日本はしばらく明るい展望を描けない状況が続くのか[2022年10月01日(Sat)]
FRIDAY2022年6月26日付け「『#年収200万円』が一過性の話題ではなくなる日本の“深刻度”」から、先日「#年収200万円」がツイッターでトレンド入りし大いに物議を醸した。 きっかけは6月7日に発売された『年収200万円で豊かに暮らす』(宝島社)の画像をツイッターユーザーに取り上げられ《色々と地獄を感じた、これを見た時》 と書き込んだからだ。
家計再生コンサルタントの横山光昭氏が監修しているのだが、実際内容を見てみると、特に年収200万円を際立たせているわけではなく、節約術などを紹介しているにすぎなかった。キャッチーに“年収200万円”というワードを立たせたのだろうが、宣伝効果としては抜群だったようだ。
「国税庁が出している、令和2年分の民間給与実態統計調査を見てみると平均給与は433万円(給与所得者数5,245万人で調査)なっていますが、これはあくまでも平均値。
しかも、その平均値でさえ、人口が日本の半分以下である韓国に負けているのです。今や“安い労働力ニッポン”に成り下がっていると言ってもいいでしょうね」(経済ジャーナリスト)
平均年収の最も多いボリュームゾーンは年収300万円台。その次に多いのが年収200万円台なのだ。
そして200万円に満たない人口は合計1165万人で給与所得者全体の22.2%にもおよぶ。これでは年収400万円あれば、勝ち組の一員と胸を張っていいのではないだろうか。
「消費税が上がるにつれ実質賃金は下がり続けています。要するに税金を払うだけ払って恩恵がないため、手元の金が単純に減っているということ。消費税は生活が苦しかろうが借金をしていようが、国民全員が払うものです。
消費税は表向きすべて社会保障に使われることになっていますが、一向に国民に返ってきていない。本当に全額が社会保障費に充てられているか不透明なんです。ヨーロッパのように消費税が高い分、医療や介護、教育費の完全に無料化などが行われていれば、生活費が楽になるのですが、日本はそうではない。ついには年収200万円の時代になりつつありますね」(同・経済ジャーナリスト)
デンマークでは高額な手術でも、海外で高額手術まで国の負担で無料だという。EU圏内では消費税25%以上の国が多くあるが、食品や医薬品などは消費税0%など工夫されている。
世界幸福度ランキング(‘19〜‘21年)では、フィンランドなど北欧がトップ10に5ヵ国入っている。日本は54位と先進国とは思えない順位だ。
「‘03年小泉政権の時代、労働者派遣法改正でそれまで禁止だった製造業および医療業務への派遣が解禁されました。専門的26業種は派遣期間が3年から無制限にされることにより、派遣社員が爆発的に増加。
竹中平蔵さんが会長を務める『パソナ』のような大手派遣会社が莫大な利益を上げ、国民は安い労働力でなんの将来の保証もなく“ドライな関係”で働くことになりました。これも平均年収を大きく下げた一因と考えられますね」(全国紙記者) そして外国人技能実習生という日本の企業で技術や知識を習得し、その技能は帰国後に母国の経済発展に活かすというためにできた制度を日本は著しく悪用し、なんの技術もいらないような単純労働にこの技能実習生を超低賃金で使いまくっている実態がある。技能実習生はコロナ前までは爆発的に国内で増加傾向にあった。
こうなると最低賃金を保証しなければならない日本人の労働力は不要になってくる。高収入で雇ってくれる企業はどんどんと少なくなる。いわば“就職のパイ”は途上国の外国人に奪われているのだ。 “年収200万円”を一過性のトレンドワードと嘲笑ってはいけない時代がすぐそこまで来ているのかもしれない…。
西日本新聞2022年6月26日付け「賃上げできない経営者を甘やかすな 経済評論家・加谷珪一さんに聞く参院選」から、ウクライナ侵攻や物価高など、世界情勢が不安定化している。日本の針路を左右する参院選を前に見過ごされた課題や視点はないか。第一線で向き合う人たちに聞く。
日本の物価高の現状を、どう分析しているか。
「物価上昇は簡単に収まりません。新型コロナウイルス禍からの世界的な景気回復や、ロシアのウクライナ侵攻の影響と言われているが、実はコロナ前から物価上昇は始まっていた。この10年間の経済成長が著しい、中国や東南アジアなどの新興国で、エネルギーや食料、半導体の需要が増加したことが背景にあります。いずれも、すぐには増産できない。需要過多で供給が足りないところにコロナ後の景気回復が重なり、そこにウクライナ危機、駄目押しで円安が加わった形です」
