• もっと見る

今日の海の日

【宗谷通信29】“宗谷”の「てっぺん」にご注目!
こちらは、初代南極観測船“宗谷”です。

さる6月10日は“宗谷”が竣工した記念日ということで、満船飾でお祝いをしました。
船の記念日というと「起工日」「進水日」「竣工日」「就航日」などさまざまありますが、当館では「進水日(2月16日)」「竣工日(6月10日)」「南極初出港の日(11月8日)」の3つを“宗谷”の記念日としてお祝いしています。

この3つの節目を迎えた当時、船名がすべて違っていたというのも“宗谷”の興味深い経歴です。
進水時は「Волочаевец (ボロチャエベツ)」、竣工時は「地領丸(ちりょうまる)」、南極初出港時は「宗谷(そうや)」と名乗っていました。
こんなところからも波乱万丈の船生を感じ取れますね。
たくさんの名前があったことも、88歳になった今も年に3回、お祝いの日があることも、担当者としてはたいへんに嬉しく、誇らしいことと思っています。

宗通29_0610満船飾.jpg
竣工記念日の満船飾


ところで、満船飾の背後に見える「アレ」、船橋のてっぺんに足の生えた箱のようなものがありますよね。
遠くからでも突然ニョキっと生えたように見えるあの設備です。
実は、南極観測船ならではの機能なのですが、ご存知でしょうか。

宗通29_上部見張所UP.jpg
これは「上部見張所」と言い、文字通り見張りをするための小さな部屋になっています。
何を見張っているかというと、主に氷山や流氷です。
氷山や定着氷の位置が刻々と変化する南極海では、操舵室のあるブリッジよりさらに見通しの良い高所から警戒することが重要です 。衛星通信も発達していない時代ではとくに、より遠くまで見通せることが必要でした。
遠方を見渡すには、より高い場所へ上る必要があります。
そのため、一番高いところにある船橋の、さらにその上に見張所が設けられました。

宗通29_鳩小屋あおり.jpg
船橋上部の見張所(裏側)


この垂直の梯子を上って中に入ります。これ、わりと怖いんです。
単純にこの梯子の高さだけならそこまで高くないのかもしれませんが、船体の屋上にあるため、上っていくと岸壁が非常に遠く見え、さらにそれより低いところに海面が見えてくるので、高いところが苦手な方は本当に恐ろしく感じるのではないでしょうか。

今回、満船飾に合わせて見張所外板のメンテナンスを行いました。
作業のために足場を組んだので、梯子を上るよりはずっと楽に近づくことができました。
せっかくなので中を覗いてみましょう。気になる内部はこんな感じです。

宗通29_鳩小屋内部.jpg
上部見張所の内部


中はガランとしつつ非常に狭く、コンパクトなエレベーターのようで、長時間だと2人でも窮屈になりそうなサイズ感。
入って正面はさらに1段高くなっています。中央に伝声管が見えますね。

窓からの眺めを見てみましょう。
宗通29_鳩小屋眺望.jpg
上部見張所からの眺め


とっても見晴らしが良いですね!
門型マストを見下ろすことができるなんて気持ちが良いです。
この係留場所では周囲の建物に遮られてしまいますが、洋上ではきっと遠くまで見渡せたのだと想像できます。思わずヤッホーと言いたくなるところですが・・・・・・、なんだか揺れを感じます。
海面は凪いで波もありませんが、やはりここは船のてっぺん。
船は下から上にいくほど、中心から外側にいくほど揺れが大きくなります。
こんなに高い場所なので、いちばん揺れる場所なのですね。
空調もありませんので、ここでお勤めする乗組員の苦労がしのばれます。

そしてこの見張所、次世代の南極観測船へも受け継がれているのです。
2代目の“ふじ”になると、中に操舵装置も備えられ、見張りをしながら直接操艦できるようになります。それに伴い名称も「上部操舵所」と変わりました。
3代目の“初代しらせ”もそれを引き継ぎますが、現役である4代目の“しらせ”になると操舵装置は撤去され、“宗谷”と同じく「見張所」としての機能だけに戻りました。
このように、時代によって機能の進化や変遷を直接比較できるのも南極観測船のおもしろいところです。
宗通29_AGB鳩小屋.jpg
歴代南極観測船の上部操舵所/上部見張所
撮影:船の科学館


ところでこの上部見張所/上部操舵所、かわいらしい通称があるのです。
その名も「鳩小屋」。
なぜそう呼ばれるのか、これぞという理由ははっきりしないようです。
建築用語では屋上に設ける小さな箱(突出部)を「鳩小屋」と呼ぶそうなので、もしかしたらそれが由来なのかもしれません。
また、外国では船のマストにある見張り台のことを「クロウズネスト(カラスの巣)」とも呼びますので、そのあたりも関係しているのかもしれませんね。
他の艦船ではあまり見られない設備なので、南極観測船を見学する際はこの「鳩小屋」にもぜひ注目してみてください。

今回の【宗谷通信】は、ここまで!
以上、“宗谷”から整備係兼学芸員のアデリーがお伝えしました。


あわせて読みたいおススメの記事

この記事をシェアする

投稿者:アデリー カテゴリー:宗谷通信 コメント:0

コメント

※現在、コメントに対する返信は対応しておりません。予めご了承ください。

サイト内検索

カレンダー

  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  

このブログについて