、赤木氏の夫人雅子氏は、国と佐川氏を相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。安倍晋三政権と菅義偉政権という巨大な悪の権化を相手にした闘いは無謀とも言えるが、その心を支えるのは、ひとえに俊夫氏に対する「愛」だ。「国民に真実を伝えたい」という夫の遺志を継ぎ、それを実現してあげたい。その強い思いで「巨悪に対する」恐怖心を克服したのだろう。ある時、彼女が私に語った「夫も見守ってくれていると思うので頑張っていきます」という言葉が、全てを物語る。  
冒頭に紹介した意見書の中で、国は、開示文書の黒塗り部分は「出来る限り狭いものとする」とし、裁判所の訴訟指揮に「真摯に対応する」と繰り返した。雅子氏にとっては救いの言葉であり、大きな一歩ではある。  
だが、31年間の私の官僚経験から言うと、楽観はできない。開示を6月23日としたのは、同16日の国会閉会後であれば野党の追及を逃れられるからだ。そこから黒塗りについての争いが延々と続き、真相究明は、できてもかなり先になる。
その間、五輪があれば、森友事件のことなど国民は見向きもしなくなる。また、ワクチン接種が進んでコロナの感染拡大も小康状態になれば、内閣支持率は上昇し、森友事件が話題になっても自民党総裁選や衆議院総選挙への影響は最小化できる。それが菅氏の読みだろう。  
官僚は安倍・菅政権を忖度して、公文書を改ざんし、赤木ファイルを隠ぺいした。情も道理もなく、赤木氏の存在を無視する麻生太郎財務相への忖度も大きいはずだ。菅政権と麻生財務相が居続ければ、「忖度奴隷」となった財務官僚が森友事件の真相究明に「真摯に対応する」ことは難しい。  
一方、希望もある。近畿財務局の元統括官、池田靖氏は、マスコミに対して赤木ファイルの存在を認めた。彼の勇気ある行動は世論に押されてのことだろう。逆に、国民の関心が薄れれば、立ち上がる官僚もいなくなる。迷った時に政府寄りの判断をしてしまう判事も増えるだろう。  
つまり、赤木雅子氏の裁判の勝敗は、私たち国民が「諦めないこと」「忘れないこと」にかかっている。人の心を持つ善良な官僚と裁判官を後押しするために、私たちは、雅子さんとともに声を上げ、闘い続けなければならない。030.JPG

 森友学園事件で安倍昭恵氏らの関与が示された文書等の改ざんを強要された財務省近畿財務局の元職員、赤木俊夫氏が生前に残したものだ。改ざんに反対した赤木氏は、真相を明らかにするためにその経緯を克明に記録し、検察にもそれを提出して自らの関与を含め真実を伝えた。そのような資料がどう扱われるのか国民は見届ける必要があるでしょう。風化されてしまったら、一人で訴え続けている赤木雅子さんを見捨てるようなものではないでしょうか。財務省の非情と言える対応に対して国民がどれだけ関心を持って見守っていくかが問われているでしょう。財務省は、公文書改ざんに関する報告書を出したが、佐川宣寿氏(改ざんを主導した当時の財務省理財局長)が具体的にどのように改ざんを指示したのかなどの詳細は隠し、赤木ファイルの存在はもちろん、赤木氏の自殺にも一切触れなかった。赤木氏は、死後にもその存在を否定される扱いを受けたのだ。「二重殺人」とさえ言える。検察が、公文書改ざんを不問に付したのも驚きだ。行政だけでなく司法の一翼を担う組織までが腐り切ってしまった。財務省と検察が真摯に向き合っていないという事実を国民がどう受け止めるのでしょうか。赤木雅子さんがどんなに辛い思いで国を相手に訴訟を起こしているのか想像する必要があるでしょう。近畿財務局の元統括官、池田靖氏は、マスコミに対して赤木ファイルの存在を認めた。彼の勇気ある行動は世論に押されてのことだろう。逆に、国民の関心が薄れれば、立ち上がる官僚もいなくなる。迷った時に政府寄りの判断をしてしまう判事も増えるだろう。しかし、国家公務員の中には国に対して正面から向き合って発言する人もいます。官僚は安倍・菅政権を忖度して、公文書を改ざんし、赤木ファイルを隠ぺいした。情も道理もなく、赤木氏の存在を無視する麻生太郎財務相への忖度も大きいはずだ。菅政権と麻生財務相が居続ければ、「忖度奴隷」となった財務官僚が森友事件の真相究明に「真摯に対応する」ことは難しい。官僚の1人の人間である以上は、正直に真摯に岡木雅子さんの訴えに寄り添い対処できないでしょうか。赤木雅子氏の裁判の勝敗は、私たち国民が「諦めないこと」「忘れないこと」にかかっている。人の心を持つ善良な官僚と裁判官を後押しするために、私たちは、雅子さんとともに声を上げ、闘い続けなければならない。国民が関心を持って赤木雅子さんを支えていかなければ今後もこのような非情な状況が続いていくのではないでしょうか。029.JPG
日本の年金制度は公務員のためのものになっていないでしょうか[2021年08月16日(Mon)]
 PRESIDENT2021年5月13日付け「「公務員なら60歳以降も給与7割」露骨な"官高民低"を放置していいのか」から、4月1日、「改正高齢者雇用安定法」が施行された。70歳までの就労機会確保を企業の努力義務とするもので、これを受けて4月から雇用年齢を70歳までとする企業が相次いだ。
そんなニュースを眺めていれば、いよいよ「70歳雇用時代」が現実になったように思うかもしれない。だが、70歳までの雇用はあくまでも努力義務であり、法的な強制力はない。いわば、制度の思いだけが発進したにすぎない。
一部の大企業を除き、多くの企業の労働者には「70歳雇用時代」は非現実的だろう。
一方、政府は国家公務員の定年を現在の60歳から段階的に65歳に引き上げる国家公務員法改正案を4月13日に閣議決定した。検察幹部の定年延長などを絡めたために一度は頓挫していたものだ。  
国家公務員法改正案が今国会で成立した場合、2023年4月から2年ごとに現在60歳の定年年齢を1歳ずつ引き上げ、2031年度に65歳に引き上がる。給与について60歳以降は当分の間、それまでの7割水準で支給するとしている。  
また、定年延長が現役世代の昇進を妨げる要因になるとの懸念に対しては、60歳に達した時点で管理職のポストから外れる「役職定年制」を採用する。ただ、例外規定として60歳以降も管理職で業務を続けられる特例も設けるという内容だ。  
国家公務員法が改正されれば地方公務員法もそれに倣う手はずになっており、自治体職員も連動して定年年齢が延びる。
国家公務員、地方公務員ともに65歳までの定年延長が実現するとなれば、民間企業の今後の定年延長に向けた人事制度の刷新に大きなインパクトを及ぼす。それだけにシニア層雇用促進の梃子になると、国家公務員法改正案を「70歳雇用時代」に向けて前向きに評価する向きもある。  
しかし、国家公務員法改正案が示した内容は、民間企業のシニア層雇用の実態とあまりにもかけ離れており、「官優遇」の姿が明らかな制度設計となっている。  
改正高齢者雇用安定法に基づく努力義務で「70歳雇用時代」などと言っても、現実的には、民間の定年は、まだ60歳が圧倒的だ。その中で官が先駆けるシニア層雇用の構図は、「官高民低」の歪みを生みかねない。  
そもそも人事院勧告は国家公務員の給与や賞与などの待遇については民間の実績に基づき、それに合わせるのが基本原則とされているはずだ。
確かに、民間企業の場合も、現状で65歳までの雇用確保が法的に義務づけられている。ただ、60歳定年制が圧倒的多数を占める現実において、企業は、定年以降は嘱託社員として再雇用しているにすぎない。給与水準は現役時代から大幅にダウンし、半減さらにはそれ以下といった実態がある。  
もちろん国家公務員の65歳定年延長と民間の嘱託再雇用とを単純に比較することは難しい。しかし、65歳定年延長によって60歳以降の国家公務員の給与を7割水準に据える法案を、「民間並み」とする人事院の主張は、あまりにも民間の実態とかけ離れている。明らかに「官優遇」との指摘がそのまま当てはまる。  
その意味で、国家公務員法改正案で示された65歳定年への引き上げについての制度設計は基本を逸脱しているといわざるを得ない。  
政府はこの点を「公務員制度が先行して高齢者雇用の環境を整備して、官が民間を主導する必要性がある」と正当化する。ただ、コロナ禍にあっても国家公務員の給与が目減りすることはなく、雇用も守られる。
