現在 約
1万、資産総額:約
1.4兆ドルのヘッジファンドが存在する。
毎年、約20%の増加率を続けている。
投資手法別には現在のところ約13に分けられる。
@
Aggressive Growth(急成長株投資)〜リスク:高
中小企業のように無配か低配当株で、一株利益の急成長が見込まれる会社の株式に投資する一方、利益成長の悪い企業の株式や株価指数を空売りして、リスクヘッジをする投資手法。空売りによる売り持ちより買い持ちに重点投資する場合が多い。
A
Distressed Securities(超割安投資)〜リスク:低―中
倒産危機、再編の必要性に迫られている企業の株式、債券、手形に超割安で投資し、実体価値と市場価格との格差から利益を得る手法。
B
Emerging Markets(発展途上国投資)〜リスク:非常に高
市場の値動きの激しい発展途上国の株式、債券へ投資する手法。
C
Income(インカム投資)〜リスク:低
値上がり収入ではなく、確定利付き証券の利息収入をメインの目的として投資する。
借り入れやデリバティブを使って価格の上昇や利息収入の増大からリターンをアップさせる。
D
Macro(マクロ経済投資)〜リスク:非常に高
世界経済の変化からリターンを得ようとする。典型的なものは通貨、株式、債券市場に影響を与える金利動向を動かす国の政策の変化に投資する。
投資対象は必ずしも同時にではないが、株式、債券、通貨、商品あらゆる市場のリターンを高めるために借り入れ、デリバティブを使う。
パフォーマンスにもっともインパクトがあるのは借り入れによる投資額の増大である。
E
Market Neutral-Arbitrage(マーケットニュートラル投資ー鞘取り)〜リスク:低
同じ発行体の異なった証券を組み入れることによって、市場リスクのほとんどをなくすことを目的とする。たとえば転換社債を買いもちする一方、株式を空売りする。また金利リスクをなくすために先物も使う。これによって、株式とも債券とも相関関係をほとんど持たないリターンを得ることのみを追求する。
この範疇のRelative Value Strategies(相対価値投資戦略)と呼ばれるものには確定利付き証券鞘取り取引、抵当証券鞘取り取引、資本構造鞘取り取引、クローズド投信鞘取り取引などがある。
F
Market Neutral-Securities Hedging(マーケットニュートラルー証券ヘッジ取引)〜リスク:低
同じセクターの発行体の株式を同額、買いもちと空売りを行う。市場リスクはほとんどなくなるが、いい結果を出すには効果的な分析と選別が不可欠。借り入れによってリターンの増幅をはかる。
市場との相関関係もほとんどなくなるが、場合によっては市場指数の先物を使い、市場リスクを完全になくす。
ベンチマークは米短期財務省証券のリターンである。
G
Market Timing(マーケットタイミング投資)〜リスク:高
ファンドマネージャーの経済、市場見通しに基づいて、資金を各種の資産に配分して運用する。ポートフォリオ配分の重点を大きく動かすことによって常に高い、プラスのリターンを狙う。市場動向は予測が難しく、買いと売りのタイミングも難しいのでリスクは大きくなる。
H
Event-Driven(イベントドリブン投資)〜リスク:テーマによる
IPO、予想外の悪い決算発表による突然の株価下落、敵対的買収などのイベントからリターンを生み出そうとする。あらゆる投資手法を使う。
I
Multi Strategy(マルチ戦略)〜リスク:手法による
ここにあげたような各種の投資手法を組み合わせて、長期的にも短期的にもリターンをあげようとする。
システム取引、高度な技術を使った投資手法を組み合わせる。
各種の投資手法のウェイトを変化させて、現状の投資環境に合わせる。
J
Short Selling(空売り戦略)〜リスク:非常に高
時価よりも安い価格で買い戻せるという分析の基に、空売りする手法。
買いもち方針のポートフォリオのヘッジとして使われることも多い。
K
Special Situations〜リスク:中
合併、敵対的買収、企業再編、借り入れによる買収などに際して、買収先の株式を買う一方、同時に買収元の株式を売って、鞘を稼ぐ。
デリバティブを使ってリターンを増幅させたり、金利リスク、市場リスクをなくすことも行う。リターンは市場の動向に左右されない。
L
Value(バリュー投資)〜リスク:低〜中
実態価値よりも超格安に放置されている会社の株式に投資する。
実態価値がマーケットに認知され、株価が見直されるまで長期保有、忍耐、強い規律が要求される。
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稲葉 喜一 Y&Yコンサルティング 代表
http://www.yay.co.jp/
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