若者が地方で活躍できるような投資する仕組みができ上ればいいですね[2026年02月04日(Wed)]
Wedge2025年8月15日付け「「地域社会の先導者たれ!」地方創生は国際化から」から、地方の時代、と言われて久しいが実際には首都圏への一極集中は進む一方だ。地方の企業、といっても東京資本であったり、地元に本当の意味で富をもたらす仕組みを作り出すのは難しい。そんな中、日本という枠組みを超え国際化を果たすことで地方の存在を再認識しよう、という動きもある。岩手の「いわてグローバル人材育成プロジェクト」はそうした試みのひとつだ。
2023年に一般社団法人として立ち上げられたプロジェクトで、岩手の実業家である坂下陽市さん(90)は、プロジェクトについて「これから迎える新しい時代を担う若者は岩手の宝だと思います。その若者たちは「地域社会の先導者たれ」との願いを込めています。
慶応義塾大学の伊藤公平塾長さんの、一人でも多くの学生を海外へ学びに出したい、という人材育成方針に感銘し国際社会で通用する若者を育成するのが目的です」と語る。
プロジェクトには三つの柱があり、Visionとしては「岩手の次世代を担うグローバルリーダーを育てたい」、Missionとしては「シニアが岩手の将来を担う志のある若者の人材育成を応援する」、そしてPurposeとして「一人でも多くの若者を海外研修に派遣し、次世代を担う人材を育てる」が掲げられている。現状は年に5回ほどの外部講師を招いてのセミナー、ビジネス英会話教室の開催などだが、フィンランドの国際的スタートアップイベントであるSlushに受講生を参加させることも目的となっている。
受講者は20代から40代までの、生産者から金融、行政、一般企業など様々な分野から参加している。各講師は岩手の現状の問題点、地域発展のためのアイデア、国際情勢などについて語る。参加の動機は様々だが、日本という枠組みを超えて国際ビジネスを目指す生産者もあり、行政側にとってはこうした生の声を聞いてそれをフィードバック、将来の政策作りに役立てる場になっている。
生産者はこれからの岩手の産業の発展に欠かせない存在
特に生産者はこれからの岩手の産業の発展に欠かせない存在だ。岩手の魅力を伝える本当の意味での地場産業の発展はどのような形で行うべきなのか、若い生産者たちは真剣に考えている。
まず、地元の地ビール生産で知られるベアレン醸造所。ドイツ語で熊を意味するベアレンは、2003年創業。伝統的ドイツのビール造りを忠実に再現し、ドイツから直輸入した銅釜での醸造を行う。ここで製造部で働く嶌田賢太郎さん(28)は、大学卒業後4年間沖縄のオリオンビールで働き、その後ベアレンに入社した。
「沖縄ではビールといえばオリオン、と地ビールの認知度は広いですが、岩手のベアレンは知名度などもまだまだ。地ビールという意味ではオリオンとベアレンの共通点も多く、岩手の特産品としてのベアレンの将来性に魅力を感じました」という。
ベアレンは2021年に岩手大学の学内カンパニーと提携し、100%岩手産のホップ、二条大麦を使った「つなぐビール」を発売するなど、地元産業と共に成長することも大切にしている。嶌田さんは「農家、大学の研究機関、流通、消費者をつなぐ経済循環を考えた生産体系です」と語る。農家もベアレンの情熱に理解を示し、徐々にベアレンに回す農産物の量が増えつつある、という。
また地ビールはお土産、というイメージがあるが、嶌田さんがビールに感じるのは「人々が集まって楽しむ場を作り出す魅力」であり、様々なビールの楽しみ方を提案している。例えばバレンタイン用にチョコレートスタウトを使ったカカオの香りのビールは、今は広がっているがベアレンが最初に始めた。
ビールの広め方としては県民にまず飲んで欲しい、という点から地元の祭り、よ市などに積極的に出店するなどの広報活動を行なっている。県内には直営店もあり、ベアレンを置く飲食店も増えつつある。しかし実情は県内市場は頭打ちに近く、県外競争は激しい、ということもあり、最近では中国をはじめとした海外市場にも目を向けている。中国では幅広いビールの世界・魅力を知ってもらうためのイベント開催やコーヒーブランドとのコラボ、日系スーパーやカフェ、ビアバー等での試飲販売会など、様々な試みも行われている。これらはすべて、出来立ての美味しいビールを飲みに、日本に、岩手に来てもらいたい、という想いで現地パートナーとともに実施している取組みである。
