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今日の海の日

【宗谷通信24】“宗谷”のヘリコプター甲板にご注目!

こちらは、初代南極観測船“宗谷”です。

1月も後半になり、冬本番らしい寒い日もあれば、なんだか暖かい日もあって服装に悩んでしまいますね。“宗谷”は半分屋外のような環境なので、どうぞ暖かくしてご来船ください。

先日の寒い日に、“宗谷”船上で興味深い光景が見られたのでご紹介します。

宗通24_霜の降りたヘリ甲板.jpg


おわかりいただけますでしょうか?
うんと冷え込んだ日の朝は、船の露天部分に霜が下りることがあるのですが、船尾のヘリコプター甲板の表面が写真のとおり、格子模様になっていたのです。
実はこれ、裏側の骨組みの部分には霜がつかず、その構造が表面に浮かび上がって見えていたのです。
(船長いわく、「ムキムキのシックスパック」なんだそうです。なるほど?!)
ちなみにこの部分を裏側(下のデッキ)から見上げるとこんな感じです。
宗通24_IMG_0395-EDIT.jpg
素材の熱伝導率の違いによってこのような現象が見られたものと考えられます。この後、日が昇って日光が当たればすぐに消えてしまう、朝いちばんだけのデコレーションです。

鮮やかな緑色が印象的なこの船尾のヘリコプター発着甲板ですが、実はこの甲板は元々あったものではなく、後から増設された部分になります。
ヘリコプター自体は第1次南極観測時から搭載しており、ベル47G型(第2次からはベル47G2型)という、丸っこい形と、足元まで続く大きなキャノピーが特徴的な機種で、主に偵察用として運用されていました。
(この同型のヘリコプターは、後継の“ふじ”、“初代しらせ”でも使用されました)
宗通24_35-1 南氷洋ヘリ偵察.jpg

写真「南氷洋ヘリ偵察」
所蔵:船の科学館

この写真を見ると、甲板が現在とは違い、木甲板であることが確認できますね。

宗通24_34-2 南氷洋へ 後甲板の犬.jpg
写真「南氷洋へ 後甲板の犬」
所蔵:船の科学館

こちらは同じく第1次観測時に撮影された写真です。カラフト犬たちがこの木甲板上にいる映像をご覧になったことがある方も多いかもしれません。

現在、船内見学順路の船尾側、スクリュープロペラが展示されている場所がこの木甲板の部分であり、“宗谷”の元々の後部甲板でした。

第2次観測において、悪天候に阻まれて接岸はおろか、観測隊員を昭和基地に送り込むことができなかったことを教訓に、第3次観測では大型のヘリコプターで物資・人員の輸送を行うことが決定されました。
この時、大型ヘリ運用のため後部甲板の上に新たに設置されたのが、現在も見られるヘリコプター発着甲板です。

宗通24_24.大型ヘリS58が航空輸送に活躍.jpg
写真「大型ヘリS58が航空輸送に活躍」
所蔵:船の科学館

"宗谷”が搭載したシコルスキー社(米)の「S58型」ヘリコプターは、海上自衛隊が対潜哨戒機として採用したことから、三菱重工業がノックダウン生産を行っていた機種で、海上保安庁では3機が購入されました。
この「S58型」を2機搭載した“宗谷”は、その姿から「空母型」と称されることもあったようです。

宗通24_空母型“宗谷”模型.jpg
空母型“宗谷”模型
所蔵:船の科学館

それまでは輸送の大部分を雪上車に頼っていましたが、海氷状況、輸送能力、基地までの長い距離(雪上車はとてもゆっくり進むのです)等、さまざまな面であまり効率が良いとは言えませんでした。
そのため、高速でピストン輸送が可能で、輸送力も大きなヘリを使用した航空輸送は、悪天候に悩まされながらも、最低目標を大きく上回る成果を上げました。人員14名、物資57トンの輸送を実現し、大成功を収めたのです。
これは世界に先駆けて、極地でのヘリコプターを使用した輸送実例となり、以降現在まで続く輸送方式を確立させることとなりました。
現在活躍する“砕氷艦しらせ5003”でも、大型輸送ヘリコプターが極地輸送において重要な役割を担っています。
第3次観測時、前年置き去りになってしまったカラフト犬の兄弟「タロ」「ジロ」を、最初に発見したのもこの「S58型」でした。

実に頼もしい相棒とも言える「S58型」。“宗谷”が搭載した3機のうち、“201号機”が現存していることをご存知でしょうか?
201号機は、“宗谷”が6回の南極観測を終えて帰国した後は、国内において海難救助や海上交通指導等の任務に活躍しました。1973年に退役した後は国立科学博物館に引き取られ、しばらく展示された後、長らく収蔵庫で保存されていました。

2024年、国立科学博物館が所蔵する航空機を展示する「科博廣澤航空博物館」が茨城県筑西市にオープンしました。その中で「S58型」は戦後初の国産旅客機「YSー11」や「零式艦上戦闘機」など、日本の航空史において重要な航空機とともに展示公開されています。

宗通24_S58HC_DSC_0106~2.JPG
ザ・ヒロサワ・シティ ユメノバ 科博廣澤航空博物館「S58型ヘリコプター」
科博廣澤航空博物館(茨城県筑西市)にて展示中
取材協力/ユメノバ🄬
撮影:船の科学館

私も早速訪問し、実際にこの目で見てその大きさに圧倒されました。
状態も良く、今にも飛べそうなほどきれいな姿をしています。
保存されているからこそ、実際に目で見ることができ、実際に見たからこそ感じること、発見することがあります。その体験には非常に大きな価値があり、人生の財産になると私は感じています。
ぜひ、“宗谷”とともに南極で活躍した201号機にも会いに行ってみてくださいね。




※本イベントは終了いたしました
ところで、来月2月16日に“宗谷”は進水88周年を迎えます。
船の科学館では記念イベントを企画していますので、一緒に“宗谷”の米寿をお祝いをしませんか?
▼詳しくはコチラをご覧ください▼
https://funenokagakukan.or.jp/2026/39899/

2月14日(土)、15日(日)はぜひ初代南極観測船“宗谷”へお越しください。
※進水日当日の2月16日(月)は定休日となりますので、予めご了承ください。


今回の【宗谷通信】は、ここまで!
以上、“宗谷”から整備係兼学芸員のアデリーがお伝えしました。

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投稿者:アデリー カテゴリー:宗谷通信 コメント:0

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