1961(昭和36)年5月17日、定期客船全盛時代を代表する「氷川丸」が横浜・山下公園前の桟橋に係留
1930(昭和5)年4月25日に竣工した貨客船「氷川丸」は、船齢30年に達した1960(昭和35)年、多くの人に惜しまれるなか引退し、1961(昭和36)年5月17日に横浜・山下公園前の桟橋に係留されました。
「横浜港で記念保存されている氷川丸」
撮影:船の科学館
最後の航海を終えた氷川丸は、横浜港外に係留されていましたが、神奈川県と横浜市から、「横浜のシンボル」として山下公園前に係留し、海事・海洋思想普及のための観光船にしたい、との要望があり、「横浜港開港100周年記念事業」の一環として、保存展示されることが決まったそうです。
その後、氷川丸は宿泊施設を備えた海の教室・ユースホステルに改造され、1961(昭和36)年5月17日に山下公園前の桟橋に係留され、横浜港開港記念日(6月2日)に開業しました。
絵図「山下公園「氷川丸」二〇〇三年」
作:野上隼夫
寸法:455×530
所蔵:船の科学館
2008(平成20)年には竣工時の資料を元にリニューアルされ、当時ヨーロッパで流行していたアールデコ様式の一等食堂・社交室等の客室エリアや、操舵室や機関室等の乗組員エリアが見学できるようになりました。
プロムナードデッキからは、横浜港の景色も楽しめます。
戦前、戦後を通じて、太平洋を254回横断し、延べ25,000人にのぼる乗客を運んだ「氷川丸」は、2003(平成15)年に「横浜市指定文化財」に指定され、2016(平成28)年には戦前の日本で建造され現存する唯一の貨客船として「国の重要文化財」に指定されています。
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