ベアレンではビールのほか地元のりんごを使ったシードル、スパークリングワインなども製造。「実は岩手はぶどう生産も盛んでワイン製造は日本で5本の指に入るのですが、中々認知度は低いですね。地元で獲れる果物とのコラボも積極的に行い、岩手のビールブランドとして確立していくのが夢です」と嶌田さんは語る。
新しい時代の農業に取り組む
嶌田さんが言及した地元の果樹を育てる農家として参加しているのが、ふじむら農園の藤村真哉さん(46)だ。藤村さんは大学卒業後大手メーカーに就職したが、32歳の時に脱サラして親の農園を継いだ。当時の主力産物はりんご、竜胆の花、米、寒干し大根などだったが、藤村さんの代から桃の生産にも着手し、現在は完熟桃として直売所には行列ができるほどの人気となっている。
藤村さんはサラリーマン時代について「何のために仕事をしているのか、人と比較されて評価されることが会社のすべてのように感じていました」と語り、現在も「何のために農業をするのか」を常に自問自答している。
しかし飛び込んだ農業生活は最初は順調とは言えなかった。特に2016年ごろはどん底で「損益分岐点を超えることができなかった。子どもが3人いて、子らの将来を考えると難しいと感じていた」という。そこで17年にふじむら農園のブランディングに取り組み始めた。19年には黒字化に成功、現在は高収入とまではいかないが、一家の生活と共に従業員に岩手県としては中程度の給料を支払えるまでになった。
藤村さんは農業に真剣に向き合う中で、「この仕事を次世代に残していくためには何をすれば良いのか」を考えるようになった。今年の夏は岩手でも連日35度超えの猛暑で、「そんな中で従業員に作業をさせることに罪悪感を抱くようになり、この罪悪感を自分の子にも背負わせるのか、と思うと農業を継いで欲しいとは思えない部分もあります」という。
そこで取り組んでいるのがSDGsの導入だ。まず自分の土地にソーラー発電を設置し、そこからの収入が生活の助けにもなった。農業をする中でドイツに10日間研修に行き、欧州の再生可能エネルギーの導入に興味を持ったこともきっかけとなった。しかしメガソーラーを導入したい、と考えたが東北電力から「送電線に対応能力がない」と断られる、ということも経験している。
農業を持続させるためには過酷な環境に対応していくしかない。しかし社会のシステムを変えるには時間がかかり、子育て世代である藤村さんには待つだけの余裕がない。それならば自分ができる範囲で新しいことに取り組むことが先決だ、というのが藤村さんのポリシーだ。今はソーラーを増やして農園に使用する電力を賄うカーボンニュートラルな農業を目指す、農作業に使用する軽トラックにEVを導入する、などの計画を持つ。
現在桃やりんごは直売の形で売り切れるほどの人気だが、あくまで地産地消である。そんな藤村さんがいわてグローバル人材育成プロジェクトに参加するのは、世界情勢に興味を持つからだ。藤村さんの夢は海外ハイテク株に投資を行い、そこで得た資金を元に投資会社を設立することだ。同じような志を持つ仲間の事業に投資し、小規模であっても「長い将来まで日本を支える為に「農地」と「人=技術」を残していくことが私たちの本当の使命だ」という目的に向かう。
さらに藤村さんを支えるのは岩手の高校の先輩にあたる宮沢賢治の言葉だ。 新しい時代のコペルニクスよ 余りに重苦しい重力の法則から この銀河系を解き放て 衝動のやうにさへ行はれる すべての農業労働を 冷く透明な解析によって その藍いろの影といっしょに 舞踏の範囲にまで高めよ (「生徒諸君に寄せる」宮沢賢治より)
この言葉に触発され、新しい時代の農業に取り組む。その中で辿り着いた一つの答えが完熟果実の販売だった、ともいう。日本の平均就農人口年齢は69歳。その中では若手である藤村さんのような存在が、日本の農業の未来を変えていくのかもしれない。
