教員の働き方を真剣に考えるべきでは[2024年11月30日(Sat)]
日テレNEWS2024年9月7日付け「「部活の顧問を辞めたい…」交通費は"自腹" 学校の教員は"定額働かせ放題"? 実態とは【#みんなのギモン】」から、体力や技能の向上のほか、集団活動を通じた人間形成など、学校教育の一環として位置づけられている"部活動"。本来は、必ずしも教員が担う必要のない業務と位置付けられていますが、実際は、多くの教師によって支えられ、長時間勤務の要因になっていると問題視されています。こうしたなか、私たちの元には、「部活の顧問を辞めたい」と訴える、現役教員から声が寄せられました。いったい何がおきているのか?取材しました。
部活後に時間外勤務 家に持ち帰り残業
「中学の教員は人間らしい生活が送れていない人が多い。部活動で泣いている教員を救ってもらいたい」
日本テレビに情報を寄せてくれたのは、関東の公立中学校でテニス部の顧問をしているAさんです。テニス部の顧問は希望ではなかったと話します。
テニス部の顧問Aさん 「(新年度がはじまる)毎年4月1日に、自動的にどこかの部に自分の名前が入っているという状態です。『ああ、やっぱりやらなくちゃいけないんだ』という気持ちで断れないのが実態ですね」
Aさんは、"部活は教員にとって大きな負担だ"と話します。その理由は‥・
テニス部の顧問Aさん 「平日、朝の練習がある場合は、生徒たちよりも早く学校に行かなければいけませんので、午前7時すぎには学校にいます。その後、授業などがあり、夕方から再び部活があります」
この学校では、部活に立ちあわなければいけないルールがあり、授業の準備などをしたくても出来ないと話します。部活が終わるのは、午後6時頃。学校に残り、残業にとりかかるといいます。そして、午後9時頃に帰宅し、夕食や入浴を済ませた後、自宅で再び残業。翌日の授業の準備などに追われ、自分の時間はほとんどなく、残業代はでません。
休日も休めず…午前4時半に部活のため外出
さらに、休日も。 遠方で試合がある場合、午前4時半に自宅を出て、午後8時に帰宅する日もあるといいます。
また、試合が雨天で延期した場合、翌日は大会の予備日になるため、日曜日に自分の予定をいれることもできません。週末に部活を休みにすると、保護者から、こんなことを言われたといいます。
保護者A 「土日も部活をやってくれないと強くなれない」
保護者B 「部活をやってくれないと、親が家にいないといけなくなり休めない。土日も学校で子どもを見てほしい」 さらに、「指導が悪いからうちの子が上達しない」と、Aさんの指導方法に批判的な言葉をかける保護者もいるといいます。
10時間働いても手当は3000円未満 "自腹"負担も
休みたくても休めないというAさん。休日に働くと"手当"が支給されますが‥
テニス部の顧問Aさん 「休日の手当は3時間分までしか出ません。例えば、10時間働いても、手当は3000円未満です。時給に換算すると200円~300円ぐらいです。私たち、高校生のアルバイトよりも、はるかに少ない金額で働かされています。もう"定額働かせ放題"です」
さらに、お金を負担することもあるといいます。
Aさんによると、遠方の大会でも、"朝練"をする必要があり、会場に間に合わせるためには、高速道路を使わざるを得ない場合がありますが、その料金は、全て"自腹"だといいます。また、ガソリン代などの交通費は1キロの移動に対し10円弱しか支給されず、足りない分は自己負担だということです。このほかに、顧問になると取得しなければならない「審判の資格」の費用や、部活で使用する自分の「ラケット」や「テニスウエア」などは、すべて自分のお金で購入しなければいけないと話します。
テニス部の顧問Aさん 「現実的には1年間のトータルでマイナスです。教員の仕事は一度も辞めたいと思ったことはないですが、部活の顧問は"すぐに辞めたい"です。子どもたちのスポーツの場、文化活動の場をなくしてはいけないことは重々承知の上ですが、でも、それが教師の犠牲の上に成り立っているのならば、それは違うんじゃないかと思います。変わっていってほしいです」
Aさんの職場の同僚も、顧問をやりたい人は、ほとんどおらず、未経験で知らない競技の顧問を任されているといいます。Aさんは「顧問は希望制にしてほしい」と訴えています。
教職員への調査 「部活の指導時間を減らしたい」
