働く人たちは貧しくなっていくのでしょうか[2022年01月10日(Mon)]
幻冬舎GOLD LINE2021年11月23日付け「恐ろしい…「平均賃金引き下げ」「カット」の実態に、日本撃沈」から、先の衆議院選挙では、「最低賃金引き上げ」「現金給付」をはじめとした、日本全体の底上げが話題になりました。所得分配を掲げていた岸田文雄政権、今後の行方は? まずは、厚生労働省『令和3年 賃金引上げ等の実態に関する調査』より、日本企業の現状について見ていきましょう。
10月、各都道府県の最低賃金が更新されました。東京は28円アップの「1,041円」、神奈川も28円アップで「1,040円」となっており、働き手にとっては嬉しい改定です。
とはいえ、「自分のお給料事情は何も変わらない」「むしろ減った」という声も聞かれる日本社会。賃金の現状、世間の実情はどうなっているのでしょうか。 厚生労働省『令和3年 賃金引上げ等の実態に関する調査』によると、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」と答えた企業の割合は80.7%(前年81.5%)。一方、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は1.0%(同2.1%)、「賃金の改定を実施しない」は10.1%(同9.5%)となりました。
業種別に見ていきましょう。「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」と答えた割合が最も多かったのは、「学術研究、専門・技術サービス業」で93.7%。「不動産業、物品賃貸業」93.2%、「製造業」が90.7%と続きます。
一方、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」と答えた割合が最も多かったのは、「金融業、保険業」が10.6%。他業種に比べダントツの数値です。その後、「生活関連サービス業、娯楽業」5.4%、「宿泊業、飲食サービス業」3.1%と続きます。
「賃金の改定を実施しない」では「宿泊業、飲食サービス業」が21.5%最も高くなっており、「サービス業(他に分類されないもの)」21.3%、「運輸業、郵便業」20.8%と続きます。 1ヵ月あたりの改定額はいくらなのでしょうか。賃金を引き上げた企業について見てみると、平均賃金の改定額は「5,187円」。賃金を引き下げた企業については、「△4,995円」となっています。業種別にみると、最も改定額が高かったのは「建設業」の6,373円。「学術研究、専門・技術サービス業」5,743円、「鉱業,採石業,砂利採取業」5,733円と続きます。最も改定額が低かったのは「医療、福祉」の2,855円でした。
コロナ禍、賃金引き下げは恐ろしい言葉ですが、実際に賃金カットを行っている企業の割合は全体7.7%。対象別に見ると、「管理職のみ」は29.0%、「一般職のみ」は18.8%、「管理職と一般職」は52.1%となっています。 賃金の改定を実施、もしくは予定している企業について、最も重視した要素をみると、「企業の業績」が47.3%と最も多く、「雇用の維持」が9.0%、「労働力の確保・定着」が8.2%と続きます。
ちなみに東京都に限って見ると、令和2年7月の全常用労働者の平均賃金は、所定時間内賃金が「35万477円」、所定時間外賃金が「2万9803円」、合計で「38万280円」でした(平均年齢42.1歳、平均勤続年数11.0年)。労働組合がある企業は、ない企業と比べて所定時間内賃金が「1万1704円」高くなっています。
各国の平均賃金が右肩上がりで上昇するなか、悲しい「横ばい」を30年間も続けている日本社会。所得倍増を掲げていた岸田文雄政権ですが、政府主導の底上げは期待できるのでしょうか。業種を問わず、賃金上昇を求める声はいたるところから上がっています。
朝日新聞2021年11月23日付け「経済気象台 企業統治と勤労者の観点」から、戦後の日本は、従業員中心の会社運営を行うことで成長してきた。経営者は従業員から選ばれ、共に社会的合意を積み上げながら会社を運営してきた。
「自分のお給料事情は何も変わらない」「むしろ減った」という声も聞かれる日本社会。「賃金の改定を実施しない」では「宿泊業、飲食サービス業」が21.5%最も高くなっており、「サービス業(他に分類されないもの)」21.3%、「運輸業、郵便業」20.8%と続きます。コロナ禍で苦労している業種では賃金が上がっていないのでしょう。コロナ禍、賃金引き下げは恐ろしい言葉です。各国の平均賃金が右肩上がりで上昇するなか、悲しい「横ばい」を30年間も続けている日本社会。所得倍増を掲げていた岸田文雄政権ですが、政府主導の底上げは期待できるのでしょうか。業種を問わず、賃金上昇を求める声はいたるところから上がっています。日本の労働者が経営者に言われるまままのでしょうか。連合が労働者のもっと賃金を上げるために存在感を示さなければならないでしょう。組合の幹部たちが保身というか出世を意識して組合員の賃上げよりも経営者寄りの考え方になってしまうことはないでしょうか。トヨタは行政が良いからかもしれませんが、会社の幹部と慣れ合いになっていないでしょうか。労働者の賃上げを真剣に考えて賃上げしなければ日本の労働者は所得が増えないでしょう。戦後の日本は、従業員中心の会社運営を行うことで成長してきた。経営者は従業員から選ばれ、共に社会的合意を積み上げながら会社を運営してきた。この視点に返って経営者は従業員のことを真剣に考え自分たちの収入を減らしても従業員の収入を増やすことを考えるべきでしょうか。経営者のもう1つの視点は社会貢献でしょう。資産を社会のために還元する努力もすべきでしょう。働く人が貧しい社会に明るい未来が待っているとは言えないでしょう。
