相撲界は保守的で、排他的なのでしょうか[2025年10月28日(Tue)]
DIAMOND online2025年6月8日付け「「白鵬いじめが酷すぎる」耳を疑った“誓約書への署名”…白鵬に直撃取材した記者が語る“知られざる姿”」から、宮城野親方(元横綱・白鵬)が6月9日付で日本相撲協会を退職する。これを受けて「白鵬いじめが酷すぎる」「宮城野親方(白鵬)を退職まで追い込んだ相撲協会はおかしい」など相撲協会への批判が噴出している。なぜ宮城野親方への風当たりは厳しいのか。雑誌「相撲」の元編集者・記者で、現役時代の白鵬へのインタビュー経験もある須藤靖貴氏が明かした。
白鵬の角界への貢献ぶりは 誰もが認めるところ
宮城野親方(元横綱・白鵬)が6月9日付で日本相撲協会を退職する。
幕内最高優勝45回、通算1187勝はともに史上最多、傑出した記録である。その大横綱が40歳で角界を去ることになった。
親方が師匠を務めた宮城野部屋は、北青鵬(元幕内)による弟弟子への暴力事件のペナルティーで昨年4月から閉鎖。宮城野親方は2階級降格と3カ月の20%報酬減額処分を受けた。
そして師匠を含め全員が伊勢ケ浜部屋へ移籍したものの、1年たっても部屋の再開のめどがつかず、11月の九州場所後に再開という案もあったものの、退職を決断したという。伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)からは「もう少し辛抱してみてはどうか」と何度も説得されたが、首を縦に振ることはなかった。
モンゴルでは40歳は特別な年齢とされている。この3月11日にその誕生日を迎え、四半世紀に及び闘ってきた土俵を降りることになったのだった。
これで、平成以降に誕生した横綱11人(現役の豊昇龍、大の里を除く)のうち6人が角界を離れることになる。
曙、貴乃花、若乃花、朝青龍、日馬富士、そして白鵬。
こうして書き連ねると事の重大さが分かる。相撲協会の看板を背負った主役が次々と消える。寂しいことではないか。
土俵での大記録にとどまらず、白鵬の角界への貢献ぶりは誰もが認めるところだろう。
校則破り常習の高校生相手でもあるまいに… 白鵬への協会の仕打ちに耳を疑った
野球賭博問題、八百長疑惑、時津風部屋の17歳力士暴行死、ドーピング問題、相撲協会元顧問の裏金疑惑等々で角界が揺れたときにも一人横綱として土俵を引っ張ってきた。東日本大震災(自身の誕生日に発生)の後には、復興支援の旗振り役を務めた。
にもかかわらず協会から冷遇されている。そんな意識が強かったという。弟子の不祥事の件でも、同じようなケースでの他の親方の処分は軽かった。これを人種差別と眉をひそめる向きもあるようだが、それは違うと思う。白鵬をモンゴル人親方だと見下す人間は協会にもいない(ちなみに、大相撲ほど公平な競技はない。レギュラー枠などなく、誰でも土俵に上がれ、勝ち越せば必ず番付が上がる)。
日本国籍を取得して年寄を襲名するときにも「誓約書」に署名させられた。その異例の報に私は耳を疑った。いったい誰がそんな案をぶちあげたのか。校則破り常習の高校生相手でもあるまいに。
とはいえ、さまざまな風当たりの強さは故なきことではない。
許容範囲ではないかと思う行為でも ものすごい剣幕で怒鳴りつけられた
現役時代の立ち居振る舞いは「問題行動」とまで言われた。行司の軍配に自ら物言いをつける。千秋楽の優勝インタビューで三本締めや万歳三唱を強行する。このへんまでは許容範囲ではないか。
三本締めについては「平成最後の場所だったし、良いことだと思って、ついサービス精神でやってしまった」と語っている。場所がすべて終わったときに、新弟子や若い力士たちが締めるというしきたりを白鵬は知らなかった。その後、理事長室に呼び出され、理事全員が集う中で八角理事長(元横綱・北勝海)からものすごい剣幕で怒鳴りつけられたという。
「問題行動」の中で、私が眉をひそめたのはエルボー打ちだ。
