大谷選手は努力家で世界が誇る卓越した天才プレーヤーになったのでは[2023年01月30日(Mon)]
THE DIGEST2022年10月7日付け「大谷翔平の“W規定到達”で蘇るイチローの言葉。天才の「予言」を超えた究極の存在へ<SLUGGER>」から、「誰が見ても世界一の才能」――史上最高の安打製造機・イチローが2019年3月21日の引退会見にて、“ある選手”を評した言葉だ。大谷翔平(エンジェルス)。唯一無二の二刀流として前人未到の道を歩む天才プレーヤーのことである。
10月5日(現地)、大谷はアスレティックスとの最終戦に「3番・投手」で先発登板すると、5回を投げ切って規定投球回に到達。史上初の「規定投球回&規定打席のWクリア」という、今後誰も達成できないと思われる偉業を球史に刻んだのだった。今季の大谷の最終成績は以下の通りだ。 <投手> 【勝利】15勝(4位) 【防御率】2.33(4位) 【奪三振】219(3位) 【投球回】166.0回(20位) 【WHIP】0.99(5位) 【奪三振率】11.87(1位) <打者> 【打率】.273(25位) 【本塁打】34本(4位) 【打点】95(7位) 【出塁率】.356(18位) 【長打率】.519(5位) 【OPS】.875(5位) 【盗塁】11(31位) ※( )内はリーグ順位 いわゆる投手三冠(勝利・防御率・奪三振)の項目でリーグトップ5に入っているだけでなく、34本塁打はリーグ4位、OPS.875も5位。世界最高峰の舞台でプレーしながら、「エースで4番」を体現してみせた格好だ。リーグ3位の46本塁打、2位のOPS.965をマークした昨季と比べると打撃成績はダウンしているが、今季のメジャーリーグは本塁打数が激減するなど投高打低傾向となっていることも考慮しておくべきだろう。
昨年も終盤まで本塁打王争いに加わり、日本人には到底不可能と思われた領域に足を踏み入れ、今季はサイ・ヤング賞投票上位が有力の好成績。どちらか一方で一流の数字を残すだけでも十分すごいが、投打両方でとなると、もはや言葉が見つからない。「マンガでも描けない」「空想上の存在」などと形容される大谷。イチローも、その底知れない可能性を信じていた一人だった。
時計の針を3年前に戻そう。引退会見で「大谷が今後どんな選手になるか」と質問されたイチローは、「そこは占い師に聞いてもらわないとねぇ」と笑みを見せつつ、こう“予言”していた。
イチローの予言を超えた“真の二刀流”に
「ワンシーズンはピッチャー、次のシーズンは打者として。それでサイ・ヤング賞とホームラン王を取ったら……。そんなこと考えることすらできないですよ。でも、翔平はその想像させるじゃないですか、人に。この時点で明らかに人とは違う、違う選手であると思うんですけれど。
その二刀流は面白いと思うんですよね。ピッチャーとして20勝するシーズンがあって、その翌年には50本打ってMVP取ったら、これは化け物ですよね。でもそれは想像できなくないですからね。そんな風に思っています」
当時の大谷は18年9月に受けたトミー・ジョン手術のリハビリ期間中。メジャー1年目で新人王を獲得した一方で、大きな故障を抱えたことで二刀流への懐疑論も根強く残っていた。この場でイチローの言葉を聞いた時、「そこまで上手くいくだろうか」と疑念を持った人間は、私を含めて決して少なくなかったはずだ。
しかし、天才は天才を知る、ということなのだろう。イチローが「世界一の才能」と信じて疑わなかった逸材は、この2年後に大きく花開くことになる。ただそれは、イチローの想像すらも凌駕する形で。
21年シーズン、大谷は46本塁打+9勝とベーブ・ルース以来の本格的二刀流選手として大活躍し、日本人選手ではイチロー以来のMVPを受賞。満票での選出はイチローすらもなし得なかった快挙だった。そして今季は「投手・大谷」として飛躍的な成長を遂げ、トータルでは昨季に負けずとも劣らないパフォーマンスを見せた。
史上初となるW規定をクリアした大谷だが、ここまでの識者投票の趨勢を見ると、MVP投票はア・リーグ新記録の62本塁打を打ち立てたアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が優勢となっている。一つ説明しておくと、ジャッジは62号だけが凄いのではなく、全体の打撃貢献度が歴代でも屈指の傑出ぶりで、かつチームを地区優勝に導いた点も大きなプラス材料となっている。
もちろん、仮に大谷がMVPを逃すことになったとしても今季の功績が色褪せることはないし、2年連続でMVP候補に入ること自体が偉大なことだ。大谷が当たり前のようにプレーしてしまうがゆえに、ファンの感覚が麻痺してしまっているところすらある。先発して6回無失点に抑えた翌日にホームランを打つ……なんていうフレーズは、“大谷登場以前”では考えられなかったことだろう。