部活の顧問をすることで生じる、時間外勤務の負担。では、全国の教職員の実態は? 全日本教職員組合の調査によると、「部活の顧問をしていない」教職員の時間外勤務の平均時間(月) は「88時間」です。一方で、「部活の顧問をしている」(対外試合やコンクールなどがある部)の教職員は、「108時間」と、時間外勤務の長さは突出しているということです。また、顧問の多くが「部活の指導時間にかける時間を減らしたい」と回答し、その分「授業やその準備の時間などにあてたい」としています。
専門家 「部活は勤務時間内に終わらない仕事」
教員の負担について、全国で学校改革に取り組む、石川一郎氏は。
石川一郎 学校改革プロデューサー 「土日に部活で疲れ、代休も取れない。授業や公務の負担が減ってないのが現状ですね。通常の教員業務があって、さらに部活があるので"勤務時間内に終わらない仕事"になっています。勤務時間(定時)が終わっても生徒がいて、先生がそれを指導しなきゃいけないということに無理があると思います」 対策については。
「外部委託が、今の最適な手段だと思います」
専門家は、国が2023年度から進めている、学校の教員たちが担っている部活を、地域のスポーツクラブや民間の事業者などに担ってもらう「地域移行」が解決策の一つだと指摘します。外部の指導者が部活を担うことで、教員の負担軽減につながるといいます。
教員の働き方の改善が求められるなか、文科省は、8月末、教員の働き方に関する総合的な政策をまとめ、2025年度は教員約7700人増員することや、処遇改善として、教員に残業代が支払われないかわりに上乗せされる「教職調整額」をこれまでの「4%」から「13%」への引き上げを目指し、来年度予算の概算要求に盛り込みました。
教員の長時間労働と"なり手不足"の問題は、今後、解消されていくのでしょうか?
学校教育の一環として位置づけられている"部活動"。本来は、必ずしも教員が担う必要のない業務と位置付けられていますが、実際は、多くの教師によって支えられ、長時間勤務の要因になっていると問題視されています。部活動は子どもたちのための学校教育の一環と位置付けられ頑張っている教員が多いでしょうが、部活動の指導のために教員の本来業務に専念できない可能性があるのではないでしょうか。部活に立ちあわなければいけないルールがあり、授業の準備などをしたくても出来ないと話します。部活が終わるのは、午後6時頃。学校に残り、残業にとりかかるといいます。そして、午後9時頃に帰宅し、夕食や入浴を済ませた後、自宅で再び残業。翌日の授業の準備などに追われ、自分の時間はほとんどなく、残業代はでません。教員働かせ放題と言われる所以でしょう。さらに、休日も。遠方で試合がある場合、午前4時半に自宅を出て、午後8時に帰宅する日もあるといいます。また、試合が雨天で延期した場合、翌日は大会の予備日になるため、日曜日に自分の予定をいれることもできません。週末に部活を休みにすると、保護者から、こんなことを言われたといいます。保護者は自分のこどものことだけを考え、教員の事情は考慮せずに教員が部活動を指導するのは当たり前という固定観念があるのではないでしょうか。遠方の大会でも、"朝練"をする必要があり、会場に間に合わせるためには、高速道路を使わざるを得ない場合がありますが、その料金は、全て"自腹"だといいます。また、ガソリン代などの交通費は1キロの移動に対し10円弱しか支給されず、足りない分は自己負担だということです。このほかに、顧問になると取得しなければならない「審判の資格」の費用や、部活で使用する自分の「ラケット」や「テニスウエア」などは、すべて自分のお金で購入しなければいけない。「土日に部活で疲れ、代休も取れない。授業や公務の負担が減ってないのが現状ですね。通常の教員業務があって、さらに部活があるので"勤務時間内に終わらない仕事"になっています。勤務時間(定時)が終わっても生徒がいて、先生がそれを指導しなきゃいけないということに無理があると思います」公務員だからいいでしょうと思っているのでしょうか。自腹を切って自分の時間を犠牲して働く職業を選ぶ人がいるでしょうか。教員になりたいと思えるような働く環境が整っていなければならないでしょう。教員の働き方の改善が求められるなか、文科省は、8月末、教員の働き方に関する総合的な政策をまとめ、2025年度は教員約7700人増員することや、処遇改善として、教員に残業代が支払われないかわりに上乗せされる「教職調整額」をこれまでの「4%」から「13%」への引き上げを目指し、来年度予算の概算要求に盛り込みました。文科省の対策は抜本的な解決には程遠いかもしれません。教員数を大幅に増やし持ち時間も軽減して一人ひとりの教員が部活動指導は行わず教材研究などの学習指導に専念することができるような環境が築かれれば教員になりたい人も増える可能性があるかもしれません。真剣に考える必要があるのではないでしょうか。
