本日、10月14日は「鉄道の日」です。
1872年10月14日(明治5年9月12日)に、日本で最初の鉄道が、新橋〜横浜(現・桜木町)間に開通したことを受け、その誕生と発展を記念して、平成6(1994)年に定められました。
この鉄道建設は日本政府が行ったもので、明治2(1869)年12月の廟議で決定され、翌3年4月から英国人鉄道技師エドモンド・モレル指導のもと建設が進められました。
建設決定からわずか2年半、1872年6月12日(明治5年5月7日)には品川〜横浜間が仮開業され、同年10月14日に明治天皇ご臨席のもと、新橋停車場で開業式典が開催され、横浜まで御召列車が運行し、新橋〜横浜間29.0qが開通しました。
翌日からは、1日9往復の列車が運行され、所要時間は53分でした。
開通当時の鉄道は、別名「陸蒸気(おかじょうき)」と呼ばれることがありました。この当時は、蒸気で走る乗り物は、海上を航行する「蒸気船」ぐらいしかなかったので、陸上を蒸気で走る鉄道は「陸蒸気」と呼ばれていたそうです。
さて、鉄道開通は、浮世絵の題材として好まれ、多数出版されていますが、当館が所蔵する絵葉書には、明治4(1871)年に浮世絵師 歌川芳虎(うたがわ よしとら)が描いた錦絵「横浜海岸鉄道之図」が使用されています。
歌川芳虎は歌川国芳の門人で、天保から明治20年頃にかけて、武者絵・役者大首絵・美人画・横浜絵・開化絵等で活躍しています。

絵葉書「横浜海岸鉄道之図」
寸法:100×147
所蔵:船の科学館
錦絵(絵葉書)には、横浜の海に築かれた築堤の上を走る汽車が描かれていますが、錦絵の制作年から、この汽車は、開業前に横浜〜神奈川間で行われていた試運転が描かれていると思われます。
そして、中央に描かれている外輪船は、明治3(1870)年から東京・横浜間に就航した小型の蒸気船「弘明丸」だと思われますが、鉄道開通に伴って京浜蒸気船は衰退し、後に「弘明丸」は遠く青函航路に移籍しています。
海面には大小様々な和船が描かれていますが、大きな帆を張った2隻の和船と、その和船に乗船する着飾った女性がひときわ目立っています。
鉄道の開通は、当時の人々にとって最大の関心事だったので、鉄道を見物するために雇った船なのか、錦絵の演出なのか、見る人の想像をかきたてますね。
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