10月、各都道府県の最低賃金が更新されました。東京は28円アップの「1,041円」、神奈川も28円アップで「1,040円」となっており、働き手にとっては嬉しい改定です。
とはいえ、「自分のお給料事情は何も変わらない」「むしろ減った」という声も聞かれる日本社会。賃金の現状、世間の実情はどうなっているのでしょうか。 厚生労働省『令和3年 賃金引上げ等の実態に関する調査』によると、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」と答えた企業の割合は80.7%(前年81.5%)。一方、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は1.0%(同2.1%)、「賃金の改定を実施しない」は10.1%(同9.5%)となりました。
業種別に見ていきましょう。「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」と答えた割合が最も多かったのは、「学術研究、専門・技術サービス業」で93.7%。「不動産業、物品賃貸業」93.2%、「製造業」が90.7%と続きます。
一方、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」と答えた割合が最も多かったのは、「金融業、保険業」が10.6%。他業種に比べダントツの数値です。その後、「生活関連サービス業、娯楽業」5.4%、「宿泊業、飲食サービス業」3.1%と続きます。
「賃金の改定を実施しない」では「宿泊業、飲食サービス業」が21.5%最も高くなっており、「サービス業(他に分類されないもの)」21.3%、「運輸業、郵便業」20.8%と続きます。 1ヵ月あたりの改定額はいくらなのでしょうか。賃金を引き上げた企業について見てみると、平均賃金の改定額は「5,187円」。賃金を引き下げた企業については、「△4,995円」となっています。業種別にみると、最も改定額が高かったのは「建設業」の6,373円。「学術研究、専門・技術サービス業」5,743円、「鉱業,採石業,砂利採取業」5,733円と続きます。最も改定額が低かったのは「医療、福祉」の2,855円でした。
コロナ禍、賃金引き下げは恐ろしい言葉ですが、実際に賃金カットを行っている企業の割合は全体7.7%。対象別に見ると、「管理職のみ」は29.0%、「一般職のみ」は18.8%、「管理職と一般職」は52.1%となっています。 賃金の改定を実施、もしくは予定している企業について、最も重視した要素をみると、「企業の業績」が47.3%と最も多く、「雇用の維持」が9.0%、「労働力の確保・定着」が8.2%と続きます。
ちなみに東京都に限って見ると、令和2年7月の全常用労働者の平均賃金は、所定時間内賃金が「35万477円」、所定時間外賃金が「2万9803円」、合計で「38万280円」でした(平均年齢42.1歳、平均勤続年数11.0年)。労働組合がある企業は、ない企業と比べて所定時間内賃金が「1万1704円」高くなっています。
各国の平均賃金が右肩上がりで上昇するなか、悲しい「横ばい」を30年間も続けている日本社会。所得倍増を掲げていた岸田文雄政権ですが、政府主導の底上げは期待できるのでしょうか。業種を問わず、賃金上昇を求める声はいたるところから上がっています。
朝日新聞2021年11月23日付け「経済気象台 企業統治と勤労者の観点」から、戦後の日本は、従業員中心の会社運営を行うことで成長してきた。経営者は従業員から選ばれ、共に社会的合意を積み上げながら会社を運営してきた。
「自分のお給料事情は何も変わらない」「むしろ減った」という声も聞かれる日本社会。「賃金の改定を実施しない」では「宿泊業、飲食サービス業」が21.5%最も高くなっており、「サービス業(他に分類されないもの)」21.3%、「運輸業、郵便業」20.8%と続きます。コロナ禍で苦労している業種では賃金が上がっていないのでしょう。コロナ禍、賃金引き下げは恐ろしい言葉です。各国の平均賃金が右肩上がりで上昇するなか、悲しい「横ばい」を30年間も続けている日本社会。所得倍増を掲げていた岸田文雄政権ですが、政府主導の底上げは期待できるのでしょうか。業種を問わず、賃金上昇を求める声はいたるところから上がっています。日本の労働者が経営者に言われるまままのでしょうか。連合が労働者のもっと賃金を上げるために存在感を示さなければならないでしょう。組合の幹部たちが保身というか出世を意識して組合員の賃上げよりも経営者寄りの考え方になってしまうことはないでしょうか。トヨタは行政が良いからかもしれませんが、会社の幹部と慣れ合いになっていないでしょうか。労働者の賃上げを真剣に考えて賃上げしなければ日本の労働者は所得が増えないでしょう。戦後の日本は、従業員中心の会社運営を行うことで成長してきた。経営者は従業員から選ばれ、共に社会的合意を積み上げながら会社を運営してきた。この視点に返って経営者は従業員のことを真剣に考え自分たちの収入を減らしても従業員の収入を増やすことを考えるべきでしょうか。経営者のもう1つの視点は社会貢献でしょう。資産を社会のために還元する努力もすべきでしょう。働く人が貧しい社会に明るい未来が待っているとは言えないでしょう。