部活後に時間外勤務 家に持ち帰り残業
「中学の教員は人間らしい生活が送れていない人が多い。部活動で泣いている教員を救ってもらいたい」
日本テレビに情報を寄せてくれたのは、関東の公立中学校でテニス部の顧問をしているAさんです。テニス部の顧問は希望ではなかったと話します。
テニス部の顧問Aさん 「(新年度がはじまる)毎年4月1日に、自動的にどこかの部に自分の名前が入っているという状態です。『ああ、やっぱりやらなくちゃいけないんだ』という気持ちで断れないのが実態ですね」
Aさんは、"部活は教員にとって大きな負担だ"と話します。その理由は‥・
テニス部の顧問Aさん 「平日、朝の練習がある場合は、生徒たちよりも早く学校に行かなければいけませんので、午前7時すぎには学校にいます。その後、授業などがあり、夕方から再び部活があります」
この学校では、部活に立ちあわなければいけないルールがあり、授業の準備などをしたくても出来ないと話します。部活が終わるのは、午後6時頃。学校に残り、残業にとりかかるといいます。そして、午後9時頃に帰宅し、夕食や入浴を済ませた後、自宅で再び残業。翌日の授業の準備などに追われ、自分の時間はほとんどなく、残業代はでません。
休日も休めず…午前4時半に部活のため外出
さらに、休日も。 遠方で試合がある場合、午前4時半に自宅を出て、午後8時に帰宅する日もあるといいます。
また、試合が雨天で延期した場合、翌日は大会の予備日になるため、日曜日に自分の予定をいれることもできません。週末に部活を休みにすると、保護者から、こんなことを言われたといいます。
保護者A 「土日も部活をやってくれないと強くなれない」
保護者B 「部活をやってくれないと、親が家にいないといけなくなり休めない。土日も学校で子どもを見てほしい」 さらに、「指導が悪いからうちの子が上達しない」と、Aさんの指導方法に批判的な言葉をかける保護者もいるといいます。
10時間働いても手当は3000円未満 "自腹"負担も
休みたくても休めないというAさん。休日に働くと"手当"が支給されますが‥
テニス部の顧問Aさん 「休日の手当は3時間分までしか出ません。例えば、10時間働いても、手当は3000円未満です。時給に換算すると200円~300円ぐらいです。私たち、高校生のアルバイトよりも、はるかに少ない金額で働かされています。もう"定額働かせ放題"です」
さらに、お金を負担することもあるといいます。
Aさんによると、遠方の大会でも、"朝練"をする必要があり、会場に間に合わせるためには、高速道路を使わざるを得ない場合がありますが、その料金は、全て"自腹"だといいます。また、ガソリン代などの交通費は1キロの移動に対し10円弱しか支給されず、足りない分は自己負担だということです。このほかに、顧問になると取得しなければならない「審判の資格」の費用や、部活で使用する自分の「ラケット」や「テニスウエア」などは、すべて自分のお金で購入しなければいけないと話します。
テニス部の顧問Aさん 「現実的には1年間のトータルでマイナスです。教員の仕事は一度も辞めたいと思ったことはないですが、部活の顧問は"すぐに辞めたい"です。子どもたちのスポーツの場、文化活動の場をなくしてはいけないことは重々承知の上ですが、でも、それが教師の犠牲の上に成り立っているのならば、それは違うんじゃないかと思います。変わっていってほしいです」
Aさんの職場の同僚も、顧問をやりたい人は、ほとんどおらず、未経験で知らない競技の顧問を任されているといいます。Aさんは「顧問は希望制にしてほしい」と訴えています。
教職員への調査 「部活の指導時間を減らしたい」
部活の顧問をすることで生じる、時間外勤務の負担。では、全国の教職員の実態は? 全日本教職員組合の調査によると、「部活の顧問をしていない」教職員の時間外勤務の平均時間(月) は「88時間」です。一方で、「部活の顧問をしている」(対外試合やコンクールなどがある部)の教職員は、「108時間」と、時間外勤務の長さは突出しているということです。また、顧問の多くが「部活の指導時間にかける時間を減らしたい」と回答し、その分「授業やその準備の時間などにあてたい」としています。
