国の米に関する政策は農業従事者にとってどうなのでしょうか[2024年12月22日(Sun)]
毎日新聞2024年9月24日付け「新米「先食い」で来年も米不足の可能性 農家が抱く農政への疑問」から、全国各地のスーパーから軒並みコメが消えた「令和の米騒動」。今回のコメ不足を農家はどう受け止めているのか。埼玉県農民運動連合会(農民連)の副会長で、埼玉産直ネットワーク協会専務理事の松本慎一さん(74)に聞いた。
今夏、スーパーからコメが消えました。
今年は6月ごろから、関係者の間で「コメがない」と騒ぎになっていました。
7月30日の農林水産省食糧部会で報告された民間流通米の6月末の在庫は156万d。例年200万d前後で推移していたのが、1999年以降最低となりました。国内のコメ消費量は1カ月当たり60万d弱。2カ月半分しか残っていなかったということです。
コメの会計年度は11月です。本来、新米は10月まで持たないといけません。それが空っぽになり9月頭から新米を出しています。収穫するそばから売れている状態で、来年分のコメを先食いしていることと同じです。来秋までは、今シーズンに取れたコメで過ごさないといけないのだから、理屈で言えば、先食いしてしまうと来年も同じ時期か、より早い時期にまたコメ不足になる可能性があります。
なぜこんなことになったのでしょうか。
政府は2004年から作付面積の判断を農家や農協といった農業団体に任せ、強制的な減反はしなくなりました。安倍政権の18年には、減反した際に農家が受け取れる補助金もゼロにしました。
一方、他の作物に転換することを推奨し、それには補助金を出しました。翌年のコメ需要の見通しも毎年発表し、それを元に地域は生産の計画を作るよう指導しました。その国が示す見通しは毎年減っています。「需要が減る」と国が言うのだから、地域は生産計画を減らしますよね。
23年産のコメの需要見通しも外れました。農水省は680万dと発表しましたが、実際は702万d。間違った見通しで立てた計画で栽培・収穫したのが23年産です。猛暑の影響で見込んだ量より更に少なくなり、収穫量は661万dでした。
そして、今回の「令和の米騒動」です。
コロナ禍、21年産の県産米「彩のかがやき」の価格は60`8000円と1万円を切り、農家から「もうやっていけない」と悲鳴が上がっていました。
このとき農水省が発表した統計では、大規模農業法人も零細農家も全部含め、主に水田で耕作している農家の平均農業所得は1万円です。年間の作業時間は1000時間となっているので、時給換算すると10円。それではやっていけませんよね。離農、転作が加速しました。00年に170万戸あったコメ農家は、23年には58万戸にまで減りました。
今回、政府は備蓄米を放出しませんでした。
備蓄米は90万dあります。しかし今回、新米が出るとして放出しませんでした。これでコメの価格は上昇し、農家は今シーズンは買いたたかれずにホッとしています。しかし、来年は今年以上に不足する可能性があり、そうなれば、放出せざるを得ません。そのことを考え、今回は出したくても出せなかったのかも知れません。
24年産は主食米の作付けが増えたとも聞きました。
これまでは国がウクライナ危機などで家畜の餌が高騰したため、飼料用米への転換を推進していました。さまざまな補助金がつき、10e当たりの収入比較では主食用より飼料用の方が高かった。国は24年産からその助成を段階的に引き下げています。その影響で、主食米の作付けが増えたのだと思います。
国はいまだに増産の方向にかじを切りません。日本米は海外でも人気です。量を作っても輸出すれば良いのではないでしょうか。困っている国に援助したら国際貢献にもなります。食料自給率が38%では、有事があり、輸入できなくなった時、どうするのでしょう。
また、収入がなければ後継者はいません。産業は廃れていきます。しかもそれは人間に欠かせない食料の問題です。食料自給率を上げ有事に備えるためにも、所得補償など生産者を守る施策が絶対に必要です。農業・食料は国防だと思います。
松本慎一(まつもと・しんいち)さん
兼業農家の長男として加須市に生まれ、現在卸売業「埼玉産直ネットワーク協会」の専務理事を務めながら、自宅の水田でソーラーシェアリングに挑戦。農業者団体「埼玉県農民運動連合会」の副会長を務め、年越し派遣村や能登地震の被災地などに食料を提供している。農林業と食糧・健康を守る埼玉連絡会(埼玉食健連)の事務局次長。
