本日10月4日は、「イワシ(鰯)の日」です。
安くて美味しく栄養豊富なイワシのPRと、水産資源の有効利用への理解を深めるため、昭和60(1985)年に大阪府多獲性魚有効利用検討会(大阪おさかな健康食品協議会)が、イ(1)ワ(0)シ(4)の語呂合わせから、10月4日をイワシの日に制定しました。

「マイワシ」 出典:写真AC
海の表面近くで群れで泳ぐイワシは、ひとたび大群が沿岸にやって来れば、海の色が変わって見えるほどになることもあります。
一匹一匹は小さな魚ですが、その数の多さから、古くから人々の暮らしを支えてきた「海の恵み」の代表ともいえる魚です。
そしてイワシは、海ではサメやマグロ、カツオといった大型魚から常に狙われています。名前の通りイワシクジラは、大きな口を開けてイワシを大量に飲み込んでしまいます。そして空からは、カモメやカツオドリなどの海鳥たちからも、狙われています。
こうしたイワシは、大型魚や海鳥、海生哺乳類など、さまざまな生き物の重要な餌となり、海の食物連鎖を支えていることから、「海の米」とも呼ばれています。
小さなイワシは、敵から身を守るために大きな群れをつくって泳ぎます。水の動きや周囲の仲間の動きを感じ取りながら、一斉に方向を変えて泳ぐ姿を、水族館などでご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。
また、外敵に追われたイワシなどの小魚が密集し、球状の大きな群れをつくることがあります。これは「ベイト・ボール(いわし玉)」などと呼ばれ、捕食者から身を守るための行動の一つと考えられています。

「イワシの群れ(水族館)」 出典:写真AC
私たち人間は、古くからイワシを食糧や肥料として利用し、大群で回遊するイワシを獲るために、さまざまな網漁を発達させてきました。
こうしたイワシと人々との深い関わりは、各地の逸話や民話にも残されています。
今日のブログでは、京都府宮津市に伝わる海の民話『天のかけ橋と金樽いわし』をご紹介します。
遠い昔、男女の神様が梯子を使って丹後に降り立ち、仲良く暮らしていましたが、ある日その梯子が倒れ、神様は天に戻れなくなってしまいました。この倒れた梯子が「天橋立」になったと言い伝えられています。
そして、その天橋立に近い「阿蘇海」では、風流好みの殿様が海に舟を浮かべて酒を飲み、酔った勢いで大切な金の酒樽を海に落としてしまいます。すると翌朝、漁師たちの網には、金色に輝くイワシがたくさんかかっていた、というユーモラスな伝承が残されています。
日本三景「天橋立」の誕生と、黄金色に輝く「金樽いわし」の伝承を一つにまとめた民話は、2021年度に日本財団「海ノ民話のまちプロジェクト」のアニメ作品『天のかけ橋と金樽いわし』となり、次世代へと伝えられています。
そして、「金樽いわし」は、民話の中だけに登場するイワシではありません。
天橋立によって宮津湾と隔てられた阿蘇海は、海水の交換が少なく、植物プランクトンなどが豊富な内海です。こうした栄養豊富な阿蘇海に入り込んで育ったマイワシは「金樽いわし」と呼ばれています。
黄金の酒樽がイワシに姿を変えたというユーモラスな伝承の背景には、阿蘇海の豊かな環境が育むイワシという、地域ならではの「海の恵み」がありました。
一匹では小さなイワシも、海では多くの生き物の命を支え、人々にとっては大切な海の恵みとなっています。
10月4日の「イワシの日」に、天橋立と阿蘇海に伝わる民話を通して、イワシと豊かな海とのつながりに思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
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