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今日の海の日

港町の青春と海 ― スタジオジブリ作品『海がきこえる』

皆さんこんにちは!
船の科学館に勤める学芸員(ペンネーム:アクエリアス)です。

先日街中で、白木蓮が咲いているのを見かけました。
少しずつ春の気配が感じられる季節になってきましたね。

さて、今回はスタジオジブリ作品の中でも少し異色の青春作品、 『海がきこえる』 をご紹介します。

本作品の原作は、日本初の本格的商業アニメ雑誌・月刊『アニメージュ』に連載された、氷室冴子氏作の青春小説です。
単行本化を果たした後、1993年にテレビスペシャルとして放映されました。

東京の大学へと進学した杜崎拓が、高校の同級生である武藤里伽子と再会したのをきっかけに、故郷・高知で過ごした高校時代を思い出す場面から展開されます。
東京そして高知を舞台に、青春の戸惑いと成長が描かれています。
ジブリ作品の中では数少ないファンタジー要素がない作品であるのも特徴です。

海がきこえる@.jpg

出典:スタジオジブリ

実際に高知の街並みがモデルとなっており、多岐にわたる取材のもと、「本物の高知を描くことにこだわった」と述べられています。

下記の画像は、天神大橋から高知市内を見た構図です。
広がり感をもたせるために、背の高い建物などを全て削除したという制作背景があったそうです。

海がきこえるA.jpg

出典:スタジオジブリ

鏡川と赤い天神大橋.jpg

鏡川と赤い天神大橋
出典:写真AC

また作中では、太平洋に面した高知の海が印象的に描かれています。

高知のような太平洋沿岸の港町では、海は単なる景色ではなく、古くから漁業や海運によって各地と結ばれ、人・物資・文化が行き交う場所でもありました。
江戸時代には、土佐の海産物や木材などが船で運ばれ、各地の港へと届けられていました。
海は地域の産業を支える重要な交通路であり、港町は外の世界とつながる「入口」の役割を果たしてきたのです。

こうした港町の特徴の一つに、人の移動が多いことが挙げられます。
漁業や海運に関わる人々、商人、そして進学や就職で街を離れる若者たちなど、港町では昔から、海を通じて人がやって来て、そして旅立っていく光景が繰り返されてきました。

『海がきこえる』でも、主人公の杜崎拓は高知の高校で日常を過ごしますが、やがて進学のため東京へ向かいます。
海辺の街で育った若者が遠くの都市へ旅立つ姿は、日本の多くの港町で見られてきた風景とも重なります。

作品の中で海は大きく語られるわけではありませんが、登場人物たちのそばに静かに広がり、時間や距離を感じさせる存在として描かれています。
港町の空気を感じながら鑑賞してみると、また違った魅力が見えてくるかもしれませんね。

今回はここまで!次回をお楽しみに!

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投稿者:アクエリアス カテゴリー:海とマンガ・アニメ コメント:0

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