コメの会計年度は11月です。本来、新米は10月まで持たないといけません。それが空っぽになり9月頭から新米を出しています。収穫するそばから売れている状態で、来年分のコメを先食いしていることと同じです。来秋までは、今シーズンに取れたコメで過ごさないといけないのだから、理屈で言えば、先食いしてしまうと来年も同じ時期か、より早い時期にまたコメ不足になる可能性があります。政府は2004年から作付面積の判断を農家や農協といった農業団体に任せ、強制的な減反はしなくなりました。安倍政権の18年には、減反した際に農家が受け取れる補助金もゼロにしました。一方、他の作物に転換することを推奨し、それには補助金を出しました。翌年のコメ需要の見通しも毎年発表し、それを元に地域は生産の計画を作るよう指導しました。その国が示す見通しは毎年減っています。「需要が減る」と国が言うのだから、地域は生産計画を減らしますよね。23年産のコメの需要見通しも外れました。農水省は680万dと発表しましたが、実際は702万d。間違った見通しで立てた計画で栽培・収穫したのが23年産です。猛暑の影響で見込んだ量より更に少なくなり、収穫量は661万dでした。米に関する農政に問題があるのではないでしょうか。是正してもらうために農業従事者が声を上げるだけではダメだとすれば、消費者も声を上げる必要があるでしょう。コロナ禍、21年産の県産米「彩のかがやき」の価格は60`8000円と1万円を切り、農家から「もうやっていけない」と悲鳴が上がっていました。このとき農水省が発表した統計では、大規模農業法人も零細農家も全部含め、主に水田で耕作している農家の平均農業所得は1万円です。年間の作業時間は1000時間となっているので、時給換算すると10円。それではやっていけませんよね。離農、転作が加速しました。00年に170万戸あったコメ農家は、23年には58万戸にまで減りました。農業従事者に寄り添った政策を行わなければ日本の農業がダメになってしまわないでしょうか。国はいまだに増産の方向にかじを切りません。日本米は海外でも人気です。量を作っても輸出すれば良いのではないでしょうか。困っている国に援助したら国際貢献にもなります。食料自給率が38%では、有事があり、輸入できなくなった時、どうするのでしょう。また、収入がなければ後継者はいません。産業は廃れていきます。しかもそれは人間に欠かせない食料の問題です。食料自給率を上げ有事に備えるためにも、所得補償など生産者を守る施策が絶対に必要です。農業・食料は国防だと思います。国民のための農政を行っているのでしょうか。大規模な法人を増やし、輸出を推進することは大事でしょうが、中山間地の多い日本の農業のあり方を真剣に考えなければ農業従事者が減少の一途を辿ってしまうのではないでしょうか。農業従事者、消費者にとって安心できる農政を行わなければ国の農業はどうなってしまうのでしょうか。
今夏、スーパーからコメが消えました。
今年は6月ごろから、関係者の間で「コメがない」と騒ぎになっていました。
7月30日の農林水産省食糧部会で報告された民間流通米の6月末の在庫は156万d。例年200万d前後で推移していたのが、1999年以降最低となりました。国内のコメ消費量は1カ月当たり60万d弱。2カ月半分しか残っていなかったということです。
コメの会計年度は11月です。本来、新米は10月まで持たないといけません。それが空っぽになり9月頭から新米を出しています。収穫するそばから売れている状態で、来年分のコメを先食いしていることと同じです。来秋までは、今シーズンに取れたコメで過ごさないといけないのだから、理屈で言えば、先食いしてしまうと来年も同じ時期か、より早い時期にまたコメ不足になる可能性があります。
なぜこんなことになったのでしょうか。
政府は2004年から作付面積の判断を農家や農協といった農業団体に任せ、強制的な減反はしなくなりました。安倍政権の18年には、減反した際に農家が受け取れる補助金もゼロにしました。
一方、他の作物に転換することを推奨し、それには補助金を出しました。翌年のコメ需要の見通しも毎年発表し、それを元に地域は生産の計画を作るよう指導しました。その国が示す見通しは毎年減っています。「需要が減る」と国が言うのだから、地域は生産計画を減らしますよね。
23年産のコメの需要見通しも外れました。農水省は680万dと発表しましたが、実際は702万d。間違った見通しで立てた計画で栽培・収穫したのが23年産です。猛暑の影響で見込んだ量より更に少なくなり、収穫量は661万dでした。
そして、今回の「令和の米騒動」です。
コロナ禍、21年産の県産米「彩のかがやき」の価格は60`8000円と1万円を切り、農家から「もうやっていけない」と悲鳴が上がっていました。
このとき農水省が発表した統計では、大規模農業法人も零細農家も全部含め、主に水田で耕作している農家の平均農業所得は1万円です。年間の作業時間は1000時間となっているので、時給換算すると10円。それではやっていけませんよね。離農、転作が加速しました。00年に170万戸あったコメ農家は、23年には58万戸にまで減りました。