地元に本当の意味で富をもたらす仕組みを作り出すのは難しい。そんな中、日本という枠組みを超え国際化を果たすことで地方の存在を再認識しよう、という動きもある。岩手の「いわてグローバル人材育成プロジェクト」はそうした試みのひとつだ。確かに地元に富をもたらす仕組みづくりは難しいですね。Visionとしては「岩手の次世代を担うグローバルリーダーを育てたい」、Missionとしては「シニアが岩手の将来を担う志のある若者の人材育成を応援する」、そしてPurposeとして「一人でも多くの若者を海外研修に派遣し、次世代を担う人材を育てる」が掲げられている。ベアレンは2021年に岩手大学の学内カンパニーと提携し、100%岩手産のホップ、二条大麦を使った「つなぐビール」を発売するなど、地元産業と共に成長することも大切にしている。嶌田さんは「農家、大学の研究機関、流通、消費者をつなぐ経済循環を考えた生産体系です」と語る。農家もベアレンの情熱に理解を示し、徐々にベアレンに回す農産物の量が増えつつある、という。ベアレンではビールのほか地元のりんごを使ったシードル、スパークリングワインなども製造。「実は岩手はぶどう生産も盛んでワイン製造は日本で5本の指に入るのですが、中々認知度は低いですね。地元で獲れる果物とのコラボも積極的に行い、岩手のビールブランドとして確立していくのが夢です」と嶌田さんは語る。農業を持続させるためには過酷な環境に対応していくしかない。しかし社会のシステムを変えるには時間がかかり、子育て世代である藤村さんには待つだけの余裕がない。それならば自分ができる範囲で新しいことに取り組むことが先決だ、というのが藤村さんのポリシーだ。今はソーラーを増やして農園に使用する電力を賄うカーボンニュートラルな農業を目指す、農作業に使用する軽トラックにEVを導入する、などの計画を持つ。藤村さんの夢は海外ハイテク株に投資を行い、そこで得た資金を元に投資会社を設立することだ。同じような志を持つ仲間の事業に投資し、小規模であっても「長い将来まで日本を支える為に「農地」と「人=技術」を残していくことが私たちの本当の使命だ」という目的に向かう。投資会社が農業従事者の人材育成のために投資をして広がっていけば理想的ですね。新しい時代の農業に取り組む。その中で辿り着いた一つの答えが完熟果実の販売だった、ともいう。日本の平均就農人口年齢は69歳。その中では若手である藤村さんのような存在が、日本の農業の未来を変えていくのかもしれない。若い世代の人が次から次家と農業に従事するプラスの循環が生まれてくるための仕組みづくりができ上れば広がっていく可能性が高いでしょう。
2023年に一般社団法人として立ち上げられたプロジェクトで、岩手の実業家である坂下陽市さん(90)は、プロジェクトについて「これから迎える新しい時代を担う若者は岩手の宝だと思います。その若者たちは「地域社会の先導者たれ」との願いを込めています。
慶応義塾大学の伊藤公平塾長さんの、一人でも多くの学生を海外へ学びに出したい、という人材育成方針に感銘し国際社会で通用する若者を育成するのが目的です」と語る。
プロジェクトには三つの柱があり、Visionとしては「岩手の次世代を担うグローバルリーダーを育てたい」、Missionとしては「シニアが岩手の将来を担う志のある若者の人材育成を応援する」、そしてPurposeとして「一人でも多くの若者を海外研修に派遣し、次世代を担う人材を育てる」が掲げられている。現状は年に5回ほどの外部講師を招いてのセミナー、ビジネス英会話教室の開催などだが、フィンランドの国際的スタートアップイベントであるSlushに受講生を参加させることも目的となっている。
受講者は20代から40代までの、生産者から金融、行政、一般企業など様々な分野から参加している。各講師は岩手の現状の問題点、地域発展のためのアイデア、国際情勢などについて語る。参加の動機は様々だが、日本という枠組みを超えて国際ビジネスを目指す生産者もあり、行政側にとってはこうした生の声を聞いてそれをフィードバック、将来の政策作りに役立てる場になっている。
生産者はこれからの岩手の産業の発展に欠かせない存在
特に生産者はこれからの岩手の産業の発展に欠かせない存在だ。岩手の魅力を伝える本当の意味での地場産業の発展はどのような形で行うべきなのか、若い生産者たちは真剣に考えている。