4、5月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を含めた総合指数で前年同月比2・5%上がった。物価上昇はいつまで続くのか。
「一過性ではなく、2・5〜3%の高止まりの状態が続くでしょう。もともとの需要過多に加え、地政学リスクを背景にしたサプライチェーン(供給網)の問題もある。米中対立の影響で、米国と中国それぞれとの間で、供給網を構築する動きが日本企業に出ています。いわば二重投資。コストが上がり、商品価格は下がりようがない。物価が落ち着くまで3〜5年は要するでしょう」
日米の金融政策の違いが主因とされる円安の影響をどうみているか。
「輸入物価の上昇に企業が我慢できず、価格転嫁が始まっています。6月までは食料品やエネルギーを中心に値上げされたが、夏以降は品目がさらに広がる。食料品は最終価格に占める原材料費の割合が高い。例えば、パンは原材料費が約4割を占めており、原材料が上がれば、すぐ値上げとなる。原材料以外の人件費などのコスト削減で耐えている外食でも今後は値上げが加速し、衣類や生活用品、最終的に家電や自動車にまで波及するでしょう」
物価高には、どのような対策が必要か。
「短期と中長期の双方の視点で考えるべきです。給付金などの財政出動は、需要を増やしてインフレを加速させるため、ご法度。短期的には、食費の支出割合が高く、物価高の打撃が大きい困窮者向けの支援策を優先すべきです。目先の対策だけでなく、各党が中長期的にどんな政策に取り組もうとしているのかを、チェックした方が良いです」
中長期的な施策は何か。
「物価高の長期化に対抗する手段は、賃上げになります。原資は企業の利益だが、日本の企業は稼ぐ力がないから、賃上げできない。その責任は、ひとえに経営者にあります。一方、日本企業の内部留保は480兆円を超えている。本来は次なる成長に向けた投資に回すべきものだが、過剰にため込む経営者は無能と言えます。例えば、米国やフランスのIT投資は1990年代以降、3倍超に増えているが、日本はほぼ横ばい。IT投資が生産性向上に結びつくことは明らかなのに、怠ってきました」
状況を変えるには、どうすれば良いのか。
「企業を利益体質に変えるには、経営者を甘やかしてはいけません。有能な経営陣を選ぶ企業統治の仕組みの強化、人材のスキルアップやイノベーションを促す税制など、政治がやれることはたくさんあります」
「国税庁が出している、令和2年分の民間給与実態統計調査を見てみると平均給与は433万円(給与所得者数5,245万人で調査)なっていますが、これはあくまでも平均値。しかも、その平均値でさえ、人口が日本の半分以下である韓国に負けているのです。今や“安い労働力ニッポン”に成り下がっていると言ってもいいでしょうね」円安というだけではなく日本の評価がどんどん下がっているのでしょう。平均年収の最も多いボリュームゾーンは年収300万円台。その次に多いのが年収200万円台なのだ。そして200万円に満たない人口は合計1165万人で給与所得者全体の22.2%にもおよぶ。これでは年収400万円あれば、勝ち組の一員と胸を張っていいのではないだろうか。「消費税が上がるにつれ実質賃金は下がり続けています。要するに税金を払うだけ払って恩恵がないため、手元の金が単純に減っているということ。消費税は生活が苦しかろうが借金をしていようが、国民全員が払うものです。 消費税は表向きすべて社会保障に使われることになっていますが、一向に国民に返ってきていない。本当に全額が社会保障費に充てられているか不透明なんです。ヨーロッパのように消費税が高い分、医療や介護、教育費の完全に無料化などが行われていれば、生活費が楽になるのですが、日本はそうではない。ついには年収200万円の時代になりつつありますね」政治が機能しているのでしょうか。国民のための政策を実現しているのでしょうか。消費税は裕福な人も格差に苦しんでいる人も公平に払わなければなりません。本当にすべての国民のための社会保障に使われているのでしょうか。税金を払うだけで恩恵がないとすれば悲惨なことになるでしょう。世界幸福度ランキング(‘19〜‘21年)では、フィンランドなど北欧がトップ10に5ヵ国が入っている。