今回、政府は備蓄米を放出しませんでした。
備蓄米は90万dあります。しかし今回、新米が出るとして放出しませんでした。これでコメの価格は上昇し、農家は今シーズンは買いたたかれずにホッとしています。しかし、来年は今年以上に不足する可能性があり、そうなれば、放出せざるを得ません。そのことを考え、今回は出したくても出せなかったのかも知れません。
24年産は主食米の作付けが増えたとも聞きました。
これまでは国がウクライナ危機などで家畜の餌が高騰したため、飼料用米への転換を推進していました。さまざまな補助金がつき、10e当たりの収入比較では主食用より飼料用の方が高かった。国は24年産からその助成を段階的に引き下げています。その影響で、主食米の作付けが増えたのだと思います。
国はいまだに増産の方向にかじを切りません。日本米は海外でも人気です。量を作っても輸出すれば良いのではないでしょうか。困っている国に援助したら国際貢献にもなります。食料自給率が38%では、有事があり、輸入できなくなった時、どうするのでしょう。
また、収入がなければ後継者はいません。産業は廃れていきます。しかもそれは人間に欠かせない食料の問題です。食料自給率を上げ有事に備えるためにも、所得補償など生産者を守る施策が絶対に必要です。農業・食料は国防だと思います。
松本慎一(まつもと・しんいち)さん
兼業農家の長男として加須市に生まれ、現在卸売業「埼玉産直ネットワーク協会」の専務理事を務めながら、自宅の水田でソーラーシェアリングに挑戦。農業者団体「埼玉県農民運動連合会」の副会長を務め、年越し派遣村や能登地震の被災地などに食料を提供している。農林業と食糧・健康を守る埼玉連絡会(埼玉食健連)の事務局次長。
コメの会計年度は11月です。本来、新米は10月まで持たないといけません。それが空っぽになり9月頭から新米を出しています。収穫するそばから売れている状態で、来年分のコメを先食いしていることと同じです。来秋までは、今シーズンに取れたコメで過ごさないといけないのだから、理屈で言えば、先食いしてしまうと来年も同じ時期か、より早い時期にまたコメ不足になる可能性があります。政府は2004年から作付面積の判断を農家や農協といった農業団体に任せ、強制的な減反はしなくなりました。安倍政権の18年には、減反した際に農家が受け取れる補助金もゼロにしました。一方、他の作物に転換することを推奨し、それには補助金を出しました。翌年のコメ需要の見通しも毎年発表し、それを元に地域は生産の計画を作るよう指導しました。その国が示す見通しは毎年減っています。「需要が減る」と国が言うのだから、地域は生産計画を減らしますよね。23年産のコメの需要見通しも外れました。農水省は680万dと発表しましたが、実際は702万d。間違った見通しで立てた計画で栽培・収穫したのが23年産です。猛暑の影響で見込んだ量より更に少なくなり、収穫量は661万dでした。米に関する農政に問題があるのではないでしょうか。是正してもらうために農業従事者が声を上げるだけではダメだとすれば、消費者も声を上げる必要があるでしょう。コロナ禍、21年産の県産米「彩のかがやき」の価格は60`8000円と1万円を切り、農家から「もうやっていけない」と悲鳴が上がっていました。このとき農水省が発表した統計では、大規模農業法人も零細農家も全部含め、主に水田で耕作している農家の平均農業所得は1万円です。年間の作業時間は1000時間となっているので、時給換算すると10円。それではやっていけませんよね。離農、転作が加速しました。00年に170万戸あったコメ農家は、23年には58万戸にまで減りました。農業従事者に寄り添った政策を行わなければ日本の農業がダメになってしまわないでしょうか。国はいまだに増産の方向にかじを切りません。日本米は海外でも人気です。量を作っても輸出すれば良いのではないでしょうか。困っている国に援助したら国際貢献にもなります。食料自給率が38%では、有事があり、輸入できなくなった時、どうするのでしょう。また、収入がなければ後継者はいません。産業は廃れていきます。しかもそれは人間に欠かせない食料の問題です。食料自給率を上げ有事に備えるためにも、所得補償など生産者を守る施策が絶対に必要です。農業・食料は国防だと思います。国民のための農政を行っているのでしょうか。大規模な法人を増やし、輸出を推進することは大事でしょうが、中山間地の多い日本の農業のあり方を真剣に考えなければ農業従事者が減少の一途を辿ってしまうのではないでしょうか。農業従事者、消費者にとって安心できる農政を行わなければ国の農業はどうなってしまうのでしょうか。



