昨今、世界的に不動産投資商品としてREITという証券化商品が急成長しています。今後もさらに多くの国が導入を計画しており、ますます広がりを見せるでしょう。
その背景には世界的に見られる次のような要因があります。
1. 世界の投資家は、ここ数年の株式市場の低いリターンに満足していない
2. また、低インフレの中で、債券投資のリターンも低い
3. 人口の高齢化で、年金不足が心配され、それを補う商品が求められる。
〔T〕REITとは
REIT(Real Estate Investment Trust)とは小口投資家でも各種の不動産に投資できるようにした商品です。
形式には信託型と会社型の二つがありますが、日米とも多くは会社型で上場されています。株式と同じように証券取引所に上場され、証券会社を通じて売買が可能です。このほか社債の発行を行うこともあります。このほか銀行など金融機関から融資を受けることもあります。
このようにして証券市場を通じて投資家から集めた資金と銀行など金融機関から借り入れた資金を、オフィスビルを始めとする不動産などに投資し、売買益や賃借料などの収益を投資口を購入した投資家に分配する形態をとります。
信託を導管(SPVと呼ばれる)として二重課税を回避する仕組みをとっています。
われわれ日本人は証券投資よりも不動産投資の方が馴染み深かったです。
しかし、従来の不動産投資にはいろいろ欠点があったが、証券化によるREIT登場のおかげで証券投資と同様に手軽にできるようになりました。
REITは1960年にアメリカ合衆国で、また日本では2001年に導入されました。
日本におけるREIT市場は2001年に2銘柄でスタートし、その後ほぼ順調に拡大し、2007年2月末現在で41銘柄、時価総額は5兆円に達しています。
世界のREIT市場(国別上場数、時価総額)
1.米国 190 47兆3,800億円
2.オーストラリア 67 12兆800億円
3. フランス 29 5兆5,700億円
4. 日本 39 4兆円
5. カナダ 31 2兆8,400億円
6. オランダ 8 2兆6,600億円
7. シンガポール 13 1兆3,100億円
計 377 (2006年9月末)
以上が代表的なREITが上場されている国とその上場数です。世界では450社ほど上場しています。
日本は時価総額の規模で、米国、豪州、フランスに次ぐ規模になっていますが、対GDP比ではシンガポールや香港等よりも依然低い水準にあり、今後も市場拡大の余地は大きいものとみられています。
欧州は出遅れており、2007年に入ってイギリスで解禁となり、このあと、ドイツ・イタリアと続く予定です。
このような海外のREITを利用して、海外の不動産投資も気軽に出来ます。
次回は「REITのメリット」について説明します。
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稲葉 喜一 Y&Yコンサルティング 代表
http://www.yay.co.jp/
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