日露戦争の最中の明治37(1904)年、帝国海事協会は、平時は商船、有事の際には仮装巡洋艦となる優秀船の建造を計画し、その資金を国民から募りました。
その計画の第1船として建造されたのが、三菱長崎造船所で明治41(1908)年6月6日に進水した貨客船「さくら丸」(姉妹船「うめが香丸」)でした。
絵葉書「大日本帝国 義勇艦隊汽船さくら丸 進水絵葉書」
寸法:91×140
所蔵:船の科学館
「さくら丸」は、造船奨励法の適用も受け、商船で初めて国産蒸気タービンが使用され、同年(明治41年)10月9日に竣工しました。
この年、三菱長崎造船所では、太平洋航路大型客船で日本で最初のタービン船「天洋丸」、姉妹船「地洋丸」も完成しています。
「さくら丸」の概要
排水量 | 3,881トン |
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総トン数 | 3,204.7トン |
垂線間長 | 102.10メートル |
型幅 | 13.10メートル |
型深 | 7.28メートル |
主機 | 蒸気タービン3基・3軸 |
出力 | 8,732馬力(連続最大) |
速力 | 21.392ノット(試運転最大) |
旅客定員 | 368名(一等47名、二等53名、三等268名) |
「さくら丸」の船首はクリッパー型で、やや傾斜した2本のマストに2本の煙突がある船型が特徴的でした。
上甲板には長い甲板室があり、遮浪甲板には特別一等室、前方には読書室と食堂、中央には喫煙室が設けられていたそうです。そして、機関や操舵機、舵などは水線下に装備され、舷側には石炭庫が配置されて装甲代わりになっていました。
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