現在、子どもの教育に関して新しい法律(案)が検討されています。
それは学校以外の場所も義務教育として認めようというものです。
もう学校に行くのが当たり前という考えは過去のものになりつつあります。
「学校に行きたくないのであれば、他の場所で教育を受けてもいいんだよ」と言ってもらえるのは、子どもにとっても気持ちが楽になるので大歓迎なのですが、検討されている法律はなんだか趣旨が違っているように見えます。
学校以外の場所、特に家庭で教育を受けることも義務教育として認めようというのは、これまでからすると前進しているように見えるかもしれません。
しかし、義務教育として認め公的資金が家庭に配分されるとなると、今まで以上に教育委員会などの教育行政が介入してくる事は目に見えています。
今まで、学校や教育委員会の人たちが「絶対に不登校なんて認めないぞ」みたいに怖い顔をしている中で、どうにかこうにかやってでも、親子で楽しく不登校をしながら家で過ごすことで、学校に行っていた人たちと変わらず、不登校をしていた子どもたちも社会人になっていっています。
それは、学校や教育委員会からの介入が無いので気持ちよく親子が過ごす事ができて、思う存分家で学ぶことができたからです。
検討されている法律では、そうはいかないだろうと思います。
家で何をやっているかわからないところに、公的資金を出そうと言うでしょうか?
どんな勉強をしているのか、どこまで進んだのか、定期的にチェックが入ったり、○○コーディネーターみたいな人が家庭訪問に来ることも予想されます。
何をどのようにどれくらいの時間をかけて学ぶのか、子ども一人一人が自分で考えて決めて誰からも邪魔されない事が家で学ぶことの醍醐味です。
それが、チェックが入ったり指導されたりしてしまうと、台無しです。
まだ法律は決定ではないのですが、今のままだと国会に法律案が提出されてしまいそうです。
今お子さんが不登校をしている親御さんも、すでに子どもは大きくなって不登校は卒業したという親御さんも、教育行政が家庭に介入してくることがどんな影響を与えるのかどんな弊害があるのか、考えてみていただけませんか?
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新しい法律案については
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「(仮称)オルタナティブ教育法」を実現する会
http://aejapan.org/wp/
第2回総会の議案概要
http://aejapan.org/wp/?p=83
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第2回総会は終了しました。
この法案は、多くの不登校の子どもたちや親御さんの話を聞いてきた不登校の親の会から出た話ではなく、全国フリースクールネットワークから発案されたものです。
不登校の親の会を長い間主宰していると、このような法律が必要だという発想になりません。
フリースクールやオルタナティブスクール等を運営している方々からの提案であることを認識しながら、法律案を読んでいただきたいです。
2012年10月31日には、東京にて登校拒否・不登校を考える全国ネットワークでこの新法についての話し合いが行われました。
東京シューレやその関係者以外の不登校の親の会の代表の方々は皆賛成できない・反対だという意見でした。
不登校を考える親と市民の会・沖縄も反対意見を出してきました。
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子どもの多様な学びの機会を保障する法律(多様な学び保障法)骨子案に対する意見
2012年10月31日(水) 不登校を考える親と市民の会・沖縄
〇 「不登校」を生き方の一つであると考える社会になっていない日本の状況の中で、この法律が作られることは、逆に子どもたちの多様な学びの機会を規制する事になると思われるので、ただちに廃案にすることを要求します。
「不登校」を減らさなければいけない・克服しなければいけない・悪いものだ等マイナスのイメージを持っている学校・教育委員会の教職員はまだまだ多いです。
この法律の全体像は、教育委員会などの行政機関が子どもの学びの場所・方法の主導権を握るものだと考えます。
「不登校」をなくさなくてはいけないもの・不登校をしている子どもたちを病気や発達障害と考えている行政職員が考える学びの範囲は非常に限られたものであり、医療の介入を容易にするものになると思われます。
〇 どんなに良い案を作成しても案通りに法律が作られる保障はどこにもありません。
法律を決定するのは国会議員であり、不登校・フリースクール関係者ではありません。
決定する場に、不登校の親の会やフリースクールネットの関係者は入れません。
不登校・ひきこもりに対して理解があるとは思えない議員たちが決めるものであるため、最終的に法律の文言が変えられる可能性があります。
今の日本社会の状況では、案通りに法律が作成されるとは考えられません。
また、現在の案通りに作成されたとしても、後で改正される可能性もあります。
〇 法律の条文に何が書いてあるのかが全てです。
法律の提案の趣旨や関係者それぞれの思いとは関係なく、条文の文言の解釈で法律は運用されます。
〇 市町村に届け出・登録することの意味
保護者が行政に届け出る事自体が、保護者の精神的・物理的な負担になり届け出ない家庭も出てくる事が予想されます。
保護者が行政に届け出ない場合、周りや行政から「なぜ届け出ないのか?」と言われたり、「子どもに教育を受けさせていないのではないか」と教育ネグレクトの疑いがかかる事も予想されます。
