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今日の海の日

「海の貴婦人」とは…?

皆さんこんにちは!
船の科学館に勤める学芸員(ペンネーム:アクエリアス)です。

広島城天守の閉城が先日報道されました。
建物の老朽化などの点から安全面を考慮した結果とのことで、なんだか昔の船の科学館を思い出してしまいました。

さて、ちょうど1年前の2025年2月28日は、練習船「海王丸」が神戸港に入港した日です。

「海王丸」は、独立行政法人海技教育機構(JMETS)が運航する練習帆船であり、現在は1989年に竣工した2代目が活躍しています。
初代の「海王丸」については、現在 海王丸パーク にて一般公開中です。

この「海王丸」という名には、田中隆三文部大臣の「日本の海の王者にふさわしい船にしたい」という期待が込められています。

練習帆船 海王丸U 鈴木政輝.jpg

絵画「帆船「海王丸」(U)」
作:鈴木政輝
寸法:805×1,145
所蔵:船の科学館

また「海王丸」は、純白の帆を広げた優雅で美しい姿から、海の貴婦人とも呼ばれています。
一方、姉妹船の帆船「日本丸」は、太平洋の白鳥として親しまれています。

ここまで「海の貴婦人」の別名をもつ「海王丸」をご紹介しましたが、実はほかにも「海の貴婦人」と呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか。

TVアニメ化もされた人気作品、小坂泰之氏作 マンガ『放課後ていぼう日誌』でも登場する、観光うたせ船です。

『放課後ていぼう日誌』は、主人公・鶴木陽渚が、転校先の高校で「ていぼう部」に入部したことをきっかけに、釣りの楽しさや魚料理の魅力にハマっていく作品です。
作品の街並みは、熊本県南部に位置する芦北町が実際にモデルとなっており、芦北町観光協会の公式サイトでは、実風景とアニメ描写の比較を楽しむことができます。

そこに登場する観光うたせ船は、白いドレスの海の貴婦人とも称され、不知火海のシンボルなっています。

「海王丸」と共に、白い優雅な帆がモチーフとなってついた名ですが、それぞれ異なる魅力があり、双方ともに眩しく美しい輝きを放っていますね。

それ以外にも、1月から4月に旬を迎える魚のサヨリも、実は「海の貴婦人」という別名をもっています。
皆さんはどの「海の貴婦人」がお好きでしょうか。

今回はここまで!次回をお楽しみに!

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投稿者:アクエリアス カテゴリー:海とマンガ・アニメ コメント:0
【宗谷通信25】“宗谷”の「フレーム」にご注目!

こちらは、初代南極観測船“宗谷”です。

先日令和8(2026)年2月16日は“宗谷”が進水して88周年の記念日でした。
当日は休館日のため、直前の週末である14日・15日の2日間に記念イベントを開催しました。
宗通25_88周年満船飾.jpg
前週の雪はどこへやら、すっかり晴れて春のような陽気のなか、たくさんの方にお越しいただきました。多くの皆さまとともに記念日を迎えることができ、“宗谷”も喜んでいたこととと思います。
穏やかであたたかな記念日をありがとうございました!

さて、最近の整備チームはガソリン庫の整備を進めています。
ガソリン庫の場所はこちら↓
宗通25_42.-南極観測船「宗谷」精密解剖図 谷井建三 314×654.jpg

『南極観測船「宗谷」精密解剖図』に加筆
作:谷井建三
所蔵:船の科学館

ガソリン庫は船首部分、錨鎖庫の裏に位置しています。第1・2次観測では倉庫として使用されていましたが、第3次観測の際に航空燃料用のタンクとして改造されました。
現在は中身を抜き、常時換気をしているため油のにおいもなく、なにもないガランとした縦長の空間になっています。
照明で壁面を照らしてみたところ、自分が勘違いをしていたことに気が付きました。

"宗谷”が南極へ行くための改造を行った際、「船体の補強のためフレーム(肋骨)を1本おきに追加した」ということは知識として知っていたのですが、単純にフレームとフレームの間へ1本を増設したのだろうと考えていました。