かちあげ(腕や肩で相手の上半身を突き上げて相手の上体を起こす技)とは似て非なるもので、どう考えても反則である。本来、相撲には相手を痛めつける技などない。かちあげも突っ張りも、相手の重心を上げるための手段だ。相撲は相手の重心を先に上げたほうが勝つ。 顔面を痛打するだけのエルボー打ちは、相手の重心を上げる技ではない。しかもサポーターをしている腕でのエルボー。奇妙である。サポーターは弱点をかばうためのもので、それを積極的に使うのはいかがなものか、と首をかしげたものだ。
取材では圧を感じさせない、
柔らかな応対が印象的だった
白鵬に取材することができた幸運に感謝したい。圧を感じさせない、柔らかな応対が印象的だった。
忘れられない逸話が二つある。いずれも食がらみのエピソードだ。
まず、入門時。
15歳の白鵬少年はひょろりと背は高いものの痩せていた。これでは稽古に耐えられないと、当時の宮城野親方(元幕内・竹葉山)は、
「腹いっぱい食べて、稽古を見て、あとは昼寝してなさい」
と指導した。
これがしみじみありがたかったと白鵬は笑った。
故郷を離れて来日し、わけのわからない未知の世界に飛び込んだ。周囲は巨漢ばかりで髪形も独特だ。言葉も通じない。待っているのは死ぬほどの猛稽古だと震えていた。心細いことこのうえなかっただろう。しかし決してくじけないぞと、少年なりに覚悟を決めたのだ。それが「食って、見て、寝ろ」である。相撲界はほんとうに良いところだと思った。
当時の宮城野部屋はありていに言って厳しい部屋ではなかった。「かわいがり(いじめ)」はなく、弟子たちは和気あいあいとしていた。やわらかな空気の中で白鵬少年は伸び伸びと体を大きくしていったのである。
年に一度、3日間の断食で 決まって13キロ減る
もう一つは日本国籍を取得した34歳のとき。プレジデント誌上でのインタビューである。「日本人になってほんとうにうれしい」
満面の笑みを浮かべる横綱。国籍取得によって年寄名跡が取得でき、部屋を開くことができる。長身痩躯のモンゴル人少年が、日本の「国技」の頂点に君臨し、ついには国籍を変えてその地に骨を埋める決意をした。そのときの表情の晴れやかさといったら……。
その際、現役横綱としての体調管理について聞いた。食事に十全に気を配っている。肉や魚をバランスよく食べる。抗酸化作用に優れている色の濃い野菜を欠かさず取る。
そして、年に一度の断食。
私は思わず声をあげてしまった。力士が断食なんて聞いたことがない。食べることも稽古のうちなのだ。
3日間、水しか取らない。内臓を休ませ、たまっていた毒素を排出するのだという。
「決まって13キロ減ります。気持ち良いですよ。細胞が若返ります」
まさに気持ち良さげに話す。私は三度のメシよりも飲食が好きなので、断食のなにがいいのか、理解するつもりはなかった。だが天下の横綱の穏やかな顔を目の当たりにして、これもなにかの縁だと人生初の3日間断食を試みたのである。ひもじかったが達成感はあった。95キロの体重が90キロまで落ちた。その後も「白鵬流断食」を数回行い、今は74キロ。横綱のおかげで心身軽やかだ。
男四十の英断が なんだかうらやましい
さらに、絵に描いた餅となってしまったが、相撲部屋を銀座に開設すると言って話題になったこともあった。稽古場の壁をガラス張りにして、外国人観光客にアピールしたい、と。こういうところも調子づいていると批判されてしまうのだろう。
「あれは、そう言ったわけではないんです。どこに部屋を開くか、という話のときに、フランスならパリ、アメリカならニューヨークだから、日本なら銀座かなって言っただけ。それが独り歩きしてしまった」
こうして書きつづっていくと、序盤に触れたネガティブな出来事はどっかへ吹き飛んでしまうようだ。
彼が角界を去るのは寂しいし、協会への恨み言の一つも言いたくなるわけだが、男四十の英断がなんだかうらやましい。
「協会の外の立場から、その発展に貢献していく」
そう語っている。
角通が万歳して飛び上がるようなデカイことを、きっとやってくれる。私たちの想像を超えるようなことを。そう信じる。