現地8日から始まるポストシーズンで、今年も大谷の姿を見ることができないのは非常に残念で仕方がない。しかし、ロックアウトで開幕が遅れたシーズンにあって、その喧騒を忘れさせるプレーの数々。唯一無二の才能を今年も遺憾なく発揮してくれた大谷翔平のすごさを、シーズンの最後に改めて噛みしめたい。
大谷選手は史上初の「規定投球回&規定打席のWクリア」という、今後誰も達成できないと思われる偉業を球史に刻んだのだった。投手として勝利15勝(4位)、防御率2.33(4位)、奪三振219(3位)、打者として打率.273(25位)、本塁打34本(4位)、打点95(7位)、出塁率.356(18位)、長打率.519(5位)、OPS.875(5位)、さらには盗塁11(31位)という数字を見ただけでも前人未到のプレーヤーであることがわかります。誰も行っていないことを実践する勇気は称賛されるでしょう。今後大谷選手に続く選手が現れるでしょうが、大谷選手の記録を破ることができるかわかりません。それだけ物凄いことでしょう。昨年も終盤まで本塁打王争いに加わり、日本人には到底不可能と思われた領域に足を踏み入れ、今季はサイ・ヤング賞投票上位が有力の好成績。どちらか一方で一流の数字を残すだけでも十分すごいが、投打両方でとなると、もはや言葉が見つからない。「マンガでも描けない」「空想上の存在」などと形容される大谷。イチローも、その底知れない可能性を信じていた一人だった。イチロー選手も努力の天才ですが、イチロー選手でもなし得なかったことをやり遂げているのです。天才は天才を知る、ということなのだろう。イチローが「世界一の才能」と信じて疑わなかった逸材は、この2年後に大きく花開くことになる。ただそれは、イチローの想像すらも凌駕する形で。史上初となるW規定をクリアした大谷だが、ここまでの識者投票の趨勢を見ると、MVP投票はア・リーグ新記録の62本塁打を打ち立てたアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が優勢となっている。もちろん、仮に大谷がMVPを逃すことになったとしても今季の功績が色褪せることはないし、2年連続でMVP候補に入ること自体が偉大なことだ。大谷が当たり前のようにプレーしてしまうがゆえに、ファンの感覚が麻痺してしまっているところすらある。先発して6回無失点に抑えた翌日にホームランを打つ……なんていうフレーズは、“大谷登場以前”では考えられなかったことだろう。唯一無二の才能を今年も遺憾なく発揮してくれた大谷翔平のすごさを、シーズンの最後に改めて噛みしめたい。日本人はもちろんですが、アメリカ人、さらい世界の人たちが勇気をもらうことができるでしょう。今後のさらなる活躍を期待したいです。
10月5日(現地)、大谷はアスレティックスとの最終戦に「3番・投手」で先発登板すると、5回を投げ切って規定投球回に到達。史上初の「規定投球回&規定打席のWクリア」という、今後誰も達成できないと思われる偉業を球史に刻んだのだった。今季の大谷の最終成績は以下の通りだ。 <投手> 【勝利】15勝(4位) 【防御率】2.33(4位) 【奪三振】219(3位) 【投球回】166.0回(20位) 【WHIP】0.99(5位) 【奪三振率】11.87(1位) <打者> 【打率】.273(25位) 【本塁打】34本(4位) 【打点】95(7位) 【出塁率】.356(18位) 【長打率】.519(5位) 【OPS】.875(5位) 【盗塁】11(31位) ※( )内はリーグ順位 いわゆる投手三冠(勝利・防御率・奪三振)の項目でリーグトップ5に入っているだけでなく、34本塁打はリーグ4位、OPS.875も5位。世界最高峰の舞台でプレーしながら、「エースで4番」を体現してみせた格好だ。リーグ3位の46本塁打、2位のOPS.965をマークした昨季と比べると打撃成績はダウンしているが、今季のメジャーリーグは本塁打数が激減するなど投高打低傾向となっていることも考慮しておくべきだろう。
昨年も終盤まで本塁打王争いに加わり、日本人には到底不可能と思われた領域に足を踏み入れ、今季はサイ・ヤング賞投票上位が有力の好成績。どちらか一方で一流の数字を残すだけでも十分すごいが、投打両方でとなると、もはや言葉が見つからない。「マンガでも描けない」「空想上の存在」などと形容される大谷。イチローも、その底知れない可能性を信じていた一人だった。
時計の針を3年前に戻そう。引退会見で「大谷が今後どんな選手になるか」と質問されたイチローは、「そこは占い師に聞いてもらわないとねぇ」と笑みを見せつつ、こう“予言”していた。
イチローの予言を超えた“真の二刀流”に
「ワンシーズンはピッチャー、次のシーズンは打者として。それでサイ・ヤング賞とホームラン王を取ったら……。そんなこと考えることすらできないですよ。でも、翔平はその想像させるじゃないですか、人に。この時点で明らかに人とは違う、違う選手であると思うんですけれど。