日本は54位と先進国とは思えない順位だ。国民が幸福だと思っていないのはどこに責任があるのでしょう。国会議員は苦しい生活を送っている人がいるのでしょうか。竹中平蔵さんが会長を務める『パソナ』のような大手派遣会社が莫大な利益を上げ、国民は安い労働力でなんの将来の保証もなく“ドライな関係”で働くことになりました。これも平均年収を大きく下げた一因と考えられますね」(全国紙記者) そして外国人技能実習生という日本の企業で技術や知識を習得し、その技能は帰国後に母国の経済発展に活かすというためにできた制度を日本は著しく悪用し、なんの技術もいらないような単純労働にこの技能実習生を超低賃金で使いまくっている実態がある。技能実習生はコロナ前までは爆発的に国内で増加傾向にあった。このような実態が明らかになっていますが、政治はどうするのでしょうか。「短期と中長期の双方の視点で考えるべきです。給付金などの財政出動は、需要を増やしてインフレを加速させるため、ご法度。短期的には、食費の支出割合が高く、物価高の打撃が大きい困窮者向けの支援策を優先すべきです。目先の対策だけでなく、各党が中長期的にどんな政策に取り組もうとしているのかを、チェックした方が良いです」本当に実効性のある変革をしていかなければ明るい展望を描くことができなくなってしまうのではないでしょうか。「物価高の長期化に対抗する手段は、賃上げになります。原資は企業の利益だが、日本の企業は稼ぐ力がないから、賃上げできない。その責任は、ひとえに経営者にあります。一方、日本企業の内部留保は480兆円を超えている。本来は次なる成長に向けた投資に回すべきものだが、過剰にため込む経営者は無能と言えます。例えば、米国やフランスのIT投資は1990年代以降、3倍超に増えているが、日本はほぼ横ばい。IT投資が生産性向上に結びつくことは明らかなのに、怠ってきました」内部留保ばかりしていないで、賃上げしなければならないでしょう。企業のトップの収入を減らしても社員、従業員の生活を守るような経営者が多く現れないと労働者ばかりでなく企業も厳しい状況になるのではないでしょうか。「企業を利益体質に変えるには、経営者を甘やかしてはいけません。有能な経営陣を選ぶ企業統治の仕組みの強化、人材のスキルアップやイノベーションを促す税制など、政治がやれることはたくさんあります」政治の出番ですが、本気になって変革しようとしているのでしょうか。
家計再生コンサルタントの横山光昭氏が監修しているのだが、実際内容を見てみると、特に年収200万円を際立たせているわけではなく、節約術などを紹介しているにすぎなかった。キャッチーに“年収200万円”というワードを立たせたのだろうが、宣伝効果としては抜群だったようだ。
「国税庁が出している、令和2年分の民間給与実態統計調査を見てみると平均給与は433万円(給与所得者数5,245万人で調査)なっていますが、これはあくまでも平均値。
しかも、その平均値でさえ、人口が日本の半分以下である韓国に負けているのです。今や“安い労働力ニッポン”に成り下がっていると言ってもいいでしょうね」(経済ジャーナリスト)
平均年収の最も多いボリュームゾーンは年収300万円台。その次に多いのが年収200万円台なのだ。
そして200万円に満たない人口は合計1165万人で給与所得者全体の22.2%にもおよぶ。これでは年収400万円あれば、勝ち組の一員と胸を張っていいのではないだろうか。
「消費税が上がるにつれ実質賃金は下がり続けています。要するに税金を払うだけ払って恩恵がないため、手元の金が単純に減っているということ。消費税は生活が苦しかろうが借金をしていようが、国民全員が払うものです。
消費税は表向きすべて社会保障に使われることになっていますが、一向に国民に返ってきていない。本当に全額が社会保障費に充てられているか不透明なんです。ヨーロッパのように消費税が高い分、医療や介護、教育費の完全に無料化などが行われていれば、生活費が楽になるのですが、日本はそうではない。ついには年収200万円の時代になりつつありますね」(同・経済ジャーナリスト)
デンマークでは高額な手術でも、海外で高額手術まで国の負担で無料だという。EU圏内では消費税25%以上の国が多くあるが、食品や医薬品などは消費税0%など工夫されている。
