“人口減少を諦めない秋田”にするためには[2026年01月22日(Thu)]
デイリー新潮2025年8月11日付け「秋田県は「未曽有の人口減少」から抜け出せるか? いまだ影を落とす「コロナ禍」がもたらした“分断”とは」から、秋田県の人口減少の要因は何か
日本有数の深刻な人口減少に見舞われている秋田県。人口の減少に合わせて、経済も急激に縮小している。その深刻さは、秋田県内にある駅に降り立ってみればわかる。ほとんどの駅で商店街がシャッター街となっており、休日であるにも関わらず、人が歩いていない。そんな光景が県内の至るところで見られるようになった。
美味しい米の産地であり、自然が豊かで、学力テストの成績は日本トップレベルと、誇れる要素はたくさんあるのだが、人口減少に歯止めがかかる様子がない。移住者を受け入れようと県は模索を続けるが、そもそも秋田県と何の縁もなかった人に移住してもらうのは、あまりにハードルが高すぎるという意見もある。
前回に引き続き、秋田県湯沢市出身で、秋田出身者が集う県出身者コミュニティ「秋田県人会あきたいざたん」を運営する代表の高橋純一氏に、秋田県を取り巻く諸問題の解決策について話を聞いた。高橋氏は、長引いたコロナ騒動が秋田県の人口減少に大きな影を落としたと指摘する。県外に住む秋田県出身者が、故郷に戻りにくくなったというのである。
人口減少は秋田県だけではなく、地方の共通の問題といえる。人口をこれ以上、大幅に減少させないために、どのような一手を打つべきなのか。お盆の帰省シーズンを前に考えたいものである。
移住者を獲得するための新たなアプローチが必要
県外出身者に対し、秋田県に移住してほしいという呼びかけがある。しかし、移住はハードルが高いのではないか。
そう思います。そこで、私は既に秋田県を離れてしまった人を、もう一度県に呼び戻すあらゆる取り組みを積極的に進めるべきだと考えています。ただ、自分の知り合いでも秋田へ移住するきっかけは、家族の介護が必要になったり、家業をどうしても継がなければならなくなったなど、どちらかといえば消極的な理由で秋田へ戻られる方が多いです。
秋田が好きだから、住みやすそうだから、などの理由で移住する方はほとんどいません。秋田を出て、都会暮らしの便利さを知ってしまった方が、急に思い立って秋田へ移住する理由は見当たりません。それでも、秋田を離れてしまった人を呼び戻すことを、諦めないことも大切だと考えています。
秋田県出身者は日本各地にいますし、何かのきっかけがあれば、故郷に戻りたいと思う人が出てくる可能性があります。故郷愛があふれる方も多い。こうした方をもう一度県に呼び戻す取り組み、働きかけの方法などを見直し、秋田からの情報に接してもらう機会をどう増やしていくのかについても、考える必要があります。
具体的にはどんな方法が考えられるか。
例えば、東京には秋田県出身者が経営する飲食店が、100店舗以上点在していることが確認できています。私は、この7年ほどで都内にある秋田出身者の居酒屋や飲食店を70店舗ほど訪問しました。そこには、秋田料理の美味しさ、店主の人柄の虜になった秋田のファンが集うだけでなく、秋田県出身者もたくさん集まっています。また、両親や祖父母が秋田県出身で、毎年のように家族と一緒に帰省しているという方も集っています。
このような飲食店とともに、秋田県のPRキャンペーンを張るのもひとつの方法です。
縁もゆかりもない人ではなく、県との縁やゆかりのある人にターゲットを絞り、コミュニケーションの機会を増やすなどして、もう一度、故郷に関心を持ってもらえるようにするのも、有効だと考えています。
移住者の就職先をどう確保するのか
秋田県に限ったことではないが、東京で仕事をしていた人が故郷に戻ると就職先が少ないうえ、収入が大きく減ってしまうという問題も指摘されている。
おっしゃる通りで、東京など、都市圏でバリバリ仕事をやってきた人が秋田県に戻ることはかなりハードルが高いです。戻っても職業の選択肢が非常に限られ、安定した収入源となれば銀行員や公務員くらいしかイメージが浮かびません。もしくは、ゼロから起業して、借金をしてまで頑張らないといけないのでは、というイメージを持っている方も多いです。