その二刀流は面白いと思うんですよね。ピッチャーとして20勝するシーズンがあって、その翌年には50本打ってMVP取ったら、これは化け物ですよね。でもそれは想像できなくないですからね。そんな風に思っています」
当時の大谷は18年9月に受けたトミー・ジョン手術のリハビリ期間中。メジャー1年目で新人王を獲得した一方で、大きな故障を抱えたことで二刀流への懐疑論も根強く残っていた。この場でイチローの言葉を聞いた時、「そこまで上手くいくだろうか」と疑念を持った人間は、私を含めて決して少なくなかったはずだ。
しかし、天才は天才を知る、ということなのだろう。イチローが「世界一の才能」と信じて疑わなかった逸材は、この2年後に大きく花開くことになる。ただそれは、イチローの想像すらも凌駕する形で。
21年シーズン、大谷は46本塁打+9勝とベーブ・ルース以来の本格的二刀流選手として大活躍し、日本人選手ではイチロー以来のMVPを受賞。満票での選出はイチローすらもなし得なかった快挙だった。そして今季は「投手・大谷」として飛躍的な成長を遂げ、トータルでは昨季に負けずとも劣らないパフォーマンスを見せた。
史上初となるW規定をクリアした大谷だが、ここまでの識者投票の趨勢を見ると、MVP投票はア・リーグ新記録の62本塁打を打ち立てたアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が優勢となっている。一つ説明しておくと、ジャッジは62号だけが凄いのではなく、全体の打撃貢献度が歴代でも屈指の傑出ぶりで、かつチームを地区優勝に導いた点も大きなプラス材料となっている。
もちろん、仮に大谷がMVPを逃すことになったとしても今季の功績が色褪せることはないし、2年連続でMVP候補に入ること自体が偉大なことだ。大谷が当たり前のようにプレーしてしまうがゆえに、ファンの感覚が麻痺してしまっているところすらある。先発して6回無失点に抑えた翌日にホームランを打つ……なんていうフレーズは、“大谷登場以前”では考えられなかったことだろう。
現地8日から始まるポストシーズンで、今年も大谷の姿を見ることができないのは非常に残念で仕方がない。しかし、ロックアウトで開幕が遅れたシーズンにあって、その喧騒を忘れさせるプレーの数々。唯一無二の才能を今年も遺憾なく発揮してくれた大谷翔平のすごさを、シーズンの最後に改めて噛みしめたい。
大谷選手は史上初の「規定投球回&規定打席のWクリア」という、今後誰も達成できないと思われる偉業を球史に刻んだのだった。投手として勝利15勝(4位)、防御率2.33(4位)、奪三振219(3位)、打者として打率.273(25位)、本塁打34本(4位)、打点95(7位)、出塁率.356(18位)、長打率.519(5位)、OPS.875(5位)、さらには盗塁11(31位)という数字を見ただけでも前人未到のプレーヤーであることがわかります。誰も行っていないことを実践する勇気は称賛されるでしょう。今後大谷選手に続く選手が現れるでしょうが、大谷選手の記録を破ることができるかわかりません。それだけ物凄いことでしょう。昨年も終盤まで本塁打王争いに加わり、日本人には到底不可能と思われた領域に足を踏み入れ、今季はサイ・ヤング賞投票上位が有力の好成績。どちらか一方で一流の数字を残すだけでも十分すごいが、投打両方でとなると、もはや言葉が見つからない。「マンガでも描けない」「空想上の存在」などと形容される大谷。イチローも、その底知れない可能性を信じていた一人だった。イチロー選手も努力の天才ですが、イチロー選手でもなし得なかったことをやり遂げているのです。天才は天才を知る、ということなのだろう。イチローが「世界一の才能」と信じて疑わなかった逸材は、この2年後に大きく花開くことになる。ただそれは、イチローの想像すらも凌駕する形で。史上初となるW規定をクリアした大谷だが、ここまでの識者投票の趨勢を見ると、MVP投票はア・リーグ新記録の62本塁打を打ち立てたアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が優勢となっている。もちろん、仮に大谷がMVPを逃すことになったとしても今季の功績が色褪せることはないし、2年連続でMVP候補に入ること自体が偉大なことだ。大谷が当たり前のようにプレーしてしまうがゆえに、ファンの感覚が麻痺してしまっているところすらある。先発して6回無失点に抑えた翌日にホームランを打つ……なんていうフレーズは、“大谷登場以前”では考えられなかったことだろう。唯一無二の才能を今年も遺憾なく発揮してくれた大谷翔平のすごさを、シーズンの最後に改めて噛みしめたい。日本人はもちろんですが、アメリカ人、さらい世界の人たちが勇気をもらうことができるでしょう。今後のさらなる活躍を期待したいです。