親方が師匠を務めた宮城野部屋は、北青鵬(元幕内)による弟弟子への暴力事件のペナルティーで昨年4月から閉鎖。宮城野親方は2階級降格と3カ月の20%報酬減額処分を受けた。そして師匠を含め全員が伊勢ケ浜部屋へ移籍したものの、1年たっても部屋の再開のめどがつかず、11月の九州場所後に再開という案もあったものの、退職を決断したという。平成以降に誕生した横綱11人(現役の豊昇龍、大の里を除く)のうち6人が角界を離れることになる。曙、貴乃花、若乃花、朝青龍、日馬富士、そして白鵬。こうして書き連ねると事の重大さが分かる。相撲協会の看板を背負った主役が次々と消える。寂しいことではないか。なぜ海外から来て入門して横綱になった人たちが角界を離れるのでしょうか。野球賭博問題、八百長疑惑、時津風部屋の17歳力士暴行死、ドーピング問題、相撲協会元顧問の裏金疑惑等々で角界が揺れたときにも一人横綱として土俵を引っ張ってきた。東日本大震災の後には、復興支援の旗振り役を務めた。にもかかわらず協会から冷遇されている。そんな意識が強かったという。弟子の不祥事の件でも、同じようなケースでの他の親方の処分は軽かった。これを人種差別と眉をひそめる向きもあるようだが、それは違うと思う。白鵬をモンゴル人親方だと見下す人間は協会にもいない。日本国籍を取得して年寄を襲名するときにも「誓約書」に署名させられた。その異例の報に私は耳を疑った。いったい誰がそんな案をぶちあげたのか。校則破り常習の高校生相手でもあるまいに。人種差別と思われるとすれば大きな問題でしょう。「日本人になってほんとうにうれしい」満面の笑みを浮かべる横綱。国籍取得によって年寄名跡が取得でき、部屋を開くことができる。長身痩躯のモンゴル人少年が、日本の「国技」の頂点に君臨し、ついには国籍を変えてその地に骨を埋める決意をした。そのときの表情の晴れやかさといったら。その際、現役横綱としての体調管理について聞いた。食事に十全に気を配っている。肉や魚をバランスよく食べる。抗酸化作用に優れている色の濃い野菜を欠かさず取る。体調管理、食事に万全を期していたのですね。「協会の外の立場から、その発展に貢献していく」角通が万歳して飛び上がるようなデカイことを、きっとやってくれる。私たちの想像を超えるようなことを。そう信じる。保守的で排他的な相撲界というのであれば協会の外から発展するために貢献できればオープンで開かれ海外の人たちからも好感を持って見られるようになるのではないでしょうか。
白鵬の角界への貢献ぶりは 誰もが認めるところ
宮城野親方(元横綱・白鵬)が6月9日付で日本相撲協会を退職する。
幕内最高優勝45回、通算1187勝はともに史上最多、傑出した記録である。その大横綱が40歳で角界を去ることになった。
親方が師匠を務めた宮城野部屋は、北青鵬(元幕内)による弟弟子への暴力事件のペナルティーで昨年4月から閉鎖。宮城野親方は2階級降格と3カ月の20%報酬減額処分を受けた。
そして師匠を含め全員が伊勢ケ浜部屋へ移籍したものの、1年たっても部屋の再開のめどがつかず、11月の九州場所後に再開という案もあったものの、退職を決断したという。伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)からは「もう少し辛抱してみてはどうか」と何度も説得されたが、首を縦に振ることはなかった。
モンゴルでは40歳は特別な年齢とされている。この3月11日にその誕生日を迎え、四半世紀に及び闘ってきた土俵を降りることになったのだった。
これで、平成以降に誕生した横綱11人(現役の豊昇龍、大の里を除く)のうち6人が角界を離れることになる。
曙、貴乃花、若乃花、朝青龍、日馬富士、そして白鵬。
こうして書き連ねると事の重大さが分かる。相撲協会の看板を背負った主役が次々と消える。寂しいことではないか。
土俵での大記録にとどまらず、白鵬の角界への貢献ぶりは誰もが認めるところだろう。
校則破り常習の高校生相手でもあるまいに… 白鵬への協会の仕打ちに耳を疑った
野球賭博問題、八百長疑惑、時津風部屋の17歳力士暴行死、ドーピング問題、相撲協会元顧問の裏金疑惑等々で角界が揺れたときにも一人横綱として土俵を引っ張ってきた。東日本大震災(自身の誕生日に発生)の後には、復興支援の旗振り役を務めた。