世界幸福度ランキング(‘19〜‘21年)では、フィンランドなど北欧がトップ10に5ヵ国入っている。日本は54位と先進国とは思えない順位だ。
「‘03年小泉政権の時代、労働者派遣法改正でそれまで禁止だった製造業および医療業務への派遣が解禁されました。専門的26業種は派遣期間が3年から無制限にされることにより、派遣社員が爆発的に増加。
竹中平蔵さんが会長を務める『パソナ』のような大手派遣会社が莫大な利益を上げ、国民は安い労働力でなんの将来の保証もなく“ドライな関係”で働くことになりました。これも平均年収を大きく下げた一因と考えられますね」(全国紙記者) そして外国人技能実習生という日本の企業で技術や知識を習得し、その技能は帰国後に母国の経済発展に活かすというためにできた制度を日本は著しく悪用し、なんの技術もいらないような単純労働にこの技能実習生を超低賃金で使いまくっている実態がある。技能実習生はコロナ前までは爆発的に国内で増加傾向にあった。
こうなると最低賃金を保証しなければならない日本人の労働力は不要になってくる。高収入で雇ってくれる企業はどんどんと少なくなる。いわば“就職のパイ”は途上国の外国人に奪われているのだ。 “年収200万円”を一過性のトレンドワードと嘲笑ってはいけない時代がすぐそこまで来ているのかもしれない…。
西日本新聞2022年6月26日付け「賃上げできない経営者を甘やかすな 経済評論家・加谷珪一さんに聞く参院選」から、ウクライナ侵攻や物価高など、世界情勢が不安定化している。日本の針路を左右する参院選を前に見過ごされた課題や視点はないか。第一線で向き合う人たちに聞く。
日本の物価高の現状を、どう分析しているか。
「物価上昇は簡単に収まりません。新型コロナウイルス禍からの世界的な景気回復や、ロシアのウクライナ侵攻の影響と言われているが、実はコロナ前から物価上昇は始まっていた。この10年間の経済成長が著しい、中国や東南アジアなどの新興国で、エネルギーや食料、半導体の需要が増加したことが背景にあります。いずれも、すぐには増産できない。需要過多で供給が足りないところにコロナ後の景気回復が重なり、そこにウクライナ危機、駄目押しで円安が加わった形です」
4、5月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を含めた総合指数で前年同月比2・5%上がった。物価上昇はいつまで続くのか。
「一過性ではなく、2・5〜3%の高止まりの状態が続くでしょう。もともとの需要過多に加え、地政学リスクを背景にしたサプライチェーン(供給網)の問題もある。米中対立の影響で、米国と中国それぞれとの間で、供給網を構築する動きが日本企業に出ています。いわば二重投資。コストが上がり、商品価格は下がりようがない。物価が落ち着くまで3〜5年は要するでしょう」
日米の金融政策の違いが主因とされる円安の影響をどうみているか。
「輸入物価の上昇に企業が我慢できず、価格転嫁が始まっています。6月までは食料品やエネルギーを中心に値上げされたが、夏以降は品目がさらに広がる。食料品は最終価格に占める原材料費の割合が高い。例えば、パンは原材料費が約4割を占めており、原材料が上がれば、すぐ値上げとなる。原材料以外の人件費などのコスト削減で耐えている外食でも今後は値上げが加速し、衣類や生活用品、最終的に家電や自動車にまで波及するでしょう」
物価高には、どのような対策が必要か。
「短期と中長期の双方の視点で考えるべきです。給付金などの財政出動は、需要を増やしてインフレを加速させるため、ご法度。短期的には、食費の支出割合が高く、物価高の打撃が大きい困窮者向けの支援策を優先すべきです。目先の対策だけでなく、各党が中長期的にどんな政策に取り組もうとしているのかを、チェックした方が良いです」
中長期的な施策は何か。
「物価高の長期化に対抗する手段は、賃上げになります。原資は企業の利益だが、日本の企業は稼ぐ力がないから、賃上げできない。その責任は、ひとえに経営者にあります。一方、日本企業の内部留保は480兆円を超えている。本来は次なる成長に向けた投資に回すべきものだが、過剰にため込む経営者は無能と言えます。例えば、米国やフランスのIT投資は1990年代以降、3倍超に増えているが、日本はほぼ横ばい。IT投資が生産性向上に結びつくことは明らかなのに、怠ってきました」
状況を変えるには、どうすれば良いのか。
