和歌山県串本町沖の紀伊大島の東端に建つ「樫野埼灯台」は、慶応2(1866)年にイギリス・フランス・アメリカ・オランダと結んだ「江戸条約」によって、設置が義務付けられた8灯台の一つで、観音埼、野島埼、品川に次ぐ4番目の西洋式灯台として、明治3年6月10日(1870年7月8日)に初点灯しました。
以来、現役灯台(昭和29(1954)年改築)として、海面上47メートルの高さから、約33キロメートル(約17.8海里)まで光を放ち、航行の安全を守っています。

「樫野埼灯台」 出典:写真AC
また「樫野埼灯台」は、「日本の灯台の父」と称されるイギリス人技術者リチャード・ヘンリー・ブラントンが、7年6ヶ月の間に手がけた灯台26基の中で、最初に手がけた灯台で、日本最古の石造灯台でもあります。
ブラントンはあわせて灯台官舎も建設しており、「樫野埼灯台旧官舎」は登録有形文化財に指定されています。

絵葉書「樫野埼灯台 吉野熊野国立公園」
寸法:91×141
所蔵:船の科学館
そして「樫野埼灯台」は、日本とトルコの絆が深く結ばれるきっかけとしても知られています。
明治23(1890)年、日本への親善使節を乗せたトルコ軍艦「エルトゥールル」が、帰路、台風に遭遇して和歌山県樫野崎沖で沈没、500名以上の死者を出す海難事故が起きました。海に投げ出された乗組員等は、樫野埼灯台の灯火を頼りに泳ぎ着き、69名が救助され、日本の巡洋艦によってトルコに送還されました。
この海難事故・国際交流等の歴史は、「樫野埼灯台及びエルトゥールル号遭難事件遺跡」として史跡に指定されています。
「樫野埼灯台 」の周辺には、ブラントンが故郷を偲んで植えたことが始まりとされる水仙が群生し、冬には水仙の甘い香りを漂わせています。

出典:写真AC
「樫野埼灯台」は、ロマンスの聖地にふさわしい灯台「恋する灯台」として、2018(平成30)年度に認定されています。
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