北海道を東西にわける日高山脈の末端、太平洋に落ち込んだ岬「襟裳岬」。
「襟裳の春は 何もない春です〜」で知られる昭和の大ヒット曲、森進一の「襟裳岬」でその名をご存じの方も多いのではないでしょうか。
岬の60メートルの断崖に建つ「襟裳岬灯台」は、北海道庁が設立された3年後、北海道では4番目の灯台として、明治22(1889)年6月25日に点灯しました。
初代の灯台は第二次世界大戦の爆撃で破壊されてしまったので、現在の灯台は、昭和25(1950)年に再建された二代目ですが、第50回灯台記念日(平成10年11月1日)に行われた公募「灯台50選」では、人の心に残る日本の灯台50選に選ばれています。
高さ14メートルの灯台は、海面から73メートルの高さから22.0海里(約41キロメートル)を灯しています。
灯台の下には、直線状に沖合2キロメートルまで岩礁が続き、さらに海面下には6キロメートルの岩礁が続いています。まさに日高山脈がそのまま海に続く「海の難所」で、過去には多くの海難事故が発生しています。
さらに襟裳岬の南東沖の海面下には、「襟裳海山」と呼ばれる山が海中に連なっています。日本海溝の最北端に、富士山より高い約4,200メートルの山が深海に潜んでいます。
また、襟裳岬は、年間平均風速が12.2メートル、最大風速10メートル以上の日が年間290日を超える日本屈指の強風地帯で、「風極の地」とされています。
沖合では日本海流(黒潮)の暖流と、千島列島の寒流がぶつかり合い、春から夏にかけては霧が多く発生します。
一方、襟裳岬周辺海域は世界有数の漁場で、ウニ、ツブ(巻貝)、ボタンエビ、日高昆布など豊富な水産資源を有しています。特に「日高昆布」はシェア65%がこの海域で漁獲されているそうです。
そして自然豊かな沖合の岩礁には、ゼニガタアザラシが約300頭も生息しているそうで、シーカヤックで行く「アザラシウォッチングツアー」もあるそうです。
また、日の出の美しさでも知られ、初日の出には多くの人が見に来られるそうですよ。
「襟裳は何もない」わけではなく、豊かな自然・景観がありますね。
平成22(2010)年8月には、襟裳岬(オンネエンルム)は、アイヌ民族の精神的・聖地的に重要な場所として、国指定文化財「名勝ピリカ・ノカ(美しい 形)」に指定されています。
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