70歳までの継続雇用の形態として改正高齢者雇用安定法が定年廃止、定年延長、再雇用に加えて掲げた、「希望者と70歳まで継続的に業務委託契約を結ぶ場合」と「企業が関わる社会貢献事業に従事する」という選択肢を労働者保護の観点から問題視する専門家らもいる。  
この場合はいわばフリーランスのように企業との雇用関係は切れ、法律による労働に対する保護が及ばなくなる恐れがある。嘱託での再雇用にしても1年ごとの契約であり、改正高齢者雇用安定法によってシニア社員が必ずしも70歳まで安心して長く働ける環境が守られるわけとはいかない。  
こうした問題点もあり、企業は改正高齢者雇用安定法が企業に求める70歳までの雇用機会確保に対する努力義務に困惑しているのが実態だろう。帝国データバンクが2月に実施した調査によると、社員の70歳までの就労機会確保に「継続雇用制度」の導入を挙げた企業は25.4%だったのに対して、「現時点で対応は考えていない」が32.4%とこれを上回り、「分からない」の14.9%を含めると、調査結果からは「企業が対応を決めかねている様子がうかがえる」(帝国データバンク)。
改正高齢者雇用安定法には法的強制力がないうえに、社会保障財源確保といずれやって来る年金支給開始年齢の引き上げを視野に入れた政府に「押し付けられた努力義務」との意識が企業側に働いている結果かもしれない。  
帝国データバンクの調査の有効回答は1万1073社でうち中小企業が8割超の9143社を占める。採用難の中小企業にあっては人手不足や技術伝承の面から前向きに高齢者雇用を実施している企業もある。  
ただ、帝国データバンクの調査レポートによると、高齢者の体力、健康などを考慮すると「業種や業態にもよりさまざまであり、一括りに70歳までの就業機会を確保するのは厳しいのでは」といった声が多数みられたという。  
それ以上に、コロナ禍に見舞われ事業の維持・継続に懸命な中小企業だけに、高齢者の就労機会確保まで手が回らないというのが確かな実情だろう。大企業ですら業種によっては雇用確保もままならない中にあって、中小企業ならなおさらだ。
膨らみ続ける社会保障費を現役世代の負担だけに頼る構図はすでに限界にきている。  今は企業の「努力義務」にとどまる70歳までの雇用機会確保がいずれ法的強制力を持って義務付けられるのは目にみえている。しかし、改正高齢者雇用安定法の施行に伴う民間企業の対応を見る限り「70歳雇用時代」は、ようやくとば口に立っただけで、道半ばどころか、この先の道筋すらも見えない。  
成立を視野に入れた国家公務員法改正案によって「官高民低」を「官が民間を主導する」と正当化する理屈で突き進むシニア層雇用促進が、さらに官民格差を広げる「歪み」になりはしないか。  
政府は65歳定年制を民間に先駆けて実施するなら、「官優遇」の批判を正面から受け止め、民間を主導できるだけの説得性を備えた制度設計を明確に示す責務がある。DSC00858.JPG

 一部の大企業を除き、多くの企業の労働者には「70歳雇用時代」は非現実的だろう。一方、政府は国家公務員の定年を現在の60歳から段階的に65歳に引き上げる国家公務員法改正案を4月13日に閣議決定した。公務員は特に問題はないかもしれませんが、民間企業の抱えている問題などを検証、分析したのでしょうか。国家公務員法改正案が今国会で成立した場合、2023年4月から2年ごとに現在60歳の定年年齢を1歳ずつ引き上げ、2031年度に65歳に引き上がる。給与について60歳以降は当分の間、それまでの7割水準で支給するとしている。公務員のための定年制延長と年金制度だと思われるのではないでしょうか。国家公務員法改正案が示した内容は、民間企業のシニア層雇用の実態とあまりにもかけ離れており、「官優遇」の姿が明らかな制度設計となっている。改正高齢者雇用安定法に基づく努力義務で「70歳雇用時代」などと言っても、現実的には、民間の定年は、まだ60歳が圧倒的だ。その中で官が先駆けるシニア層雇用の構図は、「官高民低」の歪みを生みかねない。官民格差というか官が優遇されている状況を変える努力が行われなければ制度変更しても民間企業の多くの人たちの不満や不安が解消されるのでしょうか。フリーランスのように企業との雇用関係は切れ、法律による労働に対する保護が及ばなくなる恐れがある。嘱託での再雇用にしても1年ごとの契約であり、改正高齢者雇用安定法によってシニア社員が必ずしも70歳まで安心して長く働ける環境が守られるわけとはいかない。年金も退職金も恵まれている公務員と比べて民間企業の人たちは格差を感じています。このような問題を放置し続けていいのでしょうか。改正高齢者雇用安定法には法的強制力がないうえに、社会保障財源確保といずれやって来る年金支給開始年齢の引き上げを視野に入れた政府に「押し付けられた努力義務」との意識が企業側に働いている結果かもしれない。膨らみ続ける社会保障費を現役世代の負担だけに頼る構図はすでに限界にきている。今は企業の「努力義務」にとどまる70歳までの雇用機会確保がいずれ法的強制力を持って義務付けられるのは目にみえている。しかし、改正高齢者雇用安定法の施行に伴う民間企業の対応を見る限り「70歳雇用時代」は、ようやくとば口に立っただけで、道半ばどころか、この先の道筋すらも見えない。年金制度の破綻が危惧される中で多くの人たちが安心して暮らせるための制度設計を考える必要があるのではないでしょうか。成立を視野に入れた国家公務員法改正案によって「官高民低」を「官が民間を主導する」と正当化する理屈で突き進むシニア層雇用促進が、さらに官民格差を広げる「歪み」になりはしないか。政府は65歳定年制を民間に先駆けて実施するなら、「官優遇」の批判を正面から受け止め、民間を主導できるだけの説得性を備えた制度設計を明確に示す責務がある。公務員に有利な制度になっていることは多くの国民が理解している状況で民間企業の人たちにも納得してもらうことができる制度にすべきではないでしょうか。DSC00845.JPG
何を最優先に考え、配慮すべきかではなく、癒着、しがらみ、お金が大事なのか[2021年08月15日(Sun)]
 東スポ2021年5月13日付け「日本医師会・中川会長がパーティー参加で大炎上! 背景に自民党「身勝手ルール」」から、もはや説得力ゼロ――。日本医師会の中川俊男会長(69)は12
日、「まん延防止等重点措置」期間中だった4月20日に都内で開かれた自民党の自見英子参院議員(45)の政治資金パーティーに参加していたと「文春オンライン」に報じられ
たことを受けて、謝罪した。中川氏は「感染防止対策は徹底した」と弁解したが、これま
で国民に厳しい口調で徹底した感染予防対策を求めてきた張本人。それだけに国民は怒り
心頭だ。
 中川氏は先月20日、後援会長を務める自見氏の政治資金パーティーに出席した。日本医師会の幹部ら約100人が出席したが、本人は感染対策ガイドラインに基づいて検温やマスクの着用、手指消毒などを徹底したうえで食事は提供せず、「感染対策は十分だった」と釈明した。  
新型コロナ禍での政治資金パーティーには、以前から批判の声が上がっていた。それなのに「国民が新型コロナに慣れてしまい、自粛という我慢は限界にある。国民の中に危機感、緊張感を呼び戻さなければならない」などと再三再四、感染予防対策の徹底を呼びかけていた中川氏が発起人だったというから、あきれるばかりだ。  
ネットでは当然、国民の怒りが大爆発。「上から目線の物言いしておきながら、これ…。もう二度と新型コロナ対策について口を出すな!」、「散々コロナの危険性を煽っておきながらこれか。虐げられる旅行業に関わる身として絶対に許さない」、「今まで偉そうにして恍惚感に浸りたかっただけだろ」などなど、中川氏に対する怒りの声があふれ返った。  
中川氏は「多くのみなさまが我慢を続けてくださっているなかで、慎重に判断すればよかった」と悔いたが、あとの祭りだ。以前からコロナ対策で各方面を批判する姿に「人任せで批判するパフォーマー」と揶揄されてきたが、今回の愚行でダメ押しとなった。なぜこんなことをしたのか?  
