
高いインフレ状態が続けば大変厳しい状況に陥るのでは[2025年04月05日(Sat)]
現代ビジネス2025年1月28日付け「財政再建から逃げ続ける世界最悪の借金大国ニッポン 果てに待ち受ける事態とは?」から、我が国の財政運営は、このままではこの先、何かのきっかけで、いつ何どき、行き詰まってもおかしくない状態にすでに陥っている。しかも、1,104兆円(2024年度末の普通国債残高の見込み)という天文学的ともいえる借金の大きさと、歴史上かつて体験したことのない厳しい人口減少がもたらす国力の低下を鑑みれば、ついに「行き詰まった」ときに起こる事態は、我が国自身が第二次世界大戦の敗戦直後に経験した苛烈な国内債務調整に匹敵するものにならざるを得ない。
静かに迫り来る財政危機を何とかして未然に回避し乗り切るために、私たちはいま何ができるのか。財政政策と中央銀行の金融政策に精通した日本総合研究所主席研究員の河村小百合氏と前参議院予算員会調査室長の藤井亮二氏が協力して取り組んだ『持続不可能な財政』では、危機的な状況にある日本の財政の現状と再建のための解決策の具体的な選択肢にはどのようなものがあるのかを真っ正面から論じている。
我が国がこのまま財政再建から逃げ続け、日銀による「事実上の財政ファイナンス」を続行すれば、早晩、円安のさらなる加速を招き、高インフレが止められなくなるかもしれません。
日銀に低利の国債を抱えさせ続ければ、確かに国の財政運営のほうは利払費が増えずに済むので何とか回し続けられるかもしれません。他方、日銀のほうは、抱え込む国債の表面金利(クーポン)が低くなればなるほど、赤字や債務超過になりやすく、その幅が大きくなりやすくなります。そこで、日銀がインフレ抑制に必要な利上げをしなければ、日銀は赤字や債務超過に転落することは確かにありません。そうすれば、国民の痛みを伴う増税・歳出カットを国会で決めることから逃げ続けることもできますが、日銀が必要な利上げをしなければ、結局は高インフレが放置されることになって、国民負担はなし崩し的に増大することになります。
円安が「臨界点」を超え、高インフレが止められなくなり、これまで吞気なことこのうえなく暮らしてきた我が国においてもついに、大増税や大規模な歳出カットが迫っていることが認識されるようになれば、国外への資金流出が一段と加速することになるかもしれません。これは、国際的な資本移動が自由な開放経済体制の下で財政破綻に見舞われた国がたどる共通のパターンです。
いざという時、IMFは救いの手を差し伸べるのか
そうなれば、これまでの財政破綻国と同様、我が国は資本移動規制をかけ、いわばお金が海外に逃げていかないように、財政運営のバランスを回復できるまで、「鎖国」状態を迫られることになります。その代償として、我が国の企業は、グローバルな経済活動に重い足かせをはめられることになるでしょう。
「そうなったら、IMF(国際通貨基金)に助けてもらえばよいのではないか」「IMFが助けてくれるのではないか」という声を耳にすることもあります。
IMFは果たして、我が国に融資してくれるでしょうか?答えは、おそらく「No」でしょう。その理由は、我が国の場合、国債のほとんどを国内で消化しているということは、財政再建=発行済み国債の残高の元本償還に必要な規模の資金は国内の貯蓄余剰として存在するからです。
要するに、納税に回せる潤沢な資金を国民が、家計や企業全体としてみれば保有していながら、税負担の合意が国全体として形成できない「金持ち国」に融資するほど、国際機関や国際金融界は「お人好し」ではない、ということです。そもそも、目下のところ、外国の投資家が保有している日本国債は短期国債が中心です。外国勢や国際機関は、日本国に対して、まとまった金額の長期にわたる債権(長期国債)を保有する債権者の立場になってくれているわけでもなく、突き放されることは必至でしょう。
国債とは「国の借金」です。国とて、市場から借りたお金は、期限がきたら返済しなければなりません。「新規国債」であろうが、「借換債」であろうが、満期が到来したらいったん、元本相当額を投資家に返済できなければ、「デフォルト」(債務不履行)になってしまいます。借換債を同時に発行できれば、その代価として投資家が払い込んでくれた資金でいったん、満期が来た国債の元本を返済できますが、投資家に「この国は本当に危ない」「借金をまじめに返す気がなさそうだ」と思われて、借換債に高い金利を要求され、とてもそれは払えない、となると借換債の発行がストップしてしまい、満期が来た国債の元本が返済できなくなってしまいます。放漫財政国の財政運営は、こうやって行き詰まるのです。