専門家 「部活は勤務時間内に終わらない仕事」
教員の負担について、全国で学校改革に取り組む、石川一郎氏は。
石川一郎 学校改革プロデューサー 「土日に部活で疲れ、代休も取れない。授業や公務の負担が減ってないのが現状ですね。通常の教員業務があって、さらに部活があるので"勤務時間内に終わらない仕事"になっています。勤務時間(定時)が終わっても生徒がいて、先生がそれを指導しなきゃいけないということに無理があると思います」 対策については。
「外部委託が、今の最適な手段だと思います」
専門家は、国が2023年度から進めている、学校の教員たちが担っている部活を、地域のスポーツクラブや民間の事業者などに担ってもらう「地域移行」が解決策の一つだと指摘します。外部の指導者が部活を担うことで、教員の負担軽減につながるといいます。
教員の働き方の改善が求められるなか、文科省は、8月末、教員の働き方に関する総合的な政策をまとめ、2025年度は教員約7700人増員することや、処遇改善として、教員に残業代が支払われないかわりに上乗せされる「教職調整額」をこれまでの「4%」から「13%」への引き上げを目指し、来年度予算の概算要求に盛り込みました。
教員の長時間労働と"なり手不足"の問題は、今後、解消されていくのでしょうか?
学校教育の一環として位置づけられている"部活動"。本来は、必ずしも教員が担う必要のない業務と位置付けられていますが、実際は、多くの教師によって支えられ、長時間勤務の要因になっていると問題視されています。部活動は子どもたちのための学校教育の一環と位置付けられ頑張っている教員が多いでしょうが、部活動の指導のために教員の本来業務に専念できない可能性があるのではないでしょうか。部活に立ちあわなければいけないルールがあり、授業の準備などをしたくても出来ないと話します。部活が終わるのは、午後6時頃。学校に残り、残業にとりかかるといいます。そして、午後9時頃に帰宅し、夕食や入浴を済ませた後、自宅で再び残業。翌日の授業の準備などに追われ、自分の時間はほとんどなく、残業代はでません。教員働かせ放題と言われる所以でしょう。さらに、休日も。遠方で試合がある場合、午前4時半に自宅を出て、午後8時に帰宅する日もあるといいます。また、試合が雨天で延期した場合、翌日は大会の予備日になるため、日曜日に自分の予定をいれることもできません。週末に部活を休みにすると、保護者から、こんなことを言われたといいます。保護者は自分のこどものことだけを考え、教員の事情は考慮せずに教員が部活動を指導するのは当たり前という固定観念があるのではないでしょうか。遠方の大会でも、"朝練"をする必要があり、会場に間に合わせるためには、高速道路を使わざるを得ない場合がありますが、その料金は、全て"自腹"だといいます。また、ガソリン代などの交通費は1キロの移動に対し10円弱しか支給されず、足りない分は自己負担だということです。このほかに、顧問になると取得しなければならない「審判の資格」の費用や、部活で使用する自分の「ラケット」や「テニスウエア」などは、すべて自分のお金で購入しなければいけない。「土日に部活で疲れ、代休も取れない。授業や公務の負担が減ってないのが現状ですね。通常の教員業務があって、さらに部活があるので"勤務時間内に終わらない仕事"になっています。勤務時間(定時)が終わっても生徒がいて、先生がそれを指導しなきゃいけないということに無理があると思います」公務員だからいいでしょうと思っているのでしょうか。自腹を切って自分の時間を犠牲して働く職業を選ぶ人がいるでしょうか。教員になりたいと思えるような働く環境が整っていなければならないでしょう。教員の働き方の改善が求められるなか、文科省は、8月末、教員の働き方に関する総合的な政策をまとめ、2025年度は教員約7700人増員することや、処遇改善として、教員に残業代が支払われないかわりに上乗せされる「教職調整額」をこれまでの「4%」から「13%」への引き上げを目指し、来年度予算の概算要求に盛り込みました。文科省の対策は抜本的な解決には程遠いかもしれません。教員数を大幅に増やし持ち時間も軽減して一人ひとりの教員が部活動指導は行わず教材研究などの学習指導に専念することができるような環境が築かれれば教員になりたい人も増える可能性があるかもしれません。真剣に考える必要があるのではないでしょうか。