大規模農業と中山間地の農業を考えた農政が必要なのでしょう[2025年10月26日(Sun)]
ABEMA TIMES2025年6月7日付け「「評価が意欲に」直売で輸出に成功したコメ農家の訴え「国が増産しろと言っても、現場は増産できない状況に」から、「令和の米騒動」と呼ばれる状況で浮き彫りになった日本の農業政策の脆弱性。そんな中、30年前から集荷業者に頼らずに直売に舵を切り、輸出でも成功している農家に話を聞いた。
国による抜本的な改革が進められようとする中、独自の路線で顧客にコメを供給し、農家としても納得の価格設定を実現しているのが山形県の農業法人、黒澤ファームである。 「父が農協の理事をしていて、私が農業を始めた時には全量農協に出荷でコメ作りがスタートしたが、一生懸命作ってこだわっているコメでも、普通に作ったコメでも、同じ倉庫に入って同じ評価を受けることに関しては疑問に思っていた。自分のコメの評価を、食べた人に評価してもらえるようにするには直接売るしかないということで、約32年になるが『直売しよう』と」(黒澤ファーム 黒澤信彦代表取締役、以下同)
460年以上続くコメ農家で、現在は、法人から個人まで幅広く販売。ホームページを見ると、「sold out」の文字がずらっと並んでいる。
業界全体が逆境の中での“勝ち組”に見える黒澤氏だが、独自の販売ルートを築くため、最初に始めたのが東京での訪問営業という地道な取り組みだった。
「ドアに鍵がかかっていて、『セールスお断り』『猛犬に注意』。自分が作ったコメ1合の袋を『食べてください』と伝えることもできなくて、阿佐ヶ谷の駅前でティッシュを配るようにお米を配っていた」
一度食べてくれれば分かってもらえると意気込んだが、思うようにはいかなかったと振り返る。徐々に口コミが広がるなか出会ったのが、現在販売している「夢ごこち」につながる品種だった。
「2000年に初めてお米のコンクールに出品した時に、うちのコメが最優秀賞になってから『買ってください』から『売ってください』に変わった」
新潟や秋田のブランド米ばかりが脚光を浴びる中、山形県の美味しいコメを印象付けた黒澤氏。いまでは、香港やシンガポール、ハワイに輸出するなど海外でも食べられるコメになっている。
「最優秀を取ったことで、『黒澤のコメが最優秀だったら、隣で作っている俺のコメだって最優秀になる可能性がある』と広がってきたことで、美味しいコメを作る意識が上がった。農協ではないところに出荷するのは不安だったと思うが、生産してもらった。しかも評価を受けることができた。稲刈りをした時、来年の春また田植えをしたいという意欲が湧くか湧かないかが、コメ作りには非常に重要だ」
黒澤氏は政府の動きをどう見る?
続いてきた家業を攻めの姿勢で守ってきた黒澤氏は、いまの政府の動きをどう見ているのだろうか。
「国が『多いから減反をしなさい』、少なくなったから『増産しなさい』、でも現場は無理だと思う。今までは農家が自分の農地を守ってきたから、コメを赤字でも出荷していた。赤字でも出荷してきた兼業農家の人たちが、団塊の世代を含めて、これから激減する。小さい(規模の)人たちも兼業農家として生き延びられる。そういう国の制度政策を早く出してもらわないと、国が勝手に増産しろと言っても、現場は増産できない状況になっている」
ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで、慶應義塾大学教授、教育経済学者の中室牧子氏は、日本のコメが輸出で成功するためには様々な課題解決も必要と指摘する。
「輸出用に作ったコメを国内用に転換できない規制があるので、そこは改善する必要がある。需給調整をするのに備蓄米を使っているが長くは続かない。政府が持っている需給調整の手段が備蓄米だけというのは危険なこと。輸出を増やしていくことがすごく大事」
「増産も簡単にはできない」という現場の意見に、中室氏は次のように述べる。
「日本の地形の問題。棚田などが多いので簡単に大規模化できない。一方で、大規模化していくのは非常に重要。農水省が出している統計をみると、大規模化した事業者は後継者の不足に困っている比率が低い。小規模農家の場合は、団塊の世代であって後継者がいない人たちが非常に多い。大規模の方が、コストが低くて利益も大きいので若い人たちも参入してくる。持続的に儲かる形にして、若い人たちに参入、継承してもらい、持続可能にしていくことが王道だと思う」