ひとたび財政運営が行き詰まった際の財政資金ショート(不足)の額は、その国が毎年度、どれだけの金額の国債を発行しているかで決まります。従来から借換債の発行も多い我が国の場合、2025年度当初予算政府案の国債発行額は172兆円と極めて大きいのが現実です(図表1-7)。これは国の一般会計の税収の約2.2年分に相当します。 所得税・法人税・消費税という、フロー・ベースでの経済活動に課税する基幹3税の税率引き上げでは、この規模の財政資金ショートは到底、埋められません。そうなれば、大規模な資産課税に踏み切らざるを得なくなる可能性が大きくなります。第二次世界大戦での敗戦後、我が国が焼け野原のなかで国民のありとあらゆる金融資産や不動産に課税した「財産税」や、戦時中までに政府が家計や企業に対して支払うと約束した分の全額を、反対方向に政府が課税する形で全額踏み倒した「戦時補償特別税」の再来となる可能性も否定できません。そうなるまで、この国は、増税や歳出カットといった、本来取り組むべき財政再建から逃げ続けるのでしょうか。
我が国の財政運営は、このままではこの先、何かのきっかけで、いつ何どき、行き詰まってもおかしくない状態にすでに陥っている。しかも、1,104兆円(2024年度末の普通国債残高の見込み)という天文学的ともいえる借金の大きさと、歴史上かつて体験したことのない厳しい人口減少がもたらす国力の低下を鑑みれば、ついに「行き詰まった」ときに起こる事態は、我が国自身が第二次世界大戦の敗戦直後に経験した苛烈な国内債務調整に匹敵するものにならざるを得ない。国というか政権には危機感はないのでしょうか。我が国がこのまま財政再建から逃げ続け、日銀による「事実上の財政ファイナンス」を続行すれば、早晩、円安のさらなる加速を招き、高インフレが止められなくなるかもしれません。日銀に低利の国債を抱えさせ続ければ、確かに国の財政運営のほうは利払費が増えずに済むので何とか回し続けられるかもしれません。他方、日銀のほうは、抱え込む国債の表面金利(クーポン)が低くなればなるほど、赤字や債務超過になりやすく、その幅が大きくなりやすくなります。そこで、日銀がインフレ抑制に必要な利上げをしなければ、日銀は赤字や債務超過に転落することは確かにありません。そうすれば、国民の痛みを伴う増税・歳出カットを国会で決めることから逃げ続けることもできますが、日銀が必要な利上げをしなければ、結局は高インフレが放置されることになって、国民負担はなし崩し的に増大することになります。円安が「臨界点」を超え、高インフレが止められなくなり、これまで吞気なことこのうえなく暮らしてきた我が国においてもついに、大増税や大規模な歳出カットが迫っていることが認識されるようになれば、国外への資金流出が一段と加速することになるかもしれません。これは、国際的な資本移動が自由な開放経済体制の下で財政破綻に見舞われた国がたどる共通のパターンです。高インフレになり続いてしまえば相当厳しい状況に陥る可能性が高いのでしょう。国債とは「国の借金」です。国とて、市場から借りたお金は、期限がきたら返済しなければなりません。「新規国債」であろうが、「借換債」であろうが、満期が到来したらいったん、元本相当額を投資家に返済できなければ、「デフォルト」(債務不履行)になってしまいます。借換債を同時に発行できれば、その代価として投資家が払い込んでくれた資金でいったん、満期が来た国債の元本を返済できますが、投資家に「この国は本当に危ない」「借金をまじめに返す気がなさそうだ」と思われて、借換債に高い金利を要求され、とてもそれは払えない、となると借換債の発行がストップしてしまい、満期が来た国債の元本が返済できなくなってしまいます。放漫財政国の財政運営は、こうやって行き詰まるのです。第二次世界大戦での敗戦後、我が国が焼け野原のなかで国民のありとあらゆる金融資産や不動産に課税した「財産税」や、戦時中までに政府が家計や企業に対して支払うと約束した分の全額を、反対方向に政府が課税する形で全額踏み倒した「戦時補償特別税」の再来となる可能性も否定できません。そうなるまで、この国は、増税や歳出カットといった、本来取り組むべき財政再建から逃げ続けるのでしょうか。1部の国会議員が責任感のない勝手なことを言っているとすれば大きな問題ですが、国の正しい財政状況を国民がわかるように説明を尽くしているのでしょうか。今後は首都圏直下型地震、南海トラフ大地震、太平洋東北の大地震、富士山火山噴火など起こる可能性が高い危惧される大災害が実際に発生すれば国民が困難に直面する事態になるでしょう。そのような危機的なことも想定しておかなければならないでしょう。
