<スクールソーシャルワーカーとは?>「スクールソーシャルワーカー」という名前を聞いた方も多くなっていると思います。
「スクールソーシャルワーカー」という資格があるわけではありません。
「私はスクールソーシャルワーカーです」と名乗れば誰でも名乗れる、いわば自称です。
2008年度に文科省が「スクールソーシャルワーカー配置事業(のちの活用事業)」を始め、にわかにスクールソーシャルワーカーもどきが全国に誕生しました。
スクールソーシャルワークの本来の意味は違いますが、文科省の事業では、スクールソーシャルワーカーは「不登校の子どもたちを学校に戻すため」のものとしてスタートしました。
沖縄県も例外ではなく、不登校対策としてのスクールソーシャルワーク活用になっています。
スクールソーシャルワーカーは家庭訪問が大きな仕事になっており、その家庭訪問が不登校をしている子どもたちにどのような影響をもたらすかについて、このブログでも記事を書いてきました。
実際の家庭訪問がどのように行われているかはわからないため、定期的にスクールソーシャルワーカー(以下SSWr)事業の報告書を開示請求し、その情報から状況を確認するという作業を続けています。
2012年度分の公文書の宜野湾市教育委員会のSSWrの報告書を見ていたら、実習生がケース会議に参加しているという文言が見つかり、更に家庭訪問に同行している事がわかりました。
そもそも子どもが不登校をしているという時に、必要なのは十分休む事と十分休んだ後に子ども本人が学ぶ環境作りであり、そこに教育委員会から派遣された人の介入は必要ありません。
必要ないどころかむしろ邪魔であり、介入されることによりさらに親子関係が悪化する事も考えられます。
それなのに家庭訪問に実習生が同行しているというのは、子どもたちの事をあまりにも軽く考えているのではないかと思います。
そのようなわけで、いったい実習生とはどういうもので、何が起きているのかを調べましたので、現在わかっている情報をこのブログに書きたいと思います。
経過がわかりやすいように、時系列に箇条書きにします。
<宜野湾市教育委員会でのSSWrに関する公文書開示>2012年12月4日 宜野湾市役所内にて、公文書の開示を受ける 請求文書 宜野湾市教育委員会が所有する公文書で、
SSWに関する文書(市独自予算のもの・沖縄県予算のもの全て)
開示文書 平成24年度青少年サポートセンター職員配置表
スクールソーシャルワーカー活用事業の平成24年度実施計画説明資料
平成24年度業務報告書及び活動状況報告書
平成24年度活動状況報告書(県派遣)
平成24年度相談指導員の種類・配置先・任務等について
「平成24年度活動状況報告書(県派遣)」の記述の中に「実習生」という文字を見つける。
教育委員会担当者(課長・青少年サポートセンター所長)に「実習生」に関する文書を見せて欲しいと言う。
課長・所長は「実習生については知らない」との返事。
しかし、実習生を受け入れているのであれば、文書があるはずなので探してもらうことに。
文書を探した結果、「宜野湾市教委宛 平成24年度スクールソーシャルワーク実習生受け入れについて(ご依頼) 沖縄国際大学」のA4サイズ文書1枚が出てくる。
この依頼文書の中に実際に実習をする学生の氏名が書いてあるが、その氏名が黒塗りになっていた。
実習生の氏名が黒塗りの理由は、「私人」であるからとのこと。
(実習生はケース会議にも参加している。
その際、知り得た個人情報については外部に口外しないことの念書は取っているとのこと)
家庭訪問に同行しているということは、公的機関として行っているはずで、「私人」が家庭訪問に同行するのはおかしいのではないかと伝える。
こちらの意見に対して宜野湾市情報公開窓口と相談の結果、氏名黒塗りは撤回され、氏名は公表された。
実習生が私人扱いであれば、家庭訪問に同行させることはおかしい。
しかし、宜野湾市では実習生の存在そのものを知らなかったため、実習生をどのように扱うかは、今後の検討課題であるということで、この日は話が終わった。
<社団法人日本社会福祉士養成校協会>2012年12月7日 社団法人日本社会福祉士養成校協会に電話する。スクールソーシャルワーカー養成について、ネットで調べているうちに社団法人日本社会福祉士養成校協会がスクールソーシャルワーカー養成をする大学を認定し、シラバスを作成している事が分かった。
社団法人日本社会福祉士養成校協会
↓
http://www.jascsw.jp/認定校について
↓
http://www.jascsw.jp/ssw/index.htmlスクール(学校)ソーシャルワーク教育課程認定に関する規程第6条第4項に規定する
科目の教育内容、教員要件、スクール(学校)ソーシャルワーク実習の指定施設、実習指
導者の要件及び認定審査申請等の諸様式等の改正について(通知)
↓
http://www.jascsw.jp/ssw/ssw_tsuuchi20110901.pdfスクール(学校)ソーシャルワーク教育課程認定に関する規定平成23年11月28日.pdf沖縄県で養成校として認定されているのは、沖縄大学と沖縄国際大学の2校。
そこで、今回の実習生の件について聞いてみることにし、協会に電話をかけた。
こちらが聞きたかった事と、社団法人の回答は次の通り。
・実習生が家庭訪問に同行する事について、法的根拠はあるか?