まずは、県外在住者に、秋田への就職や転職を前向きにとらえてもらう必要があります。単に誘致企業を増やし、雇用を増やせば秋田へ人が戻ってくるとは思いません。東京で何年も、あるいは何十年も多くの人との競争の中で仕事をしてもまれてきた方はかなりの経験や知見、専門性を身につけています。
そういった方は、さらなるキャリアアップや成長を感じたいと思っている人も多いですし、経験や能力を否定されることなく、自由にチャレンジできる職場を探しています。そういった方々を受け入れるために、秋田県内の企業風土やイメージも刷新する必要もあります。県外からの移住者を雇用し定着させた企業に補助金をつけるという従来の政策だけでは、無理があるということもお伝えしたいです。
また、首都圏をはじめ全国に在住する秋田県出身者と県内在住者、県内企業が気軽に交流し、コミュニケーションがとれる機会も増やしていくことも大切です。秋田県人は恥ずかしがりやですが、飲み会が大好きですし、すぐ打ち解けられる県民性を持っていると感じますからね。
私が主宰する「秋田県人会大交流会」のイベントの参加者は、独身者も多いです。ご縁次第ですが、夫婦やカップルとなることで一緒に秋田へ帰省する機会が増え、子どもを連れて移住する可能性もあります。県出身者同士のカップルであれば、移住のハードルはグッと下がりますから、出会いを促すことも有効な方法だと思います。
コロナ騒動が大きな影を落としている
しかし、「秋田県に戻りたくない」という人もいる。
私は決して、佐竹知事を何もかも批判するわけではないのですが、ただ、コロナ禍の際に秋田県に戻ってこないように強く呼び掛けたのは、かなりまずかったと思います。県外の感染の多い場所からの帰省や往来が一番危ないとして、県外に住む私たちに、帰省の自粛を呼びかけました。あれは、かなりショックを受けました。
帰るのはダメなんだと、まるで故郷から拒絶されたような気持ちになり、いまだに帰りづらいと言って、コロナ禍が始まってから一度も帰省していない人もいます。年に4回帰っていた人が、1回しか帰っていないなんてケースはザラです。コロナ禍で県内在住者と県外在住者の分断が生じたことも、急激な秋田県衰退の原因と考えています。
そして、惨禍は終わりを告げたにも関わらず、未だに悲しみを感じている方、助けを求めている方がいます。このことに対して、行政としての目配りは果たして足りているのでしょうか。コロナ禍後の行政対応の在り方のまずさも、衰退をさらに加速させたのではないかと懸念しています。
県内在住者、県外在住者の関係修復を進めない限り、今頃になっていくら秋田県が「戻って来てほしい」と言おうが、戻りたい気持ちにはならないでしょう。実際、私の周りでは今でも故郷秋田とどう向き合ったらよいか悩んでいる人もいます。県外在住者の心のケアを、しっかり県としてもサポートしなければいけないと思います。
それでも、秋田県出身者は故郷への愛は強いように感じる。
現在、秋田県出身者が集まる団体は、東京だけでも100ほどあります。昭和30年代後半がピークだった集団就職をきっかけに急増したと聞 いていますが、現在は70〜80歳代がメンバーの主体となり高齢化が進んでいます。後継者不足でほぼ継続できない団体も続出し、団体そのものも消滅する可能性があります。
私は、現役世代を中心に上下関係もなく、思ったことを素直に語り合える新しいコミュニティを作ろうと思い、一昨年「秋田県人会あきたいざたん」を立ち上げました。故郷を離れて様々な事情で帰ることができなくても、秋田県出身者と話したい、郷土料理を食べたい、故郷と少しでも関わりを持ちたいという20〜40代の働き盛りの人たちが集まっています。
参加者のみなさんとお話ししていると、故郷への愛情をひしひしと感じます。そのような熱い想いがある方がたくさんいることを、県内や県の関係者のみなさんにもっと伝えたいと思っています。これからも、“人口減少を諦めない秋田”を目指し、全国の秋田県にゆかりのあるみなさんとともに、活動を続けていきたいと思っています。