「企業を利益体質に変えるには、経営者を甘やかしてはいけません。有能な経営陣を選ぶ企業統治の仕組みの強化、人材のスキルアップやイノベーションを促す税制など、政治がやれることはたくさんあります」
「国税庁が出している、令和2年分の民間給与実態統計調査を見てみると平均給与は433万円(給与所得者数5,245万人で調査)なっていますが、これはあくまでも平均値。しかも、その平均値でさえ、人口が日本の半分以下である韓国に負けているのです。今や“安い労働力ニッポン”に成り下がっていると言ってもいいでしょうね」円安というだけではなく日本の評価がどんどん下がっているのでしょう。平均年収の最も多いボリュームゾーンは年収300万円台。その次に多いのが年収200万円台なのだ。そして200万円に満たない人口は合計1165万人で給与所得者全体の22.2%にもおよぶ。これでは年収400万円あれば、勝ち組の一員と胸を張っていいのではないだろうか。「消費税が上がるにつれ実質賃金は下がり続けています。要するに税金を払うだけ払って恩恵がないため、手元の金が単純に減っているということ。消費税は生活が苦しかろうが借金をしていようが、国民全員が払うものです。 消費税は表向きすべて社会保障に使われることになっていますが、一向に国民に返ってきていない。本当に全額が社会保障費に充てられているか不透明なんです。ヨーロッパのように消費税が高い分、医療や介護、教育費の完全に無料化などが行われていれば、生活費が楽になるのですが、日本はそうではない。ついには年収200万円の時代になりつつありますね」政治が機能しているのでしょうか。国民のための政策を実現しているのでしょうか。消費税は裕福な人も格差に苦しんでいる人も公平に払わなければなりません。本当にすべての国民のための社会保障に使われているのでしょうか。税金を払うだけで恩恵がないとすれば悲惨なことになるでしょう。世界幸福度ランキング(‘19〜‘21年)では、フィンランドなど北欧がトップ10に5ヵ国が入っている。日本は54位と先進国とは思えない順位だ。国民が幸福だと思っていないのはどこに責任があるのでしょう。国会議員は苦しい生活を送っている人がいるのでしょうか。竹中平蔵さんが会長を務める『パソナ』のような大手派遣会社が莫大な利益を上げ、国民は安い労働力でなんの将来の保証もなく“ドライな関係”で働くことになりました。これも平均年収を大きく下げた一因と考えられますね」(全国紙記者) そして外国人技能実習生という日本の企業で技術や知識を習得し、その技能は帰国後に母国の経済発展に活かすというためにできた制度を日本は著しく悪用し、なんの技術もいらないような単純労働にこの技能実習生を超低賃金で使いまくっている実態がある。技能実習生はコロナ前までは爆発的に国内で増加傾向にあった。このような実態が明らかになっていますが、政治はどうするのでしょうか。「短期と中長期の双方の視点で考えるべきです。給付金などの財政出動は、需要を増やしてインフレを加速させるため、ご法度。短期的には、食費の支出割合が高く、物価高の打撃が大きい困窮者向けの支援策を優先すべきです。目先の対策だけでなく、各党が中長期的にどんな政策に取り組もうとしているのかを、チェックした方が良いです」本当に実効性のある変革をしていかなければ明るい展望を描くことができなくなってしまうのではないでしょうか。「物価高の長期化に対抗する手段は、賃上げになります。原資は企業の利益だが、日本の企業は稼ぐ力がないから、賃上げできない。その責任は、ひとえに経営者にあります。一方、日本企業の内部留保は480兆円を超えている。本来は次なる成長に向けた投資に回すべきものだが、過剰にため込む経営者は無能と言えます。例えば、米国やフランスのIT投資は1990年代以降、3倍超に増えているが、日本はほぼ横ばい。IT投資が生産性向上に結びつくことは明らかなのに、怠ってきました」内部留保ばかりしていないで、賃上げしなければならないでしょう。企業のトップの収入を減らしても社員、従業員の生活を守るような経営者が多く現れないと労働者ばかりでなく企業も厳しい状況になるのではないでしょうか。「企業を利益体質に変えるには、経営者を甘やかしてはいけません。有能な経営陣を選ぶ企業統治の仕組みの強化、人材のスキルアップやイノベーションを促す税制など、政治がやれることはたくさんあります」政治の出番ですが、本気になって変革しようとしているのでしょうか。



