皆さんこんにちは!
船の科学館に勤める学芸員(ペンネーム:アクエリアス)です。
海を楽しむ方法のひとつとして、古くから多くの人に親しまれてきた「釣り」。
海に糸を垂らし、魚がかかるのを待つ。
堤防や砂浜など、私たちの身近な海でも楽しむことができる「釣り」は、海の生き物と直接ふれあうことのできる身近な活動のひとつです。
そして、魚と私たちとの関わりは「釣る」だけではありません。
釣ったり獲ったりした魚を運び、売り、料理して食べる。
人々は昔から、さまざまな形で海の恵みを暮らしの中に取り入れてきました。

水彩画「横須賀沖のめばる釣」
寸法:225×165
所蔵:船の科学館
今回は、そんな魚と人との関わりを、もっと身近な「釣り」から楽しむことのできるマンガ、小坂泰之氏作の『放課後ていぼう日誌』をご紹介します!
『放課後ていぼう日誌』は、平成29(2017)年から『ヤングチャンピオン烈』で連載されているマンガ作品です。
アニメ化・ドラマ化も果たし、令和8(2026)年2月19日には最新第15巻が発売されました。
まずは、作品に登場する主な人物を見てみましょう。
■主な登場人物
○鶴木陽渚(つるぎ ひな)
本作の主人公である高校1年生。
都会から海辺の町へ引っ越してきた、生き物が苦手なインドア派。
ひょんなことから「ていぼう部」に入部し、初めて釣りに挑戦する。○帆高夏海(ほだか なつみ)
陽渚の幼なじみで、同じ高校に通う1年生。
運動が得意で、明るく活発な性格。
ていぼう部の一員として、陽渚と一緒に釣りを楽しむ。○黒岩悠希(くろいわ ゆうき)
ていぼう部の部長を務める高校3年生。
飄々とした性格で、陽渚をていぼう部へ誘った人物。
さまざまな釣りを通して、陽渚を「釣りの世界」へと引き込んでいく。○大野真(おおの まこと)
ていぼう部に所属する高校2年生。
物静かで落ち着いた性格で、釣りに詳しく料理も得意。
魚の扱い方など、初心者の陽渚を頼もしくサポートする。■あらすじ
都会から海辺の町へ引っ越してきた高校1年生の鶴木陽渚は、生き物が苦手なインドア派。
高校では大好きな手芸を楽しもうと思っていましたが、堤防で黒岩悠希と出会ったことをきっかけに、「ていぼう部」に入部し、釣りを始めることになります。
最初は魚に触ることさえ怖がっていた陽渚ですが、個性豊かな部員たちとさまざまな魚を釣り、料理して食べる中で、少しずつ釣りや海の楽しさを知っていきます。
釣り初心者の陽渚の目線を通して、魚の生態や釣り方、そして海辺で過ごす楽しさが描かれた作品です。
■「釣ったら食べる!」ていぼう部の活動
『放課後ていぼう日誌』の大きな魅力は、単に魚を「釣る」だけではないところにあります。
ていぼう部のモットーは、「釣ったら食べる!」。
作品では、アジやキスをはじめ、海辺で出会うさまざまな魚や生き物が登場します。
釣る魚によって道具や仕掛けを変え、どのような場所に魚がいるのかを考える。
最初は先輩たちに教わるばかりだった陽渚も、次第に「どうすれば釣れるのだろう?」と自分で考えるようになっていきます。
自分で釣り、触れ、料理し、食べる。
「釣ったら食べる!」というシンプルな言葉には、海の生き物と私たちの「食」とのつながりが詰まっているのかもしれません。
■昔の人たちは、どうやって魚を獲っていた?
ところで、人と魚との関わりは、もちろん現代に始まったものではありません。
昔から人々は、魚の種類や環境に合わせて、様々な方法で魚を獲ってきました。
当館が所蔵する 「大日本物産図会 同鯛網之図」には、複数の船から網を用い、海中の鯛を獲る様子が描かれています。

錦絵「大日本物産図会 同鯛網之図」
作:歌川広重(三代)
寸法:176×238
所蔵:船の科学館
『放課後ていぼう日誌』の高校生たちが楽しむ釣りとは、目的も規模も異なります。
しかし、魚がどこにいるのか、どのような方法なら釣ることができるのかを考え、海の生き物と向き合うことは、昔も今も通じるものがあります。
作品に登場する現代の釣りと、昔の資料に描かれた漁の様子。
二つを見比べてみると、私たち日本人が古くから海の魚と関わり、その恵みを暮らしの中に取り入れてきたことが見えてきますね。
■釣りを楽しむために大切なこと
一方、『放課後ていぼう日誌』から見えてくるのは、釣りの楽しさだけではありません。
釣り場をきれいに使うこと。
海の生き物を大切にすること。
その場所で定められたルールを守ること。
そして、安全に楽しむこと。
実は水産庁でも、TVアニメ『放課後ていぼう日誌』とタイアップし、パンフレット「遊漁のルールとマナー 〜海と川、魚との付き合い方〜」を作成しています。
陽渚たちと一緒に、釣りを楽しむために知っておきたいルールやマナーを楽しく学ぶことができますので、ぜひご覧ください。
■マンガから広がる「釣りの世界」
生き物が苦手で、釣りについて何も知らなかった陽渚。
そんな彼女が、ていぼう部の仲間たちと釣りをする中で、魚のことを知り、釣り方を考え、自分で釣った魚を食べられるようになっていきます。
『放課後ていぼう日誌』では、陽渚の成長を通して、魚を知ること、釣ること、食べること、そして海と付き合うことが、親しみやすく描かれています。
「この魚は何だろう?」
「どうやったら釣れるのだろう?」
「釣った魚は、どんな味がするのだろう?」
そんな小さな疑問や興味から、海の世界はどんどん広がっていきます。
釣りは、海の生き物と直接出会えるからこそ、海との付き合い方について考えるきっかけにもなります。
皆さんも『放課後ていぼう日誌』を読みながら、身近な「釣り」から海の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。
今回はここまで!次回をお楽しみに!
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