潮の引いた浅瀬で貝などをとる遊び「潮干狩り」。
春から夏にかけて行われるのが一般的ですが、今ではゴールデンウィークの風物詩としてお馴染みかと思います。
潮干狩りがレジャーとして広まったのは江戸時代から、と言われています。
江戸末期の年中行事をまとめた『東都歳時記』(1838年)には、3月3日の行事として、「女子雛遊び」と並んで「汐干」があり、「当月より四月に至る。其内三月三日を節(ほどよし)とす。」と書かれており、旧暦3月3日頃の大潮の頃が最も適している、とされています。
ちなみに「潮干狩り」は、江戸時代には「汐干狩り」と書かれていました。
「洲崎しほ干狩り」
作:初代 歌川広重
出典:国立国会図書館「錦絵でたのしむ江戸の名所」
また、「芝浦・高輪・品川沖・佃島沖・深川洲崎・仲川の沖早旦より船に乗じて、はるかの沖に至る。卯の刻過より引始めて、午の半刻には海底陸地と変ず。ここにおりたちて蠣蛤を拾ひ、砂中のひらめをふみ、引残りたる浅汐に小魚を得て宴を催せり」と書かれているように、現在の東京都江東区東陽の旧地名「洲崎」は、海を望む景勝地で潮干狩りの名所でした。
早朝に船で沖に出て、午前6時頃からの干潮を待って、昼頃に船から降りて貝を拾い、魚をとっていたようです。
ところで、東京湾一の潮干狩り場の広さを誇る「木更津海岸」には、潮干狩りで出会い恋に落ちる、実話をもとに書かれた歌舞伎演目『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』があります。
主人公の与三郎とお富は、木更津海岸の潮干狩りで出会います。
与三郎が、すれ違ったお富の美しさに見とれ、羽織がずり落ちたことに気づかない「羽織落とし」のシーンや、「しがねえ恋の情が仇、命の綱の切れたのをどうとりとめてか木更津か」のセリフが有名です。
鳥居崎公園には、与三郎とお富が逢瀬を楽しんだ場所とされる「見染の松」があります。
木更津での潮干狩りのお帰りに、立ち寄られてはいかがでしょうか。
あわせて読みたいおススメの記事
コメント
※現在、コメントに対する返信は対応しておりません。予めご了承ください。