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従軍画家「新井勝利」

8月15日は終戦記念日です。

今日は、船の科学館が所蔵する従軍画家「新井 勝利(あらい しょうり)」の作品を紹介しつつ、「従軍画家」という職業から先の大戦について触れてみたいと思います。

新井勝利 爆撃機整備額装(木製額 寸法:525×678×40)

絵画:爆撃機整備
画:新井勝利
木製額寸法:525×678×40
所蔵:船の科学館

新井勝利は1894(明治27)年東京生まれの歴史画を得意とした画家です。
戦前に捜真女学校の図画教師や法隆寺金堂壁画の模写を日本美術院の会員とともに行ったほか、戦後1949(昭和24)年からは、多摩美術大学の教授を務めました(1972年没)。

新井は1943(昭和18)年、海軍報道班員として南方トラック、ラバウルなどに従軍しています。

従軍画家として新井に求められたのは「航空母艦上に於ける整備作業」を描くことでした。

しかし、制作をするための取材が十分にできないことを新井が海軍省に訴える手紙の下書きが残っていることが、新井と縁が深い所沢市の文化財保護課の調査で分かっています。

新井勝利 零式戦闘機整備額装(木製額 寸法:523×678×40)

絵画:零式戦闘機整備
画:新井勝利
木製額寸法:523×678×40
所蔵:船の科学館

新井は昭和18年の夏、南方に到着した直後に「予想していたほど飛行機が艦にないために整備の様子を見ることができず無駄足になってしまう」という手紙をしたためています。

戦中で画材も統制を受けていたため、画家である新井は海軍報道班員として協力しなければ作品制作のために必要な資材を入手することも困難だった時代です。
軍部には「従軍画家に戦意高揚のための作品を制作させる思惑があった」と考えられる中で、新井は「無駄足になってしまう」と焦燥感を持ちながら、「航空母艦上に於ける整備作業」(三部作)を描き上げ、昭和18年12月の「第二回大東亜戦争美術展」に出展しています。

新井勝利 画帖

画帖12枚組の1枚
画:新井勝利
寸法:350×508
所蔵:船の科学館

今回ご紹介した当館所蔵の絵画は、この三部作の下書きと思われます。

同三部作は、戦後連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)に接収され、現在は国立近代美術館が所蔵しています。

先の大戦の知られざる一面を伝える当館所蔵の新井勝利の作品は、絵画「航空母艦上に於ける整備作業」(三部作)の複写とともに、今夏、「戦争の時代を生きた市民 1931-1945」で展示されています。

会  期  令和4年8月2日(火曜)から令和4年8月31日(水曜)
開館時間  午前9時から午後4時30分(月曜日・祝日は休館)
会  場 所沢市生涯学習推進センター3階 企画展示室・常設展示室
所沢市並木六丁目4番地の1
入 場 料 無料

(三部作は独立行政法人国立美術館の所蔵品検索システムで見ることができます。)

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投稿者:うっちー カテゴリー:歴史・人物 コメント:0

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