CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

2019年10月30日

佐野図書館開館20周年記念講演会

新元号「令和」と万葉集 〜うめ、契沖、庭〜
「万葉集」研究の第一人者である奈良大学文学部の上野誠教授は、元号「令和」の出典元が発表されるや、様々なメディアにひっぱりだこに…。歌に詠まれた情景を親しみやすい言葉で詳しく解説してくれました。

タイトル・人.png

■日時 2019年9月29日(日) 13:00〜
■場所 ひたちなか市立佐野図書館 視聴覚室


中国の皇帝が理想とする政治を表した漢字が起源であり、かつてはアジアで広く使用されていた元号ですが、現在は日本だけの制度に。「これから新しくどのような時代が来るのか、希望を込めて名付けています。子どもの名付けと一緒ですよね」と上野教授。

〜新元号の出典元である万葉集「梅花宴序」とは〜
天平2年正月13日、大宰府にある大伴旅人宅の花見の宴で、咲き誇る「梅」をお題に32首の短歌を詠みました。それがどのように詠まれたか、その背景を描写する序文が「梅花宴序」です。(万葉集二十巻のうち、巻五より)

会場2.png 板書.png

ここで、漢文で書かれた「梅花宴序」を書き下した文章を基に丁寧に説明してくれます。
初春の“めでたき良い(=令)”月の天気が良く風もやさしい(=和らぐ)日だったといういう意味の「初春令月、気淑風和」が“令和”に採用された部分。香り高い純白の梅が咲き誇り、空や雲、鳥の飛ぶ姿まで全てに心が洗われるような風景が広がる大地の上で、気の合った仲間たちと膝を交えて酒杯を飛ばしあって酒を飲んだと記されているそうです。

酒.png 着物袷.png

「“酒杯を飛ばしあって”とありますが、こんなふうに右に左に酒杯が行き交うことで、人と人との縁もつなぐわけですね」と檀上のコップで見せてくれます。「上司部下といった関係も超え、襟を開くほど心からくつろぎ、言葉が無くてもお互いの心が通い合うような満ち足りた状態だと言っています。“令和”にも天の恵みが受けられるように、地域が元気になるように、そして一人ひとりが幸せに、仲良く平和に暮らす時代になってほしい」という願いが込められているのではないかと話してくれました。

タイトル・人.png 令和.png

また、「万葉集が今に読み継がれることができたのは、水戸藩の財力のおかげ」と話す上野教授。徳川光圀の命を受け、“契沖”が執筆した「万葉代匠記」は、短歌が詠まれた背景を詳細に研究し、注釈を加えたもので、後世の万葉集研究の基礎となったそうです。当時は貴重であった外来植物の梅を皆で愛でようと、“民と偕(とも)に楽しむ庭”と命名した偕楽園を作ったのは斉昭。「庭とは皆が集まって学ぶところ。そこで古典研究が進んだんです」と話してくれました。

最後に「万葉集の一番好きな歌を朗々と歌ってほしい」とお願いされ、「万葉集」巻十五の『遣新羅使』を歌ってくれた上野教授。身振り手振りを交え、楽しく解説してくれたおかげで、万葉集がなんだか身近なものに感じたこの日、会場から惜しみない拍手が送られていました。
(文責:E)
この記事へのコメント
コメントを書く
トラックバックの受付は終了しました

この記事へのトラックバック