永田町関係者は「選挙=カネのため」として、こう明かす。
「中川氏が後援会長をしているように、自見さんは日本医師会がバックにつくお抱え議員≠ナ、来年に改選を迎える。自身も父も医師でカネには困っていないイメージだが、それでも選挙はカネがかかる。ところが新型コロナ禍で政治資金パーティーを見送れば、いつ開催できるかわからない。そこで日本医師会が主導で『カネを集められるうちにやってしまえ』とやったのでしょう。直前に麻生派も開催してましたからね」  
新型コロナ禍の政治資金パーティーは、自民党の中でまん延防止等重点措置期間中は黙認されてきた経緯がある。麻生派は先月13日、「不要不急ではない」として政治資金パーティーを開催している。先月20日の自見氏の政治資金パーティーも同期間中で、緊急事態宣言下ではなかった。  
しかし中川氏が発起人の政治資金パーティーならば、看過できるものではない。というのも自見氏の政治資金パーティーがあった翌21日、中川氏は日本医師会の定例記者会見で「3度目の緊急事態宣言は不可避の状況」との見解を示し、早急に厳しい制限を伴った緊急事態宣言の発令を政府に要望していた。緊急事態宣言下となると政治資金パーティーを開催できないため、「今のうちにやってしまおう」と考えたと言われても仕方がないだろう。  
前出の永田町関係者は「参加者はほとんどが身内の関係者たちで、パーティー券を購入して来る一般市民はいない。外部に漏れると思っていなかったのでは」と話す。  
中川氏は日本医師会会長の辞任について「そういうつもりはまったくございません」と断言したが、日本中の冷ややかな視線が突き刺さるばかりだ。
朝日新聞2021年5月12日付け「前宮古島市長を逮捕 陸自配備めぐり650万円収賄容疑」から、沖縄・宮古島への陸上自衛隊の配備をめぐって業者に便宜を図った見返りに現金約650万円を受け取ったとして、沖縄県警は12日、前宮古島市長の下地敏彦容疑者(75)=宮古島市=を収賄の疑いで逮捕し、発表した。また、贈賄の疑いで、ゴルフ場経営の「千代田カントリークラブ」役員、下地藤康容疑者(64)=同市=を逮捕した。両容疑者の認否について、県警は明らかにしていない。
島への陸自配備については、地元に反発があるなかで駐屯地の整備が2017年に着工され、19年3月に警備部隊約380人を配置して発足。20年3月に地対艦・地対空ミサイルの部隊が加わって700人体制となった。  
県警によると、前市長の下地容疑者は、島への陸自配備計画の受け入れを表明することで、千代田カントリークラブが所有する土地を駐屯地用地として国に売却できるようになるなどの便宜を図り、見返りとして18年5月24日ごろ、東京都内で現金約650万円を受け取った疑いがある。  
宮古島への自衛隊配備は11年に政府が方針を打ち出し、16年に下地容疑者が受け入れを表明。防衛省は候補地として、千代田カントリークラブの所有地を含む2カ所を提示していたが、下地容疑者は、もう一方について水質汚染への懸念を挙げ、認めない方針を示していた。  
下地容疑者は09〜21年に宮古島市長を務めた。陸上自衛隊配備の是非が争点となった17年の市長選では、容認の立場で当選。今年1月の市長選では、菅政権の支援を受けて4選をめざしたが、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力が推した無所属新顔に敗れた。008.JPG

 医師会は自民党の強力な支持母体であることを考えれば、日本医師会長が政治資金パーティーに参加していても問われることではないかもしれませんが、問題だと思われるのは<これまで国民に厳しい口調で徹底した感染予防対策を求めてきた張本人。それだけに国民は怒り心頭だ><新型コロナ禍での政治資金パーティーには、以前から批判の声が上がっていた。それなのに「国民が新型コロナに慣れてしまい、自粛という我慢は限界にある。国民の中に危機感、緊張感を呼び戻さなければならない」などと再三再四、感染予防対策の徹底を呼びかけていた中川氏が発起人だったというから、あきれるばかりだ>普段マスメディアの前で新型コロナの脅威を国民に強く訴え、自粛を求めている立場であることではないでしょうか。中川氏は「多くのみなさまが我慢を続けてくださっているなかで、慎重に判断すればよかった」と悔いたが、あとの祭りだ。以前からコロナ対策で各方面を批判する姿に「人任せで批判するパフォーマー」と揶揄されてきたが、今回の愚行でダメ押しとなった。なぜこんなことをしたのか? 責任ある立場の人たちの言動は与える影響が大きいことをしっかり受け止める必要があるのではないでしょうか。政治家が選挙対策費を確保するために緊急事態宣言中でもパーティーなどを行っているとすれば国民を愚弄するものではないでしょうか。政治を行うにはカネがかかるという常識を打ち破る努力をする必要があるのではないでしょうか。宮古島市前市長の件は、<島への陸自配備については、地元に反発があるなかで駐屯地の整備が2017年に着工され、19年3月に警備部隊約380人を配置して発足。20年3月に地対艦・地対空ミサイルの部隊が加わって700人体制となった。前市長の下地容疑者は、島への陸自配備計画の受け入れを表明することで、千代田カントリークラブが所有する土地を駐屯地用地として国に売却できるようになるなどの便宜を図り、見返りとして18年5月24日ごろ、東京都内で現金約650万円を受け取った疑いがある。宮古島への自衛隊配備は11年に政府が方針を打ち出し、16年に下地容疑者が受け入れを表明。防衛省は候補地として、千代田カントリークラブの所有地を含む2カ所を提示していたが、下地容疑者は、もう一方について水質汚染への懸念を挙げ、認めない方針を示していた>癒着、利権、しがらみという構図の中で起きてしまったことではないでしょうか。やはり政治とカネという構造的な問題ではないでしょうか。いつまでもこのような状況が続くのでしょうか。国民の1票が国の今後を決めることを肝に銘じて受け止める必要があるでしょう。007.JPG
検証、分析して対策を考えることが大事でしょう[2021年08月14日(Sat)]
 Newsweek2021年5月12日付け「日本経済、低迷の元凶は日本人の意地悪さか 大阪大学などの研究で判明」から、日本は他の先進諸国と同様に、十分な内需が存在しているはずだが、どういうわけか日本の国内消費は低迷が続いており、これが低成長の元凶となっている。
一部からは消費増税が原因であるとの指摘も出ているが、税は経済学的に見て成長を根本的に阻害する要因ではなく、しかも欧州各国が15〜20%という高い消費税率であるにもかかわらず順調に成長している現実を考えると、この理屈は当てはまらない。
日本だけが消費を拡大できない理由は、長年、謎とされてきたが、近年、経済学と脳科学を組み合わせた学問の発展によって、ヒントになりそうな研究成果が得られている。簡単に言ってしまうと、日本人は諸外国と比較して「意地悪」な人が多く、他人の足を引っ張る傾向が強いというものである。
大阪大学社会経済研究所を中心とした研究グループによると、被験者に集団で公共財を作るゲームをしてもらったところ、日本人はアメリカ人や中国人と比較して他人の足を引っ張る行動が多いという結果が得られた。
