
東京をも襲う「人口激減の波」の厳しい現実をどう受け止めるか[2025年04月22日(Tue)]
現代ビジネス2025年2月10日付け「5年で1割以上の人口が減る…東京をも襲う「人口激減の波」の厳しい現実」から、5年で1割以上も人口が減る奥多摩町
市区町村単位で見ると、人口減少の進み具合にさらなる差を見つけられる。日本全体としての人口予測に比べて、人の動きが激しい大都市の人口予測は難しい。まさに“専門家泣かせ”ではあるが、まずは東京圏の「未来の地図帳」を描くことにしよう。
私は第1部において、東京圏のことを人口減少日本の中において全く違う歩みを辿る「外国」と位置づけた。
2018年は東京圏が13万9868人を上回る転入超過となっており、東京一極集中は相変わらず続いている。東京都は2045年になっても、2015年より人口が多い状態をキープしていることも紹介した通りだ。
ところが、東京圏の市区町村をピックアップすると、2020年時点で人口が減っているところが少なくない。それは、東京23区も例外ではない。足立(1.8%減)、葛飾(0.9%減)、江戸川(0.6%減)の3区は僅かとはいえ、減っている。
東京都全体は2030年に人口の頂点を迎えるが、多摩地区だけに限れば、2020年の422万1719人をピークとして、それ以降減り始める。多摩地区も地域によって減り方が異なる。多摩ニュータウンの広がる多摩市は1.2%減となる。都心のオフィス街から遠く離れた青梅市(2.4%減)、昭島市(1.4%減)、東村山市(2.8%減)、瑞穂町(1.7%減)、日の出町(2.4%減)でも減少が確認できる。福生市(6.3%減)や羽村市(3.3%減)は減少幅が大きくなり始めている。 山梨県に近い山間部に位置する檜原村は13.4%減、奥多摩町も14.2%減と、わずか5年で1割以上も人口が減る見通しだ。
郊外から都心部へ住み替える選択
一方で、人口減少日本にあっても人口が1割以上も伸びるのが、千代田区(11.3%増)、中央区(10.4%増)、港区(11.0%増)の都心3区だ。江東区(5.6%増)、文京区(5.1%増)、台東区(4.6%増)、品川区(4.5%増)なども、4~5%の高い伸びを示している。
地方から東京都に引っ越してきた人がすべて、地価の高い都心部に位置するこれらの区に移り住んでいるわけではない。これらの地域の人口を押し上げているのは、東京圏に長年住み続けてきた人と考えるのが素直だろう。電車やバスを乗り継いでいた人々の、郊外から都心部への住み替えである。
団塊世代が一斉に持ち家を求めた時代、住宅価格はつり上がった。
しかも「夫婦と子供2人」というのが標準的な世帯モデルだったので、多くのサラリーマン層は電車やバスを乗り継いででも、地価の安い郊外で部屋数の多い物件を求めざるを得なかった。こうしたニーズに応えるため、住宅企業も政府も郊外へと宅地開発を進めていった。
ところが、現在では未婚者や高齢者のひとり暮らしが増加している。それは小さな住居でも支障のない人が増えてきたということに他ならない。
若い世代はオフィス街や繁華街近くのエリアに、狭くても低価格の物件を探す傾向にある。中高年は定年退職などを機に、年配者は連れ合いを亡くした途端、郊外の不便な立地のマイホームにひとりで住み続けるよりも、買い物などの日常生活に便利な駅周辺へ移り住みたいと考える人が増えてきた。
タワーマンションが増え、都心部に住宅が大量に提供されるようになって、物件を求めやすくなったこともある。かつてのような3LDKだけではなく、専有面積が狭くて値段が手頃なマンションが増え、買い換えたり、借りたりできる選択肢も増えてきたのである。 経済環境の変化も後押ししている。就業者人口が減り始めてオフィス需要の減退が見込まれ、しかもインターネット通信販売の普及で実店舗の利用が減ってきたため、都心部において住宅向けのスペースを確保しやすくなっているのだ。総務省の「住宅・土地統計調査」(2018年)によれば、2003年から2018年までの15年間で、「15階建以上」の共同住宅(マンション)は東京都に17万戸も増えている。
こうした都心部マンションの価格が上昇しない限り、都心回帰の流れは続くだろう。都心部に移り住む人々がもともと住んでいた郊外や鉄道駅から遠い地域では、本来ならばもっと人口が減ってもおかしくなかったところだが、地方からの転入者が穴埋めする形で流入しており、場所によっては微増しているということだ。
