現在、イギリス南部のポーツマス海軍ドックヤードに保存・展示されている装甲艦「H.M.S.ウォーリア」は、近代戦艦発展の始祖と呼ばれる軍艦で、1859(安政6)年5月25日に起工し、1861年に「世界初の外洋航行可能な鉄製装甲艦」として就役しました。
イギリスがこのH.M.S.ウォーリアを建造した背景には、19世紀半ばの急速な海軍技術革新と、イギリス・フランス間の覇権競争、クリミア戦争(1853–1856年) における経験がありました。

絵画「H.M.S.ウォーリア」
作:山形欣哉
寸法:192×266
所蔵:船の科学館
特に大きな契機となったのが、1858(安政5)年にフランス海軍が世界初の装甲艦「グロワール」を起工し、翌59年11月に進水させたことでした。
グロワールは、スクリュー推進の木造艦に鉄板が張られ、それまで世界最大の木造艦隊を誇っていたイギリス海軍は、大きな衝撃を受けたのです。
さらにクリミア戦争において、イギリス・フランス連合艦隊は、ロシア軍の沿岸砲台から発射された炸裂弾によって、帆装木造艦や外輪蒸気艦に損害を受け、木造軍艦の防護力の限界を思い知らされました。
すると、イギリス海軍は急遽、新型艦の建造を計画します。
蒸気機関と帆走を併用し、鉄製船体・スクリュー推進を備えた装甲艦H.M.S.ウォーリアと姉妹艦「H.M.S.ブラック・プリンス」の建造を決定しました。
こうしたことから、木造帆船時代から鉄・蒸気軍艦時代への転換点となった装甲艦H.M.S.ウォーリアは、 その後の近代戦艦への発展の始祖的存在とされています。
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