第1回【「人口減少率」が全国ワーストの「秋田県」…県出身者コミュニティの代表は「出身中学の新入生は3人だけで、もはや壊滅に近い状態」と危機感をあらわに】では、秋田県の出身者コミュニティ代表の高橋純一氏が、なぜ秋田県は人口減が続くのか、また、それに対してどのような策を講じていくべきかについて語っている。
日本有数の深刻な人口減少に見舞われている秋田県。人口の減少に合わせて、経済も急激に縮小している。その深刻さは、秋田県内にある駅に降り立ってみればわかる。ほとんどの駅で商店街がシャッター街となっており、休日であるにも関わらず、人が歩いていない。そんな光景が県内の至るところで見られるようになった。確かに実感ですね。人口減少は秋田県だけではなく、地方の共通の問題といえる。人口をこれ以上、大幅に減少させないために、どのような一手を打つべきなのか。人口減少対策はなかなか容易ではないでしょう。私は既に秋田県を離れてしまった人を、もう一度県に呼び戻すあらゆる取り組みを積極的に進めるべきだと考えています。ただ、自分の知り合いでも秋田へ移住するきっかけは、家族の介護が必要になったり、家業をどうしても継がなければならなくなったなど、どちらかといえば消極的な理由で秋田へ戻られる方が多いです。秋田が好きだから、住みやすそうだから、などの理由で移住する方はほとんどいません。秋田を出て、都会暮らしの便利さを知ってしまった方が、急に思い立って秋田へ移住する理由は見当たりません。それでも、秋田を離れてしまった人を呼び戻すことを、諦めないことも大切だと考えています。秋田県出身者は日本各地にいますし、何かのきっかけがあれば、故郷に戻りたいと思う人が出てくる可能性があります。故郷愛があふれる方も多い。こうした方をもう一度県に呼び戻す取り組み、働きかけの方法などを見直し、秋田からの情報に接してもらう機会をどう増やしていくのかについても、考える必要があります。縁もゆかりもない人ではなく、県との縁やゆかりのある人にターゲットを絞り、コミュニケーションの機会を増やすなどして、もう一度、故郷に関心を持ってもらえるようにするのも、有効だと考えています。秋田に限ることではありませんが、縁のある人を呼び戻そうとすることが肝心でしょう。東京で仕事をしていた人が故郷に戻ると就職先が少ないうえ、収入が大きく減ってしまうという問題も指摘されている。おっしゃる通りで、東京など、都市圏でバリバリ仕事をやってきた人が秋田県に戻ることはかなりハードルが高いです。戻っても職業の選択肢が非常に限られ、安定した収入源となれば銀行員や公務員くらいしかイメージが浮かびません。もしくは、ゼロから起業して、借金をしてまで頑張らないといけないのでは、というイメージを持っている方も多いです。まずは、県外在住者に、秋田への就職や転職を前向きにとらえてもらう必要があります。単に誘致企業を増やし、雇用を増やせば秋田へ人が戻ってくるとは思いません。東京で何年も、あるいは何十年も多くの人との競争の中で仕事をしてもまれてきた方はかなりの経験や知見、専門性を身につけています。 そういった方は、さらなるキャリアアップや成長を感じたいと思っている人も多いですし、経験や能力を否定されることなく、自由にチャレンジできる職場を探しています。そういった方々を受け入れるために、秋田県内の企業風土やイメージも刷新する必要もあります。県外からの移住者を雇用し定着させた企業に補助金をつけるという従来の政策だけでは、無理があるということもお伝えしたいです。確かに職は重要です。秋田県には期待するような働き場があるとは言えないでしょう。起業は条件が整わなければできないでしょう。それでも第1次産業の農業、林業、漁業などの分野を含めて可能性は十分にあるのではないでしょうか。県内在住者、県外在住者の関係修復を進めない限り、今頃になっていくら秋田県が「戻って来てほしい」と言おうが、戻りたい気持ちにはならないでしょう。実際、私の周りでは今でも故郷秋田とどう向き合ったらよいか悩んでいる人もいます。県外在住者の心のケアを、しっかり県としてもサポートしなければいけないと思います。政治家だけの問題ではありませんが、他人事を自分事として考えることができるリーダーでなければ外から人を呼び込むことは容易ではないでしょう。