・協会事務局の回答
法的根拠は無い。
SSWr自体が国家資格ではなく、社会福祉士がSSWrをやっているので。
受け入れるSSWr側の判断による。
・家庭訪問をする際に何か決めているものは?
・協会事務局の回答
子どもの同意を必ず取る。
同意書が無ければ家庭訪問はできない。
電話をしたことに対して、事務局の方から「大変貴重なご指摘をいただいてありがとうございます。いただいた電話の内容をこちらで検討したいと思います。」という内容の返事をいただく。
<宜野湾市教育委員会へ電話>2012年12月7日 協会事務局の人との電話を切ったあとに、宜野湾市教育委員会に電話する。 実習生家庭訪問同行の際に、同意書を取っているか聞く。
担当SSWrに聞いたところ、
「口頭で説明した。同意は取っているが、文書では取っていない」とのこと。
教育委員会担当者の方は、
「やはり今後は文書で同意を取るよう実習生の担当大学教員に伝えておく」
と言って電話をきる。
<沖縄県教育庁義務教育課の公文書開示>2012年12月28日 沖縄県教育庁義務教育課SSWに関する文書の開示SSWr実習生についての文書を沖縄県教育庁義務教育課に開示請求し、文書で確認する。
開示された文書は次の通り
沖縄県義務教育課宛平成24年度SSW実習生受け入れについて依頼文沖縄国際大学平成24年2月23日.pdfSSW実習に関する委託契約書(雛形)(沖縄国際大学).pdf 沖縄国際大学宛平成24年度SSW実習生受け入れ(回答)沖縄県教育庁義務教育課平成24年3月6日.pdf 関係市町村教育委員会教育長宛平成24年度SSW実習生受け入れについて依頼平成24年3月6日.pdf 沖縄大学に関する文書は無し。
(但し、沖縄大学が実習生受け入れを教育委員会に依頼していないわけではなく、2011年度は別の市で沖縄大学から実習生を受け入れているとのこと)
沖縄県教育庁義務教育課担当者は、「実習生は私人である」といい、「私人だから氏名を開示しなくてもいい」と言った。
こちらからは、「私人であれば、家庭訪問に同行させることはするべきではない」と伝えた。
さらに義務教育課担当者は、「同意は口頭で十分であり、文書で取り交わす必要は無い」とも言う。
情報提供として「社団法人日本社会福祉士養成校協会」の事を伝え、ホームページでスクールソーシャルワーカー養成の認定校の事やシラバスについて確認してもらうようお願いして帰る。
<社団法人日本社会福祉士養成校協会の対応>2013年1月8日 社団法人日本社会福祉士養成校協会へ再度確認のために電話をする。 実習生が私人であるならば、家庭訪問に同行する事自体問題である。
更に、法的根拠もなく家庭訪問に同行するということは、実習生の家庭訪問を断っても構わないという事だが、その「断ってもいい」という事を子ども本人に説明しているのかどうかがわからない。
口頭で説明を受けた時に、どういうことかあまりわからないけども「いいですよ」と言ってしまうことはあるし、何か肩書がある人から「いいですか?」と聞かれて「いやです」とはなかなか言いづらい。
子どもから大人に対してはっきり「いやです」と言えない状況が多い中で、口頭での同意が有効かどうか疑問。
以上の懸念があるので、ブログで「断ってもいい」という事を書きたいが、その前にもう一度協会に確認してからと思い再度協会に電話をすることにした。
前回電話で話した担当者の人に、「子どもに家庭訪問に実習生が同行することについての同意を取る事が必要だと言われたが、その同意の取り方は具体的にどのようにするのか」を聞いた。
協会の担当者は、「具体的にどのように同意を取るのかはこちらでは決めていない。現場でどのようにしているのかはわからない」と答える。