東京への一極集中だけでなく東京都内でも中心部へ集中する傾向が強まりそうですが、日本はどうなるのでしょうか。2018年は東京圏が13万9868人を上回る転入超過となっており、東京一極集中は相変わらず続いている。東京都は2045年になっても、2015年より人口が多い状態をキープしていることも紹介した通りだ。ところが、東京圏の市区町村をピックアップすると、2020年時点で人口が減っているところが少なくない。それは、東京23区も例外ではない。足立(1.8%減)、葛飾(0.9%減)、江戸川(0.6%減)の3区は僅かとはいえ、減っている。東京都全体は2030年に人口の頂点を迎えるが、多摩地区だけに限れば、2020年の422万1719人をピークとして、それ以降減り始める。多摩地区も地域によって減り方が異なる。多摩ニュータウンの広がる多摩市は1.2%減となる。都心のオフィス街から遠く離れた青梅市(2.4%減)、昭島市(1.4%減)、東村山市(2.8%減)、瑞穂町(1.7%減)、日の出町(2.4%減)でも減少が確認できる。福生市(6.3%減)や羽村市(3.3%減)は減少幅が大きくなり始めている。 山梨県に近い山間部に位置する檜原村は13.4%減、奥多摩町も14.2%減と、わずか5年で1割以上も人口が減る見通しだ。一方で、人口減少日本にあっても人口が1割以上も伸びるのが、千代田区(11.3%増)、中央区(10.4%増)、港区(11.0%増)の都心3区だ。江東区(5.6%増)、文京区(5.1%増)、台東区(4.6%増)、品川区(4.5%増)なども、4~5%の高い伸びを示している。こうした都心部マンションの価格が上昇しない限り、都心回帰の流れは続くだろう。都心部に移り住む人々がもともと住んでいた郊外や鉄道駅から遠い地域では、本来ならばもっと人口が減ってもおかしくなかったところだが、地方からの転入者が穴埋めする形で流入しており、場所によっては微増しているということだ。日本はどうなるのでしょうか。東京だけを見ていても結論を導き出すことはできないでしょうが、真剣に受け止め国民的議論を展開して解決策を模索しなければならないでしょう。
市区町村単位で見ると、人口減少の進み具合にさらなる差を見つけられる。日本全体としての人口予測に比べて、人の動きが激しい大都市の人口予測は難しい。まさに“専門家泣かせ”ではあるが、まずは東京圏の「未来の地図帳」を描くことにしよう。
私は第1部において、東京圏のことを人口減少日本の中において全く違う歩みを辿る「外国」と位置づけた。
2018年は東京圏が13万9868人を上回る転入超過となっており、東京一極集中は相変わらず続いている。東京都は2045年になっても、2015年より人口が多い状態をキープしていることも紹介した通りだ。
ところが、東京圏の市区町村をピックアップすると、2020年時点で人口が減っているところが少なくない。それは、東京23区も例外ではない。足立(1.8%減)、葛飾(0.9%減)、江戸川(0.6%減)の3区は僅かとはいえ、減っている。
東京都全体は2030年に人口の頂点を迎えるが、多摩地区だけに限れば、2020年の422万1719人をピークとして、それ以降減り始める。多摩地区も地域によって減り方が異なる。多摩ニュータウンの広がる多摩市は1.2%減となる。都心のオフィス街から遠く離れた青梅市(2.4%減)、昭島市(1.4%減)、東村山市(2.8%減)、瑞穂町(1.7%減)、日の出町(2.4%減)でも減少が確認できる。福生市(6.3%減)や羽村市(3.3%減)は減少幅が大きくなり始めている。 山梨県に近い山間部に位置する檜原村は13.4%減、奥多摩町も14.2%減と、わずか5年で1割以上も人口が減る見通しだ。
郊外から都心部へ住み替える選択
一方で、人口減少日本にあっても人口が1割以上も伸びるのが、千代田区(11.3%増)、中央区(10.4%増)、港区(11.0%増)の都心3区だ。江東区(5.6%増)、文京区(5.1%増)、台東区(4.6%増)、品川区(4.5%増)なども、4~5%の高い伸びを示している。