日本人は、他人を他人と割り切れず、互いに相手の行動を邪魔しているわけだが、この実験結果は身近な感覚としてよく理解できるのではないだろうか。
日本では何か新しい技術やビジネスが誕生するたびに声高な批判が寄せられ、スムーズに事業を展開できないことが多い。その間に他国が一気にノウハウを蓄積し、結局は他国にお金を払ってその技術やサービスを利用する結果となる。
成功者は基本的に妬まれるので、自身の経験を積極的には他人に語らず、成功のロールモデルも共有しにくいが、これでは消費経済が活発化するわけがない。
従来の経済学では、人間は合理的であるとの大前提があり、内面には立ち入らない基本原則があった。このため、メンタルな部分についてはあえて触れないでいたわけだが、多くの専門家が、日本が消費経済を拡大できないことにはメンタルな部分が影響しているのではないかと疑っていた。  
一連の研究結果は、何となく分かっていた事実を改めて顕在化したものと考えてよいだろう。大阪大学はこうした新しい研究を積極的に行っており、同大学の別の研究グループによると「新型コロナウイスルに感染するのは自業自得だ」と考える日本人の比率は11.5%と、中国の4.83%やアメリカの1%などと比べて突出して高かった。
複数の研究が似たような結果を示していることの意味は大きい。消費経済低迷の根本原因がメンタルにあるのだとすると、厄介な問題ではあるが、逆に考えれば、この部分さえ改善できれば、劇的な効果が期待できるということでもある。
これからの時代はますます消費経済が成長のカギを握る。日本を再び成長軌道に乗せるには、社会全体での改革が必要なのかもしれない。012.JPG

 低成長そのことが問題なのでしょうか。人口減少、少子高齢化が進んでいる日本は低成長であることを前提にして成熟した社会を構築するために何をすべきか考える時期に来ているのではないでしょうか。低成長の元凶を一部からは消費増税が原因であるとの指摘も出ているが、税は経済学的に見て成長を根本的に阻害する要因ではなく、しかも欧州各国が15〜20%という高い消費税率であるにもかかわらず順調に成長している現実を考えると、この理屈は当てはまらない。日本だけが消費を拡大できない理由は、長年、謎とされてきたが、近年、経済学と脳科学を組み合わせた学問の発展によって、ヒントになりそうな研究成果が得られている。簡単に言ってしまうと、日本人は諸外国と比較して「意地悪」な人が多く、他人の足を引っ張る傾向が強いというものである。確かに日本人は他人の足を引っ張る傾向が強いでしょう。日本人は、他人を他人と割り切れず、互いに相手の行動を邪魔している。日本では何か新しい技術やビジネスが誕生するたびに声高な批判が寄せられ、スムーズに事業を展開できないことが多い。その間に他国が一気にノウハウを蓄積し、結局は他国にお金を払ってその技術やサービスを利用する結果となる。成功者は基本的に妬まれるので、自身の経験を積極的には他人に語らず、成功のロールモデルも共有しにくいが、これでは消費経済が活発化するわけがない。なる程と頷けるのではないでしょうか。多くの専門家が、日本が消費経済を拡大できないことにはメンタルな部分が影響しているのではないかと疑っていた。「新型コロナウイスルに感染するのは自業自得だ」と考える日本人の比率は11.5%と、中国の4.83%やアメリカの1%などと比べて突出して高かった。これからの時代はますます消費経済が成長のカギを握る。日本を再び成長軌道に乗せるには、社会全体での改革が必要なのかもしれない。日本社会に漂っている自己責任論、根拠のない楽観主義、同調圧力の強さなども影響している可能性があるかもしれませんが、日本人だけで改革ができなければ海外というか外から多様な考え方の人たちを受け入れて変革することも考えるべきではないでしょうか。011.JPG
日本国民はもちろん世界中の人たちが納得する英断ができるか[2021年08月13日(Fri)]
 FRIDAY2021年5月9日付け「小池百合子 五輪中止ムードで「大ちゃぶ台返し」炸裂の予感」から、「小池さんが東京オリンピックを返上するんじゃないかっていう説はあるんです。説はあるんですけど…」
5月6日に放送された『めざまし8』(フジテレビ系)で、政治ジャーナリスト・田崎史郎氏がそう切り出した。その後、同氏は小池百合子都知事と話した自民党議員の話を引用し、 「小池さんは、オリンピック成功させるために頑張ろうねって言われているっていうんです」
とフォローしたが、どうも雲行きが怪しい。自民党内では世論調査で新型コロナ感染対策を徹底しても「五輪は中止すべきだ」との回答が半数以上を超える結果が出たことに衝撃を受けたという。
もはや、東京五輪中止を求める世界的な潮流は止められない。
米有力紙ワシントン・ポスト(電子版)はコラムでIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長を「ぼったくり男爵」と呼び「地方行脚で食料を食い尽くす王族」「開催国を食い物にする悪癖がある」「収益のほとんどを自分たちのものにし、費用は全て開催国に押し付けている」などと痛烈に批判。日本政府は五輪を中止すべきと主張した。
IOCの“守銭奴”ぶりと開催に執着する日本の姿勢は、よりによって中国メディアからも断罪されている。中国紙「網易ニュース」は
《日本の人口のわずか1%しかワクチンの接種を受けていない。日本人も五輪拒否のムードに満ちている》
と分析した上で、
《国民の反対や多くの障害にもかかわらず、日本政府やIOCは、東京五輪の開催を決意している。IOCは、五輪によってもたらされる数十億ドルの放映権料を見逃すことは絶対に不可能だ。同様に、日本政府も五輪のために数十億ドルの公的資金を費やしてきた。観客制限でチケットの収益が失われても、日本政府は投資の一部をなんとしても回収することを望んでいる》
と“マネーファースト”を批判した。
「ここにきて五輪中止を求める声が増大化した原因はインドの二重変異株の出現にあります。ワクチンが効きづらく、重症化スピードも速い。インドでは1日の新規感染者数が40万人を突破し、火葬が間に合わない。五輪を強行開催し、各国から人の流入が起きれば、二重変異株の蔓延のみならず、新たな変異株が出現する可能性もあります」(医療関係者)
こうしたカオスな状況下で本領発揮してくるのが前出の小池都知事だ。口では「五輪開催に向けて…」と言っているが、本心かどうかは疑わしい。自民党内では、
「『緑のたぬき』とも呼ばれた小池都知事は信用できない。7月には東京都議会選挙も控えている。とにかく、世間の空気感を読むことに長けている人。頃合いを見計らって『五輪返上』を口にするかもしれない」(永田町関係者)
と警戒を強めている。
人気取りで“ちゃぶ返し”すれば、あとに残るのは巨額の賠償金だ。IOCと開催都市契約を交わしているのはあくまで東京都であり、国ではない。IOCが「中止」を決断しない限り、東京都が開催義務を履行しなければ、損害賠償を請求される可能性が高い。
「IOCはすでに米テレビ局NBCから五輪の放映権料をまとめて受け取っており、東京大会分は約1200億円にのぼる。中止となれば、世界の五輪スポンサーからIOCが返金を求められることになり、その一部負担を都に求めてくることも考えられる。
東京都に支払い能力がなければ、国が肩代わりすることになるが、小池都知事と菅首相の“関係”は最悪。どっちに転んでも、ツケは国民が払うことになる」(スポーツ紙記者)