子どもの不登校をやっと理解し、家で過ごす事を選んだ家庭をさらに届出・登録という圧力をかけて追い詰める事は、不登校の親の会がめざして来たことではないと思います。
〇 学習支援金の給付は現実的ではありません。
今の日本では、生活保護も十分受けられない人が存在するなど、行政の水際作戦によって、生活保護費予算はかなり抑えられているのが現状です。
介護保険も申請通りの要介護認定が下りず、介護保険の支払いが抑えられているとの話もあります。
日本全体の経済状況が厳しい中、果たして学校を選ばない子どもたち・家庭で過ごす事を選んだ子どもたちに助成することの社会的了解が得られるでしょうか。
仮に法律が作られた時には、助成はされずに届け出・登録などの手続きだけが残り、結果として行政による管理だけが強化される事になるのではないかと考えられます。
〇 どんな学びであっても子ども自身が拒否できないものは、自由ではないばかりか人権侵害です。
学びが法律で規定されれば、学びの支援も届け出・登録を受け付ける側は行政です。
行政が支援内容も登録要件などを決める事のできる立場になる事は、子どもや保護者は公権力のもとで、限られた範囲でのみ選択することができることになり、全くの自由ではなく、逆に制約を受けることになります。
行政側が学校外の学びに理解があり、子ども一人一人の自由なニーズに応える準備ができているのであればいいのですが、現実は違います。
学校だけが学びの場だとかたくなに思っている行政職員が主導権を握ってしまえば、自由な学びは認めないということになります。
法律の施行によって法的根拠ができ、行政職員が考える・認める学びを子どもたちに強制することになれば、子ども・保護者は拒否をする事ができません。
拒否する事ができてはじめて権利と呼ぶことができると思います。
この法律ができたら、子どもたちが拒否する事ができず、結果として人権侵害となってしまうと考えます。
〇 行政の決定を覆す事は現実的に難しい。
保護者が行政に申し出・登録する事は、行政が認可・認証するなど行政の決定・指導に当たると考えられます。
行政の決定に対して、不服申し立て(審査請求・異議申し立て)ができることになっていますが、それは決定を受けた側(不服申立人)が行政の決定が間違っている事を立証しなければならず、慣れていない人にとってはかなり難しいものです。
また、不服申し立てされた内容を審査する人は行政職員又は行政から委託を受けている人であるため、行政職員の意見に傾きやすく、行政の決定はなかなか覆されません。
行政の決定を覆す事が難しければ、それは行政の決定に従わなければいけないということになり、結果として子どもや保護者の意思とは関係なく行政が「学び」を決めることになってしまいます。
以上の理由から、この法律の成立に反対し、廃案にすることを求めます。
印刷用は
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多様な学び保障法(案)意見 不登校を考える親と市民の会・沖縄2012年10月31日.pdf・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2012年10月31日の話し合いでは結論が出ないというよりも、東京シューレの方々が頑として譲らない・とにかく法律を成立させたいという事で、反対意見を吟味するとか検討するという事にはなりませんでした。
そして、明日12月2日は大阪でこの法律案についての勉強会が行われるとのことです。
どのような内容になるのでしょうか・・・。
不登校・ひきこもりの親の会では、長い間いろいろいな方を見てきた結果、共通して持っている考えがあります。
それは、不登校・ひきこもりに関しては、“専門家の話をうのみにしないで、自分で考えよう”、“学校に行かせよう行かせよう、外に出そう出そうと思えば思うほど、子ども・若者たちは学校にも外にも行かない・行けない”などです。
(もっとたくさんありますが、それはそれぞれの親の会の方に聞いてください。)
特に大学教員・医者・学校・教育委員会などの肩書を持っている人の話はあてにならない事があり、また ○○士・○○カウンセラー・○○相談員という肩書の人たちが不登校・ひきこもりを理解していないことも多いです。
もしこのような人たちが不登校・ひきこもりを理解していたとしたら、今頃は不登校をしている子どもさんや親御さんは悩む事は無いと思います。
しかし、なんらかの肩書がある人の話・情報に振り回され、その結果親子関係が悪くなり、ますます状況が悪くなっていくというパターンが残念ながら多いのが現実です。
肩書で相手の話を信用するのではなく、考え方・情報が納得いくものであるかどうかで信用するしないを考えて決めるようにすると、情報に振り回されず、また騙されることも少なくなるのではないでしょうか。
新しい法律を検討している・推進している人たちの中に、親の会は入っていません。
大学教員・医者・著名人などのりっぱな肩書を持っている人が推進しています。
果たして誰のための法律なのか、誰の方に向かっている法律なのか・・・。
この法律が子どもたちや親たちに利益になるとは思えません。
肩書や有名だからという権威主義で物事を判断するのではなく、自分の頭で考えて自分の意見を持つようにしましょう。
これからの時代は、情報は受け身ではなく主体的に収集し、誰かに任せて依存するのではなく、自分の事は自分で決めるということが必要になっていくと思います。
それは大人だけでなく、子どもたちも子どものうちから自分の事は自分で考えて決めるという習慣を身に付けて大人になる必要があると思います。
それがいじめやパワハラ・セクハラなどの暴力の被害防止にもつながり、人生を豊かに過ごす事ができるようになるのではないでしょうか。