現代の貨物船は、一度にたくさん運べるように、貨物にあわせて船の形や仕組みを変えた「専用船」が造られています。
その中の一つ「自動車専用船」は、自動車が船の前後からランプウェイ(橋)を自走して船内に積み込み・荷下ろしをする方式(RO/RO:Roll-on/Roll-off)で、立体駐車場のような船体構造になっています。

船舶模型「 自動車専用船 『ぐろーばるはいうえい』 (1/100))」
寸法:1999×322×470
所蔵:船の科学館
※本船は、普通乗用車6,337台を一度に運ぶことができます。
ところで、自動車運搬の歴史を辿ると、日本初の自動車専用船は、昭和40(1965)年8月11日に進水した「追浜丸」から始まります。
「追浜丸」は、日産自動車(株)が大阪商船三井船舶(株)に積荷保証をして建造した船です。同年6月、日産自動車の対米輸出は3,000台に及び、「追浜丸」の就航は対米輸出の合理化に大きな期待が寄せられていました。
船名になった日産追浜工場(神奈川県横須賀市)は、昭和36(1961)年に操業を開始した歴史ある工場です。


絵葉書「追浜丸 進水記念」
作:野上隼夫
所蔵:船の科学館
それまでの自動車運搬は、一般貨物船に搭載するか、片荷で輸送していましたが、「追浜丸」は、ばら積み貨物の荷役用にクレーン設備を備え、復路に小麦等を積み、高い採算性を得ました。
また、世界で初めてオート・カーシフター(自動車横移動装置)とエレベーターを併用した「自走搬出入方式(RO/RO方式)」が採用され、荷役の合理化が図られました。
船艙内は危険防止に万全を期し、炭酸ガス消火装置や排気通風装置が設置されています。

絵葉書「追浜丸 進水記念」
作:野上隼夫
所蔵:船の科学館
1950年代の自動車運搬は、一般の貨物船に自動車を一台ずつクレーンで吊り上げて荷役し、15台の荷役に1時間を要し、航行中の揺れによって自動車の損傷が生じることも問題になっていました。
「追浜丸」はカーデッキを5層設けて6段積みとし、1時間に100台ペースで荷役できたので、荷役時間が飛躍的に短縮され、自動車の損傷も大幅に軽減されたそうです。
ブルーバード1,200台を約12時間で荷役したことになりますが、運転手の人数はどのくらいだったのか、気になりますね。
現在の自動車専用船の原型となった「追浜丸」は、画期的な技術革新によって、日本の貿易の重要な支えとなったのです。
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