“行くも地獄、戻るも地獄”。何より事実上の決定権を小池都知事が握っていることに戦慄を覚える。果たしてどうなるか――。
読売新聞2021年5月9日付け「東京五輪「中止」59%、「開催」39%…読売世論調査」から、読売新聞社が7〜9日に実施した全国世論調査で、今年夏の東京五輪・パラリンピックについて聞くと、「中止する」59%が最も多く、「開催する」は「観客数を制限して」16%と「観客を入れずに」23%をあわせて39%にとどまった。
緊急事態宣言の対象となる6都府県に限ると、「中止する」の平均は64%で、他の41道県の平均57%より高かった。開催都市の東京都では61%となり、新型コロナウイルスの感染状況の影響が見られた。
NEWSポストセブン2021年5月10日付け「東京五輪「無観客開催」にさえ消極的なIOCと政府 小池知事は四面楚歌」から、何百、何千の命と天秤にかける「平和の祭典」などあり得ない。5月5日に札幌で行なわれたマラソンの五輪テスト大会では、沿道に「五輪ムリ 現実見よ」とプラカードを掲げる市民が見られ、「オリンピック反対!」と叫ぶ声が中継にも流れた。日本政府、組織委員会、そしてIOC(国際オリンピック委員会)も強行開催に突っ走っているが、いよいよ病床確保が怪しくなってきた東京都の小池百合子知事は、1300万都民の命とオリンピックの板挟みに苦悩している。
都庁幹部の1人は、「小池知事は四面楚歌の状態」と指摘する。
「都民の命を預かる小池さんは五輪開催と感染拡大の危険との板挟みになっている。IOCも政府も組織委員会も五輪強行すれば都民にどれだけの犠牲を強いることになるかを考慮せずに開催に走っており、都民の安全は小池知事の判断にかかっているが、IOC側からは“もし、ここまで来て東京が中止を言い出すなら、全損害を負担できるのか”という強いプレッシャーを感じる」  
五輪が1年延期されて以来、「簡素な大会」への見直しを掲げた小池氏はカネの問題でIOCの意向に振り回されてきた。  
その1つが世界で高い視聴率が期待される開会式の見直しだ。各国の選手団1万人以上が入場行進することから数時間の待ち時間に「3密」が発生し、感染リスクが懸念されている。東京都や組織委員会は規模や時間短縮を検討してきたが、IOCから“待った”がかかったのだという。  
組織委の森喜朗・前会長が交渉の舞台裏をこう明かしている。
「(開会式は)個人的には半分の2時間で良いと思っている。しかしIOCが反対。テレビ局が枠を買っている。時間を短縮すると契約違反で違約金が発生する。それを日本が払ってくれとなる恐れがある。それ以上の議論をすると深みにはまるから、私はそこは引っ込めて、他の案を考えようと言った」(日刊スポーツ1月1日付インタビュー)  
五輪の放映権は米国3大ネットワークのNBCが取得しており、五十音順の選手団入場の順番も、先頭に近いアメリカを米国内での視聴率を考慮するIOCの意向で最後尾近くに登場する順番にしたと報じられている。  
IOCは放映権の収入を守るためにそこまで口を出している。  
五輪中止となれば、IOCは放映権料だけで約1300億円の損失が出る。さらに組織委員会が集めた公式スポンサー料が約3700億円にのぼる。合わせて5000億円だ。そんな巨額の賠償金を「東京が払え」と言われれば、小池氏もよほどの覚悟がなければ中止を言い出しにくい。
IOCや政府は五輪の「無観客開催」にさえ消極的だ。  
4月28日、5者協議(IOCのバッハ会長、小池都知事、橋本聖子・東京五輪パラリンピック組織委員会会長、丸川珠代・五輪相、アンドリュー・パーソンズ・国際パラリンピック委員会会長のネット会談)が行なわれ、東京五輪の観客数の上限が話し合われたが、結論は「6月に国内のスポーツイベント等における上限規制に準じて決める」と先送りされた。 「緊急事態宣言で4都府県のイベントは原則、無観客開催となった。それに準じれば五輪も無観客にせざるを得ないが、無観客開催はIOCが難色を示しており、政府や組織委は6月まで判断を先送りしてその時点での国内イベントの観客基準に合わせることになった」(前出・都庁幹部)  
東京への緊急事態宣言や重点措置を6月までに解除し、最低でも「5割」の観客を入れて五輪を開催しようというのがIOCや政府、組織委の方針なのだ。
毎日新聞2021年5月11日付け「命か、五輪か 答えぬ首相 ツイッターで「国会騒然」トレンド入り」から、東京オリンピック・パラリンピック期間中の新型コロナウイルス対応を巡り、菅義偉首相が国会でちぐはぐな答弁を続けて話題になっている。ツイッターでは「壊れた」「怖い」という投稿が飛び交い、「#国会騒然」とハッシュタグ付きのワードがトレンドに入った。読み上げる原稿を間違えるほど疲れているのか。ただ、国会をウオッチする識者からは「追及をしのぐための戦略」を疑う声もある。
異変は10日午後に開かれた参議院予算委員会で起こった。立憲民主党の蓮舫代表代行が、新型コロナ感染者の増加により医療機関の病床が切迫している現状を踏まえ、こんな趣旨の質問をした。「今は救急搬送されにくい人が増えている。オリンピックに出場する選手と一般の日本人なら、どちらが優先して運ばれるのか」。提供できる医療が限られてしまうことが予想できるため、一般の国民と外国人選手にどう対処するのか、その考え方を問う内容だった。  
菅首相は、蓮舫氏の前に質問に立った議員への答弁に説明を補足したうえで、こう切り出した。「具体的な方法として、例えば海外の選手なりですね、行動規範を原則として宿泊施設より競技会場などに限定します」。マスク越しでも分かる苦笑いを浮かべ、頭を抱える蓮舫氏。野党席はヤジより先に、ざわつき始めた。それでも菅首相にひるむ様子はなく「その上で一般の日本人との接触を厳に回避するため、それぞれの場所での動線分離を徹底、そして移動方法を原則、専用車両に限定するなど……」と続けた。  
野党議員から「質問と(答弁)原稿が違うぞ」「おかしいだろう」と、ようやく激しいヤジが飛んだ。菅首相はやや語気を強めてこう結んだ。「厳格な行動管理を実施しますので、そうした可能性は極めて薄いと思います」
国会では、首相や閣僚が議員からの答えにくい質問に真っ正面から答えず、のらりくらりと受け流すことが珍しくない。菅首相の答えから、逆に質問を想定するならば「外国人選手がウイルスを持ち込んで日本人に感染させる恐れはないのか」だろうか。しかし蓮舫氏の質問には、そのようなニュアンスが全くなかった。  
菅首相の答弁が終わる前に、蓮舫氏は「嫌だ、やめてください」と訴え、委員会で理事を務める議員が委員長席に詰め寄った。首相はそれを横目にしばらく答弁を続け、終わると自分の席に戻った。そこから質疑は一時中断した。  
質疑が再開されると、蓮舫氏はまた救急搬送の優先受け入れについて同様の質問をした。委員長から答弁するよう指名されたのは菅首相ではなく、なぜか丸川珠代五輪担当相。再中断の後、ようやく答弁に立った菅首相は、オリンピック選手の行動ルートは国民の日常生活と切り離すことを強調し、「外国の選手は管理の中で対応したいと思っています」と答えてその場をしのいだ。
