松山:セミナー記録です
[2007年04月07日(Sat)]
〜資金提供側が知りたい情報とは〜
NPOの情報開示のあり方を探る「信頼を生む情報開示って?」実施記録
NPOの情報開示のあり方を探る「信頼を生む情報開示って?」実施記録
【日 時】2007年3月15日(木)13:30〜17:00
【会 場】コムズ(松山市三番町6丁目4-20)4階視聴覚室
【主 催】NPO法人 えひめNPOセンター
【参加者】20人(NPOスタッフ15人、中間支援関係3人、企業1人、マスコミ1人)
【報告者】川北秀人(IIHOE代表)、赤澤清孝(IIHOE客員研究員)、
荻上健太郎(日本財団)、山本早千奈氏(松山市市民参画まちづくり課)
【タイムテーブル】
13:30〜13:40 開会挨拶(えひめNPOセンター 代表理事 菊池修さん)
13:40〜14:00 「助成申請書および報告書の設問に関する調査」とセミナーの趣旨説明(川北)
14:00〜14:40 「助成申請書および報告書の設問に関する調査」報告(赤澤)
14:40〜15:10 参加者個人ワーク、質問・感想出し
15:10〜15:20 休憩
15:20〜15:40 松山市市民活動推進基金の情報開示(山本さん)
15:40〜16:20 CANPANの紹介(荻上)
16:20〜17:00 意見交換、参加者の質問への回答(川北・赤澤・荻上・菊池)
【内 容】
(1)開会挨拶(えひめNPOセンター 代表理事 菊池修さん)
市民活動団体自身の情報の「何を」、「どのように」開示していったら効果的なのか、ヒントや具体的なアイディアを持ち帰ってもらいたい。
(2)「助成申請書および報告書の設問に関する調査」の趣旨説明(川北)
ネット上などにNPOの情報はあるが、資金提供する相手が求めている情報と、団体が開示したい情報は一致しているとはいえないのでは?お金を出す行為にNPOが必要最小限提供すべき情報は何かを探るために、助成機関がNPOに求めている書式を基に「助成申請書および報告書の設問に関する調査」を実施した。
(3)「助成申請書および報告書の設問に関する調査」報告(赤澤)
53機関、81プログラムの「募集要項」、「助成申請用紙」、「報告書」(報告書については62プログラム)を入手し、各設問項目の有無を集計し、分析を行った。(詳細は報告書のとおり)
また、調査結果を踏まえて「情報開示7つのポイント」を提案した。
(4)参加者個人ワーク、質問・感想出し
◆報告書P.5〜7の助成申請書・報告書の設問項目一覧(多数順)に、@すぐに出せる情報、Aちょっと調べたら出せる情報を、参加者各自がチェック。
◇問題提起:日ごろから基本的な情報が整理され、どこに集約されているかが把握されているだろうか。
◆事例紹介:せんだいみやぎNPOセンターのNPO情報ライブラリーで開示されている情報の例。このシステムで企業側はどの団体にどこから何が支給されたかの実績を知ることができ、自らのNPO支援の方策にも活かすことができている。NPO側は、資源を提供する側にとって必要な情報は何かについて考えてみて欲しい。
◆4つのグループ(団体の経験年数で3グループ、同じ団体からの参加者3人(団体の方針をこの機会に検討するため)+行政・マスコミのグループ)に別れ、報告を聞いての質問・感想を出し合ったのち、全体で共有。
・開示する情報の質がポイントになるのでは?
・ニーズの緊急性をアピールする技術を知りたい。
・NPOの開示する情報量は増えているが、届いていないのでは。
・情報は開示できる準備があるが、出し難い。どうすれば、刺さる情報(相手にちゃんと届く)か。
・短いフレーズ(申請書の書式の制約)の中でどう自分たちのことを伝えるか。情報開示の意欲はあるのだが、情報量が多く、すぐにフォームにしにくい。
・団体の基本情報はどのように管理しているのか?
・団体として公表できない情報(被害者支援・DVなど)の役員名簿等の公表は必要?
・複数の助成機関の書式が違う。知りたい情報の優先順位は?
・既存の情報インフラ(県のボランティアネットなど)の有効活用を考えたい。
・落ちた理由を知りたい。
・自己資金を求める理由は?
・申請書以外の情報をリサーチすることがあるのか。
・せんだい・みやぎのHPのヒット数は?
・基本情報を整備しておくことの必要性と大切さを知った。
(5)松山市市民活動推進基金における情報開示(山本)
・松山市NPO登録の特典の説明、フォーマットの現状報告。
(6)CANPANの紹介(荻上)
・日本財団が公益促進のために提供する情報インフラ支援:CANPANの機能、メリットの解説。
・団体の履歴書的に情報を開示することができ、それがおなじ土俵にそろうことによって、四季報的な役割を果たすことができる。公益に関心の高い層がアクセスしてくるので、ヒット率が高いことが期待できる。
・団体の基本情報に加え、事業実績、成果(日本財団図書館にアップ)、財務情報、動的情報(ブログ)、静的情報(団体のHPにリンク)、さらには物販・決済機能の提供など、各種の情報を開示することができ、利用者が必要に応じた部分からアクセスできる。
・日本財団はインターネットでの申請を受け付けている。団体情報は登録しておけば、データで共有されるので、日本財団の他の助成プログラムに申請する場合は、事業の情報だけ提出すればよいというしくみになっている。このシステムを他の助成機関とも共有していければ、NPO、助成機関ともに事務負担の軽減になるのでは。
・全国の団体情報が登録される状況だが、それを地域のページのイメージで表示することも可能に。地域の中間支援組織と連携して、登録と更新を進めていきたい。
(7)意見交換:参加者の質問への回答(川北・赤澤・荻上・菊池)
◆開示する情報の質を高めるには?
・質=見せ方ともいえる。わかりやすさ、人に伝えられるかどうか。
・覚えてもらいやすくする工夫=相手に何を覚えて欲しいかを意識する必要がある。
・端的に示す。
◆緊急性のアピールをどう伝えるか
・使用前/使用後について示す。いつまでにしないとどうなるかを、具体的に伝える。形容詞ではなく、データや写真が有効。
・現状を把握し、達成したい状況=夢を実現するために、どのような事業をするか。この事業でどこまでやりたいのかを示す。
◆情報は開示できるが、相手に刺さらない(伝わらない)
・活動記録(=before)をもっと活用しては。“変化”を伝えること。自分たち自身が把握できていないのでは。
・必要性=ニーズ、有効性=できる力を伝える。
・現場を再現し、「この地域では○○が必要である」を具体的に書く。
■ふりかえり
・最後の意見交換では、参加者の質問に話題提供者(=助成金の審査経験者)が豊富な経験から回答するという形で、助成審査の実情に迫る内容となった。興味深かったとの声もあったが、参加者との意見交換にまで進む時間がとれず、松山市の事例やCANPANの機能など、情報開示のインフラ整備についての考察に及ばなかったことが残念だった。
・CANPANの活用の意欲は高いようなので、フォローアップの体制が課題と感じた。
以上です。