日本有数の深刻な人口減少に見舞われている秋田県。人口の減少に合わせて、経済も急激に縮小している。その深刻さは、秋田県内にある駅に降り立ってみればわかる。ほとんどの駅で商店街がシャッター街となっており、休日であるにも関わらず、人が歩いていない。そんな光景が県内の至るところで見られるようになった。
美味しい米の産地であり、自然が豊かで、学力テストの成績は日本トップレベルと、誇れる要素はたくさんあるのだが、人口減少に歯止めがかかる様子がない。移住者を受け入れようと県は模索を続けるが、そもそも秋田県と何の縁もなかった人に移住してもらうのは、あまりにハードルが高すぎるという意見もある。
前回に引き続き、秋田県湯沢市出身で、秋田出身者が集う県出身者コミュニティ「秋田県人会あきたいざたん」を運営する代表の高橋純一氏に、秋田県を取り巻く諸問題の解決策について話を聞いた。高橋氏は、長引いたコロナ騒動が秋田県の人口減少に大きな影を落としたと指摘する。県外に住む秋田県出身者が、故郷に戻りにくくなったというのである。
人口減少は秋田県だけではなく、地方の共通の問題といえる。人口をこれ以上、大幅に減少させないために、どのような一手を打つべきなのか。お盆の帰省シーズンを前に考えたいものである。
移住者を獲得するための新たなアプローチが必要
県外出身者に対し、秋田県に移住してほしいという呼びかけがある。しかし、移住はハードルが高いのではないか。
そう思います。そこで、私は既に秋田県を離れてしまった人を、もう一度県に呼び戻すあらゆる取り組みを積極的に進めるべきだと考えています。ただ、自分の知り合いでも秋田へ移住するきっかけは、家族の介護が必要になったり、家業をどうしても継がなければならなくなったなど、どちらかといえば消極的な理由で秋田へ戻られる方が多いです。
秋田が好きだから、住みやすそうだから、などの理由で移住する方はほとんどいません。秋田を出て、都会暮らしの便利さを知ってしまった方が、急に思い立って秋田へ移住する理由は見当たりません。それでも、秋田を離れてしまった人を呼び戻すことを、諦めないことも大切だと考えています。
秋田県出身者は日本各地にいますし、何かのきっかけがあれば、故郷に戻りたいと思う人が出てくる可能性があります。故郷愛があふれる方も多い。こうした方をもう一度県に呼び戻す取り組み、働きかけの方法などを見直し、秋田からの情報に接してもらう機会をどう増やしていくのかについても、考える必要があります。
具体的にはどんな方法が考えられるか。
例えば、東京には秋田県出身者が経営する飲食店が、100店舗以上点在していることが確認できています。私は、この7年ほどで都内にある秋田出身者の居酒屋や飲食店を70店舗ほど訪問しました。そこには、秋田料理の美味しさ、店主の人柄の虜になった秋田のファンが集うだけでなく、秋田県出身者もたくさん集まっています。また、両親や祖父母が秋田県出身で、毎年のように家族と一緒に帰省しているという方も集っています。
このような飲食店とともに、秋田県のPRキャンペーンを張るのもひとつの方法です。
縁もゆかりもない人ではなく、県との縁やゆかりのある人にターゲットを絞り、コミュニケーションの機会を増やすなどして、もう一度、故郷に関心を持ってもらえるようにするのも、有効だと考えています。
移住者の就職先をどう確保するのか
秋田県に限ったことではないが、東京で仕事をしていた人が故郷に戻ると就職先が少ないうえ、収入が大きく減ってしまうという問題も指摘されている。
おっしゃる通りで、東京など、都市圏でバリバリ仕事をやってきた人が秋田県に戻ることはかなりハードルが高いです。戻っても職業の選択肢が非常に限られ、安定した収入源となれば銀行員や公務員くらいしかイメージが浮かびません。もしくは、ゼロから起業して、借金をしてまで頑張らないといけないのでは、というイメージを持っている方も多いです。