静かに迫り来る財政危機を何とかして未然に回避し乗り切るために、私たちはいま何ができるのか。財政政策と中央銀行の金融政策に精通した日本総合研究所主席研究員の河村小百合氏と前参議院予算員会調査室長の藤井亮二氏が協力して取り組んだ『持続不可能な財政』では、危機的な状況にある日本の財政の現状と再建のための解決策の具体的な選択肢にはどのようなものがあるのかを真っ正面から論じている。
我が国がこのまま財政再建から逃げ続け、日銀による「事実上の財政ファイナンス」を続行すれば、早晩、円安のさらなる加速を招き、高インフレが止められなくなるかもしれません。
日銀に低利の国債を抱えさせ続ければ、確かに国の財政運営のほうは利払費が増えずに済むので何とか回し続けられるかもしれません。他方、日銀のほうは、抱え込む国債の表面金利(クーポン)が低くなればなるほど、赤字や債務超過になりやすく、その幅が大きくなりやすくなります。そこで、日銀がインフレ抑制に必要な利上げをしなければ、日銀は赤字や債務超過に転落することは確かにありません。そうすれば、国民の痛みを伴う増税・歳出カットを国会で決めることから逃げ続けることもできますが、日銀が必要な利上げをしなければ、結局は高インフレが放置されることになって、国民負担はなし崩し的に増大することになります。
円安が「臨界点」を超え、高インフレが止められなくなり、これまで吞気なことこのうえなく暮らしてきた我が国においてもついに、大増税や大規模な歳出カットが迫っていることが認識されるようになれば、国外への資金流出が一段と加速することになるかもしれません。これは、国際的な資本移動が自由な開放経済体制の下で財政破綻に見舞われた国がたどる共通のパターンです。
いざという時、IMFは救いの手を差し伸べるのか
そうなれば、これまでの財政破綻国と同様、我が国は資本移動規制をかけ、いわばお金が海外に逃げていかないように、財政運営のバランスを回復できるまで、「鎖国」状態を迫られることになります。その代償として、我が国の企業は、グローバルな経済活動に重い足かせをはめられることになるでしょう。
「そうなったら、IMF(国際通貨基金)に助けてもらえばよいのではないか」「IMFが助けてくれるのではないか」という声を耳にすることもあります。
IMFは果たして、我が国に融資してくれるでしょうか?答えは、おそらく「No」でしょう。その理由は、我が国の場合、国債のほとんどを国内で消化しているということは、財政再建=発行済み国債の残高の元本償還に必要な規模の資金は国内の貯蓄余剰として存在するからです。
要するに、納税に回せる潤沢な資金を国民が、家計や企業全体としてみれば保有していながら、税負担の合意が国全体として形成できない「金持ち国」に融資するほど、国際機関や国際金融界は「お人好し」ではない、ということです。そもそも、目下のところ、外国の投資家が保有している日本国債は短期国債が中心です。外国勢や国際機関は、日本国に対して、まとまった金額の長期にわたる債権(長期国債)を保有する債権者の立場になってくれているわけでもなく、突き放されることは必至でしょう。
国債とは「国の借金」です。国とて、市場から借りたお金は、期限がきたら返済しなければなりません。「新規国債」であろうが、「借換債」であろうが、満期が到来したらいったん、元本相当額を投資家に返済できなければ、「デフォルト」(債務不履行)になってしまいます。借換債を同時に発行できれば、その代価として投資家が払い込んでくれた資金でいったん、満期が来た国債の元本を返済できますが、投資家に「この国は本当に危ない」「借金をまじめに返す気がなさそうだ」と思われて、借換債に高い金利を要求され、とてもそれは払えない、となると借換債の発行がストップしてしまい、満期が来た国債の元本が返済できなくなってしまいます。放漫財政国の財政運営は、こうやって行き詰まるのです。
