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外国人が見た日本の観光業の問題点を真剣に受け止めるべきでは[2019年08月26日(Mon)]
 東洋経済2019年5月23日付け「日本の観光地はなぜ「これほどお粗末」なのか」から、人口が増えていた時代の旅行のほとんどは国内旅行でした。そのため、滞在日数も短く、ゴールデンウィークや夏休みなどの特定の期間にお客さんが集中する一方、それ以外の季節はあまり人が集まらず、閑散期の長い非効率な業界でもありました。一方、繁忙期には黙っていてもお客さんが集まります。この2つの要因によって、当時は個々の観光資源に付加価値をつけるというインセンティブが働かず、観光地としての整備レベルが相対的に低いまま放置されていました。当然、お客さんの満足度も決して高くはなかったはずですが、それすら「当たり前のこと」として見逃されていました。
 要するに、単価が低くても、数の原理で売り上げを増やせばいいというビジネスモデルだったと言えます。厳しい言い方をすれば「安易な稼ぎ方」でした。ビジネスモデルを時代に合わせられないのですから、必然的に衰退の一途をたどるというのが、日本国内の多くの観光地が陥った悪循環です。時代の変化によって、ビジネスモデルが崩壊してしまったのです。この状態は、まさに、生産性の低い業界や会社が陥る典型的な「負のスパイラル」です。
 国内を中心とした、「整備より、とりあえず多くの人に来てもらえばいい」というモデルからすると、当然、「観光施策=情報発信」が観光戦略の基本となります。なぜ観光収入8兆円の達成が難しいのか、その理由の根っこには、いまだに日本に根付いている、この「観光施策=情報発信」という昭和時代のマインドがあります。誰も見ていないホームページの開設や観光動画の掲載、誰もフォローしていないFacebookでの情報発信、ゆるキャラやキャッチコピーを使ったブランディング、交通機関頼みのデスティネーションキャンペーンなど、昭和時代のマインドのまま展開されている情報発信の事例は枚挙にいとまがありません。
 ちなみに、世界遺産、日本遺産、国宝、重要文化財に登録されるなど、お墨付きさえもらえれば人が来ると期待するのも、同様に昭和時代のマインドです。日本の文化財は点々と存在して説明も少ないので、本来の歴史・文化のストーリーを整備して、その歴史・文化を見える化して、解説案内板やガイドさんを整備するための事業でした。文化財をただの建物として見るのではなく、その文化財をより深く理解してもらうための企画でした。
 何をしているかというと、とんでもないお金をかけて作った動画や集客につながらないことがほぼ確実なSNS、誰も見ないホームページ、NHKで紹介されたことなどを誇っています。本当にお粗末です。各日本遺産のホームページを検索してもらえばわかりますが、情報はほとんどなく、写真が数枚、説明が数行だけというところも少なくありません。Wikipediaのほうがよっぽど充実しています。「とりあえず情報発信をしておけば、外国人が見てくれて、たくさんの人が来る」という妄想を、観光業に携わっている多くの人が抱いているように思わざるをえません。ホームページを作ったものの、英語のページは自動翻訳の結果をそのまま使っているのか、何が書いてあるのか意味不明で、何の役にも立たないといったケースを目にすることが多々あります。
 すばらしい出来の動画が掲載されているのですが、撮影された場所が立ち入り禁止だったり、一般の人には未公開だったり、行こうにも交通機関がまるでなかったり、泊まる場所もまったくない場所だったり、夕方5時になると真っ暗になる街中だったり……。
 こんなものを見せられても、観光客が持続的に集まるわけがありません。これは、地元の魅力に酔いしれ、どうしても魅力的に見せたいという自分たちの願望が優先され、相手の外国人のことを考えていないことの表れです。