農業を始めた時には全量農協に出荷でコメ作りがスタートしたが、一生懸命作ってこだわっているコメでも、普通に作ったコメでも、同じ倉庫に入って同じ評価を受けることに関しては疑問に思っていた。自分のコメの評価を、食べた人に評価してもらえるようにするには直接売るしかないということで、約32年になるが『直売しよう』と」その通りですね。一生懸命作っている人もそうでない人も同じコメとして出荷されるのはどうでしょうか。「2000年に初めてお米のコンクールに出品した時に、うちのコメが最優秀賞になってから『買ってください』から『売ってください』に変わった」新潟や秋田のブランド米ばかりが脚光を浴びる中、山形県の美味しいコメを印象付けた黒澤氏。いまでは、香港やシンガポール、ハワイに輸出するなど海外でも食べられるコメになっている。評価され価格に反映することには納得するでしょう。「最優秀を取ったことで、『黒澤のコメが最優秀だったら、隣で作っている俺のコメだって最優秀になる可能性がある』と広がってきたことで、美味しいコメを作る意識が上がった。農協ではないところに出荷するのは不安だったと思うが、生産してもらった。しかも評価を受けることができた。稲刈りをした時、来年の春また田植えをしたいという意欲が湧くか湧かないかが、コメ作りには非常に重要だ」自分で作ったものは自分で価格をきめることができるようになればいいのでしょう。「国が『多いから減反をしなさい』、少なくなったから『増産しなさい』、でも現場は無理だと思う。今までは農家が自分の農地を守ってきたから、コメを赤字でも出荷していた。赤字でも出荷してきた兼業農家の人たちが、団塊の世代を含めて、これから激減する。小さい(規模の)人たちも兼業農家として生き延びられる。そういう国の制度政策を早く出してもらわないと、国が勝手に増産しろと言っても、現場は増産できない状況になっている」兼業農家だから農業で多少赤字でも補って生活することができているのでしょう。農業従事者数が減少すればこれからの農業をどうするのでしょうか。日本のコメが輸出で成功するためには様々な課題解決も必要と指摘する。「輸出用に作ったコメを国内用に転換できない規制があるので、そこは改善する必要がある。需給調整をするのに備蓄米を使っているが長くは続かない。政府が持っている需給調整の手段が備蓄米だけというのは危険なこと。輸出を増やしていくことがすごく大事」「日本の地形の問題。棚田などが多いので簡単に大規模化できない。一方で、大規模化していくのは非常に重要。農水省が出している統計をみると、大規模化した事業者は後継者の不足に困っている比率が低い。小規模農家の場合は、団塊の世代であって後継者がいない人たちが非常に多い。大規模の方が、コストが低くて利益も大きいので若い人たちも参入してくる。持続的に儲かる形にして、若い人たちに参入、継承してもらい、持続可能にしていくことが王道だと思う」大規模化する方が効率的であることは間違いありませんが、中山間地が多い日本の場合は、両立を目指さなければならないでしょう。若い人たちにも希望を持って取り組むことができるような仕組みをすることは大事でしょう。農業を重要な産業として盛り上げていくことが求められるのではないでしょうか。
国による抜本的な改革が進められようとする中、独自の路線で顧客にコメを供給し、農家としても納得の価格設定を実現しているのが山形県の農業法人、黒澤ファームである。 「父が農協の理事をしていて、私が農業を始めた時には全量農協に出荷でコメ作りがスタートしたが、一生懸命作ってこだわっているコメでも、普通に作ったコメでも、同じ倉庫に入って同じ評価を受けることに関しては疑問に思っていた。自分のコメの評価を、食べた人に評価してもらえるようにするには直接売るしかないということで、約32年になるが『直売しよう』と」(黒澤ファーム 黒澤信彦代表取締役、以下同)
460年以上続くコメ農家で、現在は、法人から個人まで幅広く販売。ホームページを見ると、「sold out」の文字がずらっと並んでいる。
業界全体が逆境の中での“勝ち組”に見える黒澤氏だが、独自の販売ルートを築くため、最初に始めたのが東京での訪問営業という地道な取り組みだった。
「ドアに鍵がかかっていて、『セールスお断り』『猛犬に注意』。自分が作ったコメ1合の袋を『食べてください』と伝えることもできなくて、阿佐ヶ谷の駅前でティッシュを配るようにお米を配っていた」
一度食べてくれれば分かってもらえると意気込んだが、思うようにはいかなかったと振り返る。徐々に口コミが広がるなか出会ったのが、現在販売している「夢ごこち」につながる品種だった。
「2000年に初めてお米のコンクールに出品した時に、うちのコメが最優秀賞になってから『買ってください』から『売ってください』に変わった」
新潟や秋田のブランド米ばかりが脚光を浴びる中、山形県の美味しいコメを印象付けた黒澤氏。いまでは、香港やシンガポール、ハワイに輸出するなど海外でも食べられるコメになっている。
「最優秀を取ったことで、『黒澤のコメが最優秀だったら、隣で作っている俺のコメだって最優秀になる可能性がある』と広がってきたことで、美味しいコメを作る意識が上がった。農協ではないところに出荷するのは不安だったと思うが、生産してもらった。しかも評価を受けることができた。稲刈りをした時、来年の春また田植えをしたいという意欲が湧くか湧かないかが、コメ作りには非常に重要だ」
黒澤氏は政府の動きをどう見る?