まずは、県外在住者に、秋田への就職や転職を前向きにとらえてもらう必要があります。単に誘致企業を増やし、雇用を増やせば秋田へ人が戻ってくるとは思いません。東京で何年も、あるいは何十年も多くの人との競争の中で仕事をしてもまれてきた方はかなりの経験や知見、専門性を身につけています。
そういった方は、さらなるキャリアアップや成長を感じたいと思っている人も多いですし、経験や能力を否定されることなく、自由にチャレンジできる職場を探しています。そういった方々を受け入れるために、秋田県内の企業風土やイメージも刷新する必要もあります。県外からの移住者を雇用し定着させた企業に補助金をつけるという従来の政策だけでは、無理があるということもお伝えしたいです。
また、首都圏をはじめ全国に在住する秋田県出身者と県内在住者、県内企業が気軽に交流し、コミュニケーションがとれる機会も増やしていくことも大切です。秋田県人は恥ずかしがりやですが、飲み会が大好きですし、すぐ打ち解けられる県民性を持っていると感じますからね。
私が主宰する「秋田県人会大交流会」のイベントの参加者は、独身者も多いです。ご縁次第ですが、夫婦やカップルとなることで一緒に秋田へ帰省する機会が増え、子どもを連れて移住する可能性もあります。県出身者同士のカップルであれば、移住のハードルはグッと下がりますから、出会いを促すことも有効な方法だと思います。
コロナ騒動が大きな影を落としている
しかし、「秋田県に戻りたくない」という人もいる。
私は決して、佐竹知事を何もかも批判するわけではないのですが、ただ、コロナ禍の際に秋田県に戻ってこないように強く呼び掛けたのは、かなりまずかったと思います。県外の感染の多い場所からの帰省や往来が一番危ないとして、県外に住む私たちに、帰省の自粛を呼びかけました。あれは、かなりショックを受けました。
帰るのはダメなんだと、まるで故郷から拒絶されたような気持ちになり、いまだに帰りづらいと言って、コロナ禍が始まってから一度も帰省していない人もいます。年に4回帰っていた人が、1回しか帰っていないなんてケースはザラです。コロナ禍で県内在住者と県外在住者の分断が生じたことも、急激な秋田県衰退の原因と考えています。
そして、惨禍は終わりを告げたにも関わらず、未だに悲しみを感じている方、助けを求めている方がいます。このことに対して、行政としての目配りは果たして足りているのでしょうか。コロナ禍後の行政対応の在り方のまずさも、衰退をさらに加速させたのではないかと懸念しています。
県内在住者、県外在住者の関係修復を進めない限り、今頃になっていくら秋田県が「戻って来てほしい」と言おうが、戻りたい気持ちにはならないでしょう。実際、私の周りでは今でも故郷秋田とどう向き合ったらよいか悩んでいる人もいます。県外在住者の心のケアを、しっかり県としてもサポートしなければいけないと思います。
それでも、秋田県出身者は故郷への愛は強いように感じる。
現在、秋田県出身者が集まる団体は、東京だけでも100ほどあります。昭和30年代後半がピークだった集団就職をきっかけに急増したと聞 いていますが、現在は70〜80歳代がメンバーの主体となり高齢化が進んでいます。後継者不足でほぼ継続できない団体も続出し、団体そのものも消滅する可能性があります。
私は、現役世代を中心に上下関係もなく、思ったことを素直に語り合える新しいコミュニティを作ろうと思い、一昨年「秋田県人会あきたいざたん」を立ち上げました。故郷を離れて様々な事情で帰ることができなくても、秋田県出身者と話したい、郷土料理を食べたい、故郷と少しでも関わりを持ちたいという20〜40代の働き盛りの人たちが集まっています。
参加者のみなさんとお話ししていると、故郷への愛情をひしひしと感じます。そのような熱い想いがある方がたくさんいることを、県内や県の関係者のみなさんにもっと伝えたいと思っています。これからも、“人口減少を諦めない秋田”を目指し、全国の秋田県にゆかりのあるみなさんとともに、活動を続けていきたいと思っています。