 歴史的な事実があっても、それを実感できるものが何も整備されていないようでは、外国人観光客を満足させることはできません。日本人であれば「何々の跡」という石碑をありがたがって足を運ぶ人もいるかもしれませんが、時間もお金も日本人の何倍、何十倍もかけてやってくる多くの外国人にとっては、石碑はただの石でしかなく、それほど魅力のあるものではありません。
 日本で観光業に携わっている人に対して、声を大にして言いたい。重要なのは、まず観光地としての十分な整備をし、インフラを整えることです。情報発信はその後で十分です。道路表記はない、文化財の説明も多言語化していない、二次交通もなければ、十分な宿泊施設もない。各観光資源の連携もできていないのに、情報発信だけはしている。こんな観光地が日本中にあふれかえっています。
 今はネットの普及によって、観光資源の魅力があれば勝手に口コミで広がってくれるので、昔のように観光地が情報発信する必要性が薄れています。まずは地域の可能性を探り、どういった観光資源をいかに整備し、どういう観光地開発をするかを決めるのが先決です。やるべきことはたくさんあります。泊まる場所の確保、文化財ならば多言語対応、自然体験コースづくり、カフェや夜のバーなど飲食店の整備、それに交通手段の確保、各観光資源の連携。わかりやすい道路表記や、お昼のレストラン、文化体験、案内所などなど、整備しなくてはいけないことは山ほどあります。
 個別の整備もぬかりないようにしなくてはいけません。例えば、多言語対応は完璧を期すべきです。英語であれば、英語圏のネイテイブが書かなくてはいけません。日本語を英語に「翻訳する」だけでは、訪日客を満足させることはできません。ほとんどの外国人は日本の歴史や文化に関する基礎知識が乏しいので、それもわかりやすく、面白く説明する必要があります。日本について学ぶことは、彼らにとって日本に来る重要な楽しみの1つなので、丁寧にやらなくてはいけません。外国人の満足は、地方の利益に直結していることを、観光業に携わる人にはぜひ肝に銘じてほしいと思います。せっかく来てもらった観光客に十分なお金を落としてもらわないと、観光戦略の意味がないのです。
 たいした金額を落とさない観光客がたくさん来ても、それは単なる観光公害でしかありません。今までの誘致人数主義を1日も早くやめて、稼ぐ戦略を実行するべきです。稼ぐ戦略に必要なのは間違いなく、本稿で説明してきた着地型の整備です。006.JPG

 日本のこれからの観光業の可能性を探るためには、率直で本音の指摘を真摯に受け止める必要があるのではないでしょうか。観光業として考えるならば安易な稼ぎ方から脱却する必要があるということを学ばなければならないでしょう。情報発信すればお客さんが来てくれる、世界遺産、日本遺産、国宝、重要文化財に登録されるなど、お墨付きさえもらえれば人が来ると期待することが問題なのでしょうか。とんでもないお金をかけて作った動画や集客につながらないことがほぼ確実なSNS、誰も見ないホームページ、NHKで紹介されたことなどを誇っているだけではお客さんが訪れてくれなくなってしまうかもしれないと理解しなければならないのでしょう。すばらしい出来の動画が掲載されているのですが、撮影された場所が立ち入り禁止だったり、一般の人には未公開だったり、行こうにも交通機関がまるでなかったり、泊まる場所もまったくない場所だったり、夕方5時になると真っ暗になる街中だったりという具合に、掲げて思う理想と困っている人たちの現実にギャップがあるという指摘は当たっているのではないでしょうか。ほとんどの外国人は日本の歴史や文化に関する基礎知識が乏しいので、それもわかりやすく、面白く説明する必要があります。日本について学ぶことは、彼らにとって日本に来る重要な楽しみの1つなので、丁寧にやらなくてはいけません。今までの誘致人数主義を1日も早くやめて、稼ぐ戦略を実行するべきです。稼ぐ戦略に必要なのは間違いなく、本稿で説明してきた着地型の整備です。このような本音で問題点を指摘してもらっているからには真剣に受け止め今後の観光業のあり方を考える必要があるのではないでしょうか。004.JPG
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