前回話した時の内容と明らかに違う事を言い始めたので、「同意を取るのは誰に対してとるのですか」と聞く。
協会担当者は、「相手先教育委員会です」と言い始める。
つまり実習生が家庭訪問に同行してもいいかどうかの同意は、教育委員会がすることで、親でも子どもでもないという話に変わっていた。
前回電話で話した時は、子どもの最善の利益を優先させたら当然子ども自身に対して同意を取るのだと受け取っていたが、再度確認のため「子どもには同意を取らないということなので、子どもの最善の利益は優先しないという事ですか」と聞く。
すると、それまで話していた担当者は返答に困り上司という人が電話を代わった。
非常に丁寧な言葉で対応されたが、中身を要約すると次の通り。
・いったいあなたは何がいいたいのか?
・実習生については現場のSSWrに任せている。
・個々の現場の事には関与していないし、SSWrを縛るものでもない。
・こちらは全国の養成校を認定しているだけであり、こちらは相談機関でも
ないので、こちらに言われても困る。
・地方など状況が異なることについて把握をした上でシラバスを作成している
わけではない。あくまでも理想のものを提示しているだけ。
・個々の問題については該当する教育委員会と建設的に話してほしい。
こちらは関係ない。
「貴重なご意見をいただきありがとうございました。」は社交辞令。
とてもきれいな言葉で言われたけれど、要するに「こちらは関係ない。だからよそに言ってくれ」ということだと受け取った。
この電話のやりとりと似たような感覚が、「これが問題です」と行政機関に言った時に「あなたは何がしたいのか」と門前払いされる時と同じだったことに後で苦笑した。
別に協会に苦情を言ってどうにかしてもらいたいと思って電話をしたわけではなく、ただ確認しようと思っただけなのだが、協会側からするとめんどくさい電話だと思ったのだろう。
すっかり「子どもの最善の利益を優先する」という事が、どこかに飛んで行ってしまった。
今回の話の内容を文章にすることに関して、電話で対応した協会事務局上司の方の了解済み。
あくまでもこちらが受け取った事をそのまま書くのは構わないとの事だった。
<考察>以上の事から、SSWr家庭訪問に実習生が同行することについて、嫌だったら断ってもいい。
何か問題があっても、養成校を認定している社団法人日本社会福祉士養成校協会は関係ないので、責任を取らないし取れない。
もちろん学校・教育委員会・担当大学教員も責任は取れないし取らないだろう。
子どもが不登校になっていると、親は学校や教育委員会から誰かが来る事を歓迎することは多いが、果たしてその事が子どもにとってプラスになっていることなのかをしっかり考える必要がある。
子どもの立場から、大人に対して「いやだ」と拒否をする事自体がしにくいことであるという事を意識して、説明する事が必要。
学校・教育委員会からの支援を受けた結果を引き受けるのは、親自身であり、学校や教育委員会は何も責任は取れないし取らない。
だからこそ、しっかり親が情報を収集し、断るべきものは断る事が必要。
参考資料として平成24年度のSC・SSWr等委嘱状交付式での講話のレジュメは次の通り。
平成24年度SC等委嘱状交付式及び連絡協議会の開催要項平成24年4月6日.pdf平成24年度SC等委嘱状交付式及び連絡協議会講話レジュメ 比嘉昌哉(沖縄国際大学).pdf↑
このレジュメによるとスクールソーシャルワーカーは教師の手に負えない保護者の対応もするそうです。
こんな失礼な事を堂々と言えるという事は、スクールソーシャルワーカーは学校・教育委員会のために働く人だという事を証明しているようなものです。
スクールソーシャルワーカーが誰のためのものになっているのか、しっかり見極めて利用するようにしましょう。