• もっと見る

今日の海の日

戦前日本の最優秀客船「新田丸」、昭和16年8月5日に最後の商業航海を終える

今から86年前、わが国の最新技術を結集して建造された「新田丸」は、昭和15(1940)年3月に完成しました。本来はヨーロッパ航路の定期客船として計画されていましたが、第二次世界大戦の勃発により、太平洋航路(ハワイ経由サンフランシスコ・ロサンゼルス行)へ変更され、同年4月から就航しました。

次の絵葉書は、「新田丸第一回太平洋横断記念」と題された初日カバーですが、横浜出帆日の1940年5月18日の消印が押されています。

新田丸第1回就航記念.jpg

絵葉書「新田丸第一回太平洋横断初日カバー」
寸法:320×250×25
所蔵:船の科学館

「新田丸」は、それまで欧米に依存していた客船建造技術や鋼材、艤装品、家具調度品などを、ほぼ国産化して建造された戦前日本を代表する客船で、世界で初めて、一等客室の全室に冷暖房を完備した客船でした。

絵葉書 貨客船 新田丸 就航記念 船内.jpg

絵葉書「貨客船 新田丸 就航記念」
寸法:90×138
所蔵:船の科学館

ところが、昭和16(1941)年7月26日、米英両国による日本資産の凍結によって外国航路の運航は中止となり、7月25日にマニラを出港した「新田丸」は、8月5日に横浜港へ帰港し、商業客船としての最後の航海を終えました
こうして「新田丸」は、北米航路をわずか6往復しただけで、商業客船としての短い生涯に幕を下ろしました。

翌9月12日には、あらかじめ有事の徴用を想定して建造されていた「新田丸」は海軍に徴用され、2等喫煙室(後部マストの真下)には通信機械が設置されました。

新田丸解剖図.jpg

「新田丸の内部精密解剖図」
作画:谷井健三
所蔵:船の科学館

そして、同年11月から海軍初のパラシュート部隊や陸軍部隊を輸送する任務に就き、12月8日に太平洋戦争の開戦を迎えました。
このパラシュート部隊は、昭和17(1942)年1月、セレベス島メナドの奇襲作戦で初めて実戦投入され、カカス飛行場の占領に成功したことで知られています。

豪華客船として誕生した「新田丸」は、この日を境に、その華やかな船歴を終え、軍用船として新たな運命を歩み始めることになります。

あわせて読みたいおススメの記事

この記事をシェアする

投稿者:メル カテゴリー:船・潜水艦 コメント:0

サイト内検索

カレンダー

このブログについて