第1回【「人口減少率」が全国ワーストの「秋田県」…県出身者コミュニティの代表は「出身中学の新入生は3人だけで、もはや壊滅に近い状態」と危機感をあらわに】では、秋田県の出身者コミュニティ代表の高橋純一氏が、なぜ秋田県は人口減が続くのか、また、それに対してどのような策を講じていくべきかについて語っている。
日本有数の深刻な人口減少に見舞われている秋田県。人口の減少に合わせて、経済も急激に縮小している。その深刻さは、秋田県内にある駅に降り立ってみればわかる。ほとんどの駅で商店街がシャッター街となっており、休日であるにも関わらず、人が歩いていない。そんな光景が県内の至るところで見られるようになった。確かに実感ですね。人口減少は秋田県だけではなく、地方の共通の問題といえる。人口をこれ以上、大幅に減少させないために、どのような一手を打つべきなのか。人口減少対策はなかなか容易ではないでしょう。私は既に秋田県を離れてしまった人を、もう一度県に呼び戻すあらゆる取り組みを積極的に進めるべきだと考えています。ただ、自分の知り合いでも秋田へ移住するきっかけは、家族の介護が必要になったり、家業をどうしても継がなければならなくなったなど、どちらかといえば消極的な理由で秋田へ戻られる方が多いです。秋田が好きだから、住みやすそうだから、などの理由で移住する方はほとんどいません。秋田を出て、都会暮らしの便利さを知ってしまった方が、急に思い立って秋田へ移住する理由は見当たりません。それでも、秋田を離れてしまった人を呼び戻すことを、諦めないことも大切だと考えています。秋田県出身者は日本各地にいますし、何かのきっかけがあれば、故郷に戻りたいと思う人が出てくる可能性があります。故郷愛があふれる方も多い。こうした方をもう一度県に呼び戻す取り組み、働きかけの方法などを見直し、秋田からの情報に接してもらう機会をどう増やしていくのかについても、考える必要があります。縁もゆかりもない人ではなく、県との縁やゆかりのある人にターゲットを絞り、コミュニケーションの機会を増やすなどして、もう一度、故郷に関心を持ってもらえるようにするのも、有効だと考えています。秋田に限ることではありませんが、縁のある人を呼び戻そうとすることが肝心でしょう。東京で仕事をしていた人が故郷に戻ると就職先が少ないうえ、収入が大きく減ってしまうという問題も指摘されている。おっしゃる通りで、東京など、都市圏でバリバリ仕事をやってきた人が秋田県に戻ることはかなりハードルが高いです。戻っても職業の選択肢が非常に限られ、安定した収入源となれば銀行員や公務員くらいしかイメージが浮かびません。もしくは、ゼロから起業して、借金をしてまで頑張らないといけないのでは、というイメージを持っている方も多いです。まずは、県外在住者に、秋田への就職や転職を前向きにとらえてもらう必要があります。単に誘致企業を増やし、雇用を増やせば秋田へ人が戻ってくるとは思いません。東京で何年も、あるいは何十年も多くの人との競争の中で仕事をしてもまれてきた方はかなりの経験や知見、専門性を身につけています。 そういった方は、さらなるキャリアアップや成長を感じたいと思っている人も多いですし、経験や能力を否定されることなく、自由にチャレンジできる職場を探しています。そういった方々を受け入れるために、秋田県内の企業風土やイメージも刷新する必要もあります。県外からの移住者を雇用し定着させた企業に補助金をつけるという従来の政策だけでは、無理があるということもお伝えしたいです。確かに職は重要です。秋田県には期待するような働き場があるとは言えないでしょう。起業は条件が整わなければできないでしょう。それでも第1次産業の農業、林業、漁業などの分野を含めて可能性は十分にあるのではないでしょうか。県内在住者、県外在住者の関係修復を進めない限り、今頃になっていくら秋田県が「戻って来てほしい」と言おうが、戻りたい気持ちにはならないでしょう。実際、私の周りでは今でも故郷秋田とどう向き合ったらよいか悩んでいる人もいます。県外在住者の心のケアを、しっかり県としてもサポートしなければいけないと思います。政治家だけの問題ではありませんが、他人事を自分事として考えることができるリーダーでなければ外から人を呼び込むことは容易ではないでしょう。



