宇宙への旅行ができるようになった現代においても、高圧・暗黒・低温の極限環境にある海底・深海は、最先端の潜水調査船を使用しても困難を伴い、多くの謎に包まれています。
日本の深海潜水調査船の開発は、水深600メートルまで潜航を可能にした有人潜水調査船「しんかい」(科学技術庁/現・文部科学省)が、昭和44(1969)年に完成したことから始まりますが、昭和52(1977)年から、科学技術庁の委託を受けた海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構)では、2,000メートル潜水調査船システムの開発がスタートしました。
昭和56(1981)年には、水深2,000メートルまで潜航可能な潜水調査船「しんかい2000」、「しんかい2000」を支援する母船「なつしま」が完成し、陸上基地の3つからなるトータルシステムが構築されました。
2,000メートルまで潜航可能な有人潜水調査船のみならず、トータルシステムの構築は日本初のもので、その活躍が大いに期待されたことは言うまでもありません。

船舶模型「深海潜水調査船 「しんかい2000」(1/5)」
寸法:1940×850×950
所蔵:船の科学館
深海潜水調査船 「しんかい2000」の概要
| 空中重量 | 24トン |
|---|---|
| 全長 | 9.3メートル |
| 幅 | 3.0メートル |
| 高さ | 2.9メートル |
| 喫水 | 2.5メートル |
| 耐圧球殻 | 内径2.2メートル |
| 乗組員 | 3名(操縦者2名・観測者1名) |
| 最大潜航深度 | 2,000メートル |
| 潜航時間 | 80時間(最大) |
| 水中速力(最大) | 3ノット |
| 主推進 | モーター(4KW×1) |
| 補助推進 | モーター(1.5KW×2) |
「しんかい2000」は、厚さ30ミリ、直径2.8メートルの超高張力鋼製の耐圧殻に3人の乗員を乗せ、自由にコントロールできるマニピュレータや、水中テレビカメラをはじめとする各種観測機器を搭載していました。
水中は約10メートル深くなるごとに1気圧ずつ水圧が増すため、水深2,000メートルでは200気圧の水圧がかかります。
「しんかい2000」の耐圧殻は、200気圧かかると直径が3ミリも縮まったそうですが、設計は200気圧に1.65倍の安全率をかけて、水深約3,300メートルの水圧まで耐えられるようになっていたそうです。
また、母船「なつしま」には、整備補給システムが完備され、洋上基地の役目を果たすことができたので、「しんかい2000」は連日の潜航が可能となりました。 波高1.25メートルの波浪下でもオペレーションを可能とし、船尾に設けられたクレーン装置によって、波高2.5メートルでも「しんかい2000」の揚収ができました。

船舶模型「海洋調査船 「なつしま」(1/50)」
寸法:1525×260×550
所蔵:船の科学館
そして、昭和58(1983)年7月22日から、富山湾において「しんかい2000」による潜航調査(水深80メートル)が始まりました。
以来、「しんかい2000」は、平成14(2002)年11月の最終潜航まで、長期間にわたって海洋調査の第一線で活躍しました。
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