国会中継の途中からツイッターには関連する投稿が相次ぎ、翌11日にはツイッターで「国会騒然」がトレンド入り。さらに実際に中継された動画が拡散されると、批判するコメントがあふれた。「官僚から間違った原稿を渡されたとしても、普通は読んでいるうちに気づくだろう」「野党の質問は聞いていないという証拠」「野党ではなく国民が怒るレベル」。また「いまさら驚かない。答弁が真摯(しんし)でないのはいつものこと」「安倍首相時代から、ずっとこんな調子で驚きはしない」と諦めに近い声も上がった。一方で「疲れるとミスは出る」と擁護したり、蓮舫氏を「日本人と外国人、どっちの命と問いかける質問もひどい」と批判したりする投稿もあった。  
国会に詳しい千葉商科大の田中信一郎准教授(政治学)は「菅首相は答弁資料を間違えたようにも見えますが、そうではなく準備されていた答弁だと思います。蓮舫さんの質問が核心を突いていて、うまい答弁ができなかったのではないでしょうか」と分析する。「蓮舫さんの質問は、言い換えれば『国民の健康と命、オリンピック開催は、どちらが大切なのか』ということです。答えは『国民』『オリンピック』『どちらでもない』の3通りしかありません」。でも首相はどれも選ばなかった。いや、選べなかったのか。「本来は『国民の命』と答えるのが当然です。ただ、それだとオリンピックは見直しや中止を迫られます。菅首相は、オリンピックを予定通り開催するという信念を持っているので、何とか質問をかわそうとしたのでしょう」  
その結果、通告されているはずの質問に正面から対応できず、国民への十分な説明が難しくなった。田中准教授は「国民が『自分たちの命よりオリンピックを優先している』という感覚を強めれば、内閣支持率は低下し、年内に予定される衆院選の敗北が危ぶまれる。そうした展開を避けようとして調整がうまくいかず、『間違った答弁原稿』と言われるほどごまかす必要が出てきてしまったのではないでしょうか」と指摘する。八方塞がりになりつつある菅首相。このままオリンピックとパラリンピックを成功に導けるのだろうか。
毎日新聞2021年5月13日付け「五輪開催判断「感染リスクと医療負荷、事前に評価を」 尾身会長」から、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は13日の参院内閣委員会で、東京オリンピック・パラリンピックの開催の是非について問われ、「オリパラにかかわらず医療の逼迫(ひっぱく)を五輪・パラリンピック関係者が開催について最終的な判断をする際には、抑えていくことが重要」と述べた。
「感染リスクと医療の負荷について前もって評価してほしい」と指摘。重要な三つのポイントとして@アスリート以外の大会関係者の会場外の行動も含めた感染リスクの評価A大会中の会場外の人流(人出)や接触機会の増加による感染リスクの評価B開催について最終判断する時点での感染や医療の状況に応じ、大会期間中どの程度医療に対して負荷がかかるかの評価――を挙げた。
尾身会長は4月28日の衆院厚生労働委員会でオリパラの開催の是非について「オリパラに関する議論をそろそろしっかりすべき時期にきている」と発言していた。
Yahooニュース2021年5月15日付け「楽天の三木谷CEOが「東京五輪開催は自殺行為」と米CNNで反対表明…政府に”中止要請”をしている衝撃事実も」から、楽天の三木谷浩史CEOが14日、米CNNビジネスの単独インタビューに答え、悲観論が強くなっている東京五輪の開催について「正直言って自殺行為のようだ」と衝撃的な表現を使って発言。ハッキリと反対の意思を表明した。  
三木谷氏は、ここまでの日本政府の対応を「10点中、2点だ」と批判。 「日本でワクチン接種が十分になされていない現状で、国際的な巨大イベントを受け入れることは危険だ。リスクが大きすぎる。ブラジルやインドや多くの国が(感染拡大に)苦しんでいる。まだ(大丈夫だ)と喜ぶ時期ではない」と指摘した。  
インタビュアーのセリーナ・ワン記者が、「日本政府は開催を中止できるのでしょうか」と質問すると「現時点ではすべてが可能だ」と中止の可能性があることを示唆。 「大会を安全に開催するのは難しいので、政府に中止を求めているが、これまでのところうまくいっていない」と、水面下で経済界のトップの一人として政府に中止要請を行っているという衝撃事実まで明かした。  
CNNビジネスは、記事の中で「日本では何十万人もの人々がオリンピックの中止を求めるオンライン請願書に署名している」と紹介。  
その上で、三木谷CEOだけでなく、日本の経済界のトップが、次々と東京五輪開催にネガティブな発言を続けていることを報じた。  
ソフトバンクの孫正義CEOは13日にCNBCの取材に対して、「日本だけではなく多くの国の人々が東京五輪が開催されることを恐れている。大変、厳しい状況にある。私は、各国が選手を(東京五輪へ)送ることをサポートする方法を知らない」と発言。東京五輪開催に懸念を示した。  
また同メディアは、大会の主要スポンサーであるトヨタ自動車の長田准・執行委員が12日に行われた同社の決算報告会で「参加をいただく全てのアスリートの方、応援される国民のみなさまが、すべて安心した環境でいることが、私どもとしてはオリンピックの精神の大前提。現在、医療の不安から国民の一部の方の不満がアスリートのみなさんに向けられている状況についてスポンサーとして本当に心を痛めており、どうすればいいのか日々思い悩んでいる」とコメントしたことも伝えた。  
トヨタ自動車が、オリンピック・パートナーズ・プログラムを構成する15のグローバル企業のひとつで、最高レベルのオリンピック・スポンサーであり、夏季、冬季、ユースオリンピックのカテゴリー独占マーケティング権」を確保していることもあわせて紹介。トヨタ自動車の代表の発言が影響を持つことを暗に示唆した。  
さらに同メディアは、日本で、3度目の緊急事態宣言が延長されている現状とともに、米国の陸上競技チームが、競技に関する不確実性を理由に、日本での五輪前のトレーニングキャンプの中止を発表したことを付け加えた。また「IOCのスポークスマンのマーク・アダムズ氏が日本国民の懸念が高まっているにもかかわらず、完全な試合を開催する計画が進んでいると記者団に保証した」と皮肉を交えて報じた。  
日本の経済界の新鋭経営者が海外メディアから反対意見を発信したことの意味は小さくない。昨年、東京五輪の1年延期が決定した背景にも、海外メディアからの”外圧”があった。三木谷氏、孫氏らは、日本の政治が、こういった”外圧”に弱いという背景を熟知した上で、あえて、海外メディアを通じて反対意見を発信したとも考えられる。  
一方で、三木谷氏がオーナーを務める楽天、ヴィッセル神戸が所属するプロ野球とJリーグが国際試合ではなく人数制限をしているとはいえ興行を続けてることに対し、その矛盾を指摘する意見もある。  
だが、日本政府、組織委員会、開催是非の最終決定権を持つIOCが開催への強気の姿勢を崩していない中、日本の経済界のトップから出てきた反対意見は、今後の動向へなんらかの影響力を与えるのかもしれない。014.JPG