地方から東京都に引っ越してきた人がすべて、地価の高い都心部に位置するこれらの区に移り住んでいるわけではない。これらの地域の人口を押し上げているのは、東京圏に長年住み続けてきた人と考えるのが素直だろう。電車やバスを乗り継いでいた人々の、郊外から都心部への住み替えである。
団塊世代が一斉に持ち家を求めた時代、住宅価格はつり上がった。
しかも「夫婦と子供2人」というのが標準的な世帯モデルだったので、多くのサラリーマン層は電車やバスを乗り継いででも、地価の安い郊外で部屋数の多い物件を求めざるを得なかった。こうしたニーズに応えるため、住宅企業も政府も郊外へと宅地開発を進めていった。
ところが、現在では未婚者や高齢者のひとり暮らしが増加している。それは小さな住居でも支障のない人が増えてきたということに他ならない。
若い世代はオフィス街や繁華街近くのエリアに、狭くても低価格の物件を探す傾向にある。中高年は定年退職などを機に、年配者は連れ合いを亡くした途端、郊外の不便な立地のマイホームにひとりで住み続けるよりも、買い物などの日常生活に便利な駅周辺へ移り住みたいと考える人が増えてきた。
タワーマンションが増え、都心部に住宅が大量に提供されるようになって、物件を求めやすくなったこともある。かつてのような3LDKだけではなく、専有面積が狭くて値段が手頃なマンションが増え、買い換えたり、借りたりできる選択肢も増えてきたのである。 経済環境の変化も後押ししている。就業者人口が減り始めてオフィス需要の減退が見込まれ、しかもインターネット通信販売の普及で実店舗の利用が減ってきたため、都心部において住宅向けのスペースを確保しやすくなっているのだ。総務省の「住宅・土地統計調査」(2018年)によれば、2003年から2018年までの15年間で、「15階建以上」の共同住宅(マンション)は東京都に17万戸も増えている。
こうした都心部マンションの価格が上昇しない限り、都心回帰の流れは続くだろう。都心部に移り住む人々がもともと住んでいた郊外や鉄道駅から遠い地域では、本来ならばもっと人口が減ってもおかしくなかったところだが、地方からの転入者が穴埋めする形で流入しており、場所によっては微増しているということだ。
東京への一極集中だけでなく東京都内でも中心部へ集中する傾向が強まりそうですが、日本はどうなるのでしょうか。2018年は東京圏が13万9868人を上回る転入超過となっており、東京一極集中は相変わらず続いている。東京都は2045年になっても、2015年より人口が多い状態をキープしていることも紹介した通りだ。ところが、東京圏の市区町村をピックアップすると、2020年時点で人口が減っているところが少なくない。それは、東京23区も例外ではない。足立(1.8%減)、葛飾(0.9%減)、江戸川(0.6%減)の3区は僅かとはいえ、減っている。東京都全体は2030年に人口の頂点を迎えるが、多摩地区だけに限れば、2020年の422万1719人をピークとして、それ以降減り始める。多摩地区も地域によって減り方が異なる。多摩ニュータウンの広がる多摩市は1.2%減となる。都心のオフィス街から遠く離れた青梅市(2.4%減)、昭島市(1.4%減)、東村山市(2.8%減)、瑞穂町(1.7%減)、日の出町(2.4%減)でも減少が確認できる。福生市(6.3%減)や羽村市(3.3%減)は減少幅が大きくなり始めている。 山梨県に近い山間部に位置する檜原村は13.4%減、奥多摩町も14.2%減と、わずか5年で1割以上も人口が減る見通しだ。一方で、人口減少日本にあっても人口が1割以上も伸びるのが、千代田区(11.3%増)、中央区(10.4%増)、港区(11.0%増)の都心3区だ。江東区(5.6%増)、文京区(5.1%増)、台東区(4.6%増)、品川区(4.5%増)なども、4~5%の高い伸びを示している。こうした都心部マンションの価格が上昇しない限り、都心回帰の流れは続くだろう。都心部に移り住む人々がもともと住んでいた郊外や鉄道駅から遠い地域では、本来ならばもっと人口が減ってもおかしくなかったところだが、地方からの転入者が穴埋めする形で流入しており、場所によっては微増しているということだ。日本はどうなるのでしょうか。東京だけを見ていても結論を導き出すことはできないでしょうが、真剣に受け止め国民的議論を展開して解決策を模索しなければならないでしょう。