桜が散りゆく姿になると、間もなく「藤の花」が見頃を迎えます。
藤の花は、枝先に数十センチから1メートルにも及ぶ総状花序をつけ、風で揺れるさまは「藤波」と称えられ、古くからその色や姿が人々に愛されています。
さて、今日のブログでは、船の科学館の所蔵品の中から、水辺空間と藤の花が描かれた錦絵 「名所江戸百景 亀戸天神境内」(複製)をご紹介したいと思います。
この錦絵は、歌川広重(初代)が最晩年に手がけたもので、フランス印象派風景画家のクロード・モネの代表作「睡蓮」に影響を与えた作品としても知られています。
式年遷宮で知られる伊勢神宮の宇治橋では、船大工による橋板の擦り合わせ・密着技術によって橋の水処理を確かなものとし、耐久性を高め、人々の往来を支えています。
錦絵の藤棚の奥には、亀戸天神を象徴する太鼓橋が描かれていますが、この太鼓橋にも、橋板の擦り合わせなど、船大工の技術が活かされていると思われます。

錦絵「名所江戸百景 亀戸天神境内」複製
作:歌川広重
寸法:400×265
所蔵:船の科学館
ところで、「名所江戸百景」は百景とありますが、初代広重の落款ものが118枚、二代目広重の落款ものが1枚、目録1枚の全120枚のシリーズで、江戸や近郊の名所・景観が春夏秋冬の部にわかれています。
そして初代広重は、刊行終了直前の安政5年9月6日に62歳で亡くなっているので、「名所江戸百景」は初代広重の集大成とも言われています。
東京一の藤の名所で知られる亀戸天神では、毎年4月中旬から下旬にかけて「藤まつり」が開催されていますので、足を運ばれてはいかがでしょうか。

「亀戸天神」 出典:写真AC
あわせて読みたいおススメの記事