まず、地元の地ビール生産で知られるベアレン醸造所。ドイツ語で熊を意味するベアレンは、2003年創業。伝統的ドイツのビール造りを忠実に再現し、ドイツから直輸入した銅釜での醸造を行う。ここで製造部で働く嶌田賢太郎さん(28)は、大学卒業後4年間沖縄のオリオンビールで働き、その後ベアレンに入社した。
「沖縄ではビールといえばオリオン、と地ビールの認知度は広いですが、岩手のベアレンは知名度などもまだまだ。地ビールという意味ではオリオンとベアレンの共通点も多く、岩手の特産品としてのベアレンの将来性に魅力を感じました」という。
ベアレンは2021年に岩手大学の学内カンパニーと提携し、100%岩手産のホップ、二条大麦を使った「つなぐビール」を発売するなど、地元産業と共に成長することも大切にしている。嶌田さんは「農家、大学の研究機関、流通、消費者をつなぐ経済循環を考えた生産体系です」と語る。農家もベアレンの情熱に理解を示し、徐々にベアレンに回す農産物の量が増えつつある、という。
また地ビールはお土産、というイメージがあるが、嶌田さんがビールに感じるのは「人々が集まって楽しむ場を作り出す魅力」であり、様々なビールの楽しみ方を提案している。例えばバレンタイン用にチョコレートスタウトを使ったカカオの香りのビールは、今は広がっているがベアレンが最初に始めた。
ビールの広め方としては県民にまず飲んで欲しい、という点から地元の祭り、よ市などに積極的に出店するなどの広報活動を行なっている。県内には直営店もあり、ベアレンを置く飲食店も増えつつある。しかし実情は県内市場は頭打ちに近く、県外競争は激しい、ということもあり、最近では中国をはじめとした海外市場にも目を向けている。中国では幅広いビールの世界・魅力を知ってもらうためのイベント開催やコーヒーブランドとのコラボ、日系スーパーやカフェ、ビアバー等での試飲販売会など、様々な試みも行われている。これらはすべて、出来立ての美味しいビールを飲みに、日本に、岩手に来てもらいたい、という想いで現地パートナーとともに実施している取組みである。
ベアレンではビールのほか地元のりんごを使ったシードル、スパークリングワインなども製造。「実は岩手はぶどう生産も盛んでワイン製造は日本で5本の指に入るのですが、中々認知度は低いですね。地元で獲れる果物とのコラボも積極的に行い、岩手のビールブランドとして確立していくのが夢です」と嶌田さんは語る。
新しい時代の農業に取り組む
嶌田さんが言及した地元の果樹を育てる農家として参加しているのが、ふじむら農園の藤村真哉さん(46)だ。藤村さんは大学卒業後大手メーカーに就職したが、32歳の時に脱サラして親の農園を継いだ。当時の主力産物はりんご、竜胆の花、米、寒干し大根などだったが、藤村さんの代から桃の生産にも着手し、現在は完熟桃として直売所には行列ができるほどの人気となっている。
藤村さんはサラリーマン時代について「何のために仕事をしているのか、人と比較されて評価されることが会社のすべてのように感じていました」と語り、現在も「何のために農業をするのか」を常に自問自答している。
しかし飛び込んだ農業生活は最初は順調とは言えなかった。特に2016年ごろはどん底で「損益分岐点を超えることができなかった。子どもが3人いて、子らの将来を考えると難しいと感じていた」という。そこで17年にふじむら農園のブランディングに取り組み始めた。19年には黒字化に成功、現在は高収入とまではいかないが、一家の生活と共に従業員に岩手県としては中程度の給料を支払えるまでになった。
藤村さんは農業に真剣に向き合う中で、「この仕事を次世代に残していくためには何をすれば良いのか」を考えるようになった。今年の夏は岩手でも連日35度超えの猛暑で、「そんな中で従業員に作業をさせることに罪悪感を抱くようになり、この罪悪感を自分の子にも背負わせるのか、と思うと農業を継いで欲しいとは思えない部分もあります」という。
そこで取り組んでいるのがSDGsの導入だ。まず自分の土地にソーラー発電を設置し、そこからの収入が生活の助けにもなった。農業をする中でドイツに10日間研修に行き、欧州の再生可能エネルギーの導入に興味を持ったこともきっかけとなった。しかしメガソーラーを導入したい、と考えたが東北電力から「送電線に対応能力がない」と断られる、ということも経験している。
