


月乃さんが講演などをするときはいつもこのパジャマ姿なのだそうです。
このパジャマは月乃さんが何年間も家にひきこもっていた間、ずっと着ていたものだそうで、
イライラして引きちぎったり、ずっと着ていて痛んだりしたのをお母さんが繕ってくれたそう。
そのときのことを忘れないために今も着続けているのでしょう。
さまざまな苦悩を経験し、精神病院に3度入院した月乃さんは、
退院後、アルコール依存症の自助グループにつながり、最初は週5回通ったそうです。
なぜかというと「お酒を飲みたい」と思ったときに、
その気持ちを話すことのできる場があると、飲みたい気持ちを抑えることができたからだそうです。
そして、人とのつながりの中で快復していったそうです。
23歳から現在(54歳)にいたるまでお酒は1滴も飲んでないそうです。
田代まさしさんとも交流があるそうですが、
何かしらの依存症になる人はまじめで繊細、そして孤独。
そして生きていくためになにかに依存する。
薬物依存する女性の7割には何らかのDV体験や性被害の体験があるそうです。
薬物で逮捕され、懲役に服したら人とのつながりが切れてしまう。
そうしたら快復どころか、逆に事態はもっと悪くなる。
月乃さんがもっともたくさん使っていた言葉は「自己開示」でした。
自分の経験を話すのには勇気がいる。プライドもある。
でも開示することによって癒やされていく。
もちろんどんな場でもいいわけじゃなくて、ちゃんと受け入れてくれる場、相手も開示してくれる場。
そういうときにもっともいいのは自助グループ。
そして「仲間」という言葉もたくさん使っていました。
自助グループではお互いのことを「仲間」と呼ぶそう。
月乃さんは最初は「嘘くさくて嫌だな」と思ったそうだけど、今はその言葉に救われているそうです。
月乃さんはときどき自作の詩を朗読し、ときには絶叫します。
ちょっとびっくりするけれど、月乃さんの気持ちが強く伝わってきてに涙が出るほど感動しました。
(↓YoutubeにたくさんUPされているので、興味のある方は見てみてください)
質疑応答の時間には、お子さんの依存症に悩む親御さんや
精神障害や生きづらさを持つ当事者の方からたくさん質問が出ました。
どの質問にも丁寧に的確に敬意をもって答えられていたのが印象的でした。
月乃さんは今でも「今日1日お酒を飲まなかった」ということを続けているという気持ちだそうです。
飲んでしまったらまた依存症になってしまうと思うそうです。
自助グループには今も通われています。
今は会社員として働き、ご結婚もされ、お子さんもいるそうですが、当事者であるという意識は変わっていない。
そういうちょっと先を行く当事者のお話は、同じような経験をした人にはとても励みになるだろうと思いました。