ところが実際に見てみたらこうなっていたのです。
宗通25_IMG_0538_マーク.jpg
(右)わかりやすいように黄色で色をつけてみました。


格子のようになった元の骨組みの上から、さらに目の粗い格子を重ねたように骨組みが取り付けられていたのです。
「1本おき」とはこういうことだったのかと、見事な技術に思わず息をのんでしまいました。
宗通25_IMG_0551_リベット.jpg 接合部をよく見ると外側と内側でリベットの形が異なっていて、後から内側に補強材を追加したことがわかりますね。
既存の船体にこのような補強を施すには途方もない手間と労力が必要だっただろう、と先人たちの技巧に頭が下がる思いでした。
ましてや南極から帰港して、次の出航までのわずか半年ほどの短い期間にこのような工事を行っていたのかと思うと、ただただ感嘆するばかりです。

“宗谷”で南極へ行った方々の手記やインタビューを読むと、「丈夫な船だった」「不安はなかった」という趣旨の言葉が多く見られます。それはこうした確かな技術があってこその信頼関係だったのだと、一人で胸を熱くする筆者なのでした。

この改造にあわせて、消火設備としてCO2ルームも完備されました。
昭和30年代のCO2消火システムは当時、時代の最先端でした。
宗通25_Co2ルーム.jpg “宗谷”にはこうした先人たちの工夫や努力の跡がうかがえるポイントが随所に残されています。当時、この小さな貨物船を改造して南極へ向かうということがどのようなことだったのかが伝わってくる、まさに挑戦の歴史そのものだと改めて実感できる船です。
実際にご覧いただくことが難しい部分も多々ありますので、少しでも当時の熱意や技術の重みなどをこうして少しでもお伝えできれば幸いです。

ところで、フレームには1本1本番号がついています。
これはいわば船の番地のようなもので、船内の位置を正確に示すことができるようになっています。
宗通25_IMG_0499_フレーム番号.JPG 写真では左から118、119、120、121…とマークされていますね。
“宗谷”の場合、船尾から船首へ向かって番号が振られているので、若番の118(写真左側)が船尾方向だとわかります。
番号の振り方は造船所や設計基準によって異なりますが、海上保安庁の船舶は船尾から順番に振っていく方式を採用しています。いっぽう、海上自衛隊の艦艇は船首からとなっているそうです。
船によっては船内通路など、目に見える場所にもこのフレーム番号が表示してあることもありますので、乗船の機会がありましたら、こんなところも注目してみると面白いかもしれません。


今回の【宗谷通信】は、ここまで!
以上、“宗谷”から整備係兼学芸員のアデリーがお伝えしました。

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投稿者:アデリー カテゴリー:宗谷通信 コメント:0
マンガ学習A『マンガの認知科学』から学ぶ「ビジュアル語彙」

皆さんこんにちは!
船の科学館に勤める学芸員(ペンネーム:アクエリアス)です。

2月も終盤となり、暖かい日が増えてきましたね。

今回は、マンガ学習の第2弾です。

前回ニール・コーン氏(著者)・中澤潤氏(訳者) 『マンガの認知科学―ビジュアル言語で読み解くその世界―』(北大路書房、2020年) を手掛かりに、「ビジュアル言語」について取り上げました。

「コミックは(絵による)ビジュアル言語と、(文による)書字言語で書かれる」、つまり「ビジュアル言語」目で見ることによって意味や考えを伝える仕組みと捉えることができるということを学びました。

今回はその続きとして、「ビジュアル言語」の語彙、すなわち「ビジュアル語彙」について考えていきたいと思います。

言葉の世界における「単語の集まり」を「語彙」 といいます。
例えば、「海」「船」「波」「風」などは語彙ですね。
では、マンガの中の「!」や集中線、怒りマークはどうでしょうか。

これらは文字ではありませんが、「驚き」「緊張」「怒り」「スピード感」といった意味合いを、視覚的に伝える効果があります。

このように、視覚的な形と意味が結びついたものを「ビジュアル語彙」と呼びます。
私たちは、マンガやアニメに触れる中で、知らず知らずのうちにこの語彙を身につけているのです。

