国民のことを考え、国民の生活を考えた政治を行っているのでしょうか[2023年01月28日(Sat)]
幻冬舎GOLD ONLINE2022年10月5日付け「平均給与「443万円」でもさらに厳しい…半数以上が生活苦を訴える、日本人の断末魔」から、3年ぶりに平均給与増加……そのようなニュースが流れる一方で、生活が上向きになっている感は乏しく、実態とはずいぶんとかけ離れているという指摘も。日本人のリアルな現状について考えてみましょう。
日本人の平均給与「3年ぶりの増加&コロナ禍から回復」といわれるが…
国税庁『令和3年分民間給与実態統計調査』の結果が発表され、2021年、民間企業で働く人の平均給与は443万3,000円で、3年ぶりに増加に転じたことが分かりました。さらに正社員に限定すると508万4,000円、非正社員に限定すると197万6,000円。あらゆる切り口でみてみても、前年比プラスを記録し、コロナ禍からの回復が鮮明となりました。
ただしこれは給与所得の平均値。さまざまな所得を含めた「日本人の所得」について、国税庁調査とは1年のズレがあり、あくまでも参考値ではありますが、厚生労働省『2021年国民生活基礎調査』をみていきましょう。
2020年、1世帯当たりの平均所得金額は564万3,000円。高齢者世帯に限ると平均332万9,000円、高齢者世帯を含めない場合では、平均685万9,000円。さらに18歳未満の子どもがいる子育て世帯では、平均813万5,000円でした。
さらにその分布をみていくと、ちょうど真ん中の“中央値”は440万円。月36万〜37万円が、日本の世帯の月よくある家計予算といったところでしょうか。手取りにすると、月28万円程度になります。
得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「300〜400万円未満」が13.4%、「200〜300万円未満」が13.3%、「100〜200万円未満」が13.1%と、所得300万円未満の世帯の盛り上がりが大きく、平均所得金額以下の世帯は61.5%と、3世帯に2世帯の割合になっています。
所得300万円といったら、単純計算、月収は25万円。手取りにすると20万円ほどです。単身世帯であれば、ある程度、悠々自適に暮らしていける水準かもしれません。ただ子どもがいたり、年金暮らしの高齢者がいたりすると、そんな余裕はないでしょうか。
コロナ禍からの回復が鮮明になどと報じられていますが、「年収443万円!? そんなにもらってない!」という声がネットを中心にあふれています。平均値以下が6割強なわけですから、当然のことです。
世帯所得を上げるためにも「貯蓄から投資」を推進するが…
同調査では「生活意識」についても尋ねています。それによると、「生活が苦しい(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)」が53.1%。コロナ前の2019年調査から1.3ポイントほど改善しました。ただ「ゆとりがある(「ややゆとりがある」と「大変ゆとりがある」の合計」は、5.0%と前回調査から0.7ポイント減少。暮らし向きが良くなったとは言い難い状況です。また児童のいる子育て世帯では「生活が苦しい」の回答が59.2%と6割。
ゆとりを感じて生活できるのは、20世帯に1世帯。5割が生活苦を訴えている……日本人、なかなか厳しい状況下にあるといえそうです。
どうにかして所得を上げる術はないか……そこで政府が期待し、推し進めようとしているもののひとつが、「資産所得倍増」をスローガンにした「投資」。評価はさておき、先日も「少額投資非課税制度(NISA)の恒久化が必須だ」と表明した岸田首相のニューヨーク証券取引所での講演は話題になりました。
NISAには現一般、ジュニア、つみたての3つがあり、一般とジュニアは2023年まで、つみたては2042年までの制度です。2024年から一般は期限を2028年までに延長したうえで、2階建ての新NISAに移行する予定。ジュニアは2023年で廃止されます。 投資を促す制度ではありますが、期限があるため、長期間を見据えた資産形成では使い勝手には少々課題がありました。それが恒久化となると、
投資に対する心理的ハードルはさらに下がるだろうといわれています。
ただ「貯蓄から投資」の話となると、「そもそも投資の元金がない!」「まずは所得増が先だ」という議論が浮上します。前述のように、日本の家庭の中央値は年収440万円。平均以下が3分の2を占めます。確かに投資を考える余裕もない人が多く、そのようななか、「投資を!」と高らかに宣言したところで、ピンとはこないでしょう。
投資できない人が多数派……そこで「貯蓄から投資」を進めれば、さらなる格差拡大は確実という専門家も。所得増加の道のりは険しく、この先の日本では、なかなか明るい未来を描くことはできないようです。