ひとたび財政運営が行き詰まった際の財政資金ショート(不足)の額は、その国が毎年度、どれだけの金額の国債を発行しているかで決まります。従来から借換債の発行も多い我が国の場合、2025年度当初予算政府案の国債発行額は172兆円と極めて大きいのが現実です(図表1-7)。これは国の一般会計の税収の約2.2年分に相当します。 所得税・法人税・消費税という、フロー・ベースでの経済活動に課税する基幹3税の税率引き上げでは、この規模の財政資金ショートは到底、埋められません。そうなれば、大規模な資産課税に踏み切らざるを得なくなる可能性が大きくなります。第二次世界大戦での敗戦後、我が国が焼け野原のなかで国民のありとあらゆる金融資産や不動産に課税した「財産税」や、戦時中までに政府が家計や企業に対して支払うと約束した分の全額を、反対方向に政府が課税する形で全額踏み倒した「戦時補償特別税」の再来となる可能性も否定できません。そうなるまで、この国は、増税や歳出カットといった、本来取り組むべき財政再建から逃げ続けるのでしょうか。

我が国の財政運営は、このままではこの先、何かのきっかけで、いつ何どき、行き詰まってもおかしくない状態にすでに陥っている。しかも、1,104兆円(2024年度末の普通国債残高の見込み)という天文学的ともいえる借金の大きさと、歴史上かつて体験したことのない厳しい人口減少がもたらす国力の低下を鑑みれば、ついに「行き詰まった」ときに起こる事態は、我が国自身が第二次世界大戦の敗戦直後に経験した苛烈な国内債務調整に匹敵するものにならざるを得ない。国というか政権には危機感はないのでしょうか。我が国がこのまま財政再建から逃げ続け、日銀による「事実上の財政ファイナンス」を続行すれば、早晩、円安のさらなる加速を招き、高インフレが止められなくなるかもしれません。日銀に低利の国債を抱えさせ続ければ、確かに国の財政運営のほうは利払費が増えずに済むので何とか回し続けられるかもしれません。他方、日銀のほうは、抱え込む国債の表面金利(クーポン)が低くなればなるほど、赤字や債務超過になりやすく、その幅が大きくなりやすくなります。そこで、日銀がインフレ抑制に必要な利上げをしなければ、日銀は赤字や債務超過に転落することは確かにありません。そうすれば、国民の痛みを伴う増税・歳出カットを国会で決めることから逃げ続けることもできますが、日銀が必要な利上げをしなければ、結局は高インフレが放置されることになって、国民負担はなし崩し的に増大することになります。円安が「臨界点」を超え、高インフレが止められなくなり、これまで吞気なことこのうえなく暮らしてきた我が国においてもついに、大増税や大規模な歳出カットが迫っていることが認識されるようになれば、国外への資金流出が一段と加速することになるかもしれません。これは、国際的な資本移動が自由な開放経済体制の下で財政破綻に見舞われた国がたどる共通のパターンです。高インフレになり続いてしまえば相当厳しい状況に陥る可能性が高いのでしょう。国債とは「国の借金」です。国とて、市場から借りたお金は、期限がきたら返済しなければなりません。「新規国債」であろうが、「借換債」であろうが、満期が到来したらいったん、元本相当額を投資家に返済できなければ、「デフォルト」(債務不履行)になってしまいます。借換債を同時に発行できれば、その代価として投資家が払い込んでくれた資金でいったん、満期が来た国債の元本を返済できますが、投資家に「この国は本当に危ない」「借金をまじめに返す気がなさそうだ」と思われて、借換債に高い金利を要求され、とてもそれは払えない、となると借換債の発行がストップしてしまい、満期が来た国債の元本が返済できなくなってしまいます。放漫財政国の財政運営は、こうやって行き詰まるのです。第二次世界大戦での敗戦後、我が国が焼け野原のなかで国民のありとあらゆる金融資産や不動産に課税した「財産税」や、戦時中までに政府が家計や企業に対して支払うと約束した分の全額を、反対方向に政府が課税する形で全額踏み倒した「戦時補償特別税」の再来となる可能性も否定できません。そうなるまで、この国は、増税や歳出カットといった、本来取り組むべき財政再建から逃げ続けるのでしょうか。1部の国会議員が責任感のない勝手なことを言っているとすれば大きな問題ですが、国の正しい財政状況を国民がわかるように説明を尽くしているのでしょうか。今後は首都圏直下型地震、南海トラフ大地震、太平洋東北の大地震、富士山火山噴火など起こる可能性が高い危惧される大災害が実際に発生すれば国民が困難に直面する事態になるでしょう。そのような危機的なことも想定しておかなければならないでしょう。