マンガイメージA.jpg

出典:写真AC

ここで少しだけ、認知科学の専門的なお話をしてみましょう。

言葉の語彙には、大きく分けて2つの種類があります。

@ 開放系語彙項目

これは、新しい言葉がどんどん増えていくグループです。

名詞や動詞、形容詞などがこれにあたります。
「email(メールする)」や「blog(ブログ)」など、時代の変化と共に新しい語が多々生まれています。

マンガでいえば、キャラクターの描き方や独自の表情表現、作家特有の描線などがこれに近い存在です。
日本のマンガのグラフィック構造の多くは、「マンガの神様」と称される手塚治虫の書風に由来していると述べられています。
「大きな目」「とがったあご」「豊かな髪の毛」などが代表例です。

A 閉鎖系語彙項目

一方、こちらは数があまり増えない、安定した語のグループです。

助詞(は・が・を)や助動詞などが代表例です。
文の構造を支える役割を持ち、大きく変化することはあまりありません。

マンガの世界では、「吹き出し」「コマ割り」「視線の向き」「動きを示すスピード線」などがこれに近い存在と考えられます。
物語を構成するための“基本的な仕組み”です。

こうして見ると、マンガは単なる絵の集まりではなく、

・増えていく表現(開放系)
・構造を支える仕組み(閉鎖系)

の両方によって成り立っていることがわかります。
これは、まさに言語と同じ構造です

私たちはマンガを読むとき、キャラクターや効果表現(語彙)を理解しながら、コマの流れや構図(文法)も同時に読み取っています。
つまり、マンガを読むことは、一種の言語理解活動なのです。

マンガと「ビジュアル言語」の関わりについて、より身近に感じられたのでしょうか。
海洋関連のマンガ・アニメも紹介していきますので、引き続きお楽しみいただければと思います。

今回はここまで!次回をお楽しみに!

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投稿者:アクエリアス カテゴリー:海とマンガ・アニメ コメント:0
東洋最大最強と称された清国の戦艦「鎮遠」を明治28年2月17日に捕獲

明治18(1885)年11月、東洋で最大最強の戦艦と称された清国の「定遠」(1884年建造)の姉妹艦「鎮遠」が、ドイツのフルカン社で竣工しました。

明治24(1891)年には、定遠・鎮遠を含む清国艦隊6隻が親善目的で来日し、デモンストレーションが行われると、当時、対抗可能な戦艦を持たない日本は度肝を抜き、翌年、明治26年度から32年度(1893-1899)に海軍を増強する予算が決定されました。

ところが、直後に朝鮮半島の支配権をめぐって日清戦争(1894-95)が勃発すると、日本が勝利し、明治28(1895)年2月17日に「鎮遠」は日本海軍に捕獲され、修理・改造のうえ明治31(1898)年3月に二等戦艦に類別されました。
艦名は清国艦の時と同じ艦名「鎮遠」を踏襲・使用されています。

軍艦「鎮遠」の概要(日本軍艦に整備完了時)

排水量 7,220トン
垂線間長 91.00メートル
水線幅 18.29メートル
平均喫水 6.38メートル
主機 横置型3気筒2段膨張式レシプロ蒸気機械2基・2軸
出力 6,200馬力
速力 14.5ノット
航続力 10ノットで4,500浬
兵装 30.5cm25口径連装砲2基、15.2cm40口径単装砲4基、35.6cm水上魚雷発射管3門 他
装甲 舷側355o、甲板75o、砲塔304o、司令塔203o
乗員 407名

鎮遠.jpg

絵画「鎮遠」
作:山高五郎
制作年:明治44(1911)年
寸法:178×264
所蔵:船の科学館

この絵画「鎮遠」は、このブログで度々紹介している山高五郎画伯が描いたものです。
明治44(1911)年に三菱長崎造船所に入社した山高が、その年に横須賀海軍工廠に出張し、その折にたまたま同年に除籍された「鎮遠」の姿を発見し、この絵を残しています。

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投稿者:メル カテゴリー:船・潜水艦 コメント:0

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