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働く人の待遇はもちろん働き方を真剣に考える必要があるでしょう[2026年03月11日(Wed)]
 AERA DIGITAL2025年8月30日付け「最低賃金の引き上げだけでは「十分ではない」 大切なのは「働く人へのリスペクト」 田内学」から、物価高や円安、金利など、刻々と変わる私たちの経済環境。この連載では、お金に縛られすぎず、日々の暮らしの“味方”になれるような、経済の新たな“見方”を示します。
時給800円。書店でのアルバイトが、僕にとって人生ではじめて「お金をもらって働いた」経験だった。もう30年近い昔の話になる。  
ある日、高熱が出てバイトを休んでしまった。その直後、祖母が亡くなり、再び急遽休まざるを得なくなった。次に出勤した日、待っていたのは「もう来なくていい」という宣告だった。雇われる側の立場がいかに弱いかを、10代の僕はそこで思い知った。  
その数年後の全国平均の最低賃金が記録として残っている。データによれば当時は663円だったが、2024年には1055円にまで引き上げられた。当時に比べて6割近くも増えているが、この数年の急激な物価高のなかで、その実感は多くの生活者には届いていない。 
「賃金が上がった」というニュースを耳にしても、「暮らしが楽になった」と感じる人は少ない。むしろ財布の紐は固くなり、買い物かごに入れる品数が減ったと答える人の方が多いのではないだろうか。  
25年度にはさらに最低賃金の大幅引き上げが予定されている。中央最低賃金審議会は63円程度の上げ幅を答申しており、過去最大規模の改定となる見込みだ。  
8月12日の週は、連日のように日経平均が史上最高値を更新していたが、「生活が上向いている」と実感している人はいったいどれほどいるのだろうか。経済新聞におどる華やかな見出しをみても、むしろ空々しさを感じる人の方が多いだろう。
 たしかにGDPは増え続けてはいる。しかし一方で格差の大きさを表すジニ係数は上昇傾向にある。つまり、全体の収入は増えているが、増えているのは主に収入が多い層に偏っているといえる。02年に0.4983だった当初所得のジニ係数は、21年には0.5700に広がった。全体の収入は増えているものの、その果実は高所得層に偏っている。最低賃金を上げることがなぜ重要なのかは、この数字を見れば明らかだろう。  
もちろん「賃金は市場に任せるべきだ」という声もある。だが企業がコスト削減に走れば、真っ先にしわ寄せを受けるのはパートや非正規の労働者だ。総務省の調査では、雇用者全体の26.6%がパートであり、女性では43%に達する(22年)。最低賃金の引き上げはこうした人々を守るために必要だが、同時に万能ではない。人件費の増加は価格転嫁を招き、物価上昇に拍車をかける恐れもある。加えて、日本全体の人手不足という課題も解決されていない。  
だから最低賃金の議論は、賃上げだけでなく「働き方の効率化」とセットで進めるべきだ。物価を抑えるためにはDX投資などの省力化が不可欠であり、私たち消費者も「過剰なサービスを求めない」という意識を持つ必要がある。客だからといって必要以上の手間を押しつけていないか、自ら問い直すことが社会の健全さにつながる。  
結局のところ、最低賃金の引き上げは欠かせない政策だが、それだけでは十分ではない。大切なのは昔の日本にあった「働く人へのリスペクト」という感覚を取り戻すこと。
それこそが、物価高や将来不安でギスギスした空気が漂う日本を少しずつ和らげる第一歩になるはずだ。DSC00689.JPG

 ある日、高熱が出てバイトを休んでしまった。その直後、祖母が亡くなり、再び急遽休まざるを得なくなった。次に出勤した日、待っていたのは「もう来なくていい」という宣告だった。雇われる側の立場がいかに弱いかを、10代の僕はそこで思い知った。働く人のことを真剣に受け止めた考え方が必要でしょう。データによれば当時は663円だったが、2024年には1055円にまで引き上げられた。当時に比べて6割近くも増えているが、この数年の急激な物価高のなかで、その実感は多くの生活者には届いていない。「賃金が上がった」というニュースを耳にしても、「暮らしが楽になった」と感じる人は少ない。むしろ財布の紐は固くなり、買い物かごに入れる品数が減ったと答える人の方が多いのではないだろうか。8月12日の週は、連日のように日経平均が史上最高値を更新していたが、「生活が上向いている」と実感している人はいったいどれほどいるのだろうか。経済新聞におどる華やかな見出しをみても、むしろ空々しさを感じる人の方が多いだろう。最低賃金が上がっても物価の上昇に追い付かない状況である中では苦しい生活を強いられるのでしょう。企業がコスト削減に走れば、真っ先にしわ寄せを受けるのはパートや非正規の労働者だ。総務省の調査では、雇用者全体の26.6%がパートであり、女性では43%に達する(22年)。最低賃金の引き上げはこうした人々を守るために必要だが、同時に万能ではない。人件費の増加は価格転嫁を招き、物価上昇に拍車をかける恐れもある。加えて、日本全体の人手不足という課題も解決されていない。企業は内部留保をして役員報酬を増やすのではなく働く人のことを考え待遇を考えるべきでしょう。最低賃金の議論は、賃上げだけでなく「働き方の効率化」とセットで進めるべきだ。物価を抑えるためにはDX投資などの省力化が不可欠であり、私たち消費者も「過剰なサービスを求めない」という意識を持つ必要がある。客だからといって必要以上の手間を押しつけていないか、自ら問い直すことが社会の健全さにつながる。大切なのは昔の日本にあった「働く人へのリスペクト」という感覚を取り戻すこと。それこそが、物価高や将来不安でギスギスした空気が漂う日本を少しずつ和らげる第一歩になるはずだ。働く人のことを真剣に受け止めた働き方改革と待遇改善をしなければ厳しい状況に陥っていくのではないでしょうか。DSC00688.JPG
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