 東京オリンピック・パラリンピックはコロナ禍で最も困難な開催判断が必要になっていると思います。それでもオリンピック・パラリンピックという以上は世界中で新型コロナの感染が収束に向かっていないとできないでしょう。無理やり強行すれば大きな禍根を残すことになるかもしれません。日本の莫大な税金が投入されて成果を上げることができないとなれば誰かが責任を取る必要があり、さらには国民に丁寧に説明して謝罪する必要があるかもしれません。米有力紙ワシントン・ポスト(電子版)はコラムでIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長を「ぼったくり男爵」と呼び「地方行脚で食料を食い尽くす王族」「開催国を食い物にする悪癖がある」「収益のほとんどを自分たちのものにし、費用は全て開催国に押し付けている」などと痛烈に批判。日本政府は五輪を中止すべきと主張した。中国紙「網易ニュース」は《日本の人口のわずか1%しかワクチンの接種を受けていない。日本人も五輪拒否のムードに満ちている》 と分析した上で、 《国民の反対や多くの障害にもかかわらず、日本政府やIOCは、東京五輪の開催を決意している。IOCは、五輪によってもたらされる数十億ドルの放映権料を見逃すことは絶対に不可能だ。同様に、日本政府も五輪のために数十億ドルの公的資金を費やしてきた。観客制限でチケットの収益が失われても、日本政府は投資の一部をなんとしても回収することを望んでいる》 と“マネーファースト”を批判した。 このように海外のメディアの目も厳しくなっています。「ここにきて五輪中止を求める声が増大化した原因はインドの二重変異株の出現にあります。ワクチンが効きづらく、重症化スピードも速い。インドでは1日の新規感染者数が40万人を突破し、火葬が間に合わない。五輪を強行開催し、各国から人の流入が起きれば、二重変異株の蔓延のみならず、新たな変異株が出現する可能性もあります」(医療関係者) こうしたカオスな状況下で本領発揮してくるのが前出の小池都知事だ。国民のためにならないことをもし政治的な思惑で開催することとなれば国民はどう判断するのでしょうか。「IOCはすでに米テレビ局NBCから五輪の放映権料をまとめて受け取っており、東京大会分は約1200億円にのぼる。中止となれば、世界の五輪スポンサーからIOCが返金を求められることになり、その一部負担を都に求めてくることも考えられる。東京都に支払い能力がなければ、国が肩代わりすることになるが、小池都知事と菅首相の“関係”は最悪。どっちに転んでも、ツケは国民が払うことになる」(スポーツ紙記者)“行くも地獄、戻るも地獄”。何より事実上の決定権を小池都知事が握っていることに戦慄を覚える。果たしてどうなるか――。IOC、東京都、国のお金だけの話しではないでしょう。コロナに感染して命を落とす可能性があるということも考えれば慎重に考え英断を下す必要があるのでしょう。そうすれば最終的には政治家の中の誰が判断するのか国民ばかりでなく世界中の人たちが固唾をのんでみているのでしょう。013.JPG
コロナ対策の検証をしっかりして責任を明確にすべきでは[2021年08月12日(Thu)]
 NEWSポストセブン2021年5月8日付け「なぜ飲食店ばかり規制する? 吉村知事は自民党と経済界の顔色をうかがって大阪をボロボロにした」から、緊急事態宣言が延長されても、大阪の危機的状況は変わらない。日々のニュースでは新規感染者の数が強調されるが、問題は医療崩壊だ。すでに入院患者をはるかに上回る「入院調整中」の患者、すなわち入院しなければならないのにできていない患者がおり、感染者全体に占める入院患者は約1割しかいない。つまり、大多数の患者が発症しても入院できず、入院が必要だとされても病床が空くのを待つしかない状態が続いている。入院を待ちながら自宅や滞在場所で亡くなる悲劇も後を絶たない。
吉村洋文・知事は、緊急事態宣言が出ている4都府県でもいち早く宣言延長を求めたように、その危機を認識はしている。しかし、2回目の宣言を1週間早く解除するよう要請したのも吉村氏であり、即断即決が良くも悪くも働いている。『週刊ポスト』(5月10日発売号)では、大阪の事業者や市民の窮状と不安を現地からリポートしているが、なぜ吉村氏はあんなにも判断が軽いのか、右往左往して間違いを繰り返すのか、かつて読売新聞大阪本社で活躍したジャーナリスト・大谷昭宏氏に、その「政治的生い立ち」から解説してもらった。
吉村さんは、まず即刻、連日のテレビ出演をやめて、一人でも死者を減らすことに全力で取り組んでもらいたい。『ミヤネ屋』の視聴率も下がっているというが、この状況では府民はテレビで吉村さんを見たいわけではないからです。視聴率が取れるからと吉村さんを呼ぶような番組からは視聴者が離れています。いま呼ぶなら学者や医者でしょう。それがあるべき報道の姿です。  
これは吉村さんだけではありませんが、1年前の感染拡大以降、経済を優先するような発言をした政治家は土下座して国民に詫びるべきです。西村康稔・経済再生担当大臣はじめ、頭を丸めなければならない政治家はたくさんいます。学者も医者も、当初から経済を回しながら太刀打ちできるようなウイルスじゃないんだとさんざん言ってきた。諸外国ではそれがわかっているから政治家は厳しい感染防止措置を取りました。しかし、日本ではカネに目のくらんだ政治家たちが、「Go Toトラベル」までやって感染を広げてしまった。  
吉村さんもその一人です。だから、まず府民に対してカネのことを口にしたのは間違いだったと謝るべきです。カネの話をする政治家は、とかく居酒屋さんや飲食店が大変だからと言うのですが、それは嘘です。大阪でも東京でも、居酒屋さんで経済が回っているわけではないからです。経済全体から見れば小さな産業です。本当は、自民党を支える経済界からの要請があり、自民党の補完勢力である維新の吉村さんも、自民党と歩調を合わせるために経済を優先しようとしているのでしょう。違うというなら、居酒屋さんに負担を強いるのと同じように、本当はテレワークができるはずなのに普段通りに営業している8割の企業に罰則をかけるべきです。自民党を支える経済団体にも物が言えるなら、そちらのほうが感染防止につながります。
しかし、それは言えないから、居酒屋さんが大変だと言って宣言を解除した。吉村さんはマスク会食を訴えましたが、テレビに出てあのように言えば、見る人は「ああすればいいんだ。会食は解禁なんだ」と思うでしょう。吉村さんを「裸の王様」と書いた毎日新聞の記事によれば、吉村さんがマスク会食を言い出してから、居酒屋さんの入店率が50%以上上がったそうです。それがテレビの怖いところで、知事が「マスク会食しましょう」と言えば、そうしてしまう人が増える。結果として感染を広げてしまったのです。  
その背景に吉村さんの置かれた政治的な立場があることを府民は知る必要があります。彼は維新の副代表であり、自民党に可愛がってもらわなければ自分たちの存在意義がなくなることを知っている。大阪都構想が府民から否定され、党の一丁目一番地を失った今、維新は自民党にくっついていくしか生き残る道はないのです。だから経済を優先すると言わなければならない。  
私は、吉村さん個人は経済を後回しにして医療体制を立て直したいと考えているように感じます。しかし、維新という政党、その設立者であり自民党との協調路線を主張した橋下徹さん、そして菅政権の狭間で身動きが取れず、結果的に大阪をボロボロにしてしまったのです。
AERA2021年5月8日付け「【独自】大阪の100万人あたりの新規死亡者数がインドを上回る 「まるで姨捨山」とまらない医療崩壊〈dot.〉」から、大阪府は5月7日、新型コロナウイルスの新規感染者が1005人、死亡者は50人と発表。死亡者数は最多を更新した。