続いてきた家業を攻めの姿勢で守ってきた黒澤氏は、いまの政府の動きをどう見ているのだろうか。
「国が『多いから減反をしなさい』、少なくなったから『増産しなさい』、でも現場は無理だと思う。今までは農家が自分の農地を守ってきたから、コメを赤字でも出荷していた。赤字でも出荷してきた兼業農家の人たちが、団塊の世代を含めて、これから激減する。小さい(規模の)人たちも兼業農家として生き延びられる。そういう国の制度政策を早く出してもらわないと、国が勝手に増産しろと言っても、現場は増産できない状況になっている」
ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで、慶應義塾大学教授、教育経済学者の中室牧子氏は、日本のコメが輸出で成功するためには様々な課題解決も必要と指摘する。
「輸出用に作ったコメを国内用に転換できない規制があるので、そこは改善する必要がある。需給調整をするのに備蓄米を使っているが長くは続かない。政府が持っている需給調整の手段が備蓄米だけというのは危険なこと。輸出を増やしていくことがすごく大事」
「増産も簡単にはできない」という現場の意見に、中室氏は次のように述べる。
「日本の地形の問題。棚田などが多いので簡単に大規模化できない。一方で、大規模化していくのは非常に重要。農水省が出している統計をみると、大規模化した事業者は後継者の不足に困っている比率が低い。小規模農家の場合は、団塊の世代であって後継者がいない人たちが非常に多い。大規模の方が、コストが低くて利益も大きいので若い人たちも参入してくる。持続的に儲かる形にして、若い人たちに参入、継承してもらい、持続可能にしていくことが王道だと思う」
農業を始めた時には全量農協に出荷でコメ作りがスタートしたが、一生懸命作ってこだわっているコメでも、普通に作ったコメでも、同じ倉庫に入って同じ評価を受けることに関しては疑問に思っていた。自分のコメの評価を、食べた人に評価してもらえるようにするには直接売るしかないということで、約32年になるが『直売しよう』と」その通りですね。一生懸命作っている人もそうでない人も同じコメとして出荷されるのはどうでしょうか。「2000年に初めてお米のコンクールに出品した時に、うちのコメが最優秀賞になってから『買ってください』から『売ってください』に変わった」新潟や秋田のブランド米ばかりが脚光を浴びる中、山形県の美味しいコメを印象付けた黒澤氏。いまでは、香港やシンガポール、ハワイに輸出するなど海外でも食べられるコメになっている。評価され価格に反映することには納得するでしょう。「最優秀を取ったことで、『黒澤のコメが最優秀だったら、隣で作っている俺のコメだって最優秀になる可能性がある』と広がってきたことで、美味しいコメを作る意識が上がった。農協ではないところに出荷するのは不安だったと思うが、生産してもらった。しかも評価を受けることができた。稲刈りをした時、来年の春また田植えをしたいという意欲が湧くか湧かないかが、コメ作りには非常に重要だ」自分で作ったものは自分で価格をきめることができるようになればいいのでしょう。「国が『多いから減反をしなさい』、少なくなったから『増産しなさい』、でも現場は無理だと思う。今までは農家が自分の農地を守ってきたから、コメを赤字でも出荷していた。赤字でも出荷してきた兼業農家の人たちが、団塊の世代を含めて、これから激減する。小さい(規模の)人たちも兼業農家として生き延びられる。そういう国の制度政策を早く出してもらわないと、国が勝手に増産しろと言っても、現場は増産できない状況になっている」兼業農家だから農業で多少赤字でも補って生活することができているのでしょう。農業従事者数が減少すればこれからの農業をどうするのでしょうか。日本のコメが輸出で成功するためには様々な課題解決も必要と指摘する。「輸出用に作ったコメを国内用に転換できない規制があるので、そこは改善する必要がある。需給調整をするのに備蓄米を使っているが長くは続かない。政府が持っている需給調整の手段が備蓄米だけというのは危険なこと。輸出を増やしていくことがすごく大事」「日本の地形の問題。棚田などが多いので簡単に大規模化できない。一方で、大規模化していくのは非常に重要。農水省が出している統計をみると、大規模化した事業者は後継者の不足に困っている比率が低い。小規模農家の場合は、団塊の世代であって後継者がいない人たちが非常に多い。大規模の方が、コストが低くて利益も大きいので若い人たちも参入してくる。持続的に儲かる形にして、若い人たちに参入、継承してもらい、持続可能にしていくことが王道だと思う」大規模化する方が効率的であることは間違いありませんが、中山間地が多い日本の場合は、両立を目指さなければならないでしょう。若い人たちにも希望を持って取り組むことができるような仕組みをすることは大事でしょう。農業を重要な産業として盛り上げていくことが求められるのではないでしょうか。



