長崎県平戸市の北部は、古くから捕鯨文化と深い関わりがありました。
特に、平戸島の北西に位置する「生月島(いきつきじま)」は、捕鯨の島として知られ、平戸市生月町博物館「島の館」では、捕鯨の歴史や文化を伝えています。
2025年に開館30周年を迎えた「島の館」では、江戸時代に日本最大規模の鯨組を誇った「益冨組」の創業300周年を記念して、現在、捕鯨と生月島の歴史を紹介する「企画展」を開催中ですが、2025年11月22日から『江戸時代に栄えた日本一の益冨組捕鯨』が始まります。

画像提供: 平戸市生月町博物館・島の館
| 開催期間: |
企画展「生月島の漁業の発展」 2025年7月26日(土)から2025年10月13日(月・祝)※終了 企画展「江戸時代に栄えた日本一の益冨組捕鯨」 2025年11月22日(土)から2026年1月12日(月・祝) ※休館日:2026年1月1日・2日 |
| 会 場: |
企画展示室 |
| 展示構成: |
第1章「むかしの漁撈具」 第2章「益冨組捕鯨」 第3章「巾着網」 第4章「定置網」 第5章「みらいへの挑戦」 |
江戸時代の初め、銛(もり)等を使って漁をする「鯨組」が組織されました。
生月島では、享保10(1725)年に益冨家の「突組」による捕鯨が始まり、その後、鯨を網に掛けて突き獲る「網組」に移行して、西海各地の漁場に進出しました。

「益冨組組主、益冨家に伝わる捕鯨道具と鯨の解体道具」
画像提供: 平戸市生月町博物館・島の館
生月島を本拠とした「益冨組」は、江戸時代中後期に国内最大規模の「鯨組」に成長しましたが、やがて、欧米の捕鯨船の進出によって、日本近海の鯨の捕獲量は減少し、網組は衰退していきました。その後、生月島の漁業は、定置網や旋網等によって発展しました。

「巾着網(まき網)漁業の発展」
画像提供: 平戸市生月町博物館・島の館

「実際に使われていたまき網漁船の操舵機」
画像提供: 平戸市生月町博物館・島の館
現在は、漁業資源の管理や、海洋環境を守る取り組みも行われています。

「漁網リサイクルによって作られた製品と「みらいへの挑戦」展示風景」
画像提供: 平戸市生月町博物館・島の館
そして、本展では関連イベントも予定されています。
| シンポジウム |
テーマ:「益冨国捕鯨の成り立ち」 講師:古賀康士(同志社大学 准教授) 末田智樹(中部大学 教授) 鈴木 文(福岡市総合図書館 学芸員) 中園成生(平戸市生月町博物館・島の館 館長) 日時:2025年11月29日(土)13時30分〜16時50分 会場:平戸市生月町開発総合センター 定員:300名 費用:無料 |
| 特別公開 |
「鯨組主益冨家居宅跡」 日時:2025年11月23日(日)10時〜14時 場所:鯨組主益冨家居宅跡 費用:無料 その他:同日開催の「いきつき勇魚まつり」会場より無料のシャトルバスを運行 |

「益冨組捕鯨操業300周年記念シンポジウム―益冨組捕鯨の成り立ち―」
画像提供: 平戸市生月町博物館・島の館
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