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NPOの情報開示&助成の最適化をすすめるブログ

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日本における助成の最適化と、NPOの情報開示の拡充に向けて
調査・研究を行い、提言を行っています。
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(1)「NPOへの資金提供・助成の最適化に関する調査報告書」
(2)「助成事業の成果向上と、事務の効率化・負担軽減に関する
調査報告書」
(3)「助成申請書の団体基本情報に関する、地域規模・全国規模
助成の比較調査報告書」
は、すべて売り切れとなりましたが、(1)と(3)につきましては、
隔月刊誌「NPOマネジメント」
https://blog.canpan.info/npomanagement/
に、概要をまとめた記事を掲載しております。

(1)は、第52号・第53号「助成する側・される側が『伝わりあう
関係』になるために〜『NPOへの資金提供・助成の最適化に
関する調査』報告(前編)・(後編)」
(3)は第62号「助成申請書の団体基本情報に関する、地域
規模・全国規模助成の比較調査」

その他、関連記事として、第47号「助成申請書および報告書の
設問に関する調査報告『信頼と支援を得る情報開示項目とは?』」
もぜひご覧ください。

★なお、PDFデータ版は、
DL-MARKETのサイトからご購入いただけます。
内容は冊子版とまったく同じで、プリントアウトも可能です。
ぜひ、ご利用ください。


1月17日【新潟】「NPOと助成機関のための助成金講座:記録 [2008年01月30日(Wed)]
先般新潟にて開催されましたセミナーの記録をお届けします。

■■■セミナー記録■■■

「NPOと助成機関のための助成金講座
〜申請書に“書くチカラ”と“書かせるチカラ”のUPをめざす〜 」

日時:平成20年1月17日(木) 13:30 〜 17:00
会場:新潟県消費生活センター研修室
参加者数:44名

発表者(発表順):
IIHOE 代表 川北秀人、客員研究員 赤澤清孝
日本財団 荻上健太郎氏
地元助成機関の具体事例紹介
 中村 昇氏((財)新潟県勤労者福祉厚生財団 事務局次長)
 長崎 忍氏(新潟コミュニティ・バンク 事務局長)


【内容】
まず、IIHOE代表の川北秀人と研究員・赤澤清孝より、
全国助成プログラム調査の経緯と現状、結果報告をしました。

ここでは、NPOに資金提供を行う財団や企業の数はこの10年で
2倍、金額では3倍になっていることから、不足しているのは
「寄付文化」ではなく、助成金を含む「寄付をお願いする文化」。

よって、資金不足に悩むNPOが未だ多いその背景には、
資金提供者とのコミュニケーションの齟齬が大きく起因している
との考えから「助成の最適化」と「コミュニケーション不全の解消」を
図るべく、全国91の助成機関、計133のプログラムを対象に
募集要項に関する調査を実施、先にアンケート調査を行ったNPO側の
意見との比較を実施。

また申請書内の設問項目の有無と調査基準との連動性についても併せて
調べた結果として、
@助成基準を満たさない申請を減らすためには募集要項の審査基準を
明確にし、それと申請書の設問事項がどう関連するのかも明示すること、
NPOには
Aそれらを読み解く力を付け、自分達に適した助成金に対し、効率よく
申請できるようにすること、更に、
B基本的な団体情報を書くのに時間を掛けることのないよう普段から
準備しておくこと
などを提案しました。

引き続き日本財団の荻上健太郎氏から、
「1.なぜ助成金や寄付などの支援が集まらないのか」
「2.データベースへの登録依頼、本当にメリットはあるのか」
「3.ITの進化で公益活動は情報面ではどう変わったのか」という観点から
CANPANの説明があり、日本公益図書館、公益ショップ、地域・テーマ
公益ポータル、CSRプラスの構想が紹介されました。


休憩後、地元助成機関の具体事例紹介として、
(財)新潟県勤労者福祉厚生財団の中村昇事務局次長と、
新潟コミュニティ・バンクの長崎忍事務局長から、
団体設立の趣旨と経緯、NPOに対する助成と融資への思いが語られました。

中村氏は、@必要性、A社会性、B先駆性、C継続性、D期日までに
助成の成果が見込まれること、が同率配分で採点されていることを
明かし、選考に漏れる団体は申請額の収支予算に誤差があることや、
「助成されない場合どうするか?」の問にきちんと回答できないといった
『助成金ありき』での事業計画が多いこと、

更に、締切直前に届く申請書や文字数や別添書類が多すぎるものは、
審査員の目には優位に働かない可能性が大きいことについて
示唆をいただきました。


一方、長崎氏は団体の性質から、あくまでも出資者に対する融資である
非営利バンクの仕組みや、これが融資先だけで終わらない地域への
効果を説明。
また多くの助成金審査員の経験から、
「自団体の特徴の把握は勿論、大切な人へ手紙を書くようなつもりで、
利他心を持って思いを伝えるように」とアドバイスをいただきました。

【事例発表の様子】


終盤はグループワークを実施。
調査結果にある審査基準項目から、助成する側のグループには
「もっと精度を上げた記述がほしい部分」を、申請する側には「設問の意味や
その表現が難しい部分」をそれぞれ2項目づつ挙げる作業を行いました。

助成する側は「効果」と「必要性」を挙げ、往々にして曖昧な表現が目立つ
こと、申請書からしかその団体を判断・評価できないため、
「なぜそう思うのか?」の問い掛けには自分達の言葉で具体的に答えて
ほしいとの意見を述べられました。

これに対し、申請する側で最も多かったのは「自己資金調達度」。
資金がないからこその申請にこれ以上どう表現したら良いのか分からない
というのがその理由でした。
次いで「緊急性」「参加性」「波及効果」「必要性」「先駆性」の順。
特に「緊急性」と「先駆性」については、災害救援などの急を要する事業
でもなく、どの地域でも行っている活動であれば表現の仕様がないと、
切実な意見に頷く参加者が多かったようです。

【グループワークの様子】


グループワークのコーディネートを務めたIIHOE川北より、
「「具体性」とは“事業そのものの詳細”を意味するのではなく
“その事業によって生まれる効果”を聞いている。事業後に望む姿を漠然と
表現したのでは審査側の心に響かない。」

「効果を見せるには同様の事業を調査し比較する数値化を。
「団体情報」は団体の自己紹介で言わば履歴書のようなもの。
基本情報が常時公開されていれば申請時に慌て、余計な手間や時間を
割かれることもない。」

また、「締切間際に提出するような「ぎりぎり星人」は「全部自分でやる星人」
が多い。作業分担は効率化だけでなく、他の目からのチェック機能も果たす
ため、一人で抱え込まないことが最適化への道だ」

と総括しました。

■■■以上です。
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