平成15年度から沖縄県教育庁が各小学校・中学校に作成させていた「子ども理解のための指導・支援カルテ(平成16年度から名称変更)」について、琉球新報・沖縄タイムス各社が記事を載せていましたが、最近はちょっと論点がずれていっているように思います。
西原町個人情報保護審査会がカルテの削除の答申を出した理由の中に、「教育現場だからといって子どもたちの個人情報を大量に収集してもいいとは言えない」ということがありました。
教育という名のもとでは何をしてもいいということはありません。
今回の答申が出された意味の中には、教育現場でも、市町村の個人情報保護条例という法律に基づいて個人情報の取り扱いが行われなければいけないということがあります。
そのことがわかっていないと、「指導・支援カルテは廃止して、それに替わる別のものを作ったらいいではないか」と安易に決められてしまうという危険性があります。
つまり、子どもや保護者に知らせないで勝手に個人情報を、しかも大量に、収集していたことが子どもたちや保護者を尊重していなかったということで、単純に条例に沿って手続きをすればいいのではないかということではありません。
ですから、たとえ指導・支援カルテの内容が正しく記入されていたとしても、そのカルテは子どもや保護者に内緒で作っていたのですから、削除の請求は当然できます。
現実問題として、本人に直接聞かないで個人情報を収集した時に指導・支援カルテに正しく記入できるでしょうか?
沖縄タイムスの6月5日(金)の「カルテを考える」1の記事にとても参考になる内容がたくさん入っています。
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「人権侵害の恐れ濃厚/教育受ける権利でも疑問」大城渡 名桜大学講師(憲法)
新聞記事はこちら
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県内で初めて、カルテの完全廃止を決めた金武町のことを琉球新報が記事にしています。
その記事によると、カルテの廃止の理由を「児童生徒の人権問題にかかわる」としています。
そうなんです


指導・支援カルテの作成の問題点は、学校・教育委員会や専門家(自称・他称)の人たちが上から目線で、子どもや保護者を指導の対象としてみて勝手に個人情報を収集して活用していることです。
ですから、指導・支援カルテの代替案を検討している自治体の子どもや保護者に対するまなざしが変わらず子どもや保護者を指導の対象としてしかみていない場合は、どんなものを作っても問題は同じことだと言えます。
金武町のカルテ廃止の記事はこちら
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指導カルテ、金武町が完全廃止2009年6月9日
【金武】県内公立小中学校で作成されている「子ども理解のための指導・支援カルテ」について、金武町教育委員会(前田健次委員長)は8日、臨時教育委員会を開き、同カルテの廃止を決定した。同教委は「今後、指導カルテと同様の資料を作成する予定はない」としており、代替案なしで同カルテの廃止を決めたのは県内で初めて。
これまでに廃止を決定した西原町や那覇市では、指導カルテに代わる新方式の記録簿作成についての言及があった。同教委は今後、学校教育法で定められ、保存義務がある「指導要録」を活用し、児童生徒の指導に当たる考え。
廃止決定の理由を同教委は(1)児童生徒の人権問題にかかわる(2)個人情報保護条例に抵触する―などと説明している。(琉球新報)
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ついでにもう一言。
沖縄タイムスの「カルテを考える」という連載の1はとてもすばらしいものでしたが、2がとても残念なものでした。
学校現場でどんなに子どもたちや保護者がひどい扱いをされて困っているかという現実が全くお分かりになっていらっしゃらないようです。
それから、この記事に書かれているスクールソーシャルワーカーの視点で子どもたちに関わられたら子どもにとっては大きな迷惑です。
「子どもたちを支援する」というきれいな言葉で表現されていますが、実際には子どもたちを指導の対象としか見ていない教員たちと同じまなざしで関わろうとするだけではないですか?
「専門家が記録の書き方などをチェックする機能を持つことができる」としていますが、そんなことができる専門家というのは誰のことですか?
記録の書き方をチェックし指導できるのは、個人情報の持ち主である子どもや保護者本人だけでしょ