「政府の会議の資料に人口100万人あたりの死者数のデータがあるのですが、大阪は19・6人(5月5日時点、以下同)。インドの15・5人、メキシコの16・2人、米国の14・5人より上回っており、惨状というほかありません。兵庫県も9・0人、愛媛県11・2人、和歌山県7・6人など関西は高く、東京は1・4人と意外にも低い水準です」(厚生労働省関係者)
関西圏の医療崩壊は緊急事態宣言が延長された今も進行しているという。高齢者施設でクラスターが相次いでも入院先が決まらず、院内で待機中の高齢者が相次いで死亡するなど連日、大騒ぎになっている。  
大阪府門真市の高齢者施設で4月中旬以降、入所者と職員の計61人が新型コロナウイルスに感染するクラスターが発生し、入所者13人が死亡。神戸市市長田区の介護老人保健施設でも4月中旬以降、入所者97人、職員36人の計133人が感染する大規模クラスターが発生。入所者25人が死亡した。
「死亡した高齢者の多くは入院先が決まらず、待機中に施設内で死亡しています。報道されるまで施設、行政は状況を公表せず、まるで姨捨山のような扱いです。政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は感染者数より医療体制を重視して見ています。大阪の重症病床使用率は99%と公表していますが、外形的な数字です。実際は重症患者412人に対し、重症患者用365床を大幅に上回っています。入院待機待ちの人数が約1万5千人と医療崩壊に歯止めがかかりません。大阪の吉村洋文知事が菅義偉首相に忖度し、緊急事態宣言の要請が遅れたことも響いています」(政府関係者)   
コロナ感染者が出ている大阪府内の老人ホームの職員が惨状をこう証言する。 「うちは病院系列の高齢者ホームですが、コロナ感染者が出ても病床が逼迫し、入院できないので、老人ホームを病院代わりに使用しています。病院から先生や看護師に来てもらって治療し急きょ、ハンガーをホームセンターで買ってきて点滴をブラ下げたこともありました。防護服や手袋をして職員は検温やパルスオキシメーターを使って病状を点検するなどとんでもないことになっています。発症した高齢者の1人は入院できたが、もう1人は発熱、肺炎、中等症に近い容態だが、入院できていません。往診してもらっている先生も『これは異常な状況。治療を老人ホームでやるなんて』とあきれていました」  
介護するスタッフもコロナ患者を対応した経験がなく、悪戦苦闘しているという。 「防護服で身を固めて、コロナを発症した高齢者の体の向きを変えたり、食事、排便などの世話をすることに慣れていないので、普段の2倍以上の時間がかかる。うちの感染者は咳が止まらないので、余計に怖さがあります」(同前) この老人ホームも入居者のコロナ感染は公表していないという。  
尾身会長は記者会見で「今回は変異株が極めて重要な要素」と指摘し、今後の宣言の解除に当たっては「今まで以上に慎重にやる必要がある」と訴えた。解除の基準として、感染状況の指標が最も深刻なステージ4を脱すること、逼迫(ひっぱく)する医療体制の改善などを上げた。  
吉村知事は5月末までに医療崩壊をとめられるだろうか。016.JPG

問題は医療崩壊だ。すでに入院患者をはるかに上回る「入院調整中」の患者、すなわち入院しなければならないのにできていない患者がおり、感染者全体に占める入院患者は約1割しかいない。つまり、大多数の患者が発症しても入院できず、入院が必要だとされても病床が空くのを待つしかない状態が続いている。入院を待ちながら自宅や滞在場所で亡くなる悲劇も後を絶たない。「政府の会議の資料に人口100万人あたりの死者数のデータがあるのですが、大阪は19・6人(5月5日時点、以下同)。インドの15・5人、メキシコの16・2人、米国の14・5人より上回っており、惨状というほかありません。兵庫県も9・0人、愛媛県11・2人、和歌山県7・6人など関西は高く、東京は1・4人と意外にも低い水準です」(厚生労働省関係者)亡くなる人を出さないことが大前提ではないでしょうか。なぜこのような状況に陥ってしまったのか原因をしっかり検証すべきでしょう。日本では検証して責任を明確にできないことが当たり前になっているのではないでしょうか。吉村洋文・知事は、緊急事態宣言が出ている4都府県でもいち早く宣言延長を求めたように、その危機を認識はしている。しかし、2回目の宣言を1週間早く解除するよう要請したのも吉村氏であり、即断即決が良くも悪くも働いている。『週刊ポスト』(5月10日発売号)では、大阪の事業者や市民の窮状と不安を現地からリポートしているが、なぜ吉村氏はあんなにも判断が軽いのか、右往左往して間違いを繰り返すのか。吉村さんは、まず即刻、連日のテレビ出演をやめて、一人でも死者を減らすことに全力で取り組んでもらいたい。首長の判断が対策の成否影響を与えることは間違いありません。首長がメディアに出ることの影響力が大きいことを理解しているのか、パフォーマンスを見られるようなことがなかったでしょうか。首長の存在感をアピールしていると思われていないでしょうか。即断即決を含めていろいろな角度から検証すべきでしょう。1年前の感染拡大以降、経済を優先するような発言をした政治家は土下座して国民に詫びるべきです。西村康稔・経済再生担当大臣はじめ、頭を丸めなければならない政治家はたくさんいます。学者も医者も、当初から経済を回しながら太刀打ちできるようなウイルスじゃないんだとさんざん言ってきた。諸外国ではそれがわかっているから政治家は厳しい感染防止措置を取りました。しかし、日本ではカネに目のくらんだ政治家たちが、「Go Toトラベル」までやって感染を広げてしまった。以上のことは責任論の話になると思いますが、新型コロナを理解しっかり理解して対策を講じてきたのか問題だったのではないでしょうか。責任論含めて徹底的に検証すべきでしょう。吉村さんの置かれた政治的な立場があることを府民は知る必要があります。彼は維新の副代表であり、自民党に可愛がってもらわなければ自分たちの存在意義がなくなることを知っている。大阪都構想が府民から否定され、党の一丁目一番地を失った今、維新は自民党にくっついていくしか生き残る道はないのです。だから経済を優先すると言わなければならない。私は、吉村さん個人は経済を後回しにして医療体制を立て直したいと考えているように感じます。しかし、維新という政党、その設立者であり自民党との協調路線を主張した橋下徹さん、そして菅政権の狭間で身動きが取れず、結果的に大阪をボロボロにしてしまったのです。大阪府民が選んだ首長や政治家が行っていることはどうなのかしっかり理解する必要があるのでしょう。政治が主導して経済優先の対策を講じた結果としてコロナ対策がうまくいっていなかったとすれば、潔く責任を取る必要があるでしょう。政治家、首長の資質の問題なのか、場当たり的な対策に終始しているように見え、先を読んで対策を講ずることができていないのはなぜでしょうか。可能な限り検証すべきでしょう。何よりも優先して国民の命、幸せな生活を守ることが大事なのではないでしょうか。015.JPG

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