にもかかわらず協会から冷遇されている。そんな意識が強かったという。弟子の不祥事の件でも、同じようなケースでの他の親方の処分は軽かった。これを人種差別と眉をひそめる向きもあるようだが、それは違うと思う。白鵬をモンゴル人親方だと見下す人間は協会にもいない(ちなみに、大相撲ほど公平な競技はない。レギュラー枠などなく、誰でも土俵に上がれ、勝ち越せば必ず番付が上がる)。
日本国籍を取得して年寄を襲名するときにも「誓約書」に署名させられた。その異例の報に私は耳を疑った。いったい誰がそんな案をぶちあげたのか。校則破り常習の高校生相手でもあるまいに。
とはいえ、さまざまな風当たりの強さは故なきことではない。
許容範囲ではないかと思う行為でも ものすごい剣幕で怒鳴りつけられた
現役時代の立ち居振る舞いは「問題行動」とまで言われた。行司の軍配に自ら物言いをつける。千秋楽の優勝インタビューで三本締めや万歳三唱を強行する。このへんまでは許容範囲ではないか。
三本締めについては「平成最後の場所だったし、良いことだと思って、ついサービス精神でやってしまった」と語っている。場所がすべて終わったときに、新弟子や若い力士たちが締めるというしきたりを白鵬は知らなかった。その後、理事長室に呼び出され、理事全員が集う中で八角理事長(元横綱・北勝海)からものすごい剣幕で怒鳴りつけられたという。
「問題行動」の中で、私が眉をひそめたのはエルボー打ちだ。
かちあげ(腕や肩で相手の上半身を突き上げて相手の上体を起こす技)とは似て非なるもので、どう考えても反則である。本来、相撲には相手を痛めつける技などない。かちあげも突っ張りも、相手の重心を上げるための手段だ。相撲は相手の重心を先に上げたほうが勝つ。 顔面を痛打するだけのエルボー打ちは、相手の重心を上げる技ではない。しかもサポーターをしている腕でのエルボー。奇妙である。サポーターは弱点をかばうためのもので、それを積極的に使うのはいかがなものか、と首をかしげたものだ。
取材では圧を感じさせない、
柔らかな応対が印象的だった
白鵬に取材することができた幸運に感謝したい。圧を感じさせない、柔らかな応対が印象的だった。
忘れられない逸話が二つある。いずれも食がらみのエピソードだ。
まず、入門時。
15歳の白鵬少年はひょろりと背は高いものの痩せていた。これでは稽古に耐えられないと、当時の宮城野親方(元幕内・竹葉山)は、
「腹いっぱい食べて、稽古を見て、あとは昼寝してなさい」
と指導した。
これがしみじみありがたかったと白鵬は笑った。
故郷を離れて来日し、わけのわからない未知の世界に飛び込んだ。周囲は巨漢ばかりで髪形も独特だ。言葉も通じない。待っているのは死ぬほどの猛稽古だと震えていた。心細いことこのうえなかっただろう。しかし決してくじけないぞと、少年なりに覚悟を決めたのだ。それが「食って、見て、寝ろ」である。相撲界はほんとうに良いところだと思った。
当時の宮城野部屋はありていに言って厳しい部屋ではなかった。「かわいがり(いじめ)」はなく、弟子たちは和気あいあいとしていた。やわらかな空気の中で白鵬少年は伸び伸びと体を大きくしていったのである。
年に一度、3日間の断食で 決まって13キロ減る
もう一つは日本国籍を取得した34歳のとき。プレジデント誌上でのインタビューである。「日本人になってほんとうにうれしい」
満面の笑みを浮かべる横綱。国籍取得によって年寄名跡が取得でき、部屋を開くことができる。長身痩躯のモンゴル人少年が、日本の「国技」の頂点に君臨し、ついには国籍を変えてその地に骨を埋める決意をした。そのときの表情の晴れやかさといったら……。
その際、現役横綱としての体調管理について聞いた。食事に十全に気を配っている。肉や魚をバランスよく食べる。抗酸化作用に優れている色の濃い野菜を欠かさず取る。
そして、年に一度の断食。
私は思わず声をあげてしまった。力士が断食なんて聞いたことがない。食べることも稽古のうちなのだ。