首相をはじめとして政権を担っている人たちは、本当に国民の生活のことを理解しているのでしょうか。首相官邸と国会にばかりいるので庶民の生活の現場を見ることがなく、国民の生活がどれだけ大変なのかわかっているのでしょうか。政治家目線ではなくも国民の目線が必要なのではないでしょうか。2020年、1世帯当たりの平均所得金額は564万3,000円。高齢者世帯に限ると平均332万9,000円、高齢者世帯を含めない場合では、平均685万9,000円。さらに18歳未満の子どもがいる子育て世帯では、平均813万5,000円でした。さらにその分布をみていくと、ちょうど真ん中の“中央値”は440万円。月36万〜37万円が、日本の世帯の月よくある家計予算といったところでしょうか。手取りにすると、月28万円程度になります。手取り28万円で生活できるでしょうか。住宅ローン、家賃、光熱費、教育費(子どもがいる世帯)などはどれも結構負担になっているでしょう。所得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「300〜400万円未満」が13.4%、「200〜300万円未満」が13.3%、「100〜200万円未満」が13.1%と、所得300万円未満の世帯の盛り上がりが大きく、平均所得金額以下の世帯は61.5%と、3世帯に2世帯の割合になっています。所得300万円といったら、単純計算、月収は25万円。手取りにすると20万円ほどです。単身世帯であれば、ある程度、悠々自適に暮らしていける水準かもしれません。ただ子どもがいたり、年金暮らしの高齢者がいたりすると、そんな余裕はないでしょうか。コロナ禍からの回復が鮮明になどと報じられていますが、「年収443万円!? そんなにもらってない!」という声がネットを中心にあふれています。平均値以下が6割強なわけですから、当然のことです。3世帯に2世帯が平均所得金額以下という状況をどのように捉えるのでしょうか。子どもを産んで育てたいと思っても所得が増えなければ生活できないでしょう。ゆとりを感じて生活できるのは、20世帯に1世帯。5割が生活苦を訴えている……日本人、なかなか厳しい状況下にあるといえそうです。どうにかして所得を上げる術はないか……そこで政府が期待し、推し進めようとしているもののひとつが、「資産所得倍増」をスローガンにした「投資」。ただ「貯蓄から投資」の話となると、「そもそも投資の元金がない!」「まずは所得増が先だ」という議論が浮上します。前述のように、日本の家庭の中央値は年収440万円。平均以下が3分の2を占めます。確かに投資を考える余裕もない人が多く、そのようななか、「投資を!」と高らかに宣言したところで、ピンとはこないでしょう。投資できない人が多数派……そこで「貯蓄から投資」を進めれば、さらなる格差拡大は確実という専門家も。所得増加の道のりは険しく、この先の日本では、なかなか明るい未来を描くことはできないようです。首相が資産所得倍増をスローガンに投資を叫んでも、国民の多くは生活することが大変な状況で投資に回す余裕があるのでしょうか。政治家と国民の感覚のズレでしょう。お金に苦労しない人たちは投資する余裕があるかもしれませんが、貯蓄もできない人が多いのではないでしょうか。投資する人とできない人でさらに格差が広がってしまう可能性が高いのではないでしょうか。この先も日本が明るい未来を描くことができない現実がわかるのではないでしょうか。
日本人の平均給与「3年ぶりの増加&コロナ禍から回復」といわれるが…
国税庁『令和3年分民間給与実態統計調査』の結果が発表され、2021年、民間企業で働く人の平均給与は443万3,000円で、3年ぶりに増加に転じたことが分かりました。さらに正社員に限定すると508万4,000円、非正社員に限定すると197万6,000円。あらゆる切り口でみてみても、前年比プラスを記録し、コロナ禍からの回復が鮮明となりました。
ただしこれは給与所得の平均値。さまざまな所得を含めた「日本人の所得」について、国税庁調査とは1年のズレがあり、あくまでも参考値ではありますが、厚生労働省『2021年国民生活基礎調査』をみていきましょう。
2020年、1世帯当たりの平均所得金額は564万3,000円。高齢者世帯に限ると平均332万9,000円、高齢者世帯を含めない場合では、平均685万9,000円。さらに18歳未満の子どもがいる子育て世帯では、平均813万5,000円でした。
さらにその分布をみていくと、ちょうど真ん中の“中央値”は440万円。月36万〜37万円が、日本の世帯の月よくある家計予算といったところでしょうか。手取りにすると、月28万円程度になります。
得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「300〜400万円未満」が13.4%、「200〜300万円未満」が13.3%、「100〜200万円未満」が13.1%と、所得300万円未満の世帯の盛り上がりが大きく、平均所得金額以下の世帯は61.5%と、3世帯に2世帯の割合になっています。
所得300万円といったら、単純計算、月収は25万円。手取りにすると20万円ほどです。単身世帯であれば、ある程度、悠々自適に暮らしていける水準かもしれません。ただ子どもがいたり、年金暮らしの高齢者がいたりすると、そんな余裕はないでしょうか。
コロナ禍からの回復が鮮明になどと報じられていますが、「年収443万円!? そんなにもらってない!」という声がネットを中心にあふれています。平均値以下が6割強なわけですから、当然のことです。
世帯所得を上げるためにも「貯蓄から投資」を推進するが…
