ワシントン海軍軍縮条約が失効し、日本海軍は海軍軍備拡充計画に順次取り組みます。
潜水艦に関しては、大航続力の巡洋潜水艦(通称「巡潜型」。潜水する駆逐艦ともいわれ、高速航送と攻撃力が優先された)と水上高速力の海軍大型潜水艦(通称「海大型」潜水する駆逐艦ともいわれ、速度よりも航続距離が優先された)を融合した大型艦整備が主体でした。
この時に計画された大型潜水艦には甲型、乙型、丙型の3形式があり、伊号第11潜水艦は甲型の3番艦になります。
甲型は潜水艦隊の旗艦として設計されました。
主要目
排 水 量:2,434トン(水上)/4,150トン(水中)
全 長:113.7m
最 大 幅:9.55m
吃 水:5.36m
主 機:艦本式2号10型ディーゼル2基、主電動機2基、蓄電池480基、2軸
出 力:12,400馬力(水上)/2,400馬力(水中)
速 力:23.5ノット(水上)、8.0ノット(水中)
燃料搭載量:重油928トン
航 続 力:16ノットで16,000海里(水上)、3ノットで90海里(水中)
安全潜航深度:100m
乗 員:100名(旗艦時は114名)
兵 装:40口径14cm単装砲1基
25mm連装機銃2基
53.3cm魚雷発射管6門(艦首)
魚雷搭載数18本
搭 載 機:零式小型水上偵察機1機
伊号第11は1942(昭和17)年5月16日竣工と同時に呉鎮守府籍となり、第六艦隊第3潜水戦隊旗艦になっています。
就役後の任地マーシャル諸島では輸送船など3隻を雷撃、撃沈する戦果をあげていますが、当初想定していた戦闘場面で行動することはなく、輸送船団への攻撃、偵察、哨戒、輸送に従事しました。
1943(昭和18)年12月21日、基地としていたトラック島を出港、エリス諸島(旧イギリス領ギルバート・エリス諸島、現ツバル)方面に向かいます。
31日、伊号第11はフナフチ(フナフティ、現ツバルの首都)に戦艦、巡洋艦などが停泊していることを確認します。その後、1月11日の報告を最後に消息がわからなくなってしまいました。
周辺にアメリカ軍が敷設した機雷に触れて沈没したと推定されています。
乗員114名は全員行方不明のまま戦死認定、同艦は同年4月30日に除籍となりました。
フナフチの位置
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