農業を持続させるためには過酷な環境に対応していくしかない。しかし社会のシステムを変えるには時間がかかり、子育て世代である藤村さんには待つだけの余裕がない。それならば自分ができる範囲で新しいことに取り組むことが先決だ、というのが藤村さんのポリシーだ。今はソーラーを増やして農園に使用する電力を賄うカーボンニュートラルな農業を目指す、農作業に使用する軽トラックにEVを導入する、などの計画を持つ。
現在桃やりんごは直売の形で売り切れるほどの人気だが、あくまで地産地消である。そんな藤村さんがいわてグローバル人材育成プロジェクトに参加するのは、世界情勢に興味を持つからだ。藤村さんの夢は海外ハイテク株に投資を行い、そこで得た資金を元に投資会社を設立することだ。同じような志を持つ仲間の事業に投資し、小規模であっても「長い将来まで日本を支える為に「農地」と「人=技術」を残していくことが私たちの本当の使命だ」という目的に向かう。
さらに藤村さんを支えるのは岩手の高校の先輩にあたる宮沢賢治の言葉だ。 新しい時代のコペルニクスよ 余りに重苦しい重力の法則から この銀河系を解き放て 衝動のやうにさへ行はれる すべての農業労働を 冷く透明な解析によって その藍いろの影といっしょに 舞踏の範囲にまで高めよ (「生徒諸君に寄せる」宮沢賢治より)
この言葉に触発され、新しい時代の農業に取り組む。その中で辿り着いた一つの答えが完熟果実の販売だった、ともいう。日本の平均就農人口年齢は69歳。その中では若手である藤村さんのような存在が、日本の農業の未来を変えていくのかもしれない。
地元に本当の意味で富をもたらす仕組みを作り出すのは難しい。そんな中、日本という枠組みを超え国際化を果たすことで地方の存在を再認識しよう、という動きもある。岩手の「いわてグローバル人材育成プロジェクト」はそうした試みのひとつだ。確かに地元に富をもたらす仕組みづくりは難しいですね。Visionとしては「岩手の次世代を担うグローバルリーダーを育てたい」、Missionとしては「シニアが岩手の将来を担う志のある若者の人材育成を応援する」、そしてPurposeとして「一人でも多くの若者を海外研修に派遣し、次世代を担う人材を育てる」が掲げられている。ベアレンは2021年に岩手大学の学内カンパニーと提携し、100%岩手産のホップ、二条大麦を使った「つなぐビール」を発売するなど、地元産業と共に成長することも大切にしている。嶌田さんは「農家、大学の研究機関、流通、消費者をつなぐ経済循環を考えた生産体系です」と語る。農家もベアレンの情熱に理解を示し、徐々にベアレンに回す農産物の量が増えつつある、という。ベアレンではビールのほか地元のりんごを使ったシードル、スパークリングワインなども製造。「実は岩手はぶどう生産も盛んでワイン製造は日本で5本の指に入るのですが、中々認知度は低いですね。地元で獲れる果物とのコラボも積極的に行い、岩手のビールブランドとして確立していくのが夢です」と嶌田さんは語る。農業を持続させるためには過酷な環境に対応していくしかない。しかし社会のシステムを変えるには時間がかかり、子育て世代である藤村さんには待つだけの余裕がない。それならば自分ができる範囲で新しいことに取り組むことが先決だ、というのが藤村さんのポリシーだ。今はソーラーを増やして農園に使用する電力を賄うカーボンニュートラルな農業を目指す、農作業に使用する軽トラックにEVを導入する、などの計画を持つ。藤村さんの夢は海外ハイテク株に投資を行い、そこで得た資金を元に投資会社を設立することだ。同じような志を持つ仲間の事業に投資し、小規模であっても「長い将来まで日本を支える為に「農地」と「人=技術」を残していくことが私たちの本当の使命だ」という目的に向かう。投資会社が農業従事者の人材育成のために投資をして広がっていけば理想的ですね。新しい時代の農業に取り組む。その中で辿り着いた一つの答えが完熟果実の販売だった、ともいう。日本の平均就農人口年齢は69歳。その中では若手である藤村さんのような存在が、日本の農業の未来を変えていくのかもしれない。若い世代の人が次から次家と農業に従事するプラスの循環が生まれてくるための仕組みづくりができ上れば広がっていく可能性が高いでしょう。