同調査では「生活意識」についても尋ねています。それによると、「生活が苦しい(「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計)」が53.1%。コロナ前の2019年調査から1.3ポイントほど改善しました。ただ「ゆとりがある(「ややゆとりがある」と「大変ゆとりがある」の合計」は、5.0%と前回調査から0.7ポイント減少。暮らし向きが良くなったとは言い難い状況です。また児童のいる子育て世帯では「生活が苦しい」の回答が59.2%と6割。
ゆとりを感じて生活できるのは、20世帯に1世帯。5割が生活苦を訴えている……日本人、なかなか厳しい状況下にあるといえそうです。
どうにかして所得を上げる術はないか……そこで政府が期待し、推し進めようとしているもののひとつが、「資産所得倍増」をスローガンにした「投資」。評価はさておき、先日も「少額投資非課税制度(NISA)の恒久化が必須だ」と表明した岸田首相のニューヨーク証券取引所での講演は話題になりました。
NISAには現一般、ジュニア、つみたての3つがあり、一般とジュニアは2023年まで、つみたては2042年までの制度です。2024年から一般は期限を2028年までに延長したうえで、2階建ての新NISAに移行する予定。ジュニアは2023年で廃止されます。 投資を促す制度ではありますが、期限があるため、長期間を見据えた資産形成では使い勝手には少々課題がありました。それが恒久化となると、
投資に対する心理的ハードルはさらに下がるだろうといわれています。
ただ「貯蓄から投資」の話となると、「そもそも投資の元金がない!」「まずは所得増が先だ」という議論が浮上します。前述のように、日本の家庭の中央値は年収440万円。平均以下が3分の2を占めます。確かに投資を考える余裕もない人が多く、そのようななか、「投資を!」と高らかに宣言したところで、ピンとはこないでしょう。
投資できない人が多数派……そこで「貯蓄から投資」を進めれば、さらなる格差拡大は確実という専門家も。所得増加の道のりは険しく、この先の日本では、なかなか明るい未来を描くことはできないようです。
首相をはじめとして政権を担っている人たちは、本当に国民の生活のことを理解しているのでしょうか。首相官邸と国会にばかりいるので庶民の生活の現場を見ることがなく、国民の生活がどれだけ大変なのかわかっているのでしょうか。政治家目線ではなくも国民の目線が必要なのではないでしょうか。2020年、1世帯当たりの平均所得金額は564万3,000円。高齢者世帯に限ると平均332万9,000円、高齢者世帯を含めない場合では、平均685万9,000円。さらに18歳未満の子どもがいる子育て世帯では、平均813万5,000円でした。さらにその分布をみていくと、ちょうど真ん中の“中央値”は440万円。月36万〜37万円が、日本の世帯の月よくある家計予算といったところでしょうか。手取りにすると、月28万円程度になります。手取り28万円で生活できるでしょうか。住宅ローン、家賃、光熱費、教育費(子どもがいる世帯)などはどれも結構負担になっているでしょう。所得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「300〜400万円未満」が13.4%、「200〜300万円未満」が13.3%、「100〜200万円未満」が13.1%と、所得300万円未満の世帯の盛り上がりが大きく、平均所得金額以下の世帯は61.5%と、3世帯に2世帯の割合になっています。所得300万円といったら、単純計算、月収は25万円。手取りにすると20万円ほどです。単身世帯であれば、ある程度、悠々自適に暮らしていける水準かもしれません。ただ子どもがいたり、年金暮らしの高齢者がいたりすると、そんな余裕はないでしょうか。コロナ禍からの回復が鮮明になどと報じられていますが、「年収443万円!? そんなにもらってない!」という声がネットを中心にあふれています。平均値以下が6割強なわけですから、当然のことです。3世帯に2世帯が平均所得金額以下という状況をどのように捉えるのでしょうか。子どもを産んで育てたいと思っても所得が増えなければ生活できないでしょう。ゆとりを感じて生活できるのは、20世帯に1世帯。5割が生活苦を訴えている……日本人、なかなか厳しい状況下にあるといえそうです。どうにかして所得を上げる術はないか……そこで政府が期待し、推し進めようとしているもののひとつが、「資産所得倍増」をスローガンにした「投資」。ただ「貯蓄から投資」の話となると、「そもそも投資の元金がない!」「まずは所得増が先だ」という議論が浮上します。前述のように、日本の家庭の中央値は年収440万円。平均以下が3分の2を占めます。確かに投資を考える余裕もない人が多く、そのようななか、「投資を!」と高らかに宣言したところで、ピンとはこないでしょう。投資できない人が多数派……そこで「貯蓄から投資」を進めれば、さらなる格差拡大は確実という専門家も。所得増加の道のりは険しく、この先の日本では、なかなか明るい未来を描くことはできないようです。首相が資産所得倍増をスローガンに投資を叫んでも、国民の多くは生活することが大変な状況で投資に回す余裕があるのでしょうか。政治家と国民の感覚のズレでしょう。お金に苦労しない人たちは投資する余裕があるかもしれませんが、貯蓄もできない人が多いのではないでしょうか。投資する人とできない人でさらに格差が広がってしまう可能性が高いのではないでしょうか。この先も日本が明るい未来を描くことができない現実がわかるのではないでしょうか。