3日間、水しか取らない。内臓を休ませ、たまっていた毒素を排出するのだという。
「決まって13キロ減ります。気持ち良いですよ。細胞が若返ります」
まさに気持ち良さげに話す。私は三度のメシよりも飲食が好きなので、断食のなにがいいのか、理解するつもりはなかった。だが天下の横綱の穏やかな顔を目の当たりにして、これもなにかの縁だと人生初の3日間断食を試みたのである。ひもじかったが達成感はあった。95キロの体重が90キロまで落ちた。その後も「白鵬流断食」を数回行い、今は74キロ。横綱のおかげで心身軽やかだ。
男四十の英断が なんだかうらやましい
さらに、絵に描いた餅となってしまったが、相撲部屋を銀座に開設すると言って話題になったこともあった。稽古場の壁をガラス張りにして、外国人観光客にアピールしたい、と。こういうところも調子づいていると批判されてしまうのだろう。
「あれは、そう言ったわけではないんです。どこに部屋を開くか、という話のときに、フランスならパリ、アメリカならニューヨークだから、日本なら銀座かなって言っただけ。それが独り歩きしてしまった」
こうして書きつづっていくと、序盤に触れたネガティブな出来事はどっかへ吹き飛んでしまうようだ。
彼が角界を去るのは寂しいし、協会への恨み言の一つも言いたくなるわけだが、男四十の英断がなんだかうらやましい。
「協会の外の立場から、その発展に貢献していく」
そう語っている。
角通が万歳して飛び上がるようなデカイことを、きっとやってくれる。私たちの想像を超えるようなことを。そう信じる。
親方が師匠を務めた宮城野部屋は、北青鵬(元幕内)による弟弟子への暴力事件のペナルティーで昨年4月から閉鎖。宮城野親方は2階級降格と3カ月の20%報酬減額処分を受けた。そして師匠を含め全員が伊勢ケ浜部屋へ移籍したものの、1年たっても部屋の再開のめどがつかず、11月の九州場所後に再開という案もあったものの、退職を決断したという。平成以降に誕生した横綱11人(現役の豊昇龍、大の里を除く)のうち6人が角界を離れることになる。曙、貴乃花、若乃花、朝青龍、日馬富士、そして白鵬。こうして書き連ねると事の重大さが分かる。相撲協会の看板を背負った主役が次々と消える。寂しいことではないか。なぜ海外から来て入門して横綱になった人たちが角界を離れるのでしょうか。野球賭博問題、八百長疑惑、時津風部屋の17歳力士暴行死、ドーピング問題、相撲協会元顧問の裏金疑惑等々で角界が揺れたときにも一人横綱として土俵を引っ張ってきた。東日本大震災の後には、復興支援の旗振り役を務めた。にもかかわらず協会から冷遇されている。そんな意識が強かったという。弟子の不祥事の件でも、同じようなケースでの他の親方の処分は軽かった。これを人種差別と眉をひそめる向きもあるようだが、それは違うと思う。白鵬をモンゴル人親方だと見下す人間は協会にもいない。日本国籍を取得して年寄を襲名するときにも「誓約書」に署名させられた。その異例の報に私は耳を疑った。いったい誰がそんな案をぶちあげたのか。校則破り常習の高校生相手でもあるまいに。人種差別と思われるとすれば大きな問題でしょう。「日本人になってほんとうにうれしい」満面の笑みを浮かべる横綱。国籍取得によって年寄名跡が取得でき、部屋を開くことができる。長身痩躯のモンゴル人少年が、日本の「国技」の頂点に君臨し、ついには国籍を変えてその地に骨を埋める決意をした。そのときの表情の晴れやかさといったら。その際、現役横綱としての体調管理について聞いた。食事に十全に気を配っている。肉や魚をバランスよく食べる。抗酸化作用に優れている色の濃い野菜を欠かさず取る。体調管理、食事に万全を期していたのですね。「協会の外の立場から、その発展に貢献していく」角通が万歳して飛び上がるようなデカイことを、きっとやってくれる。私たちの想像を超えるようなことを。そう信じる。保守的で排他的な相撲界というのであれば協会の外から発展するために貢献できればオープンで開かれ海外の人たちからも好感を持